タイムスリップ令和ジャパン   作:◆QgkJwfXtqk

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209 イラク事変 -05

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 イラク王国軍の()()()()()()()が引き起こしたクウェート国侵攻は、国際社会に大きな波紋を広げる事となった。

 それは、国際連盟安全保障理事会の()断であり、G4(ジャパンアングロ)による躊躇なき武力行使が齎したモノであった。

 即ち、ドイツ戦争終結後に開かれた国際連盟総会の場で決議された戦争の否定宣言(No War Declaration - GENEVA)が、実効性のある宣言であると実証されたからに他ならない。

 覇権国家群の遊び(はた迷惑なGreat Game)が、そうではない国際社会の秩序維持に関する真摯な宣言であるのだ、と。

 その事を一番に歓迎したのはソ連であった。

 国土の東西に厄介な仮想敵国(日本連邦とポーランド) ―― 圧倒的な国力差がある上でソ連を不俱戴天(交渉の余地レスな相手)と見ている国と、頻繁に国境線付近で演習を繰り返して隙あらば侵攻すると鼻息荒くしている狂犬な国を抱えているのだ。

 それが、自分から手を出さない限りは大丈夫であると考えられる状況になったのだ。

 ある意味で安堵するのも当然の話であった。

 国家指導者であるスターリンは、腹心と共に久しぶりに痛飲(やけ酒)にならない楽しい酒宴を開くことが出来た程であった。

 そして、そうであるが故に国際連盟の場でソ連代表は、イラク王国への懲罰行動が選択された際には協力する用意がある(戦力を派遣する事を検討している)と宣言するのであった。

 この、G4(ジャパンアングロ)に準じる国力を持ったソ連の動きが世界の流れを決定づけていた。

 

 

――南アメリカ大陸

 軍拡競争が繰り広げられている南アメリカ大陸の国々。

 G4(ジャパンアングロ)から見れば、装備の低調な更新にしか見えない規模で行われているが、それなりに真剣であった。

 そして、そうであるが故にイラク事変への国際連盟の対応状況を注視していたのだ。

 そこにはイラク戦争に参加しなかった ―― G4(ジャパンアングロ)の本気を直近で見ていなかったが故の、ある種の呑気さがあったのは否めない。

 イラク戦争は、国際連盟安全保障理事会と総会で決議されて以降は主導するG4(ジャパンアングロ)の連絡会がそのまま意思決定機関になっており、そうであるが故に部外者に詳細が知らされる事は無かったのだから。

 安全保障理事会に出される情報は全てが事後報告であり、そこには議論の経緯や各国の判断や認識などは余り記載されていなかったのだ。

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 ()()()()()()()()()()()()()()

 その事を今回のイラク事変を主導的に処理する場となった安全保障理事会で思い知る事となった。

 日頃は高圧的な態度を見せない日本と皮肉を飛ばす事を趣味にしているブリテンが、共にブチ切れにキレた態度で議論を進めていたのだ。

 フランスすら理想論で茶々を入れる事無く真剣な態度で終始している。

 さっさとチャイナ問題を話し合いたいアメリカも、不機嫌さを隠す事の無い態度であった。

 そんな4ヵ国の視線の先に居るイラク王国代表は滂沱の汗を流していた。

 責任の所在や責任者の処罰で針のむしろとなっていた。

 だが機嫌の悪いG4(ジャパンアングロ)の代表たちは、取り敢えず(気楽な態で)と言う感覚で制裁を検討していた。

 流石に軍事オプションが真剣に検討される事は無かった*1が、イラク王国の国際連盟での全権利の停止と医薬品を除く(食料品も含めた)全ての貿易への経済制裁を検討していた。

 取り敢えず、死ぬ寸前まで成ってみる? と言う所である。

 勿論、そんな事になればイラク王国の経済は滅茶苦茶になるし、イラク王国の国体が終わる危険性すらも孕んでいた。

 故にイラク王国の代表は、例え熱された鉄板の上であっても土下座する勢いで頭を下げるのであった。

 そんな国際連盟安全保障理事会の空気に参加国はドン引きの状態であった。

 G4(ジャパンアングロ)は決して舐めて良い相手ではない。

 例え身内(イラク王国はブリテン連邦加盟国)であっても、罪には相応しい罰を与えるのだと、そう深く認識していた。

 G4(ジャパンアングロ)秩序の守護者(グレートゲーム・プレイヤー)である。

 その事を満天下に知らしめているとも言えた。

 だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 面子の為の、政治的な軍拡をしてはいたが、戦争をしたい訳では無い。

 例え戦争をしようと思った国家が居ても、このイラク王国の惨状を見れば戦意は失われるであろう。

 そういう話であった。

 南米諸国は、ある意味で実に呑気であった。

 当事者では無いが故の、と言うべきかもしれない。

 それはG4(ジャパンアングロ)に対するモノでもあったし、或いは他の南米の国へのモノでもあった。

 そして、国民(民意の暴力)に対するモノでもあった。

 だが、今はまだ気づく事は無かった。

 

 

――中東諸国

 イラク王国の一部軍/軍閥によるクウェート国侵攻は、様々な波紋を中東の国々の政府と国民に投げかける事となった。

 特に、正しい情報が伝達され辛い各国の一般的な市民は、断片的な情報から状況を憶測(妄想)して語り合うなどしていた。

 比較的真っ当なモノであれば、イラク王国軍がクウェート国を侵略したという説があった。

 これは、イラク王国とクウェート国の歴史を知って居れば簡単に納得できる説であった。

 実際、事実関係はほぼその通りであったし、その説を補強する話も流れて来るのだ。

 多数派が支持する説となっていた。

 だが、反G4(ジャパンアングロ)や反欧州を拗らせていた人々は違っていた。

 クウェート国は勿論だが、イラク王国も()()()だと言っていたのだ。

 特に酷い主張()は、G4(ジャパンアングロ)が邪悪な欲望に基づいてクウェート国を支配しようと動こうとした事を察したイラク王国の有志一同がアラブの連帯と言う理想と誇りの為に阻止せんと動いた、というモノであった。

 関係者各位、噴飯物の説であり、ブリテンの連邦加盟国に駐在している情報工作員は真面目に頭を抱える有様であった。

 問題は、現時点で少数派の意見に対してイスラム教の関係者が好意的な宣言をしているという事だろう。

 これは、政治と言うよりも宗教的情熱に由来する話であった。

 イスラムの民の連帯、中東外(侵略者)の国々への反発 ―― 先進国であると自らを称し、イスラム教の教えよりも法治を優先させようとする未開(非イスラム)の民への反発であった。

 反G4(ジャパンアングロ)と言うよりも反欧米(The WEST)

 植民地として支配された時代から続く感情、その発露と言えた。

 そして、感情に由来するが故に根深いモノであるが為に極めて厄介であった。

 今は良い。

 まだ、少数派の尖った人間のみの主張であるから。

 だが将来まで、少数派となる保証は無い。

 否。

 特に日本からの未来情報(歴史)を知っていると、この中東と言う存在がイスラム教との兼ね合いもあって、爆弾化する可能性が極めて高いと言えた。

 ブリテンは頭を抱えた。

 近年のブリテンは、中東のみならず連邦加盟国の全てに対して融和的(非高圧的)なスタンスで外交を行ってきた。

 それは、ブリテン国王/皇帝を頂点とした統治では無く、有志の連邦加盟国による共同体化が目的であった。

 (経済的恩恵)によってブリテンを頂点とした国家連合への帰属意識を強化し、最終的には汎ブリテン人と言うべき意識を持たせる事が目標とされていた。

 勿論、ブリテンと言う島国の養分(市場であり人材源)としての国家連合を生み出す為である。

 ブリテンと言う国家は1930年代からの日本からの技術支援や、ドイツ戦争(事実上のWorld WarⅡ)での傷が殆ど無い事もあって、その国力はブリテン史上最大の規模となっていた。

 失われつつあった重工業は復活し、金融面でヨーロッパに大きな影響を持つ様になっていた。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()*2

 

 

――ブリテン

 侵略行為に対する国際連盟の団結は、ブリテン(世界を管理する国家群の1柱)にとって本来は喜ばしい話であった。

 交易によって利益を得ている海洋国家たるブリテンにとって、自国の巻き込まれない戦争であっても迷惑千万であるからだ。

 又、ブリテン連邦は世界中に加盟国を抱えているのだ。

 である以上、どこの地域の戦争であっても迷惑を被る可能性が大きかったのだ。

 それが抑止されるのだから喜ぶべき状況であった。

 だが、諸手を挙げて喜べないのは、今回の侵略行為を図った国家がブリテン連邦の加盟国と言う事であった。

 侵略被害を被ったのもブリテン連邦加盟国であったとは言え、それが免罪符になるという話では無かった。

 一応、イラク王国が国を挙げての馬鹿をやらかした訳では無いというのが救いではあったが、とは言え、イラク王国を無罪放免とする訳には行かないのだから。

 現在の秩序体制を維持する為、適切な罰が必要であるのだから。

 しかしながら罰を与えすぎればイラク王国は反ブリテンの色を強くするだろう。

 或いは、民衆が反発しクーデターなどが起きる可能性があった。

 実際問題としてイラク王国南部の諸部族 ―― 軍閥は、今回のクウェート国侵攻で貴重な若手労働力をかなり喪失しており、その原因を無視して、実行者である日本やブリテン、クウェート国を憎んでいるのだ。

 生半可な対応が赦される状況に無いというのが実情であった。

 この為、ブリテンは強権発動(一罰百戒の方針)も含めた対応の検討を進める事となる。

 

 

 

 

 

 

*1

 軍事的対応は保留との合意が為されていたが、議題となっていた際にソ連を筆頭に、イタリアやその他の国々は、国際連盟安全保障理事会で軍事的懲罰が決定された場合には参加する旨の宣言がなされていた。

 現実的な軍事オプションが選ばれないと判っているからこその意思表示(旗幟鮮明)であったが、同時に、ソ連の様に侵略を受けるリスクが現実的(自業自得の仮想敵国二正面状態)である国家としては、国際連盟による平和の維持と言う金看板に汚れ(疑念)が付くのは看過できないのだ。

 相対的弱小国家の悲哀とも言えた。

 

 

 

*2

 ブリテンにとって頭の痛い地域としてはアフリカ大陸も存在しているのだが、エチオピア帝国を出汁にして日本を巻き込み、ガッツリと協力させ、それなり以上の投資(軍事&経済)を行った結果、治安は安定に向かっていた。

 治安の維持。

 そして教育水準の全体としての向上。

 これが経済活動の安定化と、民族資本の勃興を強く後押しした結果であった。

 抵抗運動等と称する暴動その他は、守るべきモノが無いから出来る遊びであり、であれば誰もがそれなりの生活が出来る様にして、責任(守るべきモノ)を背負わせてしまえば良い。

 聊か露悪的であるが、日本からのアフリカ開発支援スタッフは、そう言って笑っていた。

 実際、エチオピア帝国の発展と言う実例が示されており、説得力がある為、ブリテンも同意し、ブリテン連邦加盟国への対応に採用するのであった。

 

 

 

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