―証言開始― ~被告人の動機~
「実は、被害者は被告人のストーカーでした。それこそが彼女の動機です。事件後、被害者の自室を捜索したところ、このコルクボードを発見しました」
河城さんは、リュックから一枚のボードを取り出す。
コルクボードには、おびただしい量の写真が貼られており、その全てに咲夜さんが写されている。
「事件当夜、現場のお茶屋に立ち寄った被告人は、偶然被害者の自室でこのボードを発見したのでしょう。そして、ストーカー被害に逆上し、そのまま犯行に及んだ。これが我々の見解です」
「ストーカー被害を知っての犯行。少し引っかかるところもあるけれど……。一応筋は通っているわね」
証言を聞き終えた紫さんは、渋い顔を作った。
確かにそうだ。あくまで先入観に過ぎないが、咲夜さんがストーカー被害を知って逆上したとは考えにくい。しかし、被害者がストーカーだった可能性を示す証拠品が見つかっている。ううむ、一体どういうことなんだ?
「被害者のコルクボードを証拠品として提出します」
「受理するわ」
提出の許可が下り、コルクボードが机の上に置かれた。
「裁判長!」
紫さんに声をかける。
「この被害者のコルクボード。調べても構いませんか?」
「ええ、どうぞご自由に」
よし、紫さんの許可が下りた。早速調べよう。
白手袋をはめ、机の上からコルクボードを手に取る。
コルクボードは、かなりの大きさがあり、両手で抱えないと持ち運べないほどだ。
そんな見た目とは裏腹に、そこまで重くないのは、コルクボードの材質故なのだろうか。
コルクボードを横に持って、抱きかかえるように弁護席の机まで運び、観察してみる。
コルクボードに張られている写真は、ざっと三十枚と言ったところだろうか。ところせましと並べられた写真の中には、日焼けして、色落ちしてしまったものも何枚か混ざっており、被害者がかなり昔からストーカー行為に及んでいたことが窺える。
ストーカーというものは、こういった写真を何枚も壁に貼り付けるイメージがあったけど、まさか本当とは。
コソコソと隠れながら撮影された写真からは、被害者の並々ならぬ歪んだ愛情が伝わってくようにも感じる。そんな写真を直視するのは少々憚られるが、これも調査の為だ、我慢せねば。
と、いざ意気込んで、写真に目を通そうとしたときだった。写真に写っている咲夜さんと目が合ったのだ。
驚いて、思わずのけ反ってしまう。やれやれ、写真に写った人と目が合ったぐらいで驚いてしまうとは。
改めて写真をざっと見る。写真は全て咲夜さんの日常生活を写し取ったもののようで、
基本的に人里内で撮られたものがほとんどだ。そのせいか、写真には里の人間達も写りこんでいる。よく、里の人にも気づかれずに写真を撮ったものだな。
他に何かないかと探してみたが、これと言って気づいた点もなかったので、コルクボードを元の場所に戻した。
「では、弁護人。尋問をお願いするわ」
「はい!」
早速尋問に入った。
①
「実は、被害者は被告人のストーカーでした。それこそが彼女の動機です」
②
「事件後、被害者の自室を捜索したところ、このコルクボードを発見しました」
③
「事件当夜、被告人は偶然にもこのボードを発見したのでしょう。そして逆上し、その場で犯行に及んだと考えられます」
「待った!」
「被害者はいつごろから被告人のストーカーをしていたのでしょうか?」
「具体的な時期までは推定できませんが……比較的最近だと思われます。貼り付けられた写真はいずれも黄ばんでいません。そんなに昔からではないかと考えられます」
「なるほど……」
まあ、正直時期はどうでもいい。軽いジャブみたいな質問だ。次に行こう。
「待った!」
「そのコルクボードはどこで見つかったのでしょうか?」
「えっと、確か被害者の押し入れの中から見つかりました」
「押し入れの中、ですか。」
…引っかかる。証言を聞く限りでは、咲夜さんが被害者の自室に入って、壁に掛けられているコルクボードをたまたま見た、というニュアンスのはずだ。
しかし、コルクボードは被害者の押し入れに仕舞われていた。これだと、咲夜さんが、被害者の自室を物色したということになる。これも先入観に過ぎないが、メイドさんが、他人の部屋を物色するようなまねはしないと思うのだが…。
「待った!」
「被告人はどのようにしてコルクボードを発見したのでしょうか?」
「えっ、えっと、それは……」
にとりさんがひるんだ。そこまでは考えていなかったようだ。漬け込むならここしかない!
「答えられない、と」
「ううう……」
「このコルクボード、一目見ればすぐにストーカーをしているとバレるような代物です。当然被害者は是が非でも隠したがるはず。しかし、あなたたちの見解では、被告人はこのコルクボードに辿り着いてしまっている。ずいぶんと妙な話ですね……?」
「むむむ……」
「刑事。本当に被害者の動機は、このコルクボードなのでしょう……」
「異議あり!」
検察側からの意義だ。
「被害者がコルクボードを見たか否か、そんなことはどうでもいい。被告人が被害者が自分のストーカーだと知る方法は他にも存在しえます。このコルクボードはあくまで、”被害者が被告人のストーカーだった”ということを示す証拠。これが存在する以上、被告人に動機は生まれうるのですよ」
「ぐ、ぐぬぬ……」
言われてみればそうだ。
……待てよ。という事は、このコルクボードが持つ“被害者が被告人のストーカーだった”という意味を壊せば検察側の主張を崩せるんじゃないか?
……でも、そんな証拠あるのかな……。もう一度法廷記録を見直すとするか……。
①
「実は、被害者は被告人のストーカーでした。それこそが彼女の動機です」
【法廷記録】
──────────────────
・弁護士バッジ【つきつける】
これがないと、
誰もぼくを弁護士として
みとめてくれない。
──────────────────
──────────────────
・八ッ時茶太郎の解剖記録【つきつける】
・被害者 八ッ時茶太郎
・死因 心臓をナイフで一突きにされたことによる失血死。
・追記 ナイフの刺さりが甘かったことが再解剖で判明。よって、被害者は刺されてから数十秒の間生きていた可能性を認める。
──────────────────
──────────────────
・現場上面図【つきつける】
現場の上面を記した図。
──────────────────
──────────────────
・凶器のナイフの情報【つきつける】
1科学調査の結果
・柄の部分に被告人の順手の指紋を検出。それ以外の指紋は検出されず。
・刃先の部分に、被害者の血液を検出。それ以外の血液は検出されず。
2その他の情報
凶器のナイフは、柄の部分と刃の部分が取り外せる仕様となっている。
また、柄の部分はプラスチック製、刃の部分は鉄製であることが判明済み。
──────────────────
──────────────────
・コルクボード【つきつける】
被害者の自室から発見されたもの。
咲夜の写真ばかりが貼られている。
すべての写真がカメラ目線になっている。
──────────────────
《人物ファイル》
──────────────────
・綾里真宵(19)【つきつける】
ぼくの助手。
倉院流霊媒道の使い手。今もなお修行中。
──────────────────
──────────────────
・博麗霊夢(16)【つきつける】
博麗神社の巫女。
ぼくに幻想郷のことについて教えてくれた。
──────────────────
──────────────────
・八雲紫(??)【つきつける】
ぼくを幻想郷に連れてきた謎の妖怪。
スキマ、というワープホールを使うことができる。
──────────────────
──────────────────
・四季映姫(??)【つきつける】
幻想郷の裁判長。紫さんの挑発に乗って検事になった。
色々とフクザツな事情を抱えていそうだ。
──────────────────
──────────────────
・小野塚小町(??)【つきつける】
法廷係官。
サボり癖がひどく四季検事にいつも怒られている。
──────────────────
──────────────────
・十六夜咲夜(16)【つきつける】
今回の事件の被告人。
紅魔館というお屋敷に務めるメイドで、
時を止めることができる。
──────────────────
──────────────────
・八ッ時茶太郎(51)【つきつける】
今回の事件の被害者。
お茶屋『いっぷく堂』の店主。
──────────────────
──────────────────
・河城にとり(??)【つきつける】
刑事兼エンジニアの河童。
機会を見つけては機械をいじくろうとする。
──────────────────
②
「事件後、被害者の自室を捜索したところ、このコルクボードを発見しました」
【法廷記録】
──────────────────
・弁護士バッジ【つきつける】
これがないと、
誰もぼくを弁護士として
みとめてくれない。
──────────────────
──────────────────
・八ッ時茶太郎の解剖記録【つきつける】
・被害者 八ッ時茶太郎
・死因 心臓をナイフで一突きにされたことによる失血死。
・追記 ナイフの刺さりが甘かったことが再解剖で判明。よって、被害者は刺されてから数十秒の間生きていた可能性を認める。
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──────────────────
・現場上面図【つきつける】
現場の上面を記した図。
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・凶器のナイフの情報【つきつける】
1科学調査の結果
・柄の部分に被告人の順手の指紋を検出。それ以外の指紋は検出されず。
・刃先の部分に、被害者の血液を検出。それ以外の血液は検出されず。
2その他の情報
凶器のナイフは、柄の部分と刃の部分が取り外せる仕様となっている。
また、柄の部分はプラスチック製、刃の部分は鉄製であることが判明済み。
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・コルクボード【つきつける】
被害者の自室から発見されたもの。
咲夜の写真ばかりが貼られている。
すべての写真がカメラ目線になっている。
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《人物ファイル》
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・綾里真宵(19)【つきつける】
ぼくの助手。
倉院流霊媒道の使い手。今もなお修行中。
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・博麗霊夢(16)【つきつける】
博麗神社の巫女。
ぼくに幻想郷のことについて教えてくれた。
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・八雲紫(??)【つきつける】
ぼくを幻想郷に連れてきた謎の妖怪。
スキマ、というワープホールを使うことができる。
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・四季映姫(??)【つきつける】
幻想郷の裁判長。紫さんの挑発に乗って検事になった。
色々とフクザツな事情を抱えていそうだ。
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・小野塚小町(??)【つきつける】
法廷係官。
サボり癖がひどく四季検事にいつも怒られている。
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・十六夜咲夜(16)【つきつける】
今回の事件の被告人。
紅魔館というお屋敷に務めるメイドで、
時を止めることができる。
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・八ッ時茶太郎(51)【つきつける】
今回の事件の被害者。
お茶屋『いっぷく堂』の店主。
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・河城にとり(??)【つきつける】
刑事兼エンジニアの河童。
機会を見つけては機械をいじくろうとする。
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③
「事件当夜、被告人は偶然にもこのボードを発見したのでしょう。そして逆上し、その場で犯行に及んだと考えられます」
【法廷記録】
──────────────────
・弁護士バッジ【つきつける】
これがないと、
誰もぼくを弁護士として
みとめてくれない。
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・八ッ時茶太郎の解剖記録【つきつける】
・被害者 八ッ時茶太郎
・死因 心臓をナイフで一突きにされたことによる失血死。
・追記 ナイフの刺さりが甘かったことが再解剖で判明。よって、被害者は刺されてから数十秒の間生きていた可能性を認める。
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・現場上面図【つきつける】
現場の上面を記した図。
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・凶器のナイフの情報【つきつける】
1科学調査の結果
・柄の部分に被告人の順手の指紋を検出。それ以外の指紋は検出されず。
・刃先の部分に、被害者の血液を検出。それ以外の血液は検出されず。
2その他の情報
凶器のナイフは、柄の部分と刃の部分が取り外せる仕様となっている。
また、柄の部分はプラスチック製、刃の部分は鉄製であることが判明済み。
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・コルクボード【つきつける】
被害者の自室から発見されたもの。
咲夜の写真ばかりが貼られている。
すべての写真がカメラ目線になっている。
──────────────────
《人物ファイル》
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・綾里真宵(19)【つきつける】
ぼくの助手。
倉院流霊媒道の使い手。今もなお修行中。
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・博麗霊夢(16)【つきつける】
博麗神社の巫女。
ぼくに幻想郷のことについて教えてくれた。
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・八雲紫(??)【つきつける】
ぼくを幻想郷に連れてきた謎の妖怪。
スキマ、というワープホールを使うことができる。
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・四季映姫(??)【つきつける】
幻想郷の裁判長。紫さんの挑発に乗って検事になった。
色々とフクザツな事情を抱えていそうだ。
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──────────────────
・小野塚小町(??)【つきつける】
法廷係官。
サボり癖がひどく四季検事にいつも怒られている。
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・十六夜咲夜(16)【つきつける】
今回の事件の被告人。
紅魔館というお屋敷に務めるメイドで、
時を止めることができる。
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・八ッ時茶太郎(51)【つきつける】
今回の事件の被害者。
お茶屋『いっぷく堂』の店主。
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──────────────────
・河城にとり(??)【つきつける】
刑事兼エンジニアの河童。
機会を見つけては機械をいじくろうとする。
──────────────────
「異議あり!」
ぼくは思いっきり指をつきつけた。
「裁判長! ただいまの証言は、この証拠品のデータとムジュンしています!」
「……? どこがかしら? 特におかしいところは見当たらないみたいだけど……」
紫さんはけげんな表情を浮かべる。
「あれ? ……そうですかね?」
「異議は認められないわ」
紫さんは無慈悲にも首を振る。
「弁護人は、もっと慎重に発言するように!」
しまった! 失敗してしまったみたいだ……。
どうやら、つきつけるべき証言が違う、もしくは証拠品が間違っているみたいだ。
もう一度考え直さないと……。
以下、投稿当時の後書き
どうも、タイホくんです。
今回の”つきつける”のコーナーは、ムジュンしている証拠品ではなく、なぜその証拠品がムジュンしているのか、その理由を答えていただきます。
この状況でムジュンしている証拠品をつきつけろ、と言われてもコルクボード以外にありえないので、少しやり方を変えてみました。
選択肢は本家逆裁に合わせて三つ(というのは建前で、本音は外れ選択肢を四つも考えられないから)です。
難易度は星五つ中一つ。簡単だと思います。
では。
検察側の主張に対する反論の証拠品をつきつけろ!
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弁護士バッジ
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八ッ時茶太郎の解剖記録
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現場写真
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現場上面図
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凶器のナイフの情報