「さて、北側に着いたがどうする?」
「取り敢えず手分けして捜す?」
「それでいいだろ」
「では二手に分かれるか?」
「そうだな」
「じゃあ……俺とレン、アリスとレティシアでどうだ?」
「了解だ」
「それじゃあ、解散」
八幡達は北側に着くと二手に分かれて十六夜達を捜しに出た。
* * *
二手に分かれて探索を始めてから数分が経過した頃。
「レン、せっかく北側に来たんだ。逆廻達捜しながら観光しよう」
「大丈夫なの?」
「問題ないだろ。さっきアリスの居場所を把握したら動きが止まったから多分久遠か春日部のどっちが捕まったと思う。今はゆっくり進行している。それに、逆廻が此処まで来て素直に高まると思うか?」
「思わない」
「だろ?だから何かしら騒動が起きてから捉える。それまでは観光だ」
「うん。分かった」
それからは暫く商店街を見て、食べ歩きをしたりなどしていた。すると、ふらふらと八幡達の前を歩く子連れの女性が居た。危なっかしいなと思った八幡が近づいた時女性が倒れそうになり八幡が支えた。
「おっと、大丈夫ですか?」
「あ、す、すみません」
「……レン、何か食い物と飲み物を買ってきてくれないか」
「分かったよ」
八幡は女性を支えた時に何かに気付きレンに食べる物と飲み物を買ってくるように要求した。買い出しに行って暫くしてレンが帰ってきた。
「おう、サンキュー。どうぞ」
「え、でも私お金が……」
「顔色も悪く体温も低い、それにかなり軽いです。多分ですけど此処最近まともな食事をしていないのではないんですか?」
「……えぇ、此処最近はほとんど食べ物を口にしていなくて」
「なら遠慮なくどうぞ」
「ごめんなさい。……お金の殆どはこの子の為に使ってしまっていつか必ず返すわ」
「いえ、それに関しては大丈夫です。……ところでそんな状態でどうして外に出ていたんですか」
「……私、此処の建物や街並みが好きなんです。だから、この子にもこの街並みを見せたくて」
「まるで自分の最後みたいな言い方だね」
「そう、なのかも知れないわね。お金も底をついて、私自身もう体が辛くなって来た。近いうち、本当に最後になるかもしねないわね」
「今更なんですけど、貴女のコミュニティは?」
「コミュニティ"フェンリル"半年程前、魔王との激闘で壊滅したわ」
「ッ!すみません。思い出したくもないことを」
「コミュニティ"フェンリル"って、確か魔王フェンリルのコミュニティだったはず……」
「ええ、魔王同士の旗の奪い合い。それに負けて私はこの子と放浪状態ってところね」
「そうですか……」
過去の事を思い出し懐かしむような顔をする女性を見て、レンが八幡に問いかけた。
「……八幡」
「ん?なんだレン?」
「この人、"ノーネーム"に勧誘しない?」
「……そう、だな。すみません、良かったら俺達のコミュニティ"ノーネーム"に来ませんか?まだ、復興途中で苦しくはありますが仲間達は多分貴女とお子さんを歓迎してくれますよ」
「……勧誘、ありがとう。でも、私は夫のいた"フェンリル"が今もなお心にあるから遠慮するわ。ごめんなさいね」
「いえ、俺達の仲間も貴女と同じ思いの奴がいましたから」
「うん。痛いほど分かる」
「食べ物どうもありがとう。最後に貴方達の名前を聞いてもいいかしら?」
「比企谷八幡です」
「レン・ライトです」
「比企谷君、レンさんありがとう。私は、セロ。この子は神牙よ。……じゃあ私たちはもう少し観光するわ、さよなら」
「ええ、さよなら」
「体に気をつけて」
そう言って、セロは神牙を背負って商店街を進んで行った。
二人を見送った八幡達はこれからどうするかを話しいた。
「さて、どうするか」
「うん、特に問題も起きなかったね」
「予想が外れたか……」
と、話していたら少し離れたところでざわざわと声が聞こえて来た。
「月の兎がいるってよ」
「月の兎が?こんな下層に?」
「ああ、なんでも人間とギフトゲームをしているとか」
「月の兎だってよ、八幡」
「やっぱなんかやらかしたな」
「行く?」
「勿論」
人が集まっているところに向かうっているとき、八幡は強烈な憎悪や悪意を感じ直様振り向いたが結局、誰だか分からなかった。
「どうしたの?」
「いや、何でもない。行くぞ」
「……うん」
そして、近くまで来たとき瓦礫が崩れる音がしたので、更に素早く移動して目的地に着いたら破壊された建物と包囲されている十六夜達の姿があった。
「……遅かった」
「そうだね。遅かったね」
「とりあえず、逆廻達が連行されたらついて行こう」
「説得と謝罪が必要だね」
「「はぁ……」」
二人はこれからのことを考えてため息をつくのだった。