このすば カズマが冷静で少し大人な対応ができていたら。   作:如月空

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お久しぶりです。また、ぼちぼち活動再開します。
丁度投稿から1年なんですよね、今日。本当ならカズめぐを一本あげようと思っていたんですけど、本編が中途半端すぎて、泣く泣くエピ後に回すことになりました。
以前の様な投稿ペースは維持出来ませんが、のんびりお付き合い下さい。


ハンスとの戦い其の二 シルビア編

 

 俺達の作戦は正に順風満帆と言える程、完璧に嵌っていた。

 

 俺がハンスを誘い出し、多くの味方と共に迎撃する。

 

 其のメンバーは選別され、このまま魔王すら倒せるんじゃないかと思えるほどの豪華な顔ぶれだ。

 

 先ずは、何時ものアクセルメンバー(クリス除く)に加え、紅魔4人娘、そしてウィズにバニル。そうバニルだ、こいつがいるだけで既に頭可笑しい状況だってのに、更に紅魔族からぶっころりー率いるニート軍団もとい、遊撃隊。それに加えてそけっとさんもいる。

 

 更に更に、アルカンレティアのギルドからも精鋭が出撃、どいつもこいつもレベル40オーバーの大ベテランばかりな上、職業まで絞ってある。遠距離斬撃が出来るソードマスターに、メイン盾と呼ばれるようなクルセイダー。氷壁を張ったり破片を氷結させるだけの地味な仕事にアークウィザードを雇った上に、アークプリーストはありったけ雇っている。その数、実に30名オーバー。

 

 此処までやっておいて成果が出なきゃ嘘だ。最悪自腹を切る覚悟でメンバーをかき集めたんだから…。

 

 そうそう、自腹と言えば、魔力石であるマナタイト。これも大量に投入され、魔法メンバー全員に配布している。

 

 内訳は初級マナタイト(20万エリス×20)を各自20個。中級マナタイトを3個(200万エリス×3)渡している、つまり一人当たり1000万エリス分だ。

 

 眩暈がしてくる値段ではあるが、コレに関しては必要経費として国が負担してくれる事になった。今回ばかりはダクネスに感謝だ。

 

 他に、メンバーの依頼料に関しても国持ちにしてくれるらしく、外様の連中は勿論、俺達にも参加の報酬が出るらしい。

 

 色々覚悟を決めて動き出したが、結果的に其処まで出費にならなくて済みそうだ。…ただ、其れとは別に他にもでかい奴をいくつか買ってはあるんだが…。

 

「いけ!めぐみん!」

 

「『エクスプロージョン!!』」

 

 これで作戦終了だ。後は飛び散った破片を速やかに氷結させてアクアに浄化して貰えば良い。

 

 そう考えて指示を出そうと動いたタイミングで異変がおこっちまった。

 

「ほう、此れは面白くなって来たではないか。」

 

 バニルが口を歪めて楽しそうに嗤うが、此方としては冗談じゃない。これ以上のイレギュラーはゴメンだ!

 

 遠距離からの総攻撃を号令しようと、前に出るとブクブクに膨らんだハンスから複数の何かが飛び出した!

 

「おいおい、嘘だろ…、ベルディアにシルビアって!?」

 

 

 

 

 <テイラー視点>

 

「くそ!どうなっている!?」

 

 俺は今、虚ろな目をしたシルビアと戦っている。実力は本物より数段劣るものの、其の体は毒々しい。

 

 当然だ、何しろコイツはあのハンスから分離してきた。本物ではないとは言え、以前倒した好敵手と同じ姿だというのは何とも言えない。

 

「…憐れだな。」

 

 俺は横目でちらりとダストの様子を窺う。奴にとってこいつはトラウマだった筈だ。

 

 だが、様子を見るに恐れを抱いている訳でも嫌悪感を表してるでもでもなく、ただ呆然と俺達の戦いを見つめている。

 

「どの道、ダストは動けないか…。」

 

 俺の呟いた言葉にシルビアの姿を持つこの相手は、僅かに反応を示した。

 

「………。」

 

 聞き取る事は出来ないがずっとブツブツと何かを呟いている様だ。

 

「……す…。」

 

「ん?」

 

「……と…。」

 

「何だ?何を言っている?」

 

……………

 

………

 

 

 <シルビア心層>

 

『ちっ、紅魔の連中に加えて、冒険者連中まで!しかも、手練ばかりじゃない……。オマケにあのミツルギってのもいるし!』

 

 昼間の襲撃では戦わずに済んでいたけど、実際戦って見ると洒落にならない強さだった。

 

 剣の腕は超一流と言われるほどではないが、十分一流を名乗れる実力はあるだろう。加えて厄介なのがあの魔剣だ。

 

 一概にそうだとは言い切れないが、特殊な能力や武具を持つ冒険者連中は基本的にレベルだけで、技術面が薄っぺらだ。配下は兎も角、幹部には通じないそんな連中ばかりで、あのミツルギ坊やもそうだと言われていたのに…。

 

 そして、そんなミツルギよりも厄介なのが、あの青髪のアークプリースト。本人は間抜けな顔をしているのに、持っている魔力が神々し過ぎて、正直近寄りたくもない。

 

 それだけでも厄介だというのに、他の連中も軒並み技術とレベルが高い。あのメンバーが魔王様の所へ行ったら少し危ないかも知れない…。

 

 特に一番警戒したいのは、あの指揮官だ。此方の軍勢の動きを見て、的確な指示を味方に送っていた。それを補助する紅魔の娘も相当頭が切れるから、指揮官を狙った分断も難しい。

 

 一度、指揮官を潰そうと強襲を行ったが、彼自身も技術が高く、しかも魔法と剣術を両立させたルーンナイトだった?

 

 疑問に思ったのは、彼がそれだけじゃないと感じたからだが、今はそれを忘れよう。何とか連中を撒いたんだ、部下が残っている内に早く目的の物を探し出さないと…。

 

『居たぞ!』

 

『しまっ!?』

 

 不味い!追っ手が掛かった!?

 

『シルビア様!此処は我らに任せてお逃げ下さい!』

 

『(この状況じゃ、其れしかないわね!)頼んだわよ!』

 

 敵の攻撃が思ったより素早く、私は負傷しながらも敵地を抜け出す事に成功した。ただ、既に配下の姿はなく、私自身も満身創痍だ。

 

『…も、もう少し…もう少しで…。』

 

 もう少しで、遺跡に着く。配下が何とか手に入れてきた情報だ。此処でも見つからなければ、撤退するしかないわね…。

 

 私は悔しさから唇を噛み締めていると、後方から気配を感じた。

 

『へへっ!こんな時間に出歩くと襲われちまうぜ?こんな風にな!』

 

 不味!もう、見つかったの!?私は慌てて振り返る。

 

『あら?貴方…。』

 

 一瞬、敵かと思って身構えたけど、どうも相手はただの痴漢だった様だ。でも此れはチャンスかも知れないわね。

 

『あん?って、うわっ!?』

 

 スケベそうな坊やを抱きしめて、彼の顔を自分の胸に埋めさせると、だらしのない表情になった。……運が向いてきたかも。

 

『うぇ、うへへ…。』

 

『あらあら、そんなに私の胸が気に入ったのかしら?』

 

 優しく抱きしめてあげると、彼は脱力感たっぷりに私に体を預けてくる。本当にいい子だわ。

 

『素直な子ねえ、そんなに私としたいの?』

 

 私は腕を彼の下半身に伸ばし、大事なところを優しく掴んで、先ずは彼を満足させる事にした。

 

………

 

……

 

 

『ふう…。満足した?』

 

 私の手管で果てた彼は、コクコクと頷いた。

 

『でも…まだ、し足りないんでしょ?どう?私の体を色々使って…。』

 

 その言葉に、彼は目を見開いて大きく頷く。

 

『なら、貴方に手伝って貰いたい事があるの、お願い出来る?』

 

『任せろ!』

 

 私の問い掛けに、彼は食い気味に答えていた。これは良い手駒を手に入れたわ。

 

 それから私達は情報にあった遺跡を片っ端から調べて行った。道中や調査中で出会った紅魔族共は彼――ダストが対処してくれた。

 

『あん?何だよ!?文句あっか?』

 

『はあ、暢気だねぇ、こんな状況で酔っ払っているのか。』

 

『こんなの放っておこうぜ、相手にするのも面倒だ。』

 

 こんな感じでダストが追い払ってくれるから、私としてはもの凄く有り難かった。

 

『へへ、美味くやったぜ!なぁ?そろそろ良いだろう?』

 

『もう、またなの?本当に好きねぇ、貴方。ちょっと待って頂戴、あそこの遺跡で最後だから。(本当底無しね、この子)』

 

 私がそう答えると、ダストはすぐに先行して、露払いをしてくれた。そして私は其の後をゆっくりと移動する。念の為に気配を消している為だ。

 

『此処なら良いだろう?』

 

『もう、仕方ないわね。でもちょっと待って、コレだけ調べさせて頂戴。』

 

 着いて早々ダストが求めてきて、私は何故か、少しだけ嬉しさが込み上げて来る。彼に愛されていると感じてしまった。

 

『うーん?読めないわね…、この扉を開ける為の魔道具だとは思うのだけど…。仕方ない、じっくり調べましょう。』

 

『なら、先に一回!』

 

『クスクス、いいわよ。』

 

 私がダストを受け入れる体制になると、彼は嬉しそうに私に口付けをした。

 

『へろぅ、うむぅ、ちゅ…。』

 

 しかも舌まで入れてくるし…、私もだんだん熱が入って来てしまったわ。

 

 私達は暫く其の行為に夢中になっていたけれど、人の気配を感じて中断される。

 

『ダスト、誰か着たわよ。』

 

『ちっ、いい所で!…隠れてろ、やり過ごすから。』

 

 ダストは露骨な舌打ちをして、私を隠す様に動く。

 

 こんな私だけど、守ってくれる男がいるっていうのは、嬉しいものだわ。

 

『ダスト!?』

 

『ん?何だ色男じゃねえか。こんな所で何をしてるんだ?』

 

『キミこそこんな所で何を……まあ、いい。女が逃げて来なかったか?』

 

 どうやら、ミツルギが来ていた様だ。素直過ぎる彼なら美味く欺けるかも。

 

 私はダストの影に隠れながら、彼に指示を飛ばす。あの坊やが此処の情報を持っているかは分からないけど、聞くだけならタダだ。

 

『は?何だお前、こんな時間に女なんか追いまわしてたのか?お堅い奴だと思えば俺と同類じゃねえかよ。』

 

 ダストが上手く誘導してくれれば良い、元々駄目元だ。最低でも此処からあの坊やがいなくなれば、時間が出来る。

 

『なっ!?』

 

 ミツルギがダストを睨み付けるが、彼はどこ吹く風だ。

 

『そんな事より、こいつを見てくれないか?読めねーし、よくわからん道具がついてるしでお手上げなんだよ。』

 

 ミツルギが冷静さを欠いている内に、ダストは畳み掛けるように問い掛ける。

 

『は?…しょうなみ…いやこなみ?あ!コナミコマンドか。』

 

 !?読めたの!?でも、こなみこまんどって何よ?

 

 私は詳細を求める様にダストに指示を出す。

 

『お!何だミツルギ、お前読めるのかよ。…でどうすりゃ良いんだ?』

 

『うん?えっと多分、コナミコマンドを入力すればいいだけだと思うけど…?』

 

 特に警戒もしないまま、ミツルギはダストの問いに答えていく。其の様子に私達の口元が緩みそうになる。

 

『…で、それは?如何いう物なんだ?』

 

 ダストがそう問うと、ミツルギは腕を組んで思案に耽る。だが、此方を警戒してない様子を見るに、多分こなみこまんどとやらの詳細を思い出しているんだろう。

 

『僕の国で有名なコマンドらしいけど、うろ覚えなんだよね。』

 

 ミツルギはそう言って、ダストに確認を取るような視線を送る。

 

『それでもいいよ。教えてもらえるか?』

 

 ダストがそう答えると、ミツルギは自信なさ気に口を開く。

 

『えー?んー確か…上上下下左右左右BAだったかな?』

 

 上とか下とかっていうのはこのマーク通りだろうけど、びーとかえーっていうのは、この文字の事かしら?

 

『びーとかえーって何だ?』

 

 特に指示も出してないのに、ダストがちゃんと確認を取ってくれる。

 

『ん?ああ、丁度其処にある…これとこれだね。』

 

『ほお!』

 

 成程ね、私はダストと視線を絡ませあう。すると彼は僅かに口角をあげていた。

 

『ダスト、教えておいてアレだけど…弄らない方がいいよ。爆発とかする可能性もあるんだから。』

 

 そう言ってミツルギは、魔道具に触れようとするダストを止めに入った。遺跡は此処で最後だ、なら試す価値はある。なら…

 

『でも、試してみる価値はあるんじゃないかしら?』

 

 私がダストの影から移動し、ミツルギの背後を取ると、彼は驚いた様な顔をして、柄に手を置いた。

 

『お前は!?』

 

 ミツルギは振り向きざまに剣を抜いたが、其れは既に予想済みよ。私に気を取られてくれれば十分。

 

『ダスト、御願いね。』

 

『おう、任せろ。』

 

『なっ!ダスト!キミは何を!?』

 

 ミツルギの攻撃を躱した私は、すぐさまにダストに寄り添う。すると、彼は悔しそうに唇を噛んだ。

 

 ダストが魔道具を操作すると、ピーッ!という音が鳴り響き、同時に扉が開いた。

 

 …当たりね。本当、ダストには感謝だわ。彼はこのまま連れて帰りましょう。

 

『じゃあ、行きましょうか。…ミツルギ?付いて来たら分かっているわね?』

 

『くっ!』

 

 閉まっていく扉の隙間から、ミツルギの悔しそうな顔が見れて、私は胸がすく思いだった。

 

 扉が完全に閉まると中はほぼ真っ暗だったけど、魔道具と思われる明かりが僅かに灯っている。

 

『ん…、もう、ダスト?』

 

 暗がりでダストが後ろから抱き着いてくる。私は仕方ないと思い、彼を私の女性の部分で受け入れた。

 

………

 

……

 

 

『……満足した?』

 

『はは、まだまだ俺は行けるぜ?』

 

 あれだけ激しく求めて来ておいて、まだそんなのに元気なのね…。ちょっと呆れてしまうけど、同時に自分に自信がついてくる。

 

『ねぇ、ダスト…、今度は私からしたいわ。』

 

『お、そう言うのも良いな!』

 

 ただ…、こっちの部分を彼は受け入れてくれるかしら?

 

『ちょっ!まっ!何だぞれっ!?ま、待て…アーーーッ!」

 

『落ち着きなさいよ、貴方も散々私の半身で楽しんだんでしょ?』

 

『うあ…、って、これ、お前…。』

 

 やっぱり、拒絶が出るか…残念だわ。

 

『一応言っておくけど、私半分は女よ?そして、精神も基本的に女なのよ?』

 

『ど、どういうことだよ…。』

 

『あら?本当に私の事を知らなかったのかしら?私グロウキメラだからそういう体なのよ。』

 

 そう説明すると、ダストはぐったりと項垂れてしまう。少し複雑な思いのまま最後まで済ませ、私は目的の物を探し始める。

 

『…見つけたわ。……ダストを安全な場所に運んでおいた方が良いわね。』

 

 そう思って彼の元に向かうが、彼のいた場所は安全圏で、下手に動かさない方が良いと判断した。

 

『ダスト…。』

 

 そして私はダストを見る。彼は悔しそうな…それでいて悲しそうな表情を浮かべていた。

 

『…何で…完全な女じゃ、ないんだ…よ…。』

 

 …それは私も思っている事よ、ダスト。

 

 頭を切り替え、私は兵器と一体化していく。そして、連中に最後の戦いを挑んだ。

 

 

 <シルビア視点>

 

 そこで私の意識は覚醒した。

 

「これは…?」

 

「む?様子が!?」

 

 私は戦っていた男と距離を取る。彼は以前も戦った相手だった。

 

「そっか、私は終ったんだったわね…。」

 

 でも、此れはどうなっているの?しかもこの体…まさか、ハンスの!?

 

「まさか、本物なのか?」

 

 恐る恐るクルセイダーの男が私に問い掛ける。私はその質問に対し首を傾げた。

 

「さぁ?私も良くわからないわね。ただ、紅魔の里であなた達と戦った事は覚えているわよ?」

 

 私がそう答えると、彼の引き締まった表情が更に硬くなったのがわかった。

 

「なら、もう一度、送り還してやる!」

 

「そうね、其れも悪くないわね。正直この体は不快でしょうがないもの。ただ――」

 

 私は一度言葉を遮る。

 

「ただ?」

 

「黙ってやられるのは性に合わないわ!」

 

 そういって私は地面を蹴る!が体が鈍い。

 

「本当に使えないわね!この体!」

 

 ただ、パワーは以前と桁違いだった。更にいえば、この体は全部分が猛毒だ。幾ら耐性を持っているとは言っても触れればただでは済まない。

 

「くっ!?やはり、強くなったか!」

 

 私はクルセイダーの男と対峙しながら、ダストの姿を無意識に探す。

 

「あっ…。」

 

 ダストと目が合った。でも、彼の表情はあの時のだらしない表情でも、怯えたような表情でもなかった。

 

「え…?」

 

 彼は私を睨むように、そして、其の瞳には強い怒りを感じた。

 

「何処を見ている!?」

 

「私の邪魔をしないでくれるかしら?」

 

 クルセイダーの男の攻撃を弾き飛ばし、追撃を仕掛ける為に腕を伸ばす。

 

「なっ!?」

 

 私の伸ばした太いスライムの腕は一閃の元、斬り飛ばされてしまった。

 

「だ、ダスト!?」

 

「終らせてやるよ、シルビア。…お前のためにもな。」

 

 私の前に立ちはだかったのは、槍を構えたダストだった。

 




という訳で、二人で行動していた時の話でした。そして、次回はダストVSシルビアとハンス(本体)戦ですね。余裕があればエピローグまで入るかもしれませんが。書いて見ない事にはわからない(笑)
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