リハビリのために書き始めました!
完全に腕は衰えているうえに亀更新なので、それでも良いという寛容な方じゃ耐えられないかも……?許してください!
「提督、○○○です。少しよろしいですか……?」
「ん?どうした?入って良いぞ。」
少し頼りなさげだが、しっかりと芯の通った顔立ちの提督。
「あの……提督さんと休憩したくて紅茶を淹れてみたのですが……」
「おお、本当か!?有り難い、頂くとしよう。」
「っ、有難うございます!」
そんな彼と過ごす時間が、何事にも代えがたく愛おしかった。
「今日は○○○がMVPか!凄いじゃないか!」
「そんな、皆さんの努力の成果です。私一人の物じゃありません!」
「ははっ、やっぱり謙虚だなあ。そうだ、ご褒美に膝枕でもしてやろうか、なーんて……」
「~~~っっ!!!」
彼に揶揄われていると分かっていても、赤くなる頬を止められない時があった。
「○○○……月が綺麗だな。」
「そうですね。ずっと提督と見ていたいです。」
隣で暖かさを感じているだけで、心が満たされた。
だから……――
「これより私一人で夜戦に移行します。大破艦三隻は撤退、小破艦二隻はその護衛を。」
「そんな!○○○さんでだって大破寸前じゃない!置いて行けない!」
「一を見捨て多を逃がす。撤退戦の基本です。」
『おい、○○○!その作戦は認められない!全員で帰って来い!』
「では提督にお聞きします。このまま全員で撤退した場合、敵追跡艦隊と接触するのは深夜から明け方前程でしょう。夜戦で大破艦が使えないのは目に見えています。実際戦えるのは現状三隻。しかもそのうち一隻は対潜特化装備なんですよ?私たちに心中しろとでも?」
『だが……しかし……』
――これで良いのだ。
きっと今までの幸せは、身分不相応だったのだろう。
私が犠牲になれば、皆が助かる。それに、提督がこんなにも私達の身を案じてくれている!
艦娘として、女として冥利に尽きるというものだ。
「偵察機が敵艦発見。旗艦は私です。指示に従いなさい。」
「うう゛、ぜっだいがえっでぎでよ?」
「勿論です。この戦いが終わるまでは死ねません。」
『すまない……○○○……すまない……不甲斐ない俺を憎んでくれ……』
撤退していく味方の背を見送った後、敵の方向を睨む。
元より勝てると思ってはいない。せいぜい足止め程度だろう。
それでも、
「○○○、突撃します!」
皆を守れるのなら、私は!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「姫、大丈夫デスカ?目ヲオ覚マシ下サイ。」
「ア?アア、マタ私寝テタノネ、ゴメンナサイネ。」
何故だろうか、最近この夢をよく見る。
敵である憎き艦娘の視点で展開するこの夢は、かなり私の精神を削っていく。
連日の戦闘による疲弊がこの悪夢を見せているのだろうか。
今なら提督とやらの顔が空で描けるかもしれないほどだ。
まあ、夢の中で見る限り艦娘どもの司令塔らしい男の顔など死んでも書きたくないのだが。
「デ?今日ノ予定ハ?」
「艦娘ノ迎撃、ソレノミデス。」
「アア……ソウダッタワネ。」
戦艦棲姫に任せていた前哨基地が突破されて以来、ここ最近は艦娘どもの襲撃が激しい。
あれほど意気込んでいた割りにあっさりと突破された戦艦棲姫は笑いものだが、今の状況はちょっと笑えない。このままでは自らの喉元にも奴らの砲撃が届いてしまう。
「迎撃隊ノ士気高揚二努メナサイ。ソレト、今日ハ私モ出ルワ。」
「ハッ。」
夢で見た艦娘どもに砲弾をぶち込む様を妄想しながら、腰を上げる。
その圧倒的な立ち振る舞いと威圧感にひれ伏した部下を一瞥し、彼女は進撃を始めた。
「コンナトコロネ、ツマラナイワ。」
「ひっ、来るな、来るなぁ!!」
あまりに弱い。この程度なら、自らが出るまでも無かったのではないか?
そんな事を考えながら、醜態をさらす艦娘を感情のこもって無い目で見下す。
「無様ネ。」
「い、嫌だ、助けて……」
「何ガ嫌ナノ?」
「し、沈みたくない……」
戦場に立つ覚悟が全く感じられない軟弱者。コイツを一言で表すならこうだ。
前に嬲った巡洋艦はもっと骨があったはずだが……
所詮は駆逐艦。期待するだけ無駄だろう。
「姫様、コイツハ……」
「アア、何時モ通リ生キテ返ス。ダガ、嬲ルノヲ忘レルナヨ?」
「畏マリマシタ。」
生きて返すのは我々の恐ろしさを伝えるため。
嬲るのは戦友を沈められた部下に溜飲を下げさせるため。
まさしく一石二鳥と言ったところだ。
「い、ぎぃ!」
「嬲るのは私だけに、ぅぐぁあ!!」
姉妹愛が涙を誘う艦娘どもがあげる耳障りの良い悲鳴を聞きながら、この後について思いを馳せる。主力を叩いても良いし、支援を潰しても良い。どちらも素晴らしい戦果となるだろう。
「姫様、完了シマシタ。」
「アア、デハコレカラ……待テ、偵察機カラ入電有リ。」
「何ト?」
「敵主力見ユ、其方二進撃中――ラシイワ。」
それを聞いた部下たちの顔が一斉に歪む。恐怖で、ではない。喜悦で、だ。
もっとも憎むべき奴らがのこのこやって来る。これほど素晴らしい事があろうか?
そいつらを殺す為だけに、私達は生きていると言っても過言ではない。
「全テ沈メナサイ。今マデノヨウニ手加減ハ要ラナイワ。」
「「「「「ハッ。」」」」」
命令に従う愛し子達。
この日のために自らが鍛え上げ、装備も一級品を揃えてやった。
私とこの子たちの練度は、深海随一と言っても過言ではない。
全てがflagshipであり、自らの力を過信することない古強者たち。
(○○○……好きだ。)
「何ダ……!?」
刹那、思考にノイズが入る。
決して大きくないその声は、しかし私の心を大きく掻き乱した。
(○○○。俺はな、)
夢だけに留まらない闖入者に、抑えようの無い殺気が膨れ上がる。
(殺し合いの無い、平和な世界を――)
「ヒ、姫サマ……?ドウサレ――」
「――黙レエエエェェ!!!」
「モ、申シ訳ゴザイマセン!」
視界の端に、自害でもしそうな勢いで謝罪を続ける我が子を捉える。
だが、今はそれどころではない。
何故、コイツの言葉は私の心をここまで揺さぶるのか。
私は生者を、艦娘を憎む深海棲艦。人となど、特に艦娘どもの司令塔などとは話したことは一度も無い。
――ならば何故、男の声を知っている?
浮上してきた疑問を二度と浮かんでこぬよう心の底に叩きこみ、艦娘どもがやってくる方向を見据える。
うっすらとだが、奴らの影が見える。
好都合だ。雑念など、戦いの熱の中では無力なのだから。
「来タゾ。戦艦三、軽空母一、空母二。全テ沈メロ。」
「「「「「「ハッ!」」」」」」
砲塔が唸りを上げて回転し、砲弾の装填されるガキンッという音が闘志を熱くさせる。
「艦載機発艦、対空戦闘用意。」
「艦載機発艦シマス!」
そうだ、沈める前に、提督とやらについて
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――side長門
「提督、報告書だ。その……吉報は無い。心して見てくれ。」
「ああ、分かった。もう下がって良いぞ。」
「うむ、失礼する……」
ここ最近、提督からめっきりと覇気を感じなくなった。
原因は分かっている。あいつの死と、新たな姫の存在だ。
あいつが沈んだ日の提督は、一言で表せば『狂乱』と言って差し支えないだろう。
通信が途絶えて終に帰投しなかったのだ。死亡と考えて良い。
戦場での死は、極ありふれたものだ。皆覚悟はしている。あいつは部隊全員の命を守り、代わりに散っていった。武人として最高に誉のある終焉だ。
それを気にも留めるなというのは酷な話だが、泣けるだけ泣いて乗り越える。
それがあいつに対する手向けとなるだろう。
だが、もしそいつと『結婚』していたとしたら?
戦友ではなく、互いを愛し、寄り添う存在だとしたなら?
「私なら、廃人になってしまうだろうな……」
きっと、何もかもどうでもよくなるだろう。少なくとも、私は耐えられそうにない。
それに、提督の心労の種はそれだけではない。前述した新たな姫の存在だ。
『姫』とは、深海棲艦の親玉のようなものだ。実質的にボスではあるのだが。
とんでもなく固い装甲に、直撃すれば私でさえ中破以上は確定の火力。
その上、強力な深海棲艦を自らの手足のように扱う指揮能力。
もはや悪い夢のようなものだ。
それが新たに出現した。
いやまあ、それだけならまだ良い。ただの姫であれば、いつかは倒せる。
だが、その姫は異常だった。
周りを固めるのは全てflagship級。たまに改flagship級がいたという報告もある。
さらにそれらの装備は未確認の物が多く、とてつもなく高性能。
そして、他とは一線を画す残虐性。
普通であれば撤退する艦娘を深海棲艦が追って来る事は無いが、あれらは違う。
必ず追い詰めた後は逃がさずに、部下に嬲らせているというのだ。
空母や戦艦などはともかく、駆逐艦などはまだ幼気な少女といったところだ。
そんな子らが死ぬ一歩手前まで嬲られれば、どうなるか。
PTSDにほぼ100%の確率でなってしまう。
真夜中に飛び起きる子や、深海棲艦の幻影におびえる子。
そしてそんな子たちを見て他の駆逐艦達が恐怖しないはずもない。
士気はガタ落ち、休息も十分に取れず、部屋に籠ってしまうものまで出る始末。
確実に狙ってやっているのだろう。
最後に、これが一番の問題なのだが……
沈んだあいつにそっくりなのだ。
非常にやり辛い事この上なく、彼女と特に親しかった者は手が震えてろくに狙いもつけられない。そこを狙われて大破撤退。情けないのだが、味方を責めることも出来ない。私ですら躊躇してしまったのだから。
たまに怨念が浄化された深海棲艦が艦娘となり、姿が変わって味方になる事例は有るのだが、その逆も有りうるのだろうか?
しかし、それだと一つの疑問が生じてしまう。
あいつは、無線を聞く限りでは自らの選択に満足しているように聞こえた。
だが、だが…
怨念が晴れて艦娘となるなら、逆算的に深海棲艦となるには怨念を抱く必要がある。
そして怨念とは、最も近しい、信頼する存在に向けるものであったはず。
それはつまり、
……止めよう、止めよう。あいつに限って、そんな事は無いはずだ。
やっぱり稚拙になっちゃてます……
上手く構成とか練ることが下手なんです。
リハビリだからね、しょうがないね。
3~5話で終わらせるつもりでございます。
それでも評価・感想待ってます!(鉄の心)