青年は、ロンの兄弟槍を片手に黄金の杯で酒を飲む 作:儀田 佳宗
※少し修正しました。聖杯は実質使用不可能ですが、権能の使用が可能です。
まさか······この人がかのギャラハッド卿だとは·····
かつて最優の騎士と言われアーサー王から聖杯探求を命じられた三人の聖杯の騎士の1人。湖の騎士ランスロットとペレス王の娘エイレンとの間に産まれた息子。
その最後は聖杯探求の末、自ら聖杯に祈り、天上の世界へ身を移したと言われている。
·······え?まさかだけど·····。
先程の杯を手に取る。
その輝きは黄金のそれ、縁ぶちには様々な装飾があしらわれている。
一見するだけで業物だとわかる。
「まさかだけど······これって·········聖杯?」
その言葉を呟いた瞬間、
「うおっまぶしっ!」
いきなり聖杯が輝き出した。
一瞬視界が潰れたが、もう一度目を開けると······
「あれ?」
先程まで持っていた聖杯が消失していた。
「え?なんで?聖杯は!?」
すると、今度は呟いた瞬間
「·········うえッ!?なんで!?」
俺の
は!?なんで!?聖杯ナンデ!?理解が追いつかねぇよ!!
これってイリヤみたいに俺も小聖杯になったのか!?それともどこぞのワカメみたいに聖杯の依り代になるのか!?そんなの嫌だっぺ!?
__ちょっ、ちょっと待て。もちつけ俺······。
よく、考えろ。
もし、聖杯の依り代になったならすぐにでも効果が現れるはずだ。だが、特に体に異変はないしその予兆もない。
寿命は分からんが減ることは無いだろう。だって俺ホムンクルスじゃないし。
それに、まず「
ってことはなんで俺の中に入ったんだ?
確か、アイリスフィールも似たようなことになっていたが、あれは聖杯が自身の身を守るための盾、器が必要だったからである。
俺は武術も剣技も何も無い。なぜ入ったんだ?
··········まさか、あれか?
聖杯で水飲んだ時に聖杯の魔力と同質化したとかそんな感じか?
てか、よく考えると下半身が爆発したのってまさか··········
········まぁ、いいや。
それを今考えても意味は無い。
あと、「聖杯」と唱えると体に入ったり出たりするようだ。
聖杯を体に収めると、本の続きを読む。
そこには旅の記録とともに仲間たちとの約束事が書かれていた。
そして、表紙の裏には多分血文字であろう赤い字で「
きっといつでも目的を見失わないという彼の強い決意表明だったんだろう。
その冒険日記は意外と面白かった、というかよくよく考えるとこれって聖遺物だよな?
まぁ今は目的のページを探そう。
最後のあたりに目的のページである武器にと聖杯について書かれたページを見つけた。
そこには、ギャラハッドの代名詞である盾や選定の剣についてとあの赤い槍や聖杯について書かれていた。
なかなかわかりやすく書かれていた。
というか、俺の認識の仕方がFateに出てくる英霊の使う技=宝具だとおもっていたから表示の仕方がFGOの宝具ステータスのそれになっていた。
マジでわかりやすく要点だけ書かれていた。
─────結論から言おう。
あの赤い槍、「ロンギヌスの槍」はガチチート武器だった。
だってあれ1本に宝具が5つ、しかもそのうち宝具ランクEXの宝具が2つ、更に宝具ランクが???って測定不能のEXですらない明らかにヤバそうなものが1つあるんだぜ。
馬鹿じゃねえの!?
宝具の定義って英霊の逸話とかその最後の再現だよな!?
エクスカリバーだって、Fate/zeroで明かされたようにあの神造兵装の剣だけではなく「
例外であるアヴァロンも、アルトリアがいなくてもその効果を発揮するが、あれは元々の聖遺物としての効果がそうであって、しかも内蔵されている宝具はもちろん1つだ。
─────ということはなぜか?
それはきっとこの槍の持ち主だったロンギヌスという男の逸話よりもこの槍の逸話の方が数多く残っているからだろう。
きっと、英霊として召喚される時、槍が本体でその担い手はただのおまけとして判断されるのではないか、とギャラハッドさんの日記に書いてあった。
─────わきゃわからん。
なんだ?ナーサリーライムみたいなもんなのか?
あと、この槍はかの騎士王、アルトリア・ペンドラゴンが持っている聖槍「ロンゴミニアド」の
なんでも、「
その2本の槍は、根源を同じくして両極の性質を持っていたそうだが、先に出来たロンギヌスの槍には
その欠陥を補いつつ更にいい出来にしようとしてできたものがロンゴミニアドだそうだ。
しかし、そのロンギヌスの槍の本来の性質が一体なんなのかは書かれていなかった。
日記曰く、「神子の血を浴びた瞬間、その血に含まれた圧倒的な力に槍の自体の性質が
その時、元々白銀と金の2つの煌びやかな装飾であしらわれていた槍も今のように真っ赤に染まってしまったようだ。
まぁそりゃ世界征服できるわ。ヒトラーも欲しがるわけだ。
たぶん、聖杯は俺がこの槍の担い手になったから自身の身を守れる器として俺の事を選んだのだろう。
そんで、聖杯についても書かれていた。
この聖杯は予想した通り、
俺の知っている聖杯は第3魔法の再現が可能だが、この聖杯は第3魔法を含め第1〜第6魔法まで
····え?権能ってあれでしょ?
物理法則が出来る以前に世界にあった理でしょ?
確か世界を作りうる力があるとか····
····え?何それ?青子様も苦笑いじゃん。
てか、抑止力の排斥対象じゃん。
しかし、この聖杯にはある絶対の聖約がある。
それは、「聖杯自身が、所有者を選びその所有者のみ聖杯の使用が可能」というものだ。
更に、この聖杯はオリジナルの物なので聖杯戦争における1度だけ願いを叶えられる聖杯のそれとは違い、「内蔵魔力が続く限り、
········バカじゃねえの!?
え?つまり願いによって消費する魔力の量は変わるけど充電すればいつでも何度でも使用可能って事?
魔力さえあれば面倒な手法なんかは全部聖杯の方で処理して結果だけ残すってこと!?
·······エネ〇ープかよ。
しかも、俺聖杯に認められるようなこと一切していないんだが。
······あれ?ちょっと待て。
聖杯に認められるようなことは何もしてないんだから聖杯に願いを言っても効果はないのでは?
·····試してみよう。
聖杯を体から出し、それを見る。
ちなみに、聖杯が体の中に入ったのは俺自身が聖杯を聖杯と認識したからだ。
聖杯が黄金の輝きを放っているということはまだ聖杯に魔力残量があるという事だ。
それに向かって今1番叶えて欲しい願いを言う。
すなわち───────
「······ステーキ重出してくださいお願いします。」
重ねて言おう。この男アホである。
だが、この世界に来たあと···というか来る前から何も食べていなかったので、少しでも何か食べたかった。
しかも、あの牛か何かよくわからん獣を見てからというもの、無性に肉が食いたくて堪らなかったのだ!!
その瞬間、聖杯が輝きだし、目の前に豪華な弁当箱に入ったステーキ重が出てきた。
しかも想像した通りの。
「うひょぉぉおお!!!!!え!?マジで!?聖杯マジデ!?」
直ぐに口の中に掻きこみたくなったが、そこで箸がないことに気づく。
「あ、箸もお願いします。」
すると、ポトリと上から箸が落ちてきた。
「やったぜ!いただきまーす!!!!」
雄太は一気にステーキ重を口の中に掻きこんだ。
·····うわぁ、美味いよォ···あの市販のペラッペラのステーキじゃなくて普通に厚みがある本物のステーキだよぉ···
······ていうか出来たてみたいにホカホカだ。
その後、味が足りないので塩コショウまで出して残った肉にかけて食べた。
これは第3魔法の「形而上の存在を汲み上げ、物質に転換する」という性質によって、俺の願いを物質に変換した結果だ。
だが、忘れてはならない。どんなにくだらない事でもそれは
ステーキ重を無事に食し、「ご馳走さまでした。」と言ってゴミが邪魔なので、
「ゴミを肥料に変換して、食後のお茶を出してくれ」と言うとゴミはその場で崩壊し、有機肥料となって聖杯にはなみなみとつがれたお茶が出てきた。
この光景を魔術師が見たならば、すぐさま発狂し、「さっさと根源の渦への扉を開きやがれこの野郎!!!」とでも言うだろう。たぶん、マーリンですら白目を向くはずだ。
その後、お茶を飲みながらふたたび日記を読み始め──────その5秒後にお茶を
「ゲホッ、ゲホッ、·········やっぱりな····。」
その原因はちょうど目を通していた場所に書かれていた注意書きを読んだからだ。
「注意:聖杯がまだ魔力を蓄えてる時に、聖杯を使って飲み物を飲んではならない。イエス以外の人間がこれを使って何かを飲むと、聖杯内部の莫大な魔力がその飲み物の中に溶けだし、それを飲んだが最後、莫大な魔力に体が耐えられず
たとえ英雄や神族でも四肢の爆散は免れない。
更に、傷口から徐々にエーテルへと変換されて行くので、即座に処置をしなければ最悪体の一部が欠落してしまう。」
·········うわぁ、何やってんねん俺·····。
マジかよ、じゃあ俺の下半身は今頃魔術の元になってるってこと?
·····ないわー、マジないわー····。
俺ってアホの子だったんだな·····
───てかこれ、俺が生き残れたのってほんとに奇跡じゃん。
下半身とバイバイした後、すぐさまロンギヌスの槍を掴んでいなければ俺は
いや、消滅していたと言った方が正しいのか。
俺が消滅しなかったのは、先程述べたロンギヌスの槍のEXのランクを持つ宝具の1つ、「
これは、槍の所有者に対して神子イエスの血を纏わせて、実質の
ただ、この時にも問題があって、もし俺が聖杯で水を飲む前にロンギヌスの槍をあの布から出して触っていたら、「
槍も聖杯と同じく自身を振るうに値する人間にのみその身を任せる。
もし、それ以外の自分を振るうに値しないと判断された人間が触ると、不敬とされて天誅として呪い殺される。
もちろん、俺は槍術なんて知らないし、槍なんて初めて持った。そんな俺は完璧に天誅の対象だったはずだ。
しかし、俺はあの時聖杯の莫大な魔力をその身に秘めていた。自身がエーテルへと変換されるほど純粋な魔力を···
その魔力量が自身を振るい、自身の能力の解放に値すると判断されて槍に認められたのだ。
もし、俺があの時槍を
・・・・・考えるだけでゾッとする。
まぁしかし、そんなこんなで情報が入ったことだし、武器もこの上ないものが手に入った。
見上げると、空はすっかり夕暮れになっていた。
今日はここで寝よう。
夕暮れの中で聖杯に「布団を出してくれ」と願うと、羽毛布団が目の前に出現した。
幸い、この辺りはあまり変な獣は居ないようだが、一応槍の
明日は、ギャラハッドの日記に書かれてあった地図にそって歩き始めようと思う。
最終目標はもちろん俺の嫁であるアルトリア・ペンドラゴンと会うことだ。
モノホンがいるこの世界だが、ギャラハッドが死んでるということは物語は終盤に差し掛かっていると考えていいだろう。
だが、俺はアルトリアを救うって決めたんだ。
早くブリテンに着こうと決意して、俺は布団に潜った。
─────が、まったく寝付ける気配がなく、仕方が無いので聖杯で酒でも飲もうと、立ち上がり現在に至る。
「うぃっく!ギャラハッドさ〜ん、俺大丈夫ですよねぇ〜。ちゃんと上手く行きますよねぇ〜?」
もちろん遺体は喋らない。だが、きっと彼ならば「上手くいくように信じている」とでも言うのではないだろうか?
そう、きっと上手くいくさ。
彼は常時ポケットに入れて持ち歩いていたアルトリアのキーホルダーを眺めながら今度こそ眠りに着いた。
───そのキーホルダーが一波乱起こすのはもう少し先のお話。
・・・・・・・・そして、彼の理想の騎士王像が音を立てて崩れるのは、明日のお話···
さーて、一体何が起こるんですかねぇ?
とりあえず、次の話はロンギヌスの槍に秘められた宝具と聖杯についての回に致します。
物語をより深く読んでいくにあたって重要になってくるので、ぜひ見て見てください!!!!!!
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