そして、それが起こってしまった原因も・・・・・・
前回の話から数時間後・・・・・・・
万能者は異形に世界の危機の一端が保管されている場所に連れて来られていた
「・・・・・・・コレがアンタらの言っていた世界の危機の一端の存在か?」
「はい、こんな存在とそれに似たような存在が『向こう側』から無数に現れて・・・・・・既に我々の仲間が7分の2がこの存在達に・・・・・・・」
「そりゃお気の毒に・・・・しかしこりゃ・・・・・・・エラくヤバそうな造形をした悪趣味なクリーチャーだな・・・・・・・」
万能者はその話を聞きながらその死骸を調べていた・・・・・・・
その存在は形だけで考えたなら虫でいう蟻と呼べるような形をしていた・・・・・・・だが、その実態は脚に当たる部位が人間の右腕と左腕であり頭は人間の頭部と虫を融合させたらこうなるであろう造形をしており、更に体の方は人間体を無理やり虫の形にしたようなもので、はっきり言えばあまりにもおぞましい存在であることは間違いなかった・・・・・・・
「遺伝情報とかを簡単に調べたが・・・・・・・こりゃ死んでる人間をベースに様々なものをツギハギにくっ付けて作ってるぽいな・・・・・そのはずなのにまるで生きてるかのように動いてアンタらを襲ってきたと・・・・・・・オカルトや魔術的に言えばゾンビやレブナント、ネクロマンサー関係のヤツか?」
「我々蛇人間とミ=ゴの方で色々調べてみましたが・・・・・・コレは魔術と科学技術に似たようなものを組み合わせてできたこと、何者かに操られていること・・・・・・・そして、この存在には『魂』が存在していること・・・・・・・その三つしか分かりませんでした・・・・・・・」
「・・・・・・・しかしアンタらもランダム性とは言えコイツらが存在する『向こう側』に繋げちゃうとか運がないな・・・・・・・」
「最大限の警戒をしておいて、こんなことを招いてしまうなんて・・・・・・・様々な存在と同胞に本当に申し訳が立ちません・・・・・・・」
ことの経緯はこうだった・・・・・・・
異形達がこの地下古代遺跡を住処にするようなってそれなりの時間が経過した頃・・・・・・・
蛇人間と喰屍鬼のリーダー達はふと思った・・・・・・・
この地球に我々の居場所はもうないのでは?と・・・・・・・
事実、人間達は汚染されずに残った土地や遺跡などで争いがおきる事態が過去に起こっており、今も表面下それによる戦いが起こっていること、更に風の噂ではあるが我々のような異形を狩るものがいることや、BLACK WATCHや正規軍などの勢力が遺跡探索を行なっているなどの要因が彼らに『この古代遺跡が今は最高の隠れ家ではあるが、いつかは分からないが砂上の楼閣になるのは間違いないのでは?』と思わせるのに十分であった
そんな事態を解決する手段はその時には存在せず、現状維持で済ませるしかなかった・・・・・
とあるものが見つかるまでは・・・・・・・・・・
それはその古代遺跡の建物の最深部に置かれていたとある装置で、簡単に言えば近くの霊脈を使ってこの世界と別の世界を繋ぐ装置・・・・・・・・・・いわば魔術版の異世界へ繋げるワームホールの発生装置とも言えるもの代物であった・・・・・
壊れていたもののミ=ゴの技術、蛇人間達の魔術、喰屍鬼達の集めた資材を使えば修理が可能ということもあり、彼らはそれに希望を託すことにした・・・・・・異世界に彼らの安住の地を探すことを・・・・・・無論考えられる限りでの未知との遭遇などの可能性を考慮をしながらではあるが
そして、その装置の修理が完了し、起動したところ・・・・・・・・・・・・
結果的には成功を収めることとなった・・・・・・
考えられていた未知との遭遇の可能性の中で最も最悪なパターンの一つ、敵対的な存在がこっち側に集団で攻めてくるという形となって・・・・・・
「で、この存在が出てきた元凶の場所までの通路にこの存在の仲間でいっぱいいっぱいで、現状はあの建物の入口にバリケードを張って出ないように防衛していると・・・・・」
万能者はその状況を聞いた部分と見た部分を冷静に繋ぎ合わせて整理していた・・・・・・
(・・・・・・・・・・・・うん、どう考えてもこんな奴らが地上が湧いて出たらアカンことになるのが間違いないからそのワームホール装置の奪還を手伝うしかないな)
そう思い決断したことを周りに知らせようとしたその時
カーン!カーン!カーン!カーン!
何かの鐘が鳴らされる音が何度も響いたのだ
「!?総員警戒準備だ!建物の入り口の方で何かあったようだ!!!」
「大変です!!通信を確認した結果、ヤツらが集団でバリケードが破ろうとしてて、どこまでもつか分からないとのことです!!」
「なんだって!!?大半は戦闘の用意をしつつ現場に向かえ!!一部は女と子供、戦えないものと共に避難しろ!!」
その警鐘と共に周りにいた異形達は自分達の武器を確認し、すぐさまその現場に向かっていた
「・・・・・・・本当、こうもタイミング悪く起こるもんなのね・・・・・・まぁこいつらがどんなふうに動いてどんなふうにヤバいのかを確認するのに都合がいいがな・・・・・・・蛇のリーダーさん、俺も向かわせてもらうぞ」
「分かりました神龍の眷属様!!」
「・・・神龍の眷属と言わんでもいいんだがな・・・・・まぁいいか」
そう言いながらも万能者もその現場に向かっていった
「うわぁ!?こっちくるなぁぁぁ!!」
ババババババババババババッ!!!
「クソ、虫型とは違うヤツが混ざってやがる!お前ら注意しr(ズバァ!!)」
ズドン
「ギャッ」
「仲間がまたやられたぞ!!あの人型に注意しろ!アイツら俺たちよりも動きと力があるぞ!!」
そこはすでに戦場になっており、どうやら例の存在達がバリケードを破ってきたようであった
「バリケードが突破されたのか!?まずい!!総員防衛部隊の援護に迎え!!」
『了解!!』
「神龍の眷属様も協力お願いします!!」
「おう、分かった」
その異形だらけの戦場に万能者は蛇人間・喰屍鬼・ミ=ゴ側の異形達を援護するために入っていった・・・・・・・・
ドゴォ!!バギャ!!グシャ!!
(アリ型7・8体目撃破・・・・・・アリ型は数で戦うことを主にしていて、カマキリ型は機動攻撃型、蜂型は遠距離支援型として考えた方がいいな・・・・・・・・他にも色々あるが主なヤツの分析は完了、後は・・・・・・・・アレだ)
そんな戦いの中で万能者は持ち前の力を発揮させて戦いながらその存在達の特徴や情報を冷静に分析していた、その中で万能者は気になる存在達を確認していた・・・・・・・・
それは・・・・・・・・
(・・・・・・・・あの人型は体型は15歳前後の少女の姿をしているが、明らかに身体能力がおかしい、持っている武器が見た目以上の火力と性能を持っている、人型でありながら異形の部分を持っているものも存在している・・・・・・・・これらのことからかなり脅威な存在であることがうかがえるな・・・・・・・・)
万能者の味方をする側の異形達をすでに何体も殺している人型の存在達であった・・・・・・・・
万能者の分析通り、少女の姿をしているものの常人の域を超えた力を持っており、明らかに見た目以上の性能がある武器を扱えていること、中には人間には存在しないはずの部位を持った存在がいることから明らかに敵対的で脅威的な異形の存在であることが窺えた・・・・・・
だが、万能者が注目したのはそこではなかった・・・・・・
(・・・・・・・・・・分類上ではすでに死んでいることや操られているとかなどの理由が関わっているから、あの目もそんな感じになっているとも考えられるが俺には分かる・・・・・・アレは『全てに絶望した目』だ・・・・・・『生きることに絶望した目』だ)
それはその人型達の表情であった・・・・・・
その表情は無表情ともいえるものであり、その目は一筋の光すら存在しないほどの光のない目をしていた・・・・・・
それを見て万能者は理解した、コレは味方には荷が重い存在であることに
「・・・・・・オマエら!!あの人型達は俺が引き受ける!その他をやってくれ!!」
「!? ・・・・・・了解しました神龍の眷属様!!各員あの人型の存在達以外の敵をやれ!!神龍の眷属様の邪魔になる!!」
『了解!!』
その言葉に味方である異形達はすぐに攻撃目標をその人型の存在達以外の敵に切り替えて攻撃を始めた
「・・・・・・そういうことで悪いがこれ以上彼らをやらせるわけにはいかないのでな・・・・・・ぶちのめされててくれ」
そして、万能者はその存在達に向かって攻撃を開始した・・・・・・
「・・・・・・俺って運が悪いことが結構多いが、産まれとかそういうのに関しては本当に運が良かったな・・・・・・・・・」
そんな独り言を誰にも聞かれないようにボッソリと言いながら・・・・・・
ハイ、世界の危機を引き起こしかねないものは異形の存在達であることが判明しました・・・・・・
ただ、それは明らかに神話生物の異形とは明らかに異なり、人工的に作り出された存在でした・・・・・・それも人間の死体を使って作り出された何かです・・・・・・