逆転裁判 ~東方法闘録〜   作:タイホくん

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※画像の著作権及び著作者人格権は著作者に所属します。
無断転載等を行わないようお願いいたします。



法廷 後半 その9

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 「……分かりました。では、お望み通り証拠品を提示しましょう。証人が鍛冶屋に忍び込んだ証拠。それは……このネックレスです!」

 「ね、ネックレス?」

 裁判長席から声がした。

 

 「このネックレスは、鍛冶屋の裏手にある倉庫に落ちていたそうです」

 一徹さんからもらったネックレスを掲げる。それを見て、桜さんは青ざめた顔をした。

 「異議あり!」

 負けじとすぐさま検察側から異議が飛ぶ。

 

 「ふん。そんなネックレスをむんずと突き出されたところで、それが彼女の物だと証明できなければ意味がありません。検察側は、そのネックレスが証人の物だったという確固たる証拠の提示を求めます!」

 「……いいでしょう。このネックレスが証人の物だということは、こいつが示してくれる!」

 

 

 

 ―つきつける― ネックレスが桜のものだということを示す証拠をつきつけろ!

 

【法廷記録】

 

──────────────────

・弁護士バッジ【つきつける】

これがないと、

誰もぼくを弁護士として

みとめてくれない。

──────────────────

 

──────────────────

・八ッ時茶太郎の解剖記録【つきつける】

 ・被害者 八ッ時茶太郎 

 ・死因 心臓をナイフで一突きにされたことによる失血死。

 ・追記 ナイフの刺さりが甘かったことが再解剖で判明。よって、被害者は刺されてから数十秒の間生きていた可能性を認める。

──────────────────

 

──────────────────

・現場上面図【つきつける】

現場の上面を記した図。

──────────────────

 

──────────────────

・凶器のナイフの情報【つきつける】

1科学調査の結果

 ・柄の部分に被告人の順手の指紋を検出。それ以外の指紋は検出されず。

 ・刃先の部分に、被害者の血液を検出。それ以外の血液は検出されず。

2その他の情報

 凶器のナイフは、柄の部分と刃の部分が取り外せる仕様となっている。

 また、柄の部分はプラスチック製、刃の部分は鉄製であることが判明済み。

──────────────────

 

──────────────────

・コルクボード【つきつける】

被害者の自室から発見されたもの。

咲夜の写真ばかりが貼られている。

すべての写真がカメラ目線になっている。

──────────────────

 

──────────────────

・文々。新聞【つきつける】

4月9日づけの夕刊。

一面トップには爆破事件について書かれている。

 

※詳細

4月8日午後十一時五十分ごろ、霧の湖で謎の爆発が発生。

妖怪一名が負傷。

──────────────────

 

──────────────────

・現場の土間について【つきつける】

現場の土間は、かなり柔らかく、軽い人がのっただけでも痕が残る。

──────────────────

 

──────────────────

・黄ばんだ写真【つきつける】

茶太郎の自室に置かれていた黄ばんだ写真。

茶太郎の見た目が若いのに対し、

桜の見た目には変化がない。

──────────────────

 

──────────────────

・カメラの記憶【つきつける】

朝霧が念写したカメラの記憶。

いっぷく堂開店当時の茶太郎と桜の姿が写っている。

──────────────────

 

──────────────────

・鉄製ナイフの刃【つきつける】

鍛冶屋・一徹で売られている洋物ナイフの刃。

グリップと刃が取り外せるようになっている。

──────────────────

 

──────────────────

・銀製のナイフの刃【つきつける】

咲夜が普段使っているナイフの刃。

幻想郷では貴重な銀が使われている。

鉄製ナイフの刃と同じ形をしている。

──────────────────

 

──────────────────

・グリップ【つきつける】

咲夜が普段使っているナイフのグリップ。

投げナイフ用で少し特殊な形をしている。

刃の差込口が洋物ナイフのグリップと同じ形になっている。

──────────────────

 

──────────────────

・ナイフ【つきつける】

鍛冶屋一徹でもらったもの。

鍛冶屋で保管されていたグリップと

ナイフの刃が組み合わさってできている。

──────────────────

 

──────────────────

・ペアネックレスのかたわれ【つきつける】

鍛冶屋・一徹に落ちていたネックレス。

形から察するに恐らくペアネックレスと思われる。

──────────────────

 

──────────────────

・紅魔館の防犯写真【つきつける】

紅魔館の魔法防犯システムが撮影した写真。

桜と思しき人物が写っている。

──────────────────

 

《人物ファイル》

──────────────────

・綾里真宵(19)【つきつける】

ぼくの助手。

倉院流霊媒道の使い手。今もなお修行中。

──────────────────

 

──────────────────

・博麗霊夢(16)【つきつける】

博麗神社の巫女。

ぼくに幻想郷のことについて教えてくれた。

──────────────────

 

──────────────────

・八雲紫(??)【つきつける】

ぼくを幻想郷に連れてきた謎の妖怪。

スキマ、というワープホールを使うことができる。

──────────────────

 

──────────────────

・四季映姫(??)【つきつける】

幻想郷の裁判長。紫さんの挑発に乗って検事になった。

色々とフクザツな事情を抱えていそうだ。

──────────────────

 

──────────────────

・小野塚小町(??)【つきつける】

法廷係官。

サボり癖がひどく四季検事にいつも怒られている。

──────────────────

 

──────────────────

・十六夜咲夜(16)【つきつける】

今回の事件の被告人。

紅魔館というお屋敷に務めるメイドで、

時を止めることができる。

──────────────────

 

──────────────────

・八ッ時茶太郎(51)【つきつける】

今回の事件の被害者。

お茶屋『いっぷく堂』の店主。

 

【挿絵表示】

 

──────────────────

 

──────────────────

・河城にとり(??)【つきつける】

刑事兼エンジニアの河童。

機会を見つけては機械をいじくろうとする。

──────────────────

 

──────────────────

・大妖精(??)【つきつける】

名前の通り妖精。

事件当夜、友達と人里に

遊びに来ていたらしい。

──────────────────

 

──────────────────

・レミリア・スカーレット(500)【つきつける】

紅魔館の当主。

咲夜さんのことを裏切り者だと話しているが‥‥?

──────────────────

 

──────────────────

・パチュリー・ノーレッジ(??)【つきつける】

紅魔館内の大図書館の管理人。

病弱体質、喘息もち。

──────────────────

 

──────────────────

・小悪魔(??)【つきつける】

大図書館の司書さん。

本名は不明。

──────────────────

 

──────────────────

・森近霖之助(??)【つきつける】

香霖堂店主。

人柄は良さそうだが、

商人にはあまり向いていなさそう。

──────────────────

 

──────────────────

・稲葉てゐ(??)【つきつける】

ウサギの耳が生えた妖怪。

いたずらっ子のようだ。

──────────────────

 

──────────────────

・餅田桜(??)【つきつける】

いっぷく堂の店員。

仲が良いという咲夜さんとは真逆の性格の持ち主。

被害者に恨みを持っている‥‥?

 

【挿絵表示】

 

──────────────────

 

──────────────────

・朝霧純人(??)【つきつける】

河城さんの上司。階級は警部。

事あるごとに『幻想』という単語を使う。

 

【挿絵表示】

 

──────────────────

 

──────────────────

・多々良一徹(??)【つきつける】

鍛冶屋『一徹』の店主。

被害者とは昔からの知り合いだったらしい。

常にお酒の匂いをプンプンさせている。

──────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───これより下部へのスクロールを禁ずる───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───これより上部へのスクロールを禁ずる───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「このネックレスが証人のものであることは、これを見ればわかるはずです!」

 「……はず?」

 「……はず、です」

 「確証を持てないのにつきつけられても……説得力皆無ですよ、弁護人」

 「……ちょっと待っててもらっていいですか? 今から考えて……」

 「考えている間にペナルティを与えておくわね」

 間違えてしまったようだ……。

 

 「ふん。そんな証拠品をむんずと突き出されても、間違っていれば意味がありません。検察側は、そのネックレスが証人の物だったという確固たる証拠の提示を求めます!」

 「……いいでしょう。このネックレスが証人の物だったという事は、こいつが今度こそ示してくれる!」

 

 ―つきつける― ネックレスが桜のものだということを示す証拠をつきつけろ!

 

【法廷記録】

 

──────────────────

・弁護士バッジ【つきつける】

これがないと、

誰もぼくを弁護士として

みとめてくれない。

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・八ッ時茶太郎の解剖記録【つきつける】

 ・被害者 八ッ時茶太郎 

 ・死因 心臓をナイフで一突きにされたことによる失血死。

 ・追記 ナイフの刺さりが甘かったことが再解剖で判明。よって、被害者は刺されてから数十秒の間生きていた可能性を認める。

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・現場上面図【つきつける】

現場の上面を記した図。

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・凶器のナイフの情報【つきつける】

1科学調査の結果

 ・柄の部分に被告人の順手の指紋を検出。それ以外の指紋は検出されず。

 ・刃先の部分に、被害者の血液を検出。それ以外の血液は検出されず。

2その他の情報

 凶器のナイフは、柄の部分と刃の部分が取り外せる仕様となっている。

 また、柄の部分はプラスチック製、刃の部分は鉄製であることが判明済み。

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・コルクボード【つきつける】

被害者の自室から発見されたもの。

咲夜の写真ばかりが貼られている。

すべての写真がカメラ目線になっている。

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・文々。新聞【つきつける】

4月9日づけの夕刊。

一面トップには爆破事件について書かれている。

 

※詳細

4月8日午後十一時五十分ごろ、霧の湖で謎の爆発が発生。

妖怪一名が負傷。

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・現場の土間について【つきつける】

現場の土間は、かなり柔らかく、軽い人がのっただけでも痕が残る。

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・黄ばんだ写真【つきつける】

茶太郎の自室に置かれていた黄ばんだ写真。

茶太郎の見た目が若いのに対し、

桜の見た目には変化がない。

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・カメラの記憶【つきつける】

朝霧が念写したカメラの記憶。

いっぷく堂開店当時の茶太郎と桜の姿が写っている。

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・鉄製ナイフの刃【つきつける】

鍛冶屋・一徹で売られている洋物ナイフの刃。

グリップと刃が取り外せるようになっている。

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・銀製のナイフの刃【つきつける】

咲夜が普段使っているナイフの刃。

幻想郷では貴重な銀が使われている。

鉄製ナイフの刃と同じ形をしている。

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・グリップ【つきつける】

咲夜が普段使っているナイフのグリップ。

投げナイフ用で少し特殊な形をしている。

刃の差込口が洋物ナイフのグリップと同じ形になっている。

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・ナイフ【つきつける】

鍛冶屋一徹でもらったもの。

鍛冶屋で保管されていたグリップと

ナイフの刃が組み合わさってできている。

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・ペアネックレスのかたわれ【つきつける】

鍛冶屋・一徹に落ちていたネックレス。

形から察するに恐らくペアネックレスと思われる。

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・紅魔館の防犯写真【つきつける】

紅魔館の魔法防犯システムが撮影した写真。

桜と思しき人物が写っている。

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《人物ファイル》

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・綾里真宵(19)【つきつける】

ぼくの助手。

倉院流霊媒道の使い手。今もなお修行中。

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・博麗霊夢(16)【つきつける】

博麗神社の巫女。

ぼくに幻想郷のことについて教えてくれた。

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・八雲紫(??)【つきつける】

ぼくを幻想郷に連れてきた謎の妖怪。

スキマ、というワープホールを使うことができる。

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・四季映姫(??)【つきつける】

幻想郷の裁判長。紫さんの挑発に乗って検事になった。

色々とフクザツな事情を抱えていそうだ。

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──────────────────

・小野塚小町(??)【つきつける】

法廷係官。

サボり癖がひどく四季検事にいつも怒られている。

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・十六夜咲夜(16)【つきつける】

今回の事件の被告人。

紅魔館というお屋敷に務めるメイドで、

時を止めることができる。

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・八ッ時茶太郎(51)【つきつける】

今回の事件の被害者。

お茶屋『いっぷく堂』の店主。

 

【挿絵表示】

 

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・河城にとり(??)【つきつける】

刑事兼エンジニアの河童。

機会を見つけては機械をいじくろうとする。

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・大妖精(??)【つきつける】

名前の通り妖精。

事件当夜、友達と人里に

遊びに来ていたらしい。

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・レミリア・スカーレット(500)【つきつける】

紅魔館の当主。

咲夜さんのことを裏切り者だと話しているが‥‥?

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──────────────────

・パチュリー・ノーレッジ(??)【つきつける】

紅魔館内の大図書館の管理人。

病弱体質、喘息もち。

──────────────────

 

──────────────────

・小悪魔(??)【つきつける】

大図書館の司書さん。

本名は不明。

──────────────────

 

──────────────────

・森近霖之助(??)【つきつける】

香霖堂店主。

人柄は良さそうだが、

商人にはあまり向いていなさそう。

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・稲葉てゐ(??)【つきつける】

ウサギの耳が生えた妖怪。

いたずらっ子のようだ。

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・餅田桜(??)【つきつける】

いっぷく堂の店員。

仲が良いという咲夜さんとは真逆の性格の持ち主。

被害者に恨みを持っている‥‥?

 

【挿絵表示】

 

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・朝霧純人(??)【つきつける】

河城さんの上司。階級は警部。

事あるごとに『幻想』という単語を使う。

 

【挿絵表示】

 

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・多々良一徹(??)【つきつける】

鍛冶屋『一徹』の店主。

被害者とは昔からの知り合いだったらしい。

常にお酒の匂いをプンプンさせている。

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───これより下部へのスクロールを禁ずる───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───これより上部へのスクロールを禁ずる───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぼくは、一枚の紙きれを法廷記録から取り出した。

 「その証拠はこいつです!」

 「そ、それは……写真、かしら? 証人と被害者が写っているようだけれど」

 「その通りです。この写真は、朝霧という人からもらいました」

 「朝霧…………まったく、あの男はぁ……!」

 朝霧さんの名前を聞いて、四季検事が唸りだす。彼には悪いが、このまま続けさせていただこう。

 

 「この写真をよくご覧ください。被害者と証人はおなじ形のネックレスを首にかけている。これが何よりの証拠です!」

 「ま、待ってちょうだい! そんなネックレス、人里の宝飾店を探し回れば、どこかで売られているはずよ!」

 証人席から、桜さんが反論してきた。

 

 「異議あり! 証人、そうはいきません! このネックレスは開店祝いに作られた特注品だった。つまり、この世界でこのネックレスを持っていたのはあなたと被害者のみなのです!」

 「ぐっ……!」

 「そして、こいつが特注品だったと教えてくれたのは……証人! ほかでもないあなたなのです!」

 「き……きゃあああっ!」

 「やはり、倉庫に忍び込んだのは証人で間違いなかった! この事件の真犯人は餅田桜、彼女以外にありえません!」

 

 桜さんは、俯いている。顔はすでに真っ赤に染まっており、静かな怒りが感じ取れる。

完全に追い詰め切ったと言っていいだろう。

 裁判長席のほうを見ると、紫さんはすでに意を決したように、証人席と被告人席のほうを交互に見ている。これで審理は決したはず……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「異議あり!」

 が、そう上手くもいかない。

 

 「……どうやら、そろそろ潮時のようですね」

 先ほどまで動揺していた四季検事だが、今は妙に落ち着き払っている。

 目を閉じ、まるで、瞑想しているような雰囲気だ。

 

 そう思ったのもつかの間、四季検事はカッ、と目を見開くと机を叩き、叫ぶ。

 「裁判長! 検察側はここで、新たな証人の召喚と、証拠品を提示する準備があります!」

 新たな証人に、証拠品……か。さっきの追及で、検察側はかなり追い詰めらているはず。

 そしてそんな状況で提出する証拠品……切り札が飛んでくる!

 

 「新たな証拠品……そういえば、検察側の証拠品があと一つ余っていたわね」

 紫さんが資料をめくる。

 「分かったわ。可能性が残っている以上、検証しなければならない。証人の入廷と、証拠品の提出を許可するわ」

 紫さんの事件に対する向き合い方は正しい。そのおかげで、この裁判中に何度も助けられた。……しかし、今度はそうもいかない。検察側の切り札。ここで崩さねば、逆転されかねない!

 

 「では、証人。入廷なさい」

 四季検事が証人を呼ぶ。しかし、今までと少し口調が違う。まるで、目下の者に話しかけるような口調だ。

 すぐに扉が開かれる。そこには、朝霧さんの姿があった。

 

 

 「証人、名前と種族、職業」

 彼が証人席に着くや否や、即座に身分確認が始まる。

 

 「ああ、四季様、お構いなく。僕のようなものが、この席に座ること自体、恐れ多いし、それに……」

 「名前と種族、職業。今すぐ述べなさい!」

 叩き割る勢いで机を殴った後、四季検事が怒号を飛ばす。

 朝霧さんは、お茶屋であった時より、少し恐縮しているように見て取れる。彼女の直属の部下なのだろうか。

 

 「名前は朝霧純透、種族はただの妖怪。職業は刑事を」

 そつなく答える。

 「初めから、普通にして下さい。大体あなたという人は……」

 「おっと、四季様。説教は勘弁してください。一応、僕は証言しに来ているのですから」

 お説教がまさに始まらんとしていたところで、朝霧さんが制止した。

 彼女のお説教癖を知っているということは、やはり直属の部下なのか……いや、四季検事のことだ、街中でも説教をしているのだろう。それで知っているのかもしれない。

 

 「む……。分かりました。あなたへのお説教は、後に取っておきましょう」

 正論を言われたのが少し癪だったのか。四季検事は眉間にしわを寄せた。

 「それで、この証人は何を話すのかしら?」

 紫さんが問う。

 「僕は、四季様がおっしゃられていた、決定的な証拠についてお話しいたします」

 決定的な証拠……物の記憶だな。

 

 「僕は、能力を使って、物の記憶を紙に念写することが出来ます。昨晩、僕は幻想的な香りに誘われ、現場をふらりと訪れました」

 さながら、ミュージカルの役者のように、ふわりと飛んでみせる朝霧さん。が、検査値側からの刺すような目線に気づくと、慌てて姿勢を直す。

 

 「そして、偶然、素晴らしい幻想の記憶を持つものを見つけたのです」

 「一体なにかしら?」

 「それは、そこにおいてある凶器のナイフです」

 机の方を指さす。

 「物とは実に素晴らしいです。ぼく達が気づきもしないようなことまで見聞きしている。ああ、何て幻想的なのでしょう……」

 今度は、空に向かって祈りをささげるようなポーズをとった。どうやら彼は、自分の能力に関連した話をすると、気分が高揚するのだろう。彼を除いた廷内の全員が、冷ややかな視線を送る。

 

 「な、何が幻想的なのかはわからなないけど、とにかく、すごいものを見つけたのね」

 「はい、裁判長閣下」

 「では、その決定的な記憶について、証言をお願いするわ」

 「仰せのままに」

 執事のような深い一礼をした後、証言を始める。さて、どんな記憶が飛び出るか……。

 

―証言開始―

 

~幻想的で決定的な証拠~

 

 「今回念写してきた紙は、合計で三枚です。これらについて、僕自身の解釈を織り交ぜながら、紹介させていただきます」

 朝霧さんは、懐から三枚の紙を取り出すと、証言席の机に並べ、一枚取り上げる。

 「一枚目はこの紙。被告人が今まさに、被害者を殺害しようとしている様子ですね」

 

【挿絵表示】

 

 一枚目の写真には、ナイフが、立ち尽くす茶太郎さん目掛けて突き刺されようとしている様子が写っている。よく見ると、薪小屋が写っており、薪が積み上げられているのが分かる。

 

 「少しいいでしょうか」

 思わず声を上げた。

 「何でしょう?」

 「この写真、確かに被害者が刺される直前の光景に見えますが……これだけでは、被告人がナイフを持っているとは断定できないのでは?」

 「それについては問題ありません」

 朝霧さんは頭を振る。

 

 「成歩堂弁護士、着眼点を変えてみましょう。被害者に注目してください。彼は殺されるというのに、動ずることもなく、棒のように立っているでしょう?」

 「た、確かに……」

 「ナイフを突き立てられたら、人間であれ妖怪であれ、必ず抵抗するはずです。しかし、被害者は抵抗する素振りを見せてない。なぜそのような状況が出来上がったのか?答えは一つです」

 「時間を、止められていたから……」

 これまた思わず言葉が口から漏れ出た。

 「正解です」

 今度は頭を縦に振られた。出来る事なら横に振って欲しかった……。

 

 「時を止められてしまっては、抵抗することは出来ません。被害者は自分が殺されたことも知らずに、命を落としたのです。何て幻想的な犯行だ……尊敬の意を表するのに値する……」

 なんてこった……たった一枚の写真で、せっかくの逆転が止められてしまった!

 「さて、一枚目はこんな所ですかね。では次に行きましょう。」

 朝霧さんが、別の紙を手に取った。

 

 「二枚目はこれです」

 二枚目の紙には、何も写っていない。インクでべた塗りしたように真っ暗だ。

 「これはですね、被害者が刺された瞬間のナイフが見ていた光景です」

 「刺された瞬間の?」

 「そう。ナイフは、刺された瞬間のみ、目の前が真っ暗になってしまうのです」

 「なるほど」

 「さて、あまり語りすぎるのも幻想的とは言えません。次の記憶を見ましょう」

 

  三枚目の紙が取り上げられる。

 「この写真は、被害者が刺された直後の光景です。刺された衝撃で一瞬窓側を向いているのか、外しか見えません」

 

【挿絵表示】

 

 紙には、お茶屋の外が映し出されている。薪小屋しか写っていない。

 「僕が物に問いかけて呼び起こした記憶はこの三つだけです。さて、成歩堂弁護士、あなたはこれをどう読み解きますか?」

 

 

 

 「いかがでしたでしょうか、裁判長」

 証言を聞き終えた四季検事が、余裕綽々と言わんばかりにほくそ笑む。

 「そうね……一枚目の紙に写っているものと、その解釈を聞く限りでは、そう判断せざるを得ないわね」

 悔しいが、ぼくもそう認めざるを得ない。ナイフで刺されようとしているのに、一切抵抗しないのはおかしい。彼の解釈が正しいとしか思えない。

 うう、検察側の切り札、突破するのは骨が折れそうだ……。

 「弁護人、何か反論は?」

 紫さんが問う。四季検事は、ぼくを見下すような眼で見ている。

 

 「無駄です。一枚目の紙を見て、よく分かったでしょう。被害者が殺害される直前、時間は止まっていた。この幻想郷で時間を止めることが出来るものは、被告人以外に存在しません」

 そう言って、ぼくの方目掛けて指をさした。

 「あなたがこれまで立証してきたことは、確かに理にかなっていました。しかし、時止めの前にはすべて無意味です」

 「でも、まだ可能性があるかもしれません」

 「往生際が悪いのも大概にしなさい。こればかりは、あなたにも立証することは不可能です。諦めなさい。今、ここで負けを認めれば、あなたに対する罰則は見逃してあげましょう」

 少し、慈愛を感じさせるような柔らかい声色で話す。

 

 「……残念ですが、四季検事。ぼくは諦めが悪いんです」

 そうだ。諦めて堪るものか。約束を、咲夜さんとの約束を果たさなければならない!

罪をかぶるのが怖くて弁護士が務まるか。ぼくは初めから、その覚悟を持って、この法廷に立っているのだから!

 

 「……弁護側は、検察側の提出した証拠にムジュンがあると考えます!」

 「……面白い!」

 四季検事が、パン、と手を打ち鳴らした。

 

 考えろ、考えるんだ成歩堂龍一! 今こそ、発想を逆転させるんだ。 

 “時が止まっていなかった証拠”を探すのではなく、“時が止まっていたとしたらおかしくなってしまう点”を指摘する。そうすれば、めぐりめぐって、時が止まっていなかったことが証明できるはずだ!

 そして、その“おかしな点”はこの写真に隠されているはず。見つけるんだ、なんとしても!

 これが最後の戦いだ!

 

   

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも、タイホ君です。
いよいよ、今話最後のつきつけるのコーナーです。

と、言っても、今回は証拠品のつきつけではなく、怪しいところを指摘するあれなので、アンケート機能が使えないのです。

この下に先ほどの画像を張っておくので、それをもとに推理してください。
もしよろしければ、メッセージ機能などで、皆さんの推理なんかを披露してくださると幸いです。

難易度は星三つから四つぐらいでしょうか。よーく調べてみれば、ちょっとした違いに気づくと思います。そこから、どのようにして推理していくかというのも肝になると思います。

次回でようやく法廷パートも終わりです。

では。また会いましょう。

―つきつける― 写真に写っているおかしな点を指摘しろ!
(難易度★★★☆☆~★★★★☆)

写真一枚目

【挿絵表示】


写真二枚目

【挿絵表示】


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