いつかボク(日本人)が地球をすくう 〜亜宙戦記デミリアン〜 [ラノベ版] 作:多比良栄一
デッドマン・カウンターの数字が止まらなかった。
司令室の中央付近の中空にうかびあがるように表示されている数字を、ブライトはぼう然とした面持ちで見つめていた。すでに『2000』を超えているのにさらに勢いをまして数字が積み上がっていく。
「な、なにがどうなってる?」
あまりにもわけがわからない状態に苛立って思わず声を荒げた。
今までにヤマトが出撃したときも『とめてくれ』と叫ばずにいられない恐怖のカウントアップがあったが、亜獣があちら側に消えたあとにもかかわらず、数字が上がり続けることは経験にない。
セラ・プルートのコックピットのアップが正面に投影される。操縦をしているリョウマの目はうつろで、口角に唾がたまっていた。口から泡をふいているようさえ見える、その口元は小刻みに動いていてなにかをずっと呟いていることがわかるが、聞き取れない。
「レイ、アスカ、急いでリョウマを止めろ」
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「まずい!」
ヤマトはリョウマの錯乱した行動を見るなり、ソファからはねるように身体を起こした。
「どうされました?」
十三が声をかけてきたが、それを一顧だにせず、ヤマトはこめかみに指をあて、司令室を呼びだした。
「急げ。急がないと大変なことになる!」
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レイのサターンとアスカのヴィーナスは、ビルをまるでハードルのように跳び越えながら、リョウマの乗るプルートにほぼ同時に飛びかかった。ふいをつかれたうえ、二体の巨体にのしかかられて、プルートは低層のビルを何棟か潰して倒れた。アスカがその勢いのままプルートに馬乗りになるなり、コックピットを殴りつけるようにノックした。
「バカ兄貴ぃぃ、なにやってンのよぉぉぉ」
プルートがアスカから逃れようとあがき始めた。上からふり落とされそうになりアスカが叫ぶ。
「レイ、ボサッとみてないで、あんたも手伝いなさいよ!」
「もう、押さえてる!。足!」
「じゃあ、もっと強く!」
ふたたび、アスカはコックピットを殴りつけた。
「兄さん、出てきなさいよ!。早く!!。でてこないと……」
勢いでそこまで叫んでから、アスカはことばをうしなった。
でてこないと……、でてこないと、どうする?。
どうすればいい。
今のアスカという女は、そのとき、どんな役を演じなくてはならないのか……。