覚悟の幽波紋   作:魔女っ子アルト姫

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準決勝決着

「(3,4,5……6!)オォオラァァッ!!」

「ハッ!!」

 

ステージ上を駆け巡る進志、それを狙うかのように正確な射撃を加えていくが命中しそうなものだけをスタンドで弾きながらそれを数える。そして装弾数が尽きたのを確認すると槍を持った腕を伸ばして百へと放つ。進志にとってリーチは大した問題にはならない、腕を伸ばして攻撃などが出来るので余程距離が離れていなければ射程範囲に収める事が出来る。迫ってくる槍を軽く跳躍して回避する百、だが刺さった槍を握っている手にあるジッパーが勢いよく閉まっていく。一気に縮められて行くジッパーによって身体を高速で引っ張っていく、彼なりの空中移動術で一気に速度を稼ぎながら槍を離してそのままの勢いで蹴りを繰り出す。

 

「チェストォ!!!」

「くうぅっ!!」

 

インパクトの瞬間にスティッキィ・フィンガーズの足も共に重なっており、その威力は測りしれない。彼女が持っていた槍はシャーペンの芯を折るかのように容易く圧し折られる。そして蹴りはそのまま自分の身体を捉えて力強く吹き飛ばす。このままでは場外になりかねないので手首からワイヤー付きのフックを創造し、勢いよく地面へ投げてそれを突き刺す。そしてそれを巧みに使用しながら空中で態勢を整えて着地する。だが、着地で生まれた隙を逃すかと言わんばかりに足にジッパーを付け、螺旋状に開いてバネのようにして跳躍力を高めた進志が追い打ちをかける。

 

「言っておくが百、俺は負ける気なんて皆無だ!!」

 

着地の隙を利用した接近は百の創造を用いる為の思考速度を超えていた。懐に入る事に成功した彼は地面を強く踏み込みながら渾身の力を込めて腕を振るい、進志の腕は彼女の腹部を迷うことなく捉えた。咄嗟の行動、反射神経だけがギリギリで反応し腹部に鉄の板を創造した百。

 

「カハッ……!!」

「アリィィッ!!!」

 

火薬が炸裂したかのような音を響かせながら腕を振り抜いた進志、剛腕のラリアットを受けた百は地面を転がりながら吹き飛ばされるがそれでも必死に身体を持ち上げて四つん這いに近い形で止まる事に成功する。だが進志の一撃がクリティカルヒットに近い形で受けてしまい、膝が折れてしまう。鉄の板を地面へと落とすが板は軽く曲がっている。

 

「致命傷だけは避けましたわ……流石は進志さん、私の憧れであり隣に立ちたい方ですわ……!!」

「ったく相変わらず防御が凄い上手い奴だよ……ある種、俺の天敵だわ」

「違います。私は進志さんのパートナーですわ」

「はいはいっそうだったな。さて……続きやるか」

「ええっ!!」

 

立ち上がった百は三度槍を作り出すとそのまま駆け出していき進志へと槍を繰り出していく。それに合わせるかのように進志も槍を握りしめながらそれに対抗していく。高速でぶつかり合っていく槍と槍の軌跡、突き、振り下ろし、薙ぎ払いなどが息をつく間もなく繰り広げられて行く。だが百は先程のダメージもあるのか槍の冴えが鈍く、進志の一閃がそれを突破していく。が、肩の辺りに当たろうとするそれを肩から創造された盾が受け止める。槍の冴えは鈍っても頭脳は鈍らないという事だろう。

 

「やぁぁっ!!」

「おっとぉ!!」

 

今度は百の槍が進志の槍戟を潜り抜けて当たろうとするが、彼女の腕を止めるかのようにスティッキィ・フィンガーズの腕がそれをガードする。その一瞬のスキを突く、進志は勢いよく槍を振り上げて百の槍を弾く。だがすぐに創造される彼にとってはほぼ無意味に近い手、だがそれでも僅かな時間は稼げてた。腕にジッパーを設置してズームパンチの要領で飛ばしながら百の身体へと巻き付ける。

 

「くっ捕まった!?」

「行くぞぉぉぉ!!!」

 

スティッキィ・フィンガーズが伸びた腕を片腕で掴みながらそのまま勢いよくぶん回していく。スティッキィ・フィンガーズのパワーならば人間一人程度を片手で振り回すなど容易い。ジャイアントスイングの亜種のような形で振り回されていく百は身体にかかる負荷に耐えながらも銃を創造して手に握るが、うまく照準を合わせる事が出来ない。そして次の瞬間、進志の腕が千切れるかのように百ごと飛んでいく。

 

「ワ、ワイヤーが投げれない……!!」

 

両腕を巻き込むような形で拘束されている百はワイヤーを創造してもそれを投げる事も出来ない。そして百はそのまま場外へと飛んでいき、遂に場外へと出てしまった。

 

『八百万さん場外!!よってこの勝負は傍立 進志君の勝ち!!』

 

激戦を制したのは進志、百は悔しそうにしつつもどこか晴れやかな表情を浮かべていた。そしてこちらへと歩いてくる進志を見て、如何して自分の身体が場外へと飛んで行ったのかが分かった。

 

「まさかそんな活用をするなんて……肩ごと外すなんて流石にやりすぎじゃないですか?」

「こうでもないと勝てないと思ったからな」

 

笑っている進志の片方の肩がない、そこにある筈の肩は百に巻き付いている腕の先についていた。元々ジッパーで二の腕辺りまで解いていたが、それごと飛ばす為に自分の肩をジッパーで切断して百を拘束したまま飛ばしたのである。幾らジッパーを閉じれば元通りに動くとはいえどれだけの人間がその選択を出来るのだろうか。彼は百に巻き付いている腕を外し、肩を接合して百と改めて握手を交わす。

 

「必ず優勝してくださいね、進志さん」

「おうよ」

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