ワンパン世界にほむほむ(憑依体)がIN   作:政田正彦

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めちゃお気に入り数増えたし、感想もめちゃ来た。
うれしいね。ありがとう。








深海の王

 万物の母にして、全ての生態系の源である海。

 そしてそんな海に棲む種族、海人族の長にして王。

 その名は、深海王。

 

 彼は今、強い憤りと苛立ちを感じ始めていた。

 

「(一体どういうカラクリなのかしら?)」

 

 拳を振るった、と思ったら、相手は既にその場から消えており、ピカッと光る何かで撃たれ、気付いたら皮膚をボコボコと抉られ、鋭い痛みが彼を襲っている。

 

「こっちよ。ノロマなお魚さん。」

 

「ぬうううん!!!」

 

 また、だ。確かに捉えたと思ったのに、まるで殴った感触が無い。

 そして、いつの間にか離れた場所にそいつの気配が移動している。

 

「……幻覚?それとも、超スピードかしら?」

 

「さぁ、どっちかしら?」

 

「ッ!!がああ!!」

 

 だがこうしてピカッと光る何かで攻撃されているのだから、幻覚という事は無いハズだ。だが、超スピードで移動しているにしても、移動する前の動作まで見えないというのは一体どういう事だ?それすら目に捉えられない程のスピードだと言うのか。

 

 それを見ていたぷりぷりプリズナーと音速のソニックも、その戦いに圧倒されていた。

 

「流石は、時魔女ちゃんだ……。」

 

「あのガキは一体……?」

 

「ん? あの子か? あの子はS級第3位のヒーロー、時魔女ちゃんだ。知らないのか?」

 

「(S級3位……!? 馬鹿な! この俺の目でも捉えられない程のスピードで動くガキが居てたまるか! そんな規格外が世の中にそうポンポンと居ていいハズが無いだろう!?)」

 

 音速のソニックは、自分より速く動ける存在が認められなかった。そして、同じ感情を深海王も抱いていた。認められない。この深海の王が、目で捉えられない程のスピードで移動する者が存在するなど。

 

 

「この深海王の身体に、こうもあっさりと傷を負わせた事には褒めてあげるわ……敬意を表して、貴女は四肢を割いて永遠に暗い海の底で飼ってあげる!」

 

「(やだ怖い)できるものならやってごらんなさい。」

 

「んがあああああ!!!」

 

 

 ぽつり。

 

 そして不意に、深海王は振りかぶった拳をピタリと止めた。ほむらと深海王は、同時にある事に気付いた。

 

 

「……雨、降って来たわねぇ。」

 

 

 ポツポツと段々その強さを増していく雨に、深海王はニヤリと獰猛な笑みを浮かべた。

 

「(まずいっ!!)」

 

「ふん!!」

 

 ブオッ、と深海王が拳を振り降ろし、それを間一髪で時間停止が間に合ったほむらが避ける。ここから先は、更に注意して動かなければならないだろう。見れば、既に深海王は先ほどまでとはまるで違うフォルムになっていた。

 

 一応の人型を保っていた先程と違い、今では一回りも二回りも巨大化し、まさに海の怪獣。

 

 無論見た目だけではなく、先程までほむらが立っていた地点にはちょっとしたクレーターが出来ていた。……もし、彼が水を得る事でパワーアップする事を知らなかったら……そう考え、ほむらはゾッとした。

 

 効くかどうかは分からないが、光の弓矢で反撃しつつ、そして、十分に、十分過ぎる程に離れた後、時間停止を解除する。

 

 

「(デカい上に……速い!?)」

 

「……また躱したわねえ? アラ、今度は随分遠くまで逃げたじゃない?」

 

「(速い……しかも、多分、盾で防いでも腕一本は覚悟しないと……)」

 

「妙なカラクリで逃げているみたいだけど、いつまで持つかしらあ?」

 

 

 実際、そう長くはもたないだろう。深海王は既に彼女が幻の類ではなく、どういう訳か自分でも視認できない程のスピードで動いている、という事を見破っていた。

 

 降っている()()()()()()()()()()()()()()()()()という事実に気付いたのだ。それは、ほむらが止まった時の中で移動した、ほんの一瞬の痕跡。更に雨が降れば、足跡で彼女がどこに行ったかを判別出来るようになるだろう。

 

 まさか本当に殆ど一瞬の間でそこまで移動出来るなんて、と深海王は感嘆した。

 

 だがああやって止まっているタイミングもあるし、何より、彼女が放つピカッとする物も、もう痛くない。

 

 なにより、深海王は彼女が何らかの理由でこの戦いから逃げる事は無いと確信していた。ここまでの攻防で彼女はあの妙な能力を使用すれば何度も逃げるチャンスがあったはずだ。なのにそうしないのは、地上の人間を守護する立場の戦士であり、決して逃げる事が許されない立場なのだろうという事が察せられた。

 

 その上、殴る、躱すという戦闘とも呼べないやりとりをしているうちに、先程のちょっとだけ強かった男とはみるみる距離が離れつつあり、彼の増援も望めないだろう。

 

 

 状況は深海王の圧倒的有利にある。

 

 

 

 

 

 対するほむらもその事実に気づいていた。

 

 ……今までも、何度かこんな事があった。

 

 硬過ぎて自分の攻撃がまるで通用せず、いくら時間停止しても勝てないような強敵に、今までに何度か出会った。

 

 ある時はタツマキ等に協力を要請した時もある。

 ある時は体内から爆破する事で事なきを得た事もある。

 ある時はもう諦めて止まった時間の中で重機を使って持ち上げて溶鉱炉にぶち込んだこともある。

 

 油断が原因で身動きが取れなくなり敗北しかけた事もある。

 

 ……危うく死にかけたこともある。

 

 自分じゃなく()()()()だったならと思った事や、他の魔法少女だったなら、彼女達もこの世界に居たならどんなに良かったかと思った事も。

 

 彼女はそもそも常人と比べると”スタート”が遅かった部類になる方の人物だ。

 

 スタートというのは、体を鍛え始めるだとか、ヒーローを志したという意味でのスタートではない。”普通に生活が出来る、一般人としてのスタート”という意味である。

 

 

 暁美ほむらというキャラクターを知っていても、これに関しては知られていない事が多い、彼女を構成する設定の一つに、「元々病弱で心臓病を患っており、学校にも行けず自然と気弱で後ろ向きな性格であった」という物がある。

 

 この世界でもそれは同じで、彼女は転生後から今までの人生の殆どは病院で過ごす事となる。

 

 転生前(もと)から「底抜けに明るく前向きな性格だった」という訳でも無かった彼女は、後に()()()()()()()()()()()ということが()()()()()()とはいえ、その退屈で苦痛ばかりが押し寄せる生活に慣れたころに彼女が『眼鏡の三つ編みで病弱、性格は内気でちょっと残念な少女』という設定通りの人物になってしまうのは自然な流れだった。

 

 そして一般的には中学生と呼べる年齢になる頃、彼女の枕元に極々当たり前のように置いてあった”ソウルジェム”によって、彼女は覚醒した。

 

 この魔法少女まどか☆マギカとは全く異なる別世界で、ただ一人の魔法少女として。

 

 最初はそれこそ身体能力も物語の過去編に登場する過去のほむら、通称メガほむと同程度で、バールのようなものを振り回すだけで息切れする程の身体能力しかなかったし、光の弓矢なんかは、そもそも腕力不足で弓を引けず、命中率も10発3中という、絶望的な数値だった。

 

 自分の思うほむらというキャラクター像から離れていると自覚する度、失敗する度、うっかりEXをやらかす度に「自分の事を暁美ほむらだと思い込んでいるJC(笑)」という文字が脳裏よぎったりするナーバスな時期もあった。

 

 今でこそ”魔力”の扱い方を覚え、そこらのヒーローに毛が生えた程度の身体能力と、自由に時間を停止出来る能力を完全にマスターし、彼女は自他ともに認める魔法少女となった。

 

 

 そこでほむらとして生きてきた彼女はふと思った。

 別に、ヒーローになる必要はないんじゃないかと。

 

 原作の人物に会うだけなら自分ならいくらでも会える。

 ヒーローのおっかけなんて、今時珍しくもないじゃないか。

 

 そもそも原作に暁美ほむらというキャラクターが居ない以上、自分には童帝やメタルナイトのような明確な役割も、ジェノスのような使命も無い。彼らだけでもこの世界が廻る事は確認するまでもなく誰の目から見ても明らかだ。わざわざヒーローになってでしゃばる必要なんて無いんじゃなかろうか。

 

 というか、ヒーローってそもそも必要だろうか?

 

 だが、それでも彼女はヒーローになった。

 他に幾らでも道はあったはずなのに、何故?

 

「(その答えは今も出ていない)」

 

 眼前に迫る深海王の拳。

 時間停止は……間に合わない。

 

 

 

「ハッハァー!! ようやく捉えたわよぉ!」

 

「クッ……!!」

 

 まるで金属同士を勢い良く接触させたかのような甲高い衝突音が響き、次の瞬間、ほむらはコンクリートの道路を30m近く転げまわる。

 

「(い、意識が……!たった一撃でこの威力……!)」

 

「か~るいわねえ~!躱せないと見てわざと飛んだのかしら?」

 

 それだけではない。きちんと盾を構え、ガードをしたうえで、ほむらは自分の腕の骨が、あばらが軋む音をはっきりと聞いた。

 

「……今の私ではこれが限界みたいね。」

 

「あら? 諦めちゃったのかしら? 貴女には手こずらされたから、せめて良~い悲鳴を上げてくれるかしら?」

 

「お断りよ。」

 

「あ、ごめんなさい、説明不足だったわね? あなたに拒否権なんてないのよぉ!」

 

 

 もうあのカラクリを使っても自分の拳が届く事は証明された。なら、次はどう甚振るかだ。彼女はどうやったら気持ちの良い悲鳴を上げ、苦痛に顔を歪め涙を流し、命乞いをするだろうか?

 

 まずは四肢を引きちぎり、臓物を引きずり出すか。いや、それでは呆気なさすぎる。もっと、もっともっともっともっと残虐な方法で……。

 

 

「……あ?」

 

 

 

 

 ……ふと、違和感に気付き、深海王は標的に向けて駆け出した足をぴたりと止めた。

 

 

 雨で潤いが戻ったハズの自分の身体に、今も水を供給出来ているハズの自分の筋肉に、耐え難い渇きを感じた。膨らんだハズの自分の身体はいつの間にか先程までの萎んだ身体に……いやそれ以上に乾いているといっていいだろう。

 

 

「こ……これは……」

 

「……ようやく()()()()()かしら?」

 

「か、身体が……乾く……!力が、抜けて……!一体何をぉ……!」

 

 

 苦しみながら怨嗟の言葉を吐く深海王を前に、ほむらは「ようやく自分の策が効き始めたか」と嘆息していた。化け物だ化け物だとは思っていたが、しかし、ここまで戦闘を引っ張ってようやくとは。

 

 彼女の策、それは簡単な話で、原作でサイタマが言っていた「ここまでヒーローが怪人を弱らせてくれたおかげで楽に倒せた」を実践してみただけの事だ。

 

 まずどうすればかの深海王が弱るだろうかと考えて、そして彼は雨によって水分で膨らむと強くなるんだったなと思い出し「ならば乾燥させるなりして水分を失わせれば弱るのではないか」と考えた。

 

 それからは語るまでもない。彼女は光の弓矢で彼の身体の表面を削った後、そこに超強力な乾燥剤を大量に仕込んだり、口が開いているタイミングを狙って口の中に体内で自然に溶けるカプセル(ガシャポンサイズ)に入った超強力乾燥剤を大量にぶち込んだりとやりたい放題だ。

 

 次案に海の生き物なら電気に弱そうだからと「超強力電撃コース」、その次に一応生物ではあるハズなのだから少しは効果が期待出来るだろうと「持ってる毒物適当にフルコース」を考案。

 

 そのほかにも、「プラズマカッターで切断と同時に傷口を焼きつぶす」とか……流石にそれはほむらの精神衛生的にあまりにもあんまりな案だったので廃案にしたが、もしこの案を採用しなければならなかった場合の為に、屋外で高電圧の電気を使える装置とプラズマカッターは既に用意してある、と言っておこう。

 

 今回の乾燥剤だって、一歩間違えれば臭いや違和感で先に気付かれてもおかしくはないのだが、気付かれたところで、という話でもあるし、戦闘に対する高揚感やほむらへの苛立ちが彼の感覚を鈍らせてしまったようだ。

 

 

「(まぁ今回は自分で倒すのが目的じゃなかったから別に必要無いけど)」

 

「ああああ!!!あんたは!!絶対に許さないぃぃ!!必ずぶち殺してやる!!」

 

 

 深海王にとって誤算だったのは、目の前にいる少女は、いや、人間とは、その気になればどこまでも残虐になれる種族であり、やろうと思えば一つの種族を滅ぼすことに躊躇いを捨てることができ、目的の為ならどんな手段でも用いる類の生物であった事。

 

 そして、時魔女と呼ばれるヒーローが、自身の弱点を事前に知っており、その対策をさも当たり前のように取っていた事。

 

 更にもう一つ。

 

 怨嗟の言葉を叫ぶ深海王を前に、ほむらが不意に盾から取り出した帚型の飛行ユニットに跨り、ふわりと浮き上がる。

 

 

「!?今更逃げるつもりィ!?絶ェッ対に逃がさないわよォォォ!!」

 

「まさか。これは()()よ」

 

 

 合図?と深海王はそれについてロクに考える程の暇も冷静さもなく、体内ウツボを吐き出し上空へと飛び上がった標的を噛み殺そうとし、そして前方で何かが煌めいている事にようやっと気付く。

 

 

「焼却」

 

 

 

 深海王の誤算、その最後の一つは最初からほむらはこの場所……ジェノスがフルパワーの焼却砲を撃っても何の被害も出ない、直線状に何も存在しない道路に誘い込んでいたという事実。

 

 一体いつの間にこの作戦を打合せしていたのかとか、いつからここに誘い込まれていたのか、ジェノスはいつから戦いをみていたのか。様々な疑問が残るが……深海王はそんな些細な疑問を抱く暇もなく、自身の身を覆いつくして余りある巨大な炎に抱かれた。

 

 

 

 

「ご協力感謝するわ、ジェノスさん」

 

「いや、構わない」

 

 

 種明かしをしてしまうとなんてことはない。

 

 ほむらはJ市に向かう前に、ジェノスに連絡を入れ、深海王との現場の場所を送っておいたのだ。次に、現場に着いたジェノスは既にほむらはその現場から離れるように深海王との戦いをしているという事を負傷したぷりぷりプリズナーから聞いた。

 

 そして、戦闘跡を追っていくとほむらと深海王が戦っているのが見えたが、思ったより戦闘が激化しており横やりを入れると彼女の邪魔になってしまうかもしれないと踏んだジェノスは、すぐに飛び出さずに機会を窺う事にした。

 

 そして、一方ほむらは時間停止中に色々と仕込んでいる時、次はどこで時間停止を解除しようかと考え辺りを見回していた所、普通にジェノスを見つけた。

 

 ……これに関してはほむらの転生前の人物がジェノス推しだった事も関係しているかもしれないが、そこは些細な事だ。

 

 

 そうして二人は一度接触し、停止した世界で情報交換した。

 深海王が思ったよりも手強く、光の弓矢では削れはするものの再生力に追い付かず削り切れなくなってきた事、なので、乾燥剤で弱らせることにしたという事。

 

 結果、ほむらは深海王を出来るだけ弱らせ、ジェノスはその弱ったところにフルパワーで焼却砲を叩き込む、という即席の作戦が立案された。

 

 ほむらが準備良く乾燥剤を持っていたことに関しては「銃が効かない液体状の敵に有効なので」という理由で納得した。

 

 雨が降り始めて敵が逆にパワーアップし始めたときは肝が冷えたが、結果としてこうして作戦は成功した。

 

 

「これで、倒せているといいんですが。」

 

「これでダメだったら先生の力を頼ることになるかもしれないな。」

 

「(あれだけやってダメとか考えたくないなあ……)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お?あっちか?」

 

「なっ!?逆方向だったか!?」

 

 同時刻、J市で(現場へはまったくの別方向、あらぬ方向へと)走っていたサイタマ、そして正義の自転車乗り、無免ライダーは、J市の一角で大きな爆発音と巨大な火柱が立ち上っているのを見た。

 

 それがジェノスの焼却砲によるものとまでは分からなかったが、どうもあそこで何かが起こっているという事だけは分かった。

 

 すぐさま方向転換した無免ライダーは、ペダルに力を入れようとしたところで、爆発地点から炎の帯のような物が、丁度彼らの走っていた道路からビル等の建物を挟んで反対側の道路を焼いたのを見た。

 

 

「うおっ!?」

 

「なんだ!?」

 

 

 ひょっとすれば、これは怪人の攻撃か何かかもしれない、そう思った無免ライダーはビルの間を通って、炎が焼いた後のプスプスと音を立てている道路に入る。

 

 遠くの爆発地点から直線状にこんな所まで焼いてしまうとは、今回の怪人は凄まじく強いのかもしれない……と冷や汗を流した無免ライダーは「いや待てよ?今回の怪獣というのは海人族という海に棲む怪獣だったのでは?海に棲む生物が炎を扱うのだろうか?」と首を傾げる。

 

 それはともかくとして、ひとまずはあの爆発地点へ向かった方がいいだろう。

 

「とりあえずこの道は避けた方がいいかな……。」

 

「そうだな……? おい、ちょっと待て、なんかくる。」

 

「え?」

 

 熱でタイヤがダメになる事を恐れて元居た道に戻ろうとする、が、そこでサイタマが空から何かが飛来して来るのを見て、その場に降り立つ。

 

 ガゴンッ、と空から飛来したそれは落下地点に大きなヒビを作った後も勢いが止まる事無く少しの間転がったと思うとベタンッ、と仰向けに静止した。

 

「こ、これは……。」

 

「ひょっとしてこいつが例の海珍族ってやつか?」

 

「そうみたいだね……瀕死みたいだけど。」

 

 

 それが人型であった事にようやく気付いた二人は急いでその場に向かうが、それが人間ではない事に気付いた後、これは既に戦いが佳境に近いのかもしれないと悟る。

 

 飛来してきたそれはジェノスの焼却砲を食らい吹き飛ばされた深海王その人であり、今や()()()と言ったところであった。

 

 

 ここで、ほむらの誤算が二つ。

 

 一つは流石にアレで死なないとは思って居なかったことだ。既に虫の息ではあるが、それでも、あの弱った状態で焼却砲を食らって原形をとどめて居られるほどとは思って居なかった。

 

 ちなみにこれは、「わざと飛び上がる事で衝撃を出来るだけ受け流す」というほむらの技術を真似た事で、直撃はしたものの、こうして吹き飛ばされることで原型は留めるに至った深海王の咄嗟の行動によるものである。

 

 お蔭でガードの為に使った両腕はかろうじて形が残るかどうかという程に損傷し焼け爛れており再生には時間がかかるだろうが、肝心の心臓や脳等の重要器官はあまり損傷せずに済んだらしい。

 

 そして二つ目。

 

 

「……うご、が、ごご、ご……!!」

 

「!?こんなになってもまだ動くのか……!?」

 

 

 それは、焼かれた事で、ほむらが深海王に仕込んだ乾燥剤が燃え尽きたらしい、という事だ。それ即ち、水によるパワーアップを封じていた物がなくなるという事。

 

 さらに言えば再生も可能だという事だ。

 

 深海王はグチャグチャとグロテスクな音を立てながら雨による再生を行い、既に立ち上がり、意識にかかっているもやも段々晴れつつある。

 

「あ、ぐが……!あのアマ……!絶対に、ぶぢごろ、す……!!」

 

 

 かかっていた意識のもやが晴れた先にあったのは純粋な殺意。深海王が先の攻撃よりもまず真っ先に思い浮かべたのは、この深海王を出し抜いてあろうことかここまで追いつめて見せた小さな人間の少女を殺す事だった。

 

 

「おう、お前が海珍族か?」

 

「(……? なんだこの人間は?)」

 

「ちょっ、君!?」

 

 

 そんな純粋な殺意に横やりを入れたのは見た事もない人間の男だった。

 何のオーラも感じない、ただの人間が、何故か深海王の前に立ちふさがっていた。

 

 距離を取り、警戒していた無免ライダーは突然、まるで散歩の途中にすれ違った人物に話しかけるかの如き気軽さで立ちふさがっている(しかも聞いている種族の名称はどこか間違っている)先程出会ったばかりの男の自殺行為とも思える軽挙に驚いていた。

 

 

「(邪魔よ!)」

 

 

 そいつが何なのかは分からない。正直まだなんて言っているのかも良く分からない。ただ邪魔だったので、深海王はそいつに拳を振り上げ、殴り殺そうとした。

 

 

 

 

 それが深海王最後の思考だった。

 

 

 

 

 

「急に殴りかかってきたからつい反射で殴っちまった……まぁ怪人だったっぽいし、別にいいか。」




ほむほむ(偽)「正攻法で勝てない?じゃあ絡め手で勝てばいいよね!」
ジェノス「そうだな(便乗)」

→結局サイタマが倒す

なんだこれは……たまげたなあ……。
そしてここまで邪道を行ってなんでもするという前提があってもまだまだ勝てない奴が滅茶苦茶たくさんいるという理不尽さよ……。

災害レベル龍とかあんなんどうしろっつー話よ……。

……あと今更気付いたけど今回書く予定だったほむほむの能力の制限について触れるの忘れてた。まぁええか!




以降、感想欄への返信もまだなのにさも丁寧に返しているかのように装って返していく質問コーナーです。




Q.まどかとかは出さないんか
A.まどかも出る奴を自分で書け下さいお願いします。ぶっちゃけ作者の心が汚れすぎてまどまどみたいな聖女の行動原理って良く分からないんですよね……。俺も読むからさあ……頼むよ頼むよ


Q.結局深海王に光の矢は効いたんか。
A.効いたけど表面を抉るだけですぐ再生されて決定打にならなかった。


Q.重曹
A.そうだね。重曹だね。


Q.S級全員能力について知ってるんか
A.知ってるハズだけど数名理解できてない奴もおる。


Q.S級との絡みはよ
A.ボロス編でやる


Q.どこまでやるつもりなんや
A.とりあえずボロス編まではやるつもりやでそれ以上続くかどうかは知らん。元々は1話で終わる一発ネタだったからね、仕方ないね。


Q.ほむほむ(偽)のやり方がえげつない
A.今後出てくる敵の強さに比べたらこの程度はまだ可愛い方やと思うで。


Q.ほむほむの家庭について
A.原作でも語られてないことワイが知るわけないやん?


Q.ソニックどうした
A.帰ったで。……どうにかして全裸にひん剥いてやりたかったけど出来なかった作者を恨んでくれ。……あっちなみに実写版ソ〇ックの事言ってんだとしたらこっちが聞きたい。どうしたのアレ。


Q.あのムカつく顔の市民は?
A.知らね。妄想ではアイツにほむらが「いや~せやけどアレやな!守る市民がこんな態度じゃヒーローやるの嫌になってくるな!よっしゃ!ヒーロー辞めたろ!」的な事言わせようかとも思ったけど、シェルターまで到達しない事で出番すら奪ってやった。


Q.無免とサイタマの仲ってどうなるんや
A.アニメだと「ノルマ辛いもんな、俺たちC級は」「面白い人だな君は。俺は無免ライダー。君と同じヒーローだ!」「……!(なんかこういうの、いいな)」みたいなやり取りがあったりした。だからあんまり変わらない。


Q.もっと他キャラと絡め
A.すまん。ボロス編で頑張って出すわ。ところでボロス編って呼び方で合ってる?ダークマター編?

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