あくまで二次創作ですので、間に受けないようにね
1000文字程度でさっと読めるので気軽にどうぞー
少し昔の話。齢10以下の幼い少女が居た。彼女は生まれつき精神が破綻していて、普通の子と思いきやスグ鬱に取り憑かれ厭世観に囚われる。かと思いきや何事も無かったかのように普通の少女のように日々を過ごす。そんな情緒不安定な少女だった。
だが、その少女はあることをしているときだけ何事もない普通の少女として過ごすことが出来た。それは彼女が大好きで家族のように大事にしている人形と一緒にいること。人形を抱きしめたり、並んで本を読んだり、一緒に寝たり。その様はまるでその人形が少女の憂鬱を治す薬のようで、少女からはメディスン・メランコリー(憂鬱の薬)と名前を付けられ、長いときを一緒に過ごしてきた。
だが、その生活にも終わりの時が訪れる。医療の発達によりその少女が生まれつき持っていた精神病が完治したのだ。家族も少女も大喜び。これで人並みの生活が送れるようになった。が、それからというもの、少女のメディスンに対する扱いが目に見えて悪くなったのだ。情緒不安定のころ、それを癒していて無くてはならない存在だったことなど遠い記憶の奥底に封じ込まれ、ただのストレス発散人形としてぞんざいに扱われるようになった。しまいにはかつて間引きの現場に使われ、誰も人が寄り付かなくなった小さな丘に投げ捨てられる始末。こうしてメディスンと呼ばれた人形と、その持主だった少女との縁は完全に切れた。
しかし、人形もしぶとかった。メディスンが投げ捨てられた丘は鈴蘭畑が広がっていた。その鈴蘭の毒は徐々に徐々にメディスンの身体を蝕んでいく。そしてその鈴蘭の毒が持つ『勝手に間引きの現場に使われた挙句、勝手に不吉な場所として扱われる』という人間に対する恨みがメディスンを独りでに動かした。
鈴蘭の毒が霧のように舞う呪われた丘で、一体の人形がゆっくりと立ち上がる。鈴蘭の毒に奇妙な心地良さを感じながら呆然と立ち尽くす。
「…ここは」
人形は凝り固まった身体をほぐすように大きく背伸びする。そして自分自身の身体を確かめるように小さく握り拳を作る。
「私は…メディスン・メランコリー。どこまでも勝手すぎる人間に復讐する、呪いの人形」
そして自分の存在意義を確かめるように小さく口を開く。こうして小さなスイートポイズンはこの世に誕生した。憎き人間を不幸にするメディスン・メランコリー(憂鬱の毒)となって。
それからというメディスンは鈴蘭畑に居座り、鈴蘭の毒を身体中に浴び続けた。この毒が人間に対する矛となり、メディスンを守る盾にもなる。そして鈴蘭畑を通りかかった人間を全て毒で取り殺していく。
そしていずれメディスンは「毒を操る人形妖怪」として人々に恐れられるようになる。そんなメディスンの目標は自分を捨てたあの人間に憂鬱の薬という毒を届けること、そして自分以外の人形を解放し、盛大に人間に復讐をすること。その日を待ち、今日もメディスンは毒の畑に浸かり続ける。