逆転裁判 ~東方法闘録〜   作:タイホくん

43 / 116
探偵 後半 その10

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 ぼくはズボンのポケットからあるものを取り出した。勾玉だ。石英を削って造られた手のひらサイズの勾玉が、淡い緑色に光っている。この勾玉は、真宵ちゃんのいとこからもらったものだ。

 何でも、この勾玉には綾里家の不思議な霊力が込められているらしく、この勾玉を身に着けていると、秘密を抱えた人物が心に掛けた錠前、通称“サイコ・ロック”というものが見えるようになる。このサイコ・ロックを解除すると、その人物が隠していた本当のことを聞き出すことが出来るようになるのだ。

 正直、てゐさんが隠していることは、事件とはあまり関係ないようにも思える。しかし、隠し事をしていると分かった以上、解除しない手はない。一つ、力試しの一環として解除してみるか。

 

 「おい、いきなり黙りこくってどうしたんだ?」

 ずっと勾玉を凝視しているぼくを見て、てゐさんは少し不思議に思ったようだ。しゃがんでこちらの顔をうかがっている。

 「いえ、なんでもありません」

 ひとまず適当に受け流し、勾玉をポケットにしまった。

 さて、会話をどう切り出すか考えよう。

 

 ―サイコ・ロック― ~てゐの隠していること~

 

 サイコ・ロックは、その人物が抱えている嘘に反応する。つまり、サイコ・ロックが現れた瞬間に発した言葉について追究すればいいというわけだ。

 確か、サイコ・ロックが出現した時、てゐさんは“悪戯が失敗した”と話していた。つまり、悪戯は失敗していなかったということになる。

 うむ。とりあえずカマをかけてみるか。何かヒットするかもしれない。

 

 「……てゐさん。実はぼく、昨日てゐさんが仕掛けた悪戯について、少し知っていることがあるんです」

 「知っていること? 馬鹿仰い。私たちは今初めて会ったばかりなんだぞ。あんたが昨日の私の悪戯について知っているわけがないだろう」

 「いえ、それが分かるんです。コイツがあればね」

 ……さて、ここで何を突きつければいいか。勢いだけで押し切ったところはあるが、ぼくには一つ心当たりがある。

 

 ―つきつける― てゐの悪戯を知ることができる証拠をつきつけろ!

 

【法廷記録】

 

──────────────────

・弁護士バッジ【つきつける】

これがないと、

誰もぼくを弁護士として

みとめてくれない。

──────────────────

 

──────────────────

・八ッ時茶太郎の解剖記録【つきつける】

 ・被害者 八ッ時茶太郎 

 ・死因 心臓をナイフで一突きにされたことによる失血死。

 ・追記 ナイフの刺さりが甘かったことが再解剖で判明。よって、被害者は刺されてから数十秒の間生きていた可能性を認める。

──────────────────

 

──────────────────

・現場上面図【つきつける】

現場の上面を記した図。

──────────────────

 

──────────────────

・凶器のナイフの情報【つきつける】

1科学調査の結果

 ・柄の部分に被告人の順手の指紋を検出。それ以外の指紋は検出されず。

 ・刃先の部分に、被害者の血液を検出。それ以外の血液は検出されず。

2その他の情報

 凶器のナイフは、柄の部分と刃の部分が取り外せる仕様となっている。

 また、柄の部分はプラスチック製、刃の部分は鉄製であることが判明済み。

──────────────────

 

──────────────────

・コルクボード【つきつける】

被害者の自室から発見されたもの。

咲夜の写真ばかりが貼られている。

すべての写真がカメラ目線になっている。

──────────────────

 

──────────────────

・文々。新聞【つきつける】

4月9日づけの夕刊。

一面トップには爆破事件について書かれている。

 

※詳細

4月8日午後十一時五十分ごろ、霧の湖で謎の爆発が発生。

妖怪一名が負傷。

──────────────────

 

《人物ファイル》

──────────────────

・綾里真宵(19)【つきつける】

ぼくの助手。

倉院流霊媒道の使い手。今もなお修行中。

──────────────────

 

──────────────────

・博麗霊夢(16)【つきつける】

博麗神社の巫女。

ぼくに幻想郷のことについて教えてくれた。

──────────────────

 

──────────────────

・八雲紫(??)【つきつける】

ぼくを幻想郷に連れてきた謎の妖怪。

スキマ、というワープホールを使うことができる。

──────────────────

 

──────────────────

・四季映姫(??)【つきつける】

幻想郷の裁判長。紫さんの挑発に乗って検事になった。

色々とフクザツな事情を抱えていそうだ。

──────────────────

 

──────────────────

・小野塚小町(??)【つきつける】

法廷係官。

サボり癖がひどく四季検事にいつも怒られている。

──────────────────

 

──────────────────

・十六夜咲夜(16)【つきつける】

今回の事件の被告人。

紅魔館というお屋敷に務めるメイドで、

時を止めることができる。

──────────────────

 

──────────────────

・八ッ時茶太郎(51)【つきつける】

今回の事件の被害者。

お茶屋『いっぷく堂』の店主。

 

【挿絵表示】

 

──────────────────

 

──────────────────

・河城にとり(??)【つきつける】

刑事兼エンジニアの河童。

機会を見つけては機械をいじくろうとする。

──────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───これより下部へのスクロールを禁ずる───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───これより上部へのスクロールを禁ずる───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あなたがどんないたずらをしたのか。これを見ればすぐにわかります」

 「…………。ほれ、取れた」

 「? ……あっ、それぼくが出した証拠品!」

 「油断してるからだよ。それに、そんなんじゃ私の悪戯が何かは分からないと思うけどなー」

 ……どうやら間違ってしまったようだ。

 「せめてもの情けだ。この証拠品は返してやるよ」

 「ありがとうございます……」

 「いいってことよ」

 ……なんかムカつく。もう一度考え直さないと。

 

 「……今度こそ教えて差し上げましょう。この証拠品があれば、あなたがしたいたずらがなにだったか、分かるんですよ」

 

【法廷記録】

 

──────────────────

・弁護士バッジ【つきつける】

これがないと、

誰もぼくを弁護士として

みとめてくれない。

──────────────────

 

──────────────────

・八ッ時茶太郎の解剖記録【つきつける】

 ・被害者 八ッ時茶太郎 

 ・死因 心臓をナイフで一突きにされたことによる失血死。

 ・追記 ナイフの刺さりが甘かったことが再解剖で判明。よって、被害者は刺されてから数十秒の間生きていた可能性を認める。

──────────────────

 

──────────────────

・現場上面図【つきつける】

現場の上面を記した図。

──────────────────

 

──────────────────

・凶器のナイフの情報【つきつける】

1科学調査の結果

 ・柄の部分に被告人の順手の指紋を検出。それ以外の指紋は検出されず。

 ・刃先の部分に、被害者の血液を検出。それ以外の血液は検出されず。

2その他の情報

 凶器のナイフは、柄の部分と刃の部分が取り外せる仕様となっている。

 また、柄の部分はプラスチック製、刃の部分は鉄製であることが判明済み。

──────────────────

 

──────────────────

・コルクボード【つきつける】

被害者の自室から発見されたもの。

咲夜の写真ばかりが貼られている。

すべての写真がカメラ目線になっている。

──────────────────

 

──────────────────

・文々。新聞【つきつける】

4月9日づけの夕刊。

一面トップには爆破事件について書かれている。

 

※詳細

4月8日午後十一時五十分ごろ、霧の湖で謎の爆発が発生。

妖怪一名が負傷。

──────────────────

 

《人物ファイル》

──────────────────

・綾里真宵(19)【つきつける】

ぼくの助手。

倉院流霊媒道の使い手。今もなお修行中。

──────────────────

 

──────────────────

・博麗霊夢(16)【つきつける】

博麗神社の巫女。

ぼくに幻想郷のことについて教えてくれた。

──────────────────

 

──────────────────

・八雲紫(??)【つきつける】

ぼくを幻想郷に連れてきた謎の妖怪。

スキマ、というワープホールを使うことができる。

──────────────────

 

──────────────────

・四季映姫(??)【つきつける】

幻想郷の裁判長。紫さんの挑発に乗って検事になった。

色々とフクザツな事情を抱えていそうだ。

──────────────────

 

──────────────────

・小野塚小町(??)【つきつける】

法廷係官。

サボり癖がひどく四季検事にいつも怒られている。

──────────────────

 

──────────────────

・十六夜咲夜(16)【つきつける】

今回の事件の被告人。

紅魔館というお屋敷に務めるメイドで、

時を止めることができる。

──────────────────

 

──────────────────

・八ッ時茶太郎(51)【つきつける】

今回の事件の被害者。

お茶屋『いっぷく堂』の店主。

 

【挿絵表示】

 

──────────────────

 

──────────────────

・河城にとり(??)【つきつける】

刑事兼エンジニアの河童。

機会を見つけては機械をいじくろうとする。

──────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───これより下部へのスクロールを禁ずる───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───これより上部へのスクロールを禁ずる───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぼくがつきつけたのは、“文々。新聞”だ。あくまでも、心当たりがあるだけで、確証があるわけではないが、他に思い付く証拠はこれぐらいしかない。つきつけるだけつきつけてみよう。

 てゐさんに新聞を差し出す。

 「これは、今日発行された文々。新聞です」

 「そんなので、どうやったら分かるんだ?」

 「新聞の一面に大きくこう書かれています。“霧の湖で爆発”と」

 「ほーう」

 てゐさんは、あくまでも興味が無いですよ、とでも言いたげな様子を見せた。

 しかし、ぼくの目はごまかせない。“爆発”という言葉を聞いた時、彼女の口元が少し引きつったのを確認した。恐らく図星だろう。あてずっぽうで意見をぶつけてみたが、どうやら正解だったようだ。このまま追究を続けよう。

 

 「記事にはこうあります。“昨日午後十一時五十分ごろ、霧の湖付近で小規模の爆発が発生。妖怪一匹が巻き込まれた模様。”この小規模爆発が起こった時間は、てゐさん。あなたが悪戯を仕掛けたと言った時間とも一致します」

 「そ、そんなのただの偶然さ。私は何も知らないよ」

 てゐさんの言葉に、ぼくは首を振った。今の発言には、一つムジュンがある。

 

 「何も知らない……それはおかしい。てゐさん、先ほどあなたは、“久々に静かな環境で落とし穴が掘れた”と発言しました。あなたが落とし穴を掘っていた時間は午前零時前後。そして、爆発も同じ時間に起こっています。霧の湖の側にいたあなたが、この爆発のことを知らないというのは明らかにムジュンしているのです!」

 「ぐぐぐ……」

 てゐさんが低い唸り声を上げた。それと共に、目の前の錠前に小さな亀裂が入った。あと一押しで錠前は壊れそうだ。

 

 「こ、こじつけだ。第一、それだけでは、私が爆発を起こした犯人だとは言い切れない。爆発に巻き込まれた当事者でもいない限り、証明は不可能なんじゃないか?」

 ぐ。痛いところを突かれてしまった。てゐさんの反応から考えるに、爆発事件の犯人は彼女で間違いないのだろう。

 しかし、この新聞に書かれた情報だけでは、てゐさんが犯人だとは言い切れない。でも、ぼくは爆発事件の被害者の容姿はおろか、名前さえ知らない。うう……どうしよう。

 八方塞だ。そう思った時だった。意外な人物が口を開いた。

 

 「あら、爆発事件の被害者なら、私が知っているわ」

 不意に後ろから聞こえた声の主は、霊夢さんだった。

 「げげ。博麗の巫女……」

 てゐさんが苦虫をつぶしたような顔を作った。

 「霊夢さん。被害者と知り合いなんですか?」

 「ええ。私の知り合いに、伊吹萃香(いぶきすいか)っていう鬼の子がいてね。昨日の夜遅くに偶然会ったのだけど、体中傷まみれでね。放っておくのも何だったから治療してあげたのだけど、その時恨めしそうな顔で呟いていたわ。“イタズラ兎の爆破に巻き込まれた”ってね」

 

 「ぐ……ぐぎゅう!」

 霊夢さんの言葉に、てゐさんはショックで大きくのけ反った、それと同時に、錠前にさらに大きな亀裂が入りそのまま粉々にはじけ飛んだ。

 錠前がはじけ飛ぶと、今度は鎖がジャラジャラ、と音を立てながら消えて行く。やがて全ての鎖が無くなると、ぼくの視界が元に戻った。これでサイコ・ロックは解除された。

 

 ―解除成功―

 

 「てゐさん。本当のことを話してくれますね?」

 「……分かったよ。嘘を見破られたからには、話さざるを得ないね。……実は、昨日新しい爆薬が完成してさ。あの日はテストのために霧の湖に行っていたんだよ。まだ、テスト段階だから、誰もいない場所で起爆させたつもりだったんだけど……離れたところで起爆したせいで、鬼が近づいているのに気が付かなかったんだ。私は、悪戯に命を注いでいるから、完璧でない結果は嫌いなんだ。だから黙っていた、それだけのことさ」

 「そうですか……」

 悪戯に命を注ぐとは。まあ、他人の趣味にとやかく言うのもどうかと思うし、何もつっこまないでおこう。……ただ、悪戯で爆薬はやり過ぎだと思うな。

 

 「さて、もういいだろう。そろそろ家に帰しておくれよ。私にも用事があるからさ」

 「あ、引き止めてしまって、すみません。ありがとうございました」

 「あいよ」

 てゐさんは、やっと解放されたと涼しげな顔になると、ひらひらと手を振りながら去って行った。

 

 「さて、ぼく達もそろそろ行こうか」

 そばにいる真宵ちゃんに話しかける。腕に付けた時計は間もなく八時を回ろうとしている。審理の再開まではおよそ二時間しかない。急がなければ。

 霊夢さんに軽く挨拶をして歩き始める。

 

 いつの間にか月を遮っていた雲は晴れ、月明かりが静かな夜の小道を照らしている。もうすぐそこまで迫っている人里の明かりを目指して、ぼく達は歩みを速めた。

 

   

 


 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。