魔女の子から聞いた話によると、人里は、里の中央にある大きな屋敷を中心に、マス目上に四つに分かれているらしい。
ぼくが今いる商業地区は、左下のマスの部分にあたるそうで、裁判所が立っている地区は、商業地区の対角線上。右上のマスに立っているそうだ。
彼女から教えてもらった道順を頼りに、裁判所を目指す。
違う地区に移動するときは、まず、里の中央にある大きな屋敷を経由しないといけないらしく、直接違う地区には移動できないらしい。
なんでも、この里はその屋敷の周りを徐々に広げていってできた里だそうだ。だから、地区間の移動には屋敷の前を経由しないといけないのだ。
商業地区をトボトボと歩く。しばらくすると、屋敷が見えてきた。
建物のありとあらゆるところが松の木で作られた屋敷はとても大きく、お金持ちが住んでいると一目で分かる。
屋敷は庭園だけでも、軽く十坪は超えるほどの広さがあると窺える。きっとそこには、大きな池があって、錦鯉がうじゃうじゃと泳いでいるのだろう。
この屋敷には有名な歴史記録家が一人で住んでいるらしいが、とても一人で住む大きさではない。
こんなだだっ広いところに一人で暮らすのはとても大変なのだろうな、と思いながら屋敷の前を通り、右上の地区を目指す。屋敷の周辺には一切建物が立っておらず、他の地区へ続く道を見つけるのは簡単だった。
中央の地区を抜け、裁判所がある区画に入ると、辺りの景色は一変した。
商業地区は、ほとんどの建物が昔の日本風の建物、いわゆる平屋で、そこで働いている人たちも和服がほとんどだった。
しかし、この地区は煉瓦造りの洋風な建物が立ち並び、商業地区には
ここは保安改善地区と呼ばれていて、四つある人里の地区の中で一番新しい地区だそうだ。
他の地区が二百年ほど前からあるのに対し、この地区はおよそ六十年前に作られたのだとか。六十年でも十分に古いと思うが、言われてみれば周りの建物は商業地区に比べて、新しいものが多かった。
保安改善地区は、警察署を始めとする地域の安全を守るために欠かせないような建物ばかりが立ち並んでおり、中には科学研究をするための研究所まであった。
裁判所は、この地区に入ってすぐのところに立っているそうだ。
辺りを見回してみると、周りの建物とは違う、白い石造りの大きな建物が目に映った。外の世界の裁判所も似たような外観をしているから間違いないだろう。
裁判所と思われる建物は、ここから歩いて五分もかからないような距離にあったので、すぐに辿り着くことが出来た。
大人二人分ほどの高さがある塀が建物の周囲を囲い、その塀に匹敵するほどの高さの鉄格子の門が、訪れたぼくを出迎える。その奥に、裁判所が立っていた。
寸分の誤差も無く、全て同じ大きさに切りだされた石材をいくつも積み上げて作られた三階建ての大きな裁判所は、遠くで見た時よりも威厳と気品を兼ね備えているように見える。
門の前に立つ警備員さんに軽く会釈をして門をくぐり、大きな扉に手を掛ける。
ぼくの身長よりもはるかに高い大きな扉は、パッと見た感じでは押すのにも一苦労しそうなくらいに重そうに見えたが、扉は意外に軽く、すんなりと開けることが出来た。
扉を開けると、すぐ目の前に大きなエントランスが広がった。壁や扉は、建物の外とは違い全て木製で、床には赤い絨毯が敷き詰められている。
天井からは蝋燭を何本もまとい、宝石のように輝く巨大なシャンデリアがぶら下がっている。そのすぐ横に建物を支えるための大きな柱が二つ立っていて、その柱をぐるりと囲う様に螺旋階段がかかっていた。
ここに真宵ちゃんがいるはずだ。すぐに見つかればいいんだけど……。
どうも、タイホくんです。
あと二回分で探偵パートは終了の予定です。
探偵パートの最後の回では、今作のライバル検事(御剣検事や、狩魔検事、ゴドー検事のポジションのキャラ)が登場します。
恐らく誰も予想できないであろう東方キャラをライバル検事ポジのキャラにしました。
こうご期待。
では。