実は自身の生活がガラリと変わり、それに慣れるにも時間がかかってしまいました。ようやく落ち着ける時間を設けることができたので、投稿していきます。
総介の過去編からスタートとなりますが、要点だけを簡易的に話して現代編に戻ります。
リクエストがあれば番外編として再度細かく書いていこうと思います。
※今回鬱展開注意です。
バシィィィィン!!
「ってぇ!」
大きな音と同時に、道着を着た少年が背中から倒れる。
「そこまで。勝負ありです」
男性の掛け声により、勝負は決した。黒髪の少年の前に立つのは、銀髪の美少年。名を『大門寺海斗』。今いる『柳流剣術武術道場』始まって以来の神童と呼ばれる少年だった。
「くそ!もう一回、もう一回勝負だだ海斗!」
「いいよ。僕に勝てるかな、総介?」
「次こそ絶対勝つ!」
その神童に正面から向かって行く浅倉総介。彼はこの道場に入ってから、海斗に挑み続けていた。
偶々最初に手合わせをした相手が、このキラキラした星のような輝きをする銀髪の少年だった。
で、全く歯が立たずに負けてしまった。
総介が剣術のド素人だということもあるが、それにしても綺麗に完敗してしまったものだ。
以降、彼は負けず嫌いも相まって、必ずあいつに勝とうと、海斗に何度も手合わせを申し込み、その度に玉砕した。
そんな様子を見守る、この道場の主『柳宗尊』。そんな彼の元に、ある男が訪れる。
「どうだ、あのガキの様子は?」
「相も変わらず、海斗に挑み掛かっては敗れています」
「そうか。それにしても、アイツだけだなぁ。海斗にずーっと向かってくのは。他の子達は差を感じて対戦を避けているというのに」
「実力差を痛感することも、成長の一歩ですが、彼のようなタイプも私は好きですよ」
宗尊と総介について話をするのは『渡辺剛蔵』。身長2メートルを誇る武人のような男性である。稽古終了の時間がすぐだったため、ここに通っている愛娘のアイナを迎えにきたようだ。彼は目を横にやり、金髪のポニーテールの少女へと向かって行く。
「アイナちゅわ〜ん♡愛しのパパが迎えにきたよぉおおん!!」
彼はアイナへと駆け寄って行くが、それを見たアイナは………
「どちら様ですか?」
「他人行儀!どころか他人認定!?」
目をハートにしながら抱きつこうとする巨大な男をお父さんと認めたくなかったようで、ハイライトの無い目の真顔で突き放した。
バシイィィン!
「ってぇえ!ちくしょー!」
その間にも、総介はまた負けたようだ。そんな彼を道場の端っこから寝そべりながら見つめる青みがかった黒髪の少年が1人。
「アイツもしつけーよなー。『わかさま』やオレに勝てるわきゃねーのに、馬鹿の一つ覚えみてーに挑みかかっていきやがって。時間の無駄っての知らねーのか?」
彼らの1つ年下である『御影明人』だが、全く物怖じすることなく、ズバズバ毒を吐いてたいくつそうに欠伸をするのだった。
浅倉総介、大門寺海斗、渡辺アイナ10才、御影明人9才。彼らにこれから訪れる運命を、この時は知る由も無かった。
………………………………
「はぁ、はぁ、くっそ………今日も勝てなかった」
道場に大の字で仰向けになりながら悔しがる総介。すると……
「総介」
「!」
頭の方からかけられた声に、体が即座に反応し、さっきまでの疲れはなんだったのかと言いたくなるほど軽快に立ち上がる。
「お母さん!」
「ふふっ、時間よ。帰りましょう」
「うん!」
総介がすぐ駆け寄った女性。黒く長い髪をうなじの部分でゴムで縛った、どこにでもいるようなTHE・母親のような女性に笑顔を向けながら、彼は『母』の横に立つ。
「柳先生、本日も総介がお世話になりました」
「いえいえ、彼の元気にはいつも感心しています。ひとえにお母様の育ての良さの結晶ですよ」
「いやいや、そんな……」
帰り際、宗尊と少し談笑して道場を後にする二人。
「海斗、次はぜってー倒してやる!覚悟しとけ!」
「ふふっ、楽しみにしてるよ、総介」
総介は振り返り、海斗を睨みながらそう宣言するが、当の本人は涼しい顔で受け応えして、この日の稽古は終わった。
「あの子、ここに来るといつも『若様』に勝負を挑んでますね」
「オレやアイナにも勝てねーくせに『わかさま』とばっかりやりたがるな。その上『マザコン』ときてら。とんだ『ヘンタイヤロー』じゃねーか」
「明人、口をつつしんでください。悪口はいけませんよ」
「うっせーよアイナ。お前もアイツのことボコボコにしてたじゃねーか。人のこと言えんのか?」
「それは、勝負ですから。それにあなただって、あの子のお母さんからお菓子をもらって嬉しがっていたじゃないですか」
「アイツはヘンタイヤローだが、あの人はいい人だぜ?」
「まったく……」
………………………………
夕日が照らす河川敷。そこを総介と母の2人は、足元から伸びる影に追いかけらながら歩いていたら。
「それでさ、海斗に後一歩のところで勝てたところだったのに、避けられてしまってさー」
「ふふっ、次は勝てるといいわね」
「うん!絶対勝つ!」
親子で手を繋ぎ合いながら、オレンジ色の空の下を歩きながら帰る2人。
母は知っていた。彼が海斗に何故勝ちたいのか。
『だれよりもつよくなって、ぼくがおかあさんをまもるんだ!』
海斗はあの道場にいた子どもたちの中で一番強い。それも並の子どもではなく、誰も一太刀も入れることが出来ない、突き抜けた強さがある。
彼を倒さなければ、自分は最強じゃない。最強じゃなきゃ、子供の自分では母は守れない。どこか本能の部分でそう感じたのだろう。
母はそんな息子を尊重した。目標とする人物をひたむきに目指す。そんなまっすぐな息子を、唯一の家族を誇らしくも思えた。
父の存在を一切知らずに育ったたった1人、血の繋がった子どもが、こんなにも立派な志を持ってくれていることに、母は涙が出そうになりながらも、なんとか堪える。
「次こそ海斗に絶対勝つよ!勝って、もっと強くなって、お母さんを守れるようになってみせるから!」
「………ありがとう、総介」
母を守れる強い侍になる。総介はその誓いをいつも心の中で思っていた。たまたま読んだマンガの銀髪の侍に影響され、彼のように心身共に強い侍になりたいと、日々精進している。海斗、アイナ、明人にボコボコにされようが、彼はブレなかった。必ず強くなる。そのために、毎日頑張り、自分の中で最強の存在である海斗に勝つ。今の目標はそれだけだ。
彼は幼いながらも目を輝かせ、持ち上げた袋に包まれた竹刀に無言で約束した。
(………あなたの努力は、必ず身を結ぶわ)
決して裕福ではない生活だが、それに文句ひとつとて言わず、母を労ってくれる。そんな息子を見て、母は自分は十分幸せ者だと思うのだった。
そしてその幸せは、運命の日に全て失ってしまうことを、2人はこの時知る由もなかった
………………………………
運命の日、午後3時。
この日、総介と母の2人はショッピングモールに買い物に来ていた。
一通り買い物をしようとする途中、総介はトイレへと向かうために声をかけた。
「お母さん、僕トイレ行ってくるね」
「ええ。ここにいるからすぐ戻ってくるのよ」
「うん!」
そう言って母のもとを離れる総介。看板の青と赤の人のマークを見て、トイレへと走って向かう途中………
「なんだ、あの人?」
妙な人物とすれ違った。暗い色の着物を着た、変な男だったが今は尿意の処理が最優先のため、気に留めずトイレへと向かった………
………………………………
「ふう、スッキリしたぜコノヤロー」
トイレを済ませて、人混みの中を総介は急いで母の元へと向かおうとした
その瞬間
突如鳴り響いた耳を破壊しかねないほどの大きな音と同時に、総介の身体が吹き飛ばされ、彼の意識はそこで途切れた……
………………………………
「………ん、んんあ、れ……?」
どれくらい時間が経ったのだろうか、総介は目を覚ました。
一体何が起こったのか、自身でも理解していなかった。
まだ起き上がって薄い意識の中で、総介は一度周りを見渡した。
「!!!!?」
するとそこにはあまりにも凄惨な光景が広がっていた。
土煙で見づらいが、辺り一帯にあったショップは、跡形も無くなって瓦礫の山と化しており、商売品と共に床に散らばっていた。
そしてその上には、先ほどまで騒がしかった様子など微塵も無く、静かに人達が先ほどまでの総介と同じように倒れていた人間の山があった。
しかし、それは総介と同じようで、全く違った。
腰から下から見えず、上半身をコンクリートの瓦礫に潰された物。
鉄骨に突き刺さった者
バラバラになった者
死体
死体
死体
死体
死体で出来た絨毯が、そこかしこに出来上がっていた。
「っ…………」
総介はその光景に、顔をこわばらせ、泣き叫びそうになる。
「うわああん!!お母さん!お母さあああん!!!」
突如、後ろの方から子どもの声がした。
振り向くと、そこには自分と同じくらいか、少し小さい子どもがいた。その前には、巨大なコンクリートの塊。その下には
顔全体が赤く染まり、それ以外の部分が全てコンクリートに押し潰された母親を思しき女性が、目を開いたままピクリとも動かずにいた。
「!!………お、お母さん……」
そうだ。お母さん、お母さんは、どこ?
衝撃の光景を見てまず思ったのは、総介自身の母のことだった。
これほど大きな爆発が起きたのだ。お母さんは、大丈夫なのか?
気がついたら総介の足は、瓦礫の上に立ち上がり、一目散に母の元へ向かおうと走り出した。他の事など、今は気にしている暇は無かった………
「お母さん!お母さん!!」
とにかく、走った。瓦礫に躓かないよう、注意しながら、母の名前を呼び、土煙で視界がほとんど見えない中、母を求めて走った。
途中、起きている人達もいたが、彼らも自分のことで一杯だった。
「きゃあああ!」と叫ぶ人や、「こっちだ!こっちから逃げるぞ!」と生存者を誘導する人、「健太!どこなの!健太ーー!」と息子を探す人、「いやああ!大ちゃん!起きて!死なないでよぉ!」と恋人だった全く動かない真っ赤な『モノ』を抱えて泣き叫ぶ少女。
地獄
まさに地獄だった。
夢だと思いたかった。
でも今は………
「お母さん!
お母さん!
お母さん!!!」
守らなきゃ
お母さんを
何のために
強くなろうと
ここまで頑張ってきたんだ
こんな時のためじゃないか
今こそ
大切な人を守る時だ
「お母さん!」
母を必死に呼びながら走り続ける総介。
その時だった
「………総介」
「!?お母さん!」
今、確かに母の声が聞こえた。よかった!
母は無事だ!
声のした方へ急いで向かう。視界は相変わらず悪いが、声の下方向を頼りに瓦礫の上を歩き、時には潜り、母の元へと走る。
お母さん
お母さん
お母さん
「お母さん!!!」
総介は渾身の力を込めて、母の方へと叫んだ。
「総介!」
近くから、母の声がした。
間違いない。すぐそこだ。
今すぐ行くよ
お母さん!
「お母さん!!」
「来ちゃだめ!!」
ザシュッ
「っうっ………」
「えっ?………」
その何かの音と、
母の小さな声と
総介が母の目の前に現れた瞬間は
全く同じだった
「お母、さん?………」
「総、すけ………」
目の前に現れた母は
口の端から赤い液体を流し
胸の中央からは、真っ赤に染まった刃が、彼女を貫いていた
そして、その後ろには
「ほう、
恨みを与うは我ではなく
己が運命と
我が前に現した自身を恨むがよいわ」
母の後ろには、先ほどの暗い色の着物を着た男がいた。
男はそのまま、母を貫いた刃を抜く。
彼女はそのまま、総介の目の前で地に伏してしまった。
「おか………さん……」
何が起こったのか、理解出来なかった
理解したくなかった
「さて、童よ
貴様の命の花は、如何なるものぞ?
何もわからなくなってしまい、その場に尻もちをついた総介に、男は向かおうとする。
その時だった。
「………そう……すけ」
「!!」
「……ほう」
母はうつ伏せのまま、総介に這いつくばりながらも近づこうとする。
「お母、さん!お母さん!」
総介はそのまま母に近寄り手を握り、何とか引っ張ろうとする。
「……にげて、総介。にげ、て……」
「嫌だ!お母さんを守るんだ!僕がお母さんを!」
「にげ………て……」
薄れゆく意識の中で、母は息子の身を案じ、逃げるようつぶやくが、総介はそれを拒絶する。
そんな2人を見て、男は口角を上げて笑う。
「未だ花は咲かず、カ………
………よかろう
共に二輪の花を
今この場にて、力強く咲かそうぞ」
男が、2人に向けて剣を向けた………その刹那
「雅瞠ぉおおおおおおおお!!!」
「!!」
男の背後から叫ぶ声。その瞬間、土煙の中か、男が1人飛びかかってきた。
『雅瞠』と呼ばれた男は、そのまま振り向き、自信に振り下ろされる剣を自身の長ドスで受け止め、激しい金属音が鳴り響く。
「………ふん、子犬がぁ」
「テメェ!!なんて事をっ!!」
雅瞠に剣を向けた男は、褐色の肌に、鋭い目つきをした、灰色の髪の青年だった。
名を『片桐刀次』。『銀狼』の異名を持つ大門寺対外特別防衛局『刀』そしてその中でも一握りのエリートである『懐刀』の一人である。
「我の『花』を咲かせんとするか?
それとも、そこに転がる『蕾』が咲かんとするところを拝みに来たか?」
「!?あれは!!……」
雅瞠の言葉に、刀次は総介と母に目を向けた。そこには絶対にあってはならない惨状があった。
目に映った瞬間、刀次の何かが弾ける。
「………テメェ、
生きて帰れると思うなよ!」
「我の『花』を求める、カ。子犬が。餌の骨に噛み付くが関の山よ!」
「ぬかしやがれぇ!!」
生かしてはおかない。己の欲望の為に、民間人を巻き込み、あまつさえこの場で親子を亡き者にしようとする。もはや刀次に迷いは無かった。
「っらぁ!!」
「!!疾きことよ……」
「チぃっ!!」
彼の常人とは思えない速度の右薙を、雅瞠はそれ以上の速さで後ろに移動していとも簡単に避わす。
「子犬と戯れ合うも一興、カ……」
「くっ………」
避けられたことで、幾ばくか冷静さを取り戻した刀次。このまま戦うよりも、今はすぐ側にいる親子が心配だ。
特に母親の方は、血が大量に流れている。重傷なんてどころではない。一刻も早く治療しなければ………
しかし、自身の目の前に立つは、あの『雅瞠』。『懐刀』といえど、ほんの一瞬の油断が命取りになるほどの相手だ。
(………どうする………)
この状況を打破する案を巡らせる刀次。と、ここで。
「刀次!!済まない!遅れた!」
「!!剛蔵さん!」
「……ほう」
そこに現れたのは、『刀』の局長、『【金剛】渡辺剛蔵』だった。
彼はその手に大太刀『竜王』を構え、雅瞠へと対峙する。
「テメェとは久々だな、雅瞠。『霞斑』に取り入ったって噂は本当だったようだな」
「………」
「こんなことしやがって………
覚悟はあるな?ここで終わりだ」
いつもの親バカな剛蔵からは考えられない怒りの表情を雅瞠へと向ける。その姿、まさに『金剛力士像』。纏う雰囲気はこの世のものとは思えぬほどの闘気を全開にする。
が、しかし………
「………興が削がれたわ」
「!?」
「!!」
なんと雅瞠は、手に持っていた長ドスを、そのまま鞘に収めてしまった。そしてあろうことが、2人に背を向ける。
「逃すか!!!」
その様を見て、真っ先に刀次が斬りかかるが、その剣らまるで霞を切ったように、雅瞠の身体をすり抜けた。
「!!?」
斬った!そう思った。確信があった。しかし、それは空振りに終わった。
「
が、我にも『花』咲く時の様子は選ぶ
貴様らの前では落ち着いて味わえぬわ
また会おうぞ
子犬よ、剛力の者よ
童よ
その言葉を残して、雅瞠の姿は土煙の中へと姿を消した。
「………くそっ」
またしても雅瞠を逃したことを悔やむ刀次だったが、
「刀次!今は彼女達が先決だ!」
「っ!ああ」
剛蔵の言葉で、2人は親子に駆け寄る。
「大丈夫か?………!お前は!?」
「お母さん………お母さん……」
親子に近寄った剛蔵が見たのは、信じられない人物だった。
道場で、海斗に何度も挑みかかっていた、あの子どもだったのだ。そして、彼が握る手の先には、その子の母親が倒れていた。
母の手を握るこの方は、涙をぐしゃぐしゃに流しながら母の名を呼んている。母の方は血まみれになり、呼吸が薄れてきているところだった。
それを見た瞬間、剛蔵はすぐ行動に入った。
「っ!!!刀次!!『道を切り開く!!』お前は親子の方へ!!いそげ!!!」
「!!ああ!頼むぜ!」
剛蔵の慌てた様子に、刀次も反応して、親子に駆け寄った。剛蔵はそのまま、大太刀を構え、瓦礫の山前で剣道の『唐竹』の構えをとった。
そして
「ぬぉおおおりゃぁぁああああ!!!!!」
一気に振り下ろした。
目の前にあった瓦礫の山は、その瞬間、振り下ろした衝撃、そして大太刀の切れ味によって、粉々に吹き飛び、モーセが海を切り裂いたが如く、彼の目の前にあった障害物が、数十メートル単位の規模で無くなり、更地と化した。剛蔵は振り終えると、大太刀を背中に納刀し、三人へと振り向く
「行くぞ刀次!ガキを俺に!母親を頼む!!」
「ああ!」
刀次がすぐに返事をして、母親を応急で止血させて抱える。
「………そう、す……け……」
「もう大丈夫です!お子さんも無事です。今すぐここから病院へ行きます。だから頑張って!!」
か細い声で息子の名前を呼ぶ母を抱え、全速力で走り出す刀次。
「大丈夫だ!お前のお母さんは必ず助ける!ここから離れよう!」
「お母さん……うう、お母さん」
「大丈夫、大丈夫だ!」
母を呼びながら泣きじゃなくる総介を、剛蔵は大きな体で抱きかかえ、刀次に続いて走り出した。
………………………………
「局長!ご無事で!」
「救急車だ!重傷者一名!緊急だ!今すぐ持ってきてくれ!」
「はっ!」
剛蔵の切り開いた道から、ショッピングモールを脱出した総介。そこから出ると、外には消防車やパトカー、救急車がとんでもない数あり、今回の惨状を物語っていた。
「剛蔵さん!」
指示を出した剛蔵に、刀次が慌てて声をかける。
「刀次、母親は!無事か!?」
「………それが………」
「!!………まさか……」
刀次の表情を見て、剛蔵は瞬時に察した。
「血を流しすぎた………おそらく心臓に近いところの動脈を………今から来ても、もう……」
「っっっ!!!!」
愕然としてしまう剛蔵。そして。
「………お母さん?」
総介が、刀次に下ろされて仰向けに横たわった母に駆け寄る。
「お母さん!お母さん!」
「………そう………すけ」
「お母さん!!」
薄く目を開いた母。しかし、その目にもう、光は宿っていなかった。
「………ごめん……ね………
ひとり………に……して………」
「お母さん!いやだ!!死なないで!!!
いやだ!!お母さん!!!」
「そ………すけ………
あい………して………
そう………」
母の目が、
指が、
体が
全て動かなくなった
「お母さん?
お母さん!
お母さん!
いやだ!!いやだ!!!
死なないで!!!!お母さん!!!
お母さん!!!!
お母さん!!!
お母さああん!
お母さあああああああああああああああああん!!!
「うわああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
浅倉総介はこの日、
人生で最も大切な人を失い
彼の中の鬼が、鼓動をはじめた
久しぶりに書いたので、めちゃくちゃブランクありますのをお許しください。出来れば月2回を目標に頑張りたいと思います。本当に楽しみにされていた皆様、お待たせして申し訳ありませんでした。
今回もこんな駄文を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました!