将軍のプリン食ったら謹慎くらいました。

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無期限休業は有給もらえますか

「あっしを呼びたきゃ「将軍職」空けとけって神谷さんにでもいっといで、野郎ども」

 

どごすっという鈍い音が響き、振り払われた男たちはぎゃあと悲鳴をあげて尻もちをついた。そしてくしゃくしゃに丸められた書状を投げつけられるのを見て、勘弁してくださいよ隊長、おれら人員と時間と給料割いてきてんのに首にさせたいんすか!と叫ぶ。

 

男は豪快に笑った。ちり紙代わりに使われた形跡を見て、ますます青ざめる。ぎゃあ、きたねえ、鬼だ、あんた鬼だ!つーか一人勝手に隠居生活気取ってんじゃねーよ、この野郎!と叫ぶ。忘れたのかい、と男はいう。

 

「悪法も法ってどっかのお偉いさんが言ってたそうじゃないか、お前ら。恭順派になった時点でいつかは覚悟しなきゃいけねえってことよ。まあお手本ってことだ」

 

じゃあな。にぎぎぎ、と扉が閉められ、ご丁寧にも錠の音がした。隊員たちはどうするよこれ、と頭を抱えて門前払いを食った屋敷を呆然と見上げた。出直すか、おう。しょぼんとしたようすで去っていく声が聞こえる。ひとしきり笑った男は、ふい、とため息をついた。門に体を預ける。将軍が本当に望んでんなら、話は別なんだけどねえ、と軋む胸に苦笑いする。

 

どうせだますなら似せる努力くらいすればいいものを、なめられたものだねえ全く、とひとりごちる。そしたら、いくらでもだまされてやったのに。やがて失笑に変わった。茶の準備をしているであろう母に詫びを入れなければ、とお小言を頂戴しに、いそいそと玄関に消えた。

 

大見えきって何断ってるんですか、このニート!と上段蹴りで吹っ飛ばされたこの男の名前は、諸橋征二朗。三十路すぎで現在進行形で本職は無期限休止、事実上の無職である。

 

「なにすんだい、おふくろ」

 

「今まであなたにおんぶ抱っこされて私たちはこうやって悠々自適な生活をおくってきたわけですから、今働けすぐ働け骨砕けるまで働け!と思いながら、私は心を鬼にして

 言っているんです。道場継がなかったくせにいつまでもニーとできると思うなよ、このごく潰し」

 

「本音が出すぎてきれいさっぱり建前がなくなっちまってるよ、おふくろ。ったく、あっしの本能が叫ぶのさ、あいつらを追い出せと!どーせ神谷さんあたりの偽造文書っしょ?この前は署名、今度は解禁の書状、どこまでお人好しなんだか。下手に目立ったら、首が飛んじまうのは同じ癖に、馬鹿だよねえ」

 

「暇があったら、仕事お探しになったらどうかしら」

 

「・・・・・うす」

 

父は今日も朝からどこかでとばくをしているに違いない。とっくに定年退職した男だ。いいや、でかけるふりして茶屋でも顔だすか、と笑った。

 

どうもどんくさそうな男である。背は高いが、猫背。分厚いフレームなしの眼鏡をかけ、後ろを百均のヘアゴムで適当に縛っている。最近めっきり運動をしないものだから、腹が出てきてしまい、しぶしぶ鍛錬を再開したばかりだ。上から下までコンクロで統一した安物の着物と袴(汚れが目立ちにくいとひどく渋いものを着ている)。

 

はきならしたスニーカーを履いている。そんな諸橋は、途方に暮れていた。なんてことはない、飛んでいた紋白蝶を追っかけていたら、早々に道に迷っていたのである。本当にどうしようもないあほである。

 

「だいじょうぶですか?」

 

野太い声に落胆しつつ、諸橋は振り返った。そして、凍りついた。憎悪の余り般若の顔がとれなくなってしまった姑の話を思い出す。もちろん初対面の人間に対して、失礼すぎる第一印象だった。

 

 

 

 

 

 

気絶した諸橋を幸いにも保護してくれた恩人がいる。残念ながらその保護先は、万事屋でも真選組でも奇兵隊でもない。幸いなのは、この人物が心やさしい、かつ、いいひとであることを読者の方々は知っているであろうことと、諸橋が花粉症をはじめとしたアレルギーとは無縁だったことだろう。

 

恩人の家にはペドロでも住んでんのかしら。保護された時、諸橋は脳内で「風の通り道」(草壁家が引っ越してきた初日の晩に、まっくろくろすけがペドロの森へ引っ越していく最中に流れたBGMである)が流れた。

 

家主は庖丁を研いでいる。茶をすすりながら、必死で恐怖を押し殺していた。上半身半裸にエプロンのくせに、ここまで色気を感じないのは珍しい(いや、感じてしまう性癖をもった人物とは会いたくない、絶対に変態だ)。

 

般若のごとき顔に、鬼の角、そしてライオンかと言いたくなる黒い髪とひげ。いや、そもそも人間じゃなく、天人のはずだ。どっかで見たことがあるんだけどねえ、どこだったかはてさて、と考え込んでいた。

 

しかも宇宙における三強と讃えられているヤト族と並び称されるなんとかという一族とか。生命の危機を感じてしまう。つばを飲み込まざるを得なかった。そう、諸橋はこともあろうに「へどろの森」のへどろ氏に保護されてしまったのである。

 

「気分は落ち着きましたか?」

 

こくこくこく、とうなずいた。むしろ彼の存在感に圧倒されて口をつぐんでしまうのだが、言えるわけもない。わるいねえ旦那、となんだか口の中が、カルピスを飲んだ後に残る白いものがあるような変な感じを覚えつつ、消え入りそうな声でいう。

 

「いえいえ、お構いなく(その一言で正座がアグラに変わった)。あんなところでどうしたんです?私でよければ相談に乗りますよ?」

 

裏路地で放心した状態で立ち尽くしていた状況下と重なって、ヘドロは勘違いしている。

 

彼のせいだと言えないジレンマをお分かりいただけるだろうか?大好きな漫画のキャラ名を微妙に間違って覚えている見ず知らずの中学生たちに訂正できないもどかしさとよく似ている。彼はこぽこぽ、とお茶を注ぎ、ふたたび諸橋に差し出し、そしてかるいつまみを差し出した。脅迫概念に駆られて、口に運ぶ。ひどく口がぱさパさしている。じ、と見つめられる。諸橋は、ため息をついた。

 

「じつは絶賛ニート中なんだよ、あっしは。おふくろにゃ尻しかれるし、でも今更戻ったところで顛末は目に見えてっから、もどるわけにもいかなくてねえ。まだ死ねないんだ」

「・・・・・ここで働きませんか?」

 

「何言ってんだい、そんな迷惑かけられるわけ・・・」

 

「いえ、大歓迎ですよ」

 

「いやいやいやあっしが無理だって」

 

「僕を怖がらずに相談までしてくれたのは諸橋さんが初めてですよ」

 

なんかいろいろ取り返しのつかないとこまで勘違いされちまってるううううう。やばいってやばいってどのみちしぬじゃないかい、最悪だあああああ!顔面蒼白な心が叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「諸橋さんが初めてですよ、従業員やアルバイトはおろか、お客すらろくに来ないお店なのに手伝ってくれる人なんて。僕、感動しました。ありがとう」

 

握手で全部の指が折れそうな錯覚にとらわれながら、がくぶるで帰宅したのが懐かしい。言わないと返してくれそうになかったから、とはとてもではないが言えなかった。

 

農家運営の直売所でレジ打ちをしたり、市場や大型店への搬入する商品の収穫や梱包くらいしかやったことのない素人ではいけない。その日から、無我夢中で諸橋は彼が扱っている植物の種類からなにから片っぱしから勉強した。もちろん瞬間記憶能力なんて、ない。すさまじい時間とヘドロの協力があってこそだ。

 

ゆうに1週間が経っていた。相変わらず、お客は来ない。いかんせんヘドロ氏は趣味で花屋を営んでいるわけではない。地球に移住してきた分、まだまだ蓄えはあるそうなのだが、さすがにずっとこのままではいけないだろう、という危機感は募ってくるものである。

 

でも、ヘドロの森=花粉症の原因である。ご近所との付き合いは悪くなさそう(というかそれ以前に怖がられていてはいまだに諸橋は近辺住人のことをあまりよく知らない)だが、世間的に微妙だと思う。だからと言ってこの巨木を切り倒すことはどうやらできそうにない、というかとてもいつくしみを持って毎日世話をしているヘドロ氏を見ているとお世話になっている手前とてもそんなことは言えない。

 

どうしようか、という話題が休憩中に上ってくるたびに、苦笑していた。給料が出なければ、それはそれで困るのだ。コンビニのレジ打ちだけではさすがに生きていけない。

 

なれとは怖いものである、ある程度耐性ができていた。

 

「ブログでもやってみっかい?」

 

ある日、諸橋は思いついた。そういえば家庭教師のお兄さんがそういうことをやっていたのを思い出したのである。幸いヘドロはうといようだが、ネットの環境はそろっている。

 

花の育成に関する資料作成に使っているパソコンがある。実際にやったことがあるわけではないのだが、見よう見まねでもなるようになるものである。一応検索してみたのだが、幸い歌舞伎町内でこういうブログを行っているところはないようだ。

 

物は試し、と画素数だけはいい携帯などを駆使して、育成日記という形でブログも始めてさせてみた。さいわいヘドロ効果で荒らしさんはいまのところ未出没である。面と向かって話すわけではないことからの恐怖心の薄れと怖いもの見たさからか、意外とカウンターは回り続けている。コメントで時々花のことを相談したり討論しにくる人がいる。

 

やはりというべきか、植物に関する話題を載せると、ヒット数が格段に上昇した。やはり丹精こめてヘドロが育成している植物だ。わかるひとにはわかるのだろう、あいにく諸橋に審美眼はなく、どれも同じ花にしか見えないのだが(勉強しても所詮は素人に毛の生えた程度だ)。そして数日。

 

思い切って諸橋はヘドロに、相談してみた。

 

「ネット販売、やってみないかい?店長。宅配サービスを利用すればなんとか・・・」

 

「なるほど、それなら僕の顔をみて怖がってる人達も、安心して注文できますね」

 

「・・・いや、べつにそういうつもりじゃ・・・」

 

「わかってますよ」

 

やはり、耐性はできてもこわいものは怖い。心臓が止まりそうになる日常は、しばらく続きそうだ。ほう、と隠れて安心のためいき。うまくいくかどうかはわからないが、何とかやってみよう。これで少しは売り上げが伸びるといいなあ…・と切実に思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、沖田ちゃん沖田ちゃん、聞いてっかい?ねえ。あっしのエモノは刀じゃねーんだ、たしかに神谷さんにゃ散々しごかれたけど、だから、ねえ・・・おーい!頼むから聞いておくれよ、ねえ!アンタは神谷さんか?神谷さんなのかぁあああああっ!」

 

いぎゃあああああっ、と野太い声が響いた。

 

閑散としているはずの鍛錬場に妙な緊張感があった。嬉々とした様子で掲げられた真選組の看板に一礼し、そしていつもの場所に行って黙とうを始める沖田。手渡された木刀に涙する諸橋。

 

近藤ちゃんに用があんだけどなあ…・とずるずる引きずられてきてしまったことにため息をつく。さすがにバズーカ砲を背中に突きつけられて不死身でいられるほどふてぶてしくはない。

 

こそこそ、と入口でこっそり見学しているであろう隊員たちは見知らぬ顔ばかりだ。だいたい真選組の主要なメンバーとも上京してきた彼らに顔を合わせたきりで、定期的に合っていたのは近藤だけだった。すっかり大きくなっちゃって、とこっそり笑った。

 

大きくなっていく組織はいつか立ち行かなくなる。さて、どこまでいけるのかねえ、こいつらは、とえらそうなことを言える立場でもないくせに、期待している自分にこっそり笑った。なにをかんがえてるんだ、かたなを奪ったのはあっしたちじゃねーか。ねえ、お上。

 

「よう、どうしたんだ、みんな。今日も元気に市まわりしないのか?」

 

「あ、近藤さん、こんにちは」

 

「あの、近藤さんに用だって人がいたんですけど、沖田さんがバズーカで脅して連れてっちゃって」

 

「・・・・・まじで」

 

「あの人です」

 

こぶし一つ空いた引き戸から、聞こえる木刀を交わす音。真選組きっての名手とためを張れる人間なんて早々にいるわけでもない。にもかかわらず一進一退の攻防が予想できるほどの音。早い足音。時折消える。わらわらと集まっている興奮したようすで見入っている隊員たちを押しのけて、どれ、と近藤は覗き込んだ。

 

「神谷さん?」

 

一瞬よぎった面影に、んなばかな、と近藤は首を振る。いくら剣聖とよばれ、浪人たちをかき集めて武芸としての「剣道」を教え、そしてほか流派との試合を行うことで救済措置を行っている道場主でも、さすがに暇ではないはずだ。だいたい隊長が許すはず・・・。

 

 

やっぱ見よう見まねじゃ駄目みたいだねえ。あっしはあっしのやり方でいかしてもらうか。

 

木刀の持ち方が変わる。沖田は、上がり始めた息を整えつつ間合いを取る。不自然に諸橋の足が下がり、そして構えが変化することに気づく。野郎、何しやがる気でぇ、とたらり、と汗が滴る。挑発するように、やたら間合いを詰めてくる。上から抑えようとしている。狙いが分からず、困惑。とりあえず様子を見るため、慎重に前を見据える。

 

動いた。

 

ぱあん、と払われる木刀。野郎、下から突き上げる気かぃ、上等でさあ!体格や力量差を利用して力でねじ伏せようとする輩とは違う。カウンターを狙っていた沖田は素早くリー違いへ足を滑らせた。明らかに「突き」の構えだ。

 

もし反応が遅れていたら容赦なくのどがつぶされていただろう。すさまじいスピードでかすめた木刀に息をのむ。振り返ると、ちらつく黒髪。そして、不自然なまでにぎりぎりのところで握られた木刀から、慣性の法則を利用したすさましい力の木刀が飛んでくる。

 

しまった、入りすぎた。はじき返すが、片手だというのに微動だにしない。いい感じで互いに高揚している顔。追いかけてはいけない、接近戦を苦手とする諸橋はひたすらスピードにものを言わせて黙らせるのだ。もらった、と沖田は一瞬を見つけて、切りかかった。木刀が不自然に下がっている。

 

下がっている?

 

すんでのところで、ぴたり、と沖田は止まった。足が出ていた。

同時に諸橋の脳天に一撃が決まり、互いに倒れこんだ。

 

「いってええええええええっ!」

 

受け身を取っておきながら叫ぶ諸橋に、起き上った沖田は、笑った。

 

「むちゃくちゃでさあ、諸橋さん。アンタが今持ってんのは、槍じゃねーんですぜぃ?」

 

「槍一筋っつってんでしょーが、沖田ちゃんよ」

 

どっと笑った。

 

 

 

 

 

 

 

「よう、近藤ちゃん、おかえり」

 

「おかえりなせえ、近藤さん」

 

「天下の遊撃隊隊長がこんなところで何してんのぉぉおおおっ?つーか、あれ、諸橋さんにちゃんづけされるほど、おれら仲良かったでしたっけ?」

 

「一目見た時から気にかけてたわけよ、霊長類と人類の祖先はやっぱり同じなんだなって」

 

「何それ、何ですかそれ、ひどくね?ナチュラルにひでーよ、ゴリラじゃねーよ!」

 

っつかフレンドリーすぎるだろ、おれら憧れの諸橋さんはもっと真面目実直で誠実で寡黙ですごい人だったはずなのに!と理想像として築き上げてきた近藤の中の諸橋が崩れ去っていく。苦悩する近藤に、豪快に諸橋は笑った。

 

「よそいきだから、それ。神谷さんが頼むから普通に黙っててくれってうるさくてさー」

 

「・・・・・・」

 

「ところで、なんでここにいるんですかい?」

 

「知らないで戦ってたの?!」

 

「お上の限定プリン食べちゃってさー、今謹慎くらってんの、無期限」

 

「それって事実上のくびじゃねーですかい?」

 

「なんだよ、その理由、頼むから黙って!これ以上おれの中の諸橋さん壊さないで!」

 

「どーいうイメージ抱いてたかは知らねえけどさ、これがあっしの地なんだ、諦めな」

 

ウインクが似合わない。近藤に肩を回して、笑う。はあ、と近藤はため息をつき、沖田は何の用ですかい?と聞いた。

 

「バラ百本お買い上げだから届けにね。経費で落としちゃいかんでしょー、近藤ちゃん。宅配サービスは今日臨時休業だってのにわざわざ追加注文してくれやがってありがとー」

 

ぺし、と明細書を額に押しつける。沖田ちゃん、運ぶの手伝って、と諸橋は笑った。

 

「花屋でアルバイトでもしてんですかい?」

 

「大江戸コンビニとマートのレジ打ちとぷちぷち工場の搬入と廃品回収と後そのほかもろもろ?」

 

「こらすげえや。おれらより働いてますぜ、近藤さん」

 

「・・・・・頼みますから、そういうことなら真選組に相談してくれよ、諸橋さん」

 

えー、と諸橋はぼやいた。とりあえず立ち話も何なので花束を取りに外へと向かう。

 

「そーいえば、どかっちゃんは」

 

「どかっちゃん?」

 

「そんな漬物みたいなやついたっけ?」

 

「あの、ほらー、身長があっしくらいで、黒い髪長かった・・・・」

 

 

 

 

「何昼間っからさぼってんだ、てめえらああああっ!手始めにそこで一人ミントンしてる山崎ぃ!」

 

「ぎゃあああああっ」

 

「あ、、いた!いたよ、おーい!どかっちゃん!!」

「「え?」」

 

山崎をはがいじめにしていた土方は怒りの余り、思いきり力を込める。山崎が悶絶する。原田があわてて救出した時には、泡を吹き始めていた。どさりと崩れ落ちた同士には誰も目を向けない。

 

「だれがどかっちゃんだっ!ひじかただ、ひじかた、ひ・じ・か・た!音読みすんなよ!

 

 間違えやがったのは、どこのどいつだーっ!」

 

「あっしだよ、なんか文句あっかい?どかっちゃん」

 

「・・・・・・・・・っ、あんたは!」

 

「ヨーグルトやレモン、あとカロリーオフ事件以来じゃねーか、相も変わらずマヨラーみてえでうれしいよ、どかっちゃん」

 

「ぎゃあああああああっ、あんたは遊撃隊隊長の諸橋征二郎!」

 

「今度は何がいい?たらこ?それともしそかい?」

 

「マヨネーズをけがすんじゃねえ!近寄るな、これ以上、オレのマヨに近づくなーっ!」

 

すさまじいスピードで土方はキッチンへと向かった。

 

ちなみに遊撃隊とは、幕末から戊辰戦争まで結成された将軍直属の精鋭部隊のことである。現在は主に将軍の警護にあたり、いずれも将軍と非常に近く、あまんとに牛耳られている幕府最後の砦である。もっとも、かつて真選組ほどあった人数は戊辰戦争下に交戦派と恭順派に分裂し、残っているのは、諸橋たち、表向きあまんとに従順なものたちばかりである。

 

「近藤ちゃんは、やたら尊敬してたみたいだけどさ、単なる臆病もんの集まりだよ」

 

さみしそうに笑う諸橋に誰もが気づかないふりをした。

 


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