月光に導きを求めたのは間違っていたのだろうか   作:いくらう

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初【迷宮】とか、14000字ちょいです。

何かもう見たことのないような評価の仕方されてこれ以上無くビビリ散らしております。

感想評価お気に入りしていただいた皆様ありがとうございます。そして誤字報告等して下さる皆様、ご苦労様です。



04:【迷宮一層】

 【迷宮(ダンジョン)】。神が降臨する以前よりこの地にあり、このオラリオを【迷宮都市】として成り立たせている世界に唯一の存在。

 嘗てはここからモンスターたちが地上へと進出し、人々はそれを防ぐためにこの大穴を囲うように街を築いた。オラリオの原型である。

 

 それから千年以上、ここオラリオでは人々とモンスターたちの終わりなき戦いが続いていた。数多の階層が攻略され、それとは比にならぬ程の冒険者が陽の届かぬ場所で命を落とし、それでも【迷宮】は底を見せず、挑戦する人々が途絶える事も無い。

 

 新たなる年が明け、そう日が立たぬ今日もそれは変わらず、幾人もの冒険者達が各々の思いを胸にバベルの地下一階からダンジョンの入口に向かい、そしてその中へと消えて行く。それがまるで、怪物の口へと自ら飛び込むかのように思え、ルドウイークは地下へと向かう列の中に紛れ、唸るように溜息を吐いた。

 

 そうして俗に『始まりの道』と呼ばれる大通路、そして巨大な縦穴を螺旋階段で降りている内に、ルドウイークは階段の石の感触ではなく、土のような、石のような、どちらともつかぬ物へと足場が変化した事に気づく。それは【魔石】と似た素材で形作られた、ダンジョン特有の表面だ。

 

 この物質で構築されているダンジョンは、驚くべき事に生きているのだとエリスもニールセンも語っていた。まあ、生きていると言っても突如動き出したり、ダンジョンそのものが冒険者を押し潰そうなどとしてくることは無い。

 だがしかし、例えどれほど傷つけられようと原理不明の再構築現象を見せるその表面は、正しく生きていると呼ぶに相応しいのだろう。

 

 ――――このような現象は、聖杯ダンジョンではまずありえない事だったな。

 

 そう、ルドウイークは短刀で傷つけた壁が修復するのをまじまじと見つめながら思案した。それを周囲の冒険者が訝しげに、あるいは不思議そうに眺めつつ通り過ぎてゆく。その視線も大して気にせず、ルドウイークは『始まりの道』と第二層を繋ぐ最短ルート上から外れて、第一層の探索を開始した。

 

 

 

 

 

 ダンジョンの天井は、多くの階層で灯りが必要ないほど明るく輝き、冒険者とモンスターの区別なく彼らを照らしている。故に冒険者たちはランタンといった照明を携帯する事は普通無い。

 ルドウイークにとってのダンジョンとは薄暗く、あらゆる物陰にこちらを殺しうる獣が潜んでいる危険地帯であったため、その差異に些か違和感を覚え、星空の如く所々に燐光を輝かせるその天井を興味深そうに眺めていた。

 

 そして、彼が歩き始めて20分ほど。ニールセンからの餞別の中に紛れていた第一層の地図を広げ、自らの位置を確認するルドウイーク。既に『始まりの道』へと繋がる道からは十二分に離れ、周囲には冒険者は愚か、モンスターの一匹も見かける事が出来ない。

 本来であれば、ルドウイークは既にモンスターとの交戦を経験しているつもりであった。だが今日はいかなる理由によってか、人間に問答無用の殺意を向けるというモンスターの姿が鳴りを潜め、彼は些か肩透かしにされたような徒労感を覚える。

 

 しかしそれならばと、ルドウイークは一つの確認をするべく、左手を正面へと伸ばした。

 

 そして外套へと仕舞い込んだ<エーブリエタースの先触れ>を意識して小さな<交信>を行い、その左腕にまるで花が咲くような、神秘の噴出をイメージ。そして力を込める。

 

 ……だがしかし、ルドウイークの左腕には何の変化も無い。

 

 本来<エーブリエタースの先触れ>を用いた<秘儀>は<先触れ>を通じて<エーブリエタース>本体と交信し、その力を借り受けて無数の触手を出現させるものだ。ルドウイークは数ある秘儀の中でも最も顕著に空間を超えるこの秘儀に、自らがヤーナムへと帰還するヒントがあるのではないかと考えた。

 

 しかし、実際の所はその試みは不発と言う形で失敗に終わった。すぐさま、ルドウイークはその失敗の理由を考察し始める。

 

 一つ。時間的、空間的にあまりにも隔絶していたが故。これはもはや根本的問題であり、これが原因だった場合解決の手段は無い。

 

 二つ。触媒の不足。本来、秘儀には触媒――――血液を練り込んだ水銀弾が、秘儀に応じた数だけ必要だ。正確に言えば、神秘に対する強い適性を持つ血液が必要で、水銀弾とは体外でそれを手っ取り早く用意する手段に過ぎない。

 

 そして、狩人達には自らの血と意志を触媒として水銀弾の代用として扱う事の出来る血液製の弾丸を用意する技能が存在する。当然、それはルドウイークも修めている業だが、その血液弾は時間が経つと崩れて使いものにならなくなってしまったり、その為に自身の体力を大きく削る必要があったりと何のリスクも無しに使用できる業では無い。

 

 故にルドウイークは、そこまでして()()()触媒を用意しようとは考えていなかった。むしろ彼は、何かこの世界の品で水銀弾の代わりの触媒となる物が無いか、その可能性を模索している。

 

 その第一候補がダンジョンにてもっとも一般的な資源――――【魔石】だ。

 

 魔石はモンスター達が存在するための核となっている魔力の詰まった結晶の総称で、その大きさや内封されている魔力に差はあるが、おおよそ、強いモンスターであればある程その大きさも内包される魔力も跳ねあがってゆく。

 

 故に、強いモンスターが現れる下層に向かう事が出来る様になるに従って、魔石の換金を主な金銭の入手手段とする冒険者たちの稼ぎの量は飛躍的に高まって行くのだそうだ。さらに、モンスターは魔石を抜きとられたり、破壊されたりするとその場で黒い塵となって消滅する。その現象こそが魔石が彼らの核であるという説の証明にもなっている。

 

 それゆえに、窮地に陥った冒険者が全てを賭けた一撃でモンスターの魔石を破壊し、それによって奇跡的に生還する――――そんな類の話はオラリオでは有り触れた話だ。もっとも、実際にはそれを成せず死んでいった冒険者の方が遥かに多いのだろうが。

 

 そう言った情報をエリスやニールセンから得たルドウイークが、ひとまずその魔石を触媒にして秘儀の発動か可能かどうか試そうとするのは、ある意味自然な発想だったと言えるだろう。

 

 ルドウイークは精霊との交信を丁寧に切断し、今度はモンスターの姿を探してダンジョンを歩き出した。まずは、彼らのその強さの程を丁寧に確かめる必要がある。今朝のエリスの喜びようからして遅れなど取らないはずであるが、あの獣の跳梁跋扈するヤーナム、そして未知のひしめく聖杯ダンジョンを踏破したルドウイークは格上が格下によって無惨に殺される事など、よくある事だと知っている。

 

 むしろ、格上に勝つのが相当難しい事だとされるこのオラリオの常識はルドウイークの肌に余り馴染むものでは無かった。何せ彼ら狩人は時に、人を遥かに上回る膂力、狩人さえ到底及ばぬ敏捷性、恐るべき能力による搦め手と言った、自身よりも遥かに強大な能力を持つ獣を相手に打ち勝ってきたのだから。

 

 するとその時、ルドウイークの目前で壁が崩れ、中から一匹の【ゴブリン】が生まれ落ちた。壁から転がり出たそのゴブリンは起き上がると、近くに居たルドウイークに対して大きな口を開け、咆哮して見せる。それをルドウイークは光纏わぬ月光で頭から真っ二つにして殺した。

 

 幸運にも、何が起こったかさえ理解できなかったであろうゴブリンの死体は、ルドウイークが剣を振り下ろし終えてからしばらくして思い出したかのように重力に引かれて崩れ落ちる。

 

 その様を真剣に見届けたルドウイークはその体から魔石を取り出そうと短刀を抜き屈みこんだが、その前にゴブリンの死体は黒いすすのように崩れ落ちて消えてしまい、そこには粒ほどまで砕かれた魔石の欠片のみが残された。それを見たルドウイークは、複雑そうな顔で顎に手をやって少し悩んだ。

 

 ――――輝きを纏ってはいなかったが、それでも強すぎたか。

 

 次はもう少し力を抜こうと決心したルドウイークは、曲がり角から現れた【コボルト】の胴体を光纏わぬ月光で貫き、胸ごと魔石を吹き飛ばして殺した。

 

「ふむ……」

 

 上手く行かぬ。嘗て獣と戦っている時は、いかにして素早くその命を奪い葬送を成すかが肝要であり、わざわざ弱点へ攻撃せずに戦うなどと言う発想自体が想像の埒外であった。故に、どうしても致命に足る一撃を放とうとしてしまい、それが災いして入手するべき魔石を破壊してしまっている。

 

 ……ならば、次は剣の背を打ち付ける事による撲殺を狙うべきか。真剣に悩むルドウイークの前に、今度は二体のゴブリンが姿を現す。ルドウイークは月光を構え、無慈悲に無知なる彼らへと飛びかかった。『試行錯誤』が始まった。

 

 

 

 

<◎>

 

 

 

 それから四時間ほど経って、両手の手甲を血で真っ赤に染めたルドウイークは第一階層の更に端を目指していた。

 

 そもそも、輝きを纏わせずともこの階層の敵に対して<月光>による攻撃は威力過剰であると気づく頃には、その背嚢にはモンスター達が低確率で落とす素材、俗にいう所の【ドロップアイテム】がそれなりに溜まり、初めてダンジョンに潜る冒険者が稼ぐ金額としては十分過ぎるほどの稼ぎを得る事が出来ていた。

 

 故にルドウイークは今回の探索をこの程度にして帰還する事を選択する。本来であれば、魔石を使っての秘儀の発動の可否を試すつもりであったのだが、明らかに切迫していたエリス神の金銭事情を鑑みて、今回は金銭的な報酬の入手へと彼は舵を取ったのだ。

 が、その前に秘儀とは別にもう一つ試さねばならぬ事を思い立ち、より人目の無いであろう場所を目指してルドウイークは歩みを進めている。

 

『ガアアアッ!』

 

 飛びかかって来たゴブリンの頭蓋にかつての同業、<のろま>と呼ばれた女狩人の如き拳を叩き込んで昏倒させたルドウイークは、その胸元に短刀を突き刺し魔石を引き抜いてからまた歩き出す。その後ろで、ゴブリンの骸がまた黒いすすのような物へと変わって崩れ落ちた。

 

 この第一層の危険性は、ルドウイークからすれば聖杯の一つ、<トゥメル>の最も浅い層にも等しいものであった。ゴブリン、コボルト、彼にとってはどちらも恐るるに足るものでは無い。

 

 また、本来ルドウイークは月光の聖剣以外にも自らの名を冠した長剣を有し、平時はそれを操る事で月光の露出を極力抑えてきた。しかし、此度は全くの未知なる世界における初めての狩り。

 故に彼は狩人の鉄則の一つである『獣に対し手を抜くべからず』と言う警句に忠実に、真の姿こそ晒さぬものの月光を振るいながら迷宮を駆け抜ける事で既に百に届こうかという数のモンスターを殺害していた。

 

 最終的に、彼はこの第一層においては月光を抜く必要性は無く、鍛え抜かれた狩人の身体能力のみで如何様にもなると判断した。その為、既に一時間以上月光はその背に負われたままだ。

 

 そのうちルドウイークの歩みは行き止まりへと辿り付いた事で終わりを告げる。そこで彼は周囲を注意深く観察して近くに誰も居ない事を確認すると、月光を抜いて、その背をゆっくりと掌で撫ぜた。

 

 だが、そこに導きたる光刃が現れる事は無い。月光は担い手であるルドウイークの意思以上に、時と場所、そして相手を選ぶ。かつてもそうであった。月光がその真の姿を晒すのを許すのは多くの場合、凄まじき強敵と対峙した時や、それを振るう以外に切り抜けようが無い窮地など、ごく僅かな機会のみであった。

 

 しかし、それでもルドウイークはこの月光の聖剣を深く使いこなしている。それはその導きゆえか、あるいは、彼が探索の中で得てきた啓蒙がそうさせるのか。その答えはルドウイークさえも知らぬ。

 

 分かっているのは、宇宙よりの色、翡翠色の光刃を纏った月光は正しく純粋な神秘の塊であり、物理に拠らぬ何らかの法則で敵を薙ぐ力を得る事。そして<秘儀>に類似した数多の技の発動を可能とする、と言う事だ。この数多の技……<戦技>とも呼ぶべきそれは、秘儀と良く似たものであるにもかかわらず、ルドウイークが触媒を必要とする事は無かった。

 

 ルドウイークはその理由を、自らの強く神秘への適性を持つ血の成せる業か、あるいは昏い夜の中でこの月光と結んだ(えにし)による物だと考えている。だが、真実はまたしても不明瞭なままだ。それだけではない、この月光の聖剣は、持ち主であるルドウイークでさえ知らぬ秘密が無数にある。

 

 だが、未知の塊であるはずの月光の聖剣に対し、ルドウイークは絶大な信頼を置いて来た。

 しかしあの<時計塔>或いは<実験棟>での探索で事情は変わってしまった。あの、<医療教会>の闇の中で垣間見た導きの真実の一端。それによって心の軋んだルドウイークは時計塔の頂点に座した友に自らの長銃を砕かれ、長剣を折られ、最後には首を抉られて<死体溜り>へと落ちる事になったのだ。

 

 それでも、導きの月光は彼と共にあり、あの悪夢の中でも人を取り戻した獣によって確かに振るわれた。故に、ルドウイークは未だに月光を背負いゆく。それが正しかったのか、間違っていたのか。未だにその答えは暗い夜の中に隠れて見通せぬ。

 

 しかし、その導きを信じたが故に救えたものが、確かにあったのだから。

 

 しばらくその場で月光の聖剣、その芯たる大剣を眺めていたルドウイークは、輝きを見せることの無かったそれを流れるように背に戻して、帰路に就くべく踵を返した。

 

 ――――その時、突然彼の周囲を囲むように四体のコボルトが生まれ落ちる。その瞬間から既に目の前のルドウイークを認識していたコボルトたちは着地と同時に間髪入れず、それぞれの鋭い爪を閃かせルドウイークに飛びかかった。

 

 しかし、それをルドウイークは容易く把握して回避する。彼は最も近くのコボルトへと跳ね飛び、その爪が振り下ろされる前に手首を掴み取って思い切り地面に叩きつけた。

 次に真正面から迫るコボルトが爪を振るうがその瞬間にはルドウイークは爪の軌跡より一歩外側に立っており、爪が振り抜かれ隙が生まれた時には低空の跳躍を見せたルドウイークの槍じみた蹴りがその顔面を射抜いていた。

 

『ギャンッ!』

 

 その蹴りの威力に宙を舞ったコボルトが壁に叩きつけられ悲鳴を上げる。それを見て激昂したもう二体はここぞとばかりに前後から同時に襲い掛かった。

 

 そこでルドウイークは左足を大きく後ろに下げつつその勢いで上体を回転させ、後方のコボルトの下あごに思い切り裏拳を叩き込んて空中できりもみ回転させた後、自身の回転の勢いをさらに強め、正面に居たコボルトの肋に後ろ回し蹴りじみて踵を叩き込んだ。

 悲鳴を上げることも出来ずに二体のコボルトは勢い良く地面に叩きつけられ、ピクピクと泡を吹いて痙攣する。

 

 その様子を見てルドウイークは淡々と短刀を取り出して彼らから魔石を抜き取ると、それを背嚢へと放り込んで何事も無かったかのようにその場を後にするのだった。

 

 

 

<◎>

 

 

 

 地上に出たルドウイークは、夕暮れの陽を浴び景色の一変したオラリオで早速道に迷い、本来かかる時間の倍の時間をかけてようやく【ギルド】への帰還を果たした。そこには昼と違って、換金の順番を待つ者やそれぞれの相手と談笑するもの、ソファーで居眠りをする者など、多くの冒険者がたむろしていた。

 

 彼らに見咎められぬよう手甲を外し背嚢に放り込んだ後、周囲を興味深そうに眺めながらルドウイークも此度の探索の成果を換金するために換金所に並ぶ列の後ろへと並ぼうとした。しかしその前に一人の受付嬢が立ち塞がる。

 

「戻ったかルドウイーク。壮健そうで何よりだ」

「お陰様でな、ニールセン。あの短刀と地図は大層役に立った。改めて、礼を言わせてもらおう」

 

 そう言って、ルドウイークは大仰な礼をして感謝の意を示した。しかし、それが一気に衆目の視線を集めた事でニールセンは何とも言えぬ気持ちになって、ルドウイークの襟を引っ掴んで受付の隅にあるソファーへと引きずって行った。

 

「……まったく。お前には羞恥心という奴が無いのか? 目立つ事に無頓着すぎる。巻き込まれる身にもなってみろ、生きた心地がしなかったぞ」

 

 ルドウイークはその言葉に、かつてヤーナムの市井より募った狩人達の先頭に立って、彼らを指揮していた時代の事を思い出した。あの時代、獣の叫びに負けぬ程の大声を上げつつも自ら先頭に立って彼らを鼓舞し、そして皆で多くの獣を狩っていた。当時が恐らく、狩人達の犠牲が最も少なかった時代に違いない。

 

「生きた心地、か…………実際に死ぬよりはマシだろう。とりあえず、まずは換金に行かせてくれ。魔石の引き取り額によっては、この短刀やらの借金をそれなりに返せるかもしれない」

「ほう? 初めてのダンジョン、しかも半日程しか潜っていなかった割には言うじゃないか」

「いや、運が良かったお陰だ。次はこうもうまくは行かないだろう」

「ふむ……謙虚なのは良い事だ。これからもその調子で、うまい事やっていってくれ。それ、人も捌け始めたし、さっさと換金を終えてくるといい。引き留めて悪かったな」

 

 それだけ言い残すと、ニールセンは立ち上がって受付の奥へと向かって行く。だが、昼のルドウイークがそうしたように途中で踵を返して戻ってくると、その厳格そうな雰囲気とは打って変わって、何処かいたずらっぽく笑って言った。

 

「一つ言い忘れていたがな、エリスにはどれだけ稼げたか…………そうだな、5000ヴァリス以上稼げていたようなら、少し少なめの金額を申告しておくといい。正直に伝えると泡を吹いて倒れて、しまいには自分も冒険者になるだとか騒ぎだすぞ」

「…………忠告、痛み入る。一応、心に留めておこう」

 

 ルドウイークの返答を聞いて満足そうにしたニールセンは、今度こそ受付の奥へと消えて行った。ルドウイークもそれを見送った後すぐに立ち上がると先程から随分と短くなった換金所の列へと並んで、黙って自身の順番を待つのであった。

 

 

 

<◎>

 

 

 

 ギルドから出たルドウイークは、真っ直ぐエリスの家に戻る事は無く、当てもなく大通りやその一つ裏の通りをうろつくなど、何処か気ままにその日の夜を過ごしていた。

 

 その理由はギルドで行った換金にあった。ニールセンは5000と言っていたが、実際にはドロップアイテムが大層手に入ったおかげで合計した金額は7000を越え、このままの金額を丸々持ち帰るとエリスの精神衛生上に良くない影響を与えるとルドウイークは判断したからだ。

 

 この金をどうしたものか。その使い道を考えながら、ルドウイークはオラリオの通りを当ても無く彷徨う。だがしかし、自身がオラリオに詳しくも無く、かつ文字を読めないことをすっかり失念していたルドウイークは結局上手い使い道を思いつくことも無く、かといって人に聞くことも出来ずにただただ街の喧騒をすり抜け、時に立ち止まってそれを眺めるばかりだ。

 

 確かに、こうして夜となっても人々の活気が溢れる街と言うのは、とても新鮮で、いいものだとは思うのだが……ニールセンに【鴉の止り木】とやらの場所だけでも確認しておくべきだったな……。

 

 彼がそう一人ごちて、一旦ギルドへ戻ってそこからエリスの家へと向かおうかとした時、行き交う人々を捉えていたその視界の端に、ありうべからざる細い光が映る。

 

 ――――光の糸。月光の齎す、導きの輝き。

 

 その導きは、今までルドウイークが見た導きの中でも最も緩く、か細い糸であった。

 真に必要な時、導きの糸はルドウイークを強く強くそちらへと導き、運命へと手繰り寄せる。だが今宵見たそれは、そんな抗いがたいようなモノなどどこにも無い、揺蕩う一本の細い糸であった。

 

 しかし、それをルドウイークは追わずには居られない。

 

 その先に何があるのか、誰かが自分を待っているのか。あるいは何かが起こるのか、起こっているのか。誰かが助けを求めていたこともあった。自身が戦わねばならぬ獣が待ち受けていた事もあった。故に、ルドウイークは導きを追う。

 窮地に陥って居る者がいるのか、あるいは、ヤーナムへの帰還の他がかりがそこにあるのやも知れぬ……!

 

 そんな焦燥感と共にルドウイークは足早に人ごみをかき分けて、大通りから路地へと飛び込む。しかし、その時には既に導きは姿を消し、そこに残されたのは大通りの魔石灯に僅かに照らされる自身のみであった。彼は首を巡らせ導きの糸を探してみるが、最早影も形も無い。

 

 その事実にようやく気付いて、認めて、ルドウイークは残念そうに肩を落とした。

 

「ヘイ! そこの上から下まで真っ白な服の君! ちょっといいかい!?」

 

 その落胆した背中に間髪入れず、場違いとも言えるほどに明るい少女の声がかけられた。だがルドウイークはそれを自分に向けてのものとは考えず、そちらへ振り向きはしない。それに痺れを切らしてか、声の主はどこか切実な声色でルドウイークへと呼びかけた。

 

「君だよ君、そこのビックリするくらいガタイのいい君!」

「……私かね?」

 

 そこまで言われて、ようやくルドウイークは首を巡らせる。その視線の先に居たのは、小柄な人影。大通りの魔石灯の光が逆光になって、その姿は判別しづらい。だが、その身から溢れる神威と先ほどの声から、辛うじてその人影が女神である事はルドウイークにも理解できた。

 

「君さ、さっきからその辺を行ったり来たり! と思ったら突然走り出してこんな路地に飛び込んじゃって! 何か悩みでもあるのかい? ボクでよければ、話し相手になってあげてもいいぜ!」

 

 そう、朗らかに言う女神は嘘をついているようにはルドウイークには思えなかった。だが真実を語る訳には行かぬ。故にルドウイークはその女神を誤魔化そうと、出まかせを口にする事にした。

 

「…………いや、特に何も。人混みは苦手でね、少し落ち着きたくなっただけだ」

「嘘だね」

 

 そのルドウイークの杜撰な嘘は、即座に看破された。

 

「流石に、そこまであからさまに嘘吐かれるとは思わなかったよ! でも、ボクはただの女の子じゃなくて神様だからね、それくらいすぐ解っちゃうのさ」

「…………しまったな」

 

 そこでようやく神に嘘が通じぬ事をルドウイークは思い出し、苦々しく眉間に皺を寄せた。そんな彼の様子を見かねて、その小柄な神はルドウイークの元へとぱたぱたと足音を立てて走り寄って来た。

 

 近くに来て、ルドウイークの目にもその女神の姿形がようやく見出す事が出来た。エリス神とは対照的な黒い髪を左右対称に結い、またしても彼女と真逆の肌を多く露出した丈の短い白のドレス。そして、二の腕に結ばれた青いリボンに支えられたその胸は、エリス神とは比べ物にならぬ程豊満であった。

 その女神はまた一歩ルドウイークの方へと近寄って、上目遣いにその眼を見て笑いながら自己紹介した。

 

「まぁ、いきなり声を掛けたのも悪かったかな? ボクは【ヘスティア】。【ヘスティア・ファミリア】の主神をやってるんだ。君は?」

「<ルドウイーク>だ」

「ルドウ()ーク?」

「ルドウ()ークだ」

「ああ、ごめんごめん。ちょっと言いづらくてさ」

「……何故なんだかな。皆、同じ事を言う」

 

 このオラリオに来て僅かな間に全く同じやり取りを何度も経験したルドウイークは、流石にそろそろうんざりして悩ましげに呟いた。しかし、ヘスティアはそんな彼のつぶやきも気にする事無くさらに彼に歩み寄り、彼を見上げて小首を傾げた。

 

「ところで、話は戻るけどさ。こんな所で何してたんだい? 路地裏って、何だかんだ危ないからね。夜踏み込むのはやめた方がいいぜ」

「…………少し、探し物があってな。内容は言えないが、大事なものなんだ」

「ふぅん。それって、すぐ見つかるような物なのかい?」

「いや、そうそう見つかるようなものでも無い。ともすれば、永遠にな」

 

 神は嘘を見抜くが、その裏にある真実までは見通せぬ。そのルールを既に理解していたルドウイークは、先ほどの二の轍を踏まぬよう皮肉めいた言葉廻しで、嘘を吐かぬように慎重に答える。その彼の言葉に、ヘスティアは何の違和感も持たなかったように腕を組んでうんうんと唸った。

 

「探し物かー……ある意味じゃあ、ボクと同じだね」

「同じ?」

「実はボクは今、【ファミリア】に入ってくれる子を探しててね…………もし君さえ良ければ、ウチの【ファミリア】に来ないかい? まだ作ったばっかの【ファミリア】なんだけど、寝床くらいは保証してあげられるぜ?」

 

 悪意の欠片も見せず、ウインクをして親指を立てるヘスティア。その誠実さの伝わる有りようは、ルドウイークにとって実に好ましい物だった。しかし、既にエリスと言う主神を戴くルドウイークはその誘いに残念そうに首を振る。

 

「申し出はあり難いが……私は既に【ファミリア】に所属していてね。残念だが、主神の許可も得ずに他の【ファミリア】の【本拠地(ホーム)】に足を踏み入れるのもまずいだろう」

「えっ、君、もう【ファミリア】には入ってるのかい!? 当てもなくふらついてる感じだったから、オラリオに来て日が浅くてどの【ファミリア】に入ろうか迷ってるのかな、って思ったんだけど………………」

「……確かに、私は今日でこの街は二日目だ。ヘスティア神、貴女は素晴らしい慧眼を持っていると言っていいだろう」

「えっ、そうかい? いやー、そう褒められると照れちゃうなぁ~」

 

 心からの賛美を受け取って、本当に照れくさそうに頭に手をやりどこか誇らしげにするヘスティア。それを見て、ルドウイークはどこか自身の主神に通じるものを感じ、思わず小さく笑った。

 

「神々と言うのは、本当に楽し気で愉快な者たちだな。ウチのエリス神も、貴女のようにもっと素直ならいいのだが」

「エリスぅ?」

 

 ルドウイークの口から出た名前にヘスティアは一瞬眉を寄せて、それから何がしかを思案するように口元に手をやり小さく唸った。

 

「そっかぁ、エリスかぁ…………ルドウイーク君、良ければあいつに、よろしく言っておいてもらっていいかな? 実はあいつとは同郷でさ。ボクよりずっと先に地上に降りたのは知ってたんだけど、あいつもオラリオで【ファミリア】の主神やってたんだね」

「ふむ……わかった。彼女にはヘスティア神がよろしく言っておいてくれと言っていたと伝えておく」

「うん、頼んだよ。じゃ、ボクはここで失礼させてもらおうかな。早くボクの【ファミリア】に入ってくれる子を探さないと! それじゃあね!」

 

 それだけ言い残すと彼女は手を大きく振りながら大通りへと向け小走りに立ち去って行った。その姿が視界から消えるのを待ってルドウイークは小さく振っていた手を下ろし、つぶやく。

 

「ヘスティア神、か…………」

 

 エリス神とは違う意味で、愉快な神だったな。人混みに紛れて行ったその後姿を想起しながら、ルドウイークはそんな事を考える。そして、その裏にあるもう一つの思考。もしや、彼女との出会いが、導きの意図したものだったのだろうか?

 

 だとすれば、今私とヘスティア神が出会った事に、何の意味がある?

 

 立ち尽くしながら、しばらく幾つもの可能性を脳裏に巡らせていたルドウイーク。しかし、結局は有力そうな答えを思いつかず、一先ずギルドへと戻る事にするのだった。

 

 

 

<◎>

 

 

 

「あ、ルドウイーク! おかえりなさい、ずいぶん遅かったですね」

 

 ダイダロス通りの端、大通りからすぐの場所にある家の居間で、エリスはルドウイークの帰りを歓迎した。しかしそれに対して、ルドウイークは困惑したような視線を向け、彼女の目を睨みつける。その視線に押されて、エリス神は一歩後ずさった。

 

「えっと……私の顔にゴミでも付いてます?」

「エリス神」

「はい?」

「ここから通りまで、朝は五分ほどで辿りついたな?」

「ええ、はい。それが何か?」

「通りからここまで、三十分以上かかった。これは一体いかなる神秘だ? もし理由を知っているのなら、その秘密を教えて貰えるかね?」

 

 不思議そうに、しかしどこか威圧的に尋ねるルドウイークに、エリス神はしまったと言わんばかりに口元を隠した。

 

 ダイダロス通りはその設計者である奇人ダイダロスによる度重なる区画整理によってもはや複雑怪奇な真なる迷宮と化しており、慣れ親しんだ者でなければまず遭難する。むしろ、ルドウイークが三十分程度で辿り付けたのが奇跡的な事なのだ。

 

 だが、その真実を伝えようと言う想いなどエリスには無く。彼女はこの後の事を考え、ルドウイークに糾弾されるのは少し嫌だなと考えて姑息にも開き直って誤魔化す事にした。

 

「いえ知りませんけど? ルドウイーク、単に道を間違えたんじゃないですかね? 仕方ない人ですねえ、明日、私がこの辺を案内してあげますのであり難く思ってください」

「ぬう……わかった。地理を知らぬというのは、間違いなく困るからな……よろしく頼む」

「ええ。分かればよろしいです」

 

 普段と変わらぬ顔でそう答え、咄嗟に恩を売る事にまで成功したエリスは心の底で盛大にガッツポーズした。一方ルドウイークは、不服そうな顔でソファに腰掛け背負っていた背嚢を机の上に放り、そして月光の聖剣を下ろしてソファの後ろに立てかけた。

 

「おっと、それが今日の収穫ですか? 拝見しても?」

「ああ」

 

 心うきうきと言った様子で、エリスは背嚢を開き、机の上に詰められていたヴァリス硬貨をざらざらと放り出す。その大きさを揃え、重ね、そして数え終えたエリスは、満足そうな満面の笑みを浮かべ、硬貨を別の袋にジャラジャラと移し替えた。

 

「4000ヴァリスとは……初めてにしてはすごいですよ! まあ、ちょっと時間の割には少ないんですけど、最初の探索でこれなら十分です! あーよかった、これでしばらく食いつなげますよ……」

 

 どこか安堵したようにエリスは胸を撫で下ろす。ルドウイークはその姿を見て、ニールセンの言葉を思い出す。彼は自身の外套の雑嚢の一つに本来の換金額との差額、3000ヴァリスを仕舞い込んで誤魔化していたのだが、今回はそれをエリス神に教えるつもりは無かった。

 

 その内、実際の報酬に小出しに足していけばいいだろう。そう独りごちている内に、エリス神は部屋の隅に置かれていた包みを手に取って、また彼の向かいのソファーに腰を掛けた。

 

「エリス神、何だねその包みは?」

「気になりますか? ふふふ、実はですね……」

 

 ルドウイークに問われたエリスはその反応を待っていたとばかりに笑い、包みの結び目に手をかけ一気にそれを解いた。

 

「おお、これは……」

「ええ、見てください! 【鴉の止り木】亭自慢の品の数々です!」

 

 そこには、湯気こそ立っていないものの、<ヤーナム>ではまず見る事の出来なかった美味であろう料理の数々がひしめいていた。

 

「この揚げ物は何だね?」

「それは【じゃが丸くん】です! それだけは私が買ってきました!」

「この肉は? ここまで脂の滴る肉はヤーナムには無かった」

「これは【鴉の止り木】亭名物の……名前は忘れちゃったんですけど、豚肉をなんかいろんなものを入れた脂の中で何かいろいろして、表面をきれいに焦がした物です! 味に関しては保証しますよ!」

「説明が下手では?」

「はいそこ茶々を入れないで下さい! ……それで、こちらのパンは【鴉の止り木】で料理やってる神が丹精込めて焼いた品で、第二の名物と呼ばれています! 正直私も頂けるなんて思ってませんでした!」

「神の作った食事か、興味があるな…………しかしエリス神。懐が寂しかっただろうに、どうやってこれほどの品を?」

 

 ルドウイークがそうエリスに尋ねると、彼女は誇らし気に腕を組んで笑い、その顛末を語り出した。

 

「いえ、実は今日働いてる時に、私の【眷族】が初めてのダンジョン探索に出かけたって言うのをそれとなく同僚の子に伝えたんですよ。そしたら彼は私の目論見通り、料理担当に話を通してくれたみたいで帰りに頂いたんです! 持つべきものは情の深い知り合いですね…………」

「……………………エリス神。いろいろ言いたい事は有るが、とりあえず後で【鴉の止り木】の場所を教えてくれ。謝罪したい」

「なんでですか!?」

「当然だろう……」

 

 呆れたように呟くルドウイークに、エリスは全く訳が分からないという風に声を荒げた。それを見て、ダンジョンに潜る前にニールセンが『苦労するだろう?』と言っていた事を思い出してルドウイークは顔を覆う。その様子を見て、しかしエリスは気にせず机の上に皿を並べ、上機嫌そうにルドウイークの分の料理を取り分け彼の前に差し出した。

 

「そんな複雑そうな顔しないで下さい! とりあえず、今夜は貴方がダンジョンから無事帰ってきたお祝いです! お酒は無いのが残念ですが、とりあえず食べて食べて食べまくりましょう! あ、でも明日のご飯もこれでどうにかするので食べ切りはしないようにして下さいね!」

 

 その満面の笑みに、先程まで憮然としていたルドウイークは一つ溜息を吐き、それから素直にその皿を手にとって、小さく微笑んだ。

 

「…………ああ、そうだな。ありがとうエリス神。私の為にこの食事を用意してくれたのは、素直に嬉しいよ」

「いやぁ~それほどでも…………さ、いただきますして、食べ始めましょう?」

「ああ……いや、そう言えば一つ伝えるのを忘れていた」

「なんです?」

「ヘスティア神からの言伝でな、『エリスによろしく伝えておいてくれ』と」

「んなっ!?」

 

 それを聞いて、エリスの顔にさっと朱が差す。そして、彼女はルドウイークを問い詰めるように身を乗り出し、矢継ぎ早に質問を繰りだして来た。

 

「何処で会ったんですか!?」

「確か、ギルドのある通りと、酒場や宿が密集している通りの近くだったかね」

「あいつ、【ヘファイストス】の所でぐーたらしてるんじゃなかったんですか!?」

「知らんが、【ファミリア】を作ったと言っていたぞ」

「なんですって!? あのおせっかい焼きめ……! 天界では、何度あいつに私の楽しみを阻止されたことか……! ずっとヘファイストスの所で駄女神やってればよかったのに!」

「何でも【ファミリア】にまだ誰も所属していないらしくてな。【眷族】にならないか誘われたよ」

「なんて答えたんですか!?」

「断ったよ。私の神はエリス神だからな」

 

 それを聞いてエリスは一瞬顔を真っ赤にした後、自身の頬を両手で張って少しクールダウンし、胸を撫で下ろしながらソファに戻った。

 

「で、ですよね……と言うか、あいつ誰も【眷族】が居ないんですって?」

「本人はそう言っていたよ」

「あっ、ふーん…………じゃあいいです。今度会ったら鼻で笑ってやりますので」

「……まぁ、それは貴女たちの問題だ、好きにしてくれ」

 

 呆れてぞんざいな答えを返したルドウイークに気付く事も無く、エリスは熱の籠った瞳でぶつぶつと何やら呟いている。それを見たルドウイークは、今度はこれ見よがしに大きな溜息を吐いた。

 

「エリス神、そろそろ食事にしてもいいかね? これ以上冷めるのはちとうまくないぞ」

「……えっ、あっすみません。それじゃあ食事にしましょう!」

 

 言ってエリスは目を閉じ、食事に対して小さく祈りを捧げた。ルドウイークもそれに倣って目を閉じる。

 

 その瞼の裏に、この世界に来てからのいくつかの光景が浮かんでは消えて行った。初めて窓から眺めた、この街の賑やかな夜景。コロコロ表情を変える【ファミリア】の主神エリス。人々の行き交う大通り。皮肉っぽい笑みの【ギルド】の受付嬢ニールセン。星空の如く煌めく【迷宮】の天井。見ず知らずの相手にも明るく振る舞うヘスティア神。

 

 ヤーナムに居た頃は、この様な友好的な人付き合いなどほんの限られた者としか出来ないのだと思っていた。しかし、まだ二度目の夜も越えぬうちにこうなのだ。これから、自分はこの街で、どのような経験をしてゆくのだろう? どのような者達と出会って行くのだろう? そして、ヤーナムへと戻る事は出来るのだろうか……いや。

 

 ――――その時が来たとして、自分はヤーナムに戻りたいと思うのだろうか?

 

 ルドウイークは頭を振ってその考えを脳裏から追い出した。その姿に既にパンを頬張ろうとしていたエリスが不思議そうな目で彼を見つめている。

 

 ……ひとまず、エリス神に出会えたのは幸運だったな。

 

 彼女の顔を見たルドウイークは何となく満足げに笑い、自らも食事へと手を伸ばすのだった。

 

 

 




やっぱ原作キャラの口調エミュレイションが甘い気がする……もっと読み込まなきゃ(使命感)

それはそうととりあえず一区切りです。
考えてはあるので筆が乗れば続きも書くと思います(気分次第)

好きなフロムゲーのおじいちゃんはファットマン(すべてがすき)、一心様(宗教上の理由で声にやられた)、ゲールマン(とても楽しかった)です。

今話も読んでいただき、ありがとうございました。

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