【同日 某時刻 被害者の自宅】
華扇さんが部屋を後にしたことを確認したぼくたちは再び調査を続けた。
……とは言ったものの、大して証拠になりそうなものはない。
あたりに散乱したお猪口や、異臭を放つ料理をいくら調べたところで、それらしい証拠は出てきそうにないからだ。せめて、毒物を検出できる調査キットでもあればよかったのだが、そんなもの持っているはずがない。
正直、もう八方ふさがりだ。華扇さんに出現したロックも解除しなければならないのに……。
「……ねー、なるほどくん。お酒っておいしいの?」
真宵ちゃんはこちらの気も知らずに、しゃがんでのんきに現場に落ちている酒瓶を指でつついている。
「わ、このお酒鬼殺しっていうんだって。ぶっそーな名前だねー」
酒瓶のラベルに書かれた名前を見て、真宵ちゃんが目を丸くする。うるさいので少しだけ黙っていてほしい。
「お、なんだい嬢ちゃん。酒に興味があるのかい?」
すると、またもや背後から声が聞こえた。声の主は少なくとも華扇さんではない。
振り返ると、金髪ロングに星マークの付いた赤い一本角が生えた、かなり大柄な女性がそびえたっている台所の入り口に立っている。さっきからずっとそこにいたのか……?
なぜかスカートに体操服姿の珍妙な格好の鬼の女性は、真宵ちゃんの方にドシンドシン、と大きな音を出しながら近寄る。そのあまりの迫力に、しゃがんでいた真宵ちゃんはおもわず尻餅をついて後ずさる。
「なーに、安心しなって、別に取って食いはしないさ!」
鬼の女性は真宵ちゃんの様子を気にすることもなく、そばまで歩み寄ると、手にしていた赤色の盃を手にして、キョロキョロとあたりを見回す。
「えっと、昨日の宴会の酒がまだ残っていたよな……うん、これでいっか」
勝手にその場に転がっていた酒瓶を手に取ると、鬼の女性は蓋をねじ開け、それを盃へと注ぐ。
「ほれ! 星熊盃に注がれた酒を人間が飲むなんて、そうそうない機会だぞ? ささ、ググっと!」
屈託のない笑顔で鬼の女性は盃を真宵ちゃんの顔に近づける。が、真宵ちゃんは当然拒否する。アルハラというのはこのことを指すのだろうか。
「え、えっと……お気持ちはありがたいですけど、私まだ二十歳になっていないので、お酒は……」
真宵ちゃんはたじろきながらも鬼の女性の誘いを断る。
「えー、酒を飲むのに年齢なんて関係ないだろう。せっかくの機会だぞ? ほらほら」
が、その言葉は相手の耳には届かないようだ。
「ちょ、なるほどくん。助けて、この人お酒臭いよ」
仕方ない。助けよう。それに真宵ちゃんの言う通り、この人、なんだか酒臭い。素面じゃなさそうだな。
「あの、その辺で勘弁してあげてください。その子、今は飲む気分じゃないみたいで……」
適当な嘘でひとまずあしらう。
ぼくがそういうと、鬼の女性はこちらを向いて、残念そうな顔をした。
「……はあ。まあそれなら仕方ないか。飲む気がないやつと飲んだところで、互いにぎくしゃくするだけだもんな。悪かったな、嬢ちゃん」
話が通じない相手だと思ったが、意外とすんなりと引いてくれた。鬼の女性は注いだ酒を自分でグイっと一息であおる。中毒にならないか心配になる飲み方だ。
「そうだぞ、勇儀~。飲む気のない子に酒を押し付けるのはやめろ、って何度も言われてるじゃないか~」
二度あることは三度ある。またまた背後から、酩酊した声がした。
振り返ると、今度は茶色のロングヘアーに長くねじれた角を二本生やした小柄な鬼がいた。
「おお、萃香じゃないか!」
「聴取がやっと終わったぜ~勇儀」
鬼の女性……もとい勇儀さんは、玄関に現れた萃香さんの姿を視認すると、真宵ちゃんの方を離れ、玄関へと向かう。
「全く、お前の悪癖はいつまでたっても治らんね~」
「いやあ、お恥ずかしい。まま、そんなことはさておき、一杯おくれよ」
「全く、調子のいいやつだね」
そそくさと萃香さんのもとへと近づいた勇儀さんは、萃香さんに自身の持っていた盃を差し出すと、なにやらお願いをする。それを受けた萃香さんは、やれやれと首を振りながらも、自分の腰に付けたヒョウタンの蓋を開けて、中身を盃へと注ぐ。
「そういや、勇儀。なんでお前ここにいるんだ?」
「んん? ……ああ、昨日の宴会で残った酒を飲みにな。別に誰も手を付けちゃいけないなんて言ってないし、構わんだろ!」
「ははは、火事場泥棒じゃあるまいし。……ま、私も同じこと考えて戻ってきたんだけど。この分だと、ほとんどあんたに飲まれちまったみたいだね」
「運がなかったね。ささ、過ぎたことは置いといて、もっともっと注いでくれ」
「無理言うんじゃないよ。いっぺんに出せるのはこのヒョウタンの大きさ分だけなんだから。それに、あんた飲みすぎだよ?」
「お前に言われたかねえさ」
「はは。それもそうさね~」
こちらのことはすっかり置き去りにして、二人は談笑する。真宵ちゃんは、ポカンとその様子を尻餅をついたまま見ている。
やがて、ヒョウタンから酒が出し切られると、勇儀さんはそれをまたもや一息であおる。
「ん……。ぷはぁ! やっぱり、この盃で飲むとうまいねぇ!」
「ほどほどにしておきなよ。いくら無限に酒が湧いて出るとはいえ、限度を考えなって」
「なんだよ、お前らしくない。お前の伊吹瓢と私の星熊盃があれば、無限に宴会ができるって言ったのはお前じゃないか」
「ま、それもそうか。いちいち健康を気にするなんて、鬼らしくないわな」
「そうだよ。今を楽しめれば、それで万事ヨシってわけさ。ははは!」
「違いないね。ははは!」
今度は二人で笑いあい始めた。というか、いつまで玄関で飲んでいるんだ?
「あ、あの~。お話し中のところ申し訳ないのですが~」
話をしているところに割って入るのは、少々気が引けるが、あそこで話し続けられると、調査を終えてもここから出られない。ひとまずそこをどいてもらわないと。
「ん。あ、ほら勇儀。お兄さん困ってるよ」
「お。ああ、悪い悪い」
何とか二人の耳にこちらの言葉は届いたようで、会話が一時中断されると、二人はこちらへやってくる。
「いやあ~うちの勇儀が迷惑かけたねぇ」
萃香さんは、へこへこと頭を下げる。
「こいつ、すーぐに誰かと飲もうとする癖があるもんで。いや~まいっちゃうよね。ほら、勇儀、お前も謝れって」
「いや、ほんと。申し訳なかった。ごめんな、嬢ちゃん? 怖くなかったか?」
「は、はい。大丈夫です」
こちらもヘコヘコと謝る勇儀さん。あまりにあっけらかんとした態度に、真宵ちゃんは気の抜けた返事を返す。
「私は、星熊勇儀(ほしぐま ゆうぎ)。見ての通り鬼だ」
「同じく、鬼の伊吹萃香(いぶき すいか)だ。よろしく頼むよ。嬢ちゃんに、お兄さん」
伊吹……ということが、この小さいほうの鬼が、今回の宴会の主催者であり、おとといの霧の湖爆発事件に巻き込まれた鬼ってわけか。……確かに、よく見ると、腕のところに大きなばんそうこうが貼ってある。まだ怪我は治っていないようだな。……いや、爆発に巻き込まれたのに、ばんそうこう一枚しか張っていないということは、異常に治癒力が高いとも考えられるか。
「お兄さんたち、成歩堂龍一と、綾里真宵ちゃんだろ? 新聞で見たぞ~」
伊吹さんが、ひょうたんから酒を注ぎながら言う。……また新聞か。
「ん。新聞って、あのカラス天狗のか?」
「ああ。そっか、おまえは新聞取ってなかったから知らないんだな」
「いや、私は外で華扇から聞いた」
「華扇? なんでアイツまでここに」
「百薬升を取りに来たんだとか。たまーにそそっかしいからな」
呼び捨て……華扇さんと、勇儀さんは顔見知りなのだろうか。
「……華扇さんと、お知り合いなんですか?」
反射的に質問が飛んだ。彼女のロックを解除するため、少しでも彼女についての情報が欲しい。
「……ん。ああ、そうさ。昔はよく、萃香と私と華扇と、あともう一人鬼の仲間がいるんだが、そいつらとよくつるんでいたもんさ」
「……なるほど。ああ、あともう一つ。百薬升、というのは何でしょう?」
恐らく、先程彼女が持って行った升のことだろう。こちらに関しては、完全に個人的な興味本位だが、聞いてみた。
「ん? 茨木の百薬升か? うーん……簡単に言うなら、飲めば病気やケガが治るが、代わりに体が少しずつ鬼になるっていうなかなか癖の強い代物さ。あいつが昔から持っているものだよ」
「分かりました。ありがとうございます」
よし、情報を二つゲットだ。忘れないうちにメモしておこう。
―証拠品「華扇と勇儀たちの関係」の情報を法廷記録にファイルした―
・華扇と勇儀たちの関係
華扇は昔、鬼の勇儀と萃香、さらにもう一人別の鬼と、
四人でよくつるんでいた。
―証拠品「茨木の百薬升」の情報を法廷記録にファイルした―
・茨木の百薬升
華扇の持ち物。病気やけがを治す力を持つが、
使用し続けると体が少しずつ鬼になるらしい。
「それで、兄ちゃんたちよ。確か、ちょうど、調査に来てるんだよな?」
勇儀さんが聞いてくる。
「ええ、そうです」
「なるほどな。じゃあ、私らもちょっとなら協力してやるよ。さっき、迷惑かけちゃったしな」
勇儀さんは、もう一度真宵ちゃんの方を見ると、片手を垂直にして顔の前に持っていく。
「……ちょっとまて、勇儀。私ら、事件に関する話はするなって、あの検事に言われていなかったか?」
勇儀さんの言葉を萃香さんが制止する。
「んあ~? ……言われてみればそうだったかも」
おっと、いずれこうなるとは思っていたが……残念だ。まあ、そりゃ、検察側からしたら情報は裁判の時まで伏せておきたいもんな。
萃香さんの言葉にハッとさせられた勇儀さんは、眉間にしわを寄せる。
「まいったな~。なにか詫びのかわりに調査を手伝ってやりたいんだが……そうだ。じゃあ、酒について教えてやるか」
「酒、ですか?」
「おう。宴会の時に飲まれていた酒だ。なんかの役に立つかもしれないだろ?」
「うーん……どうでしょう。情報は多いに越したことはありませんが」
「と、いうか、私が教えてやれる情報はそれくらいしかないから、これで勘弁してくれ!」
パン、と両手を合わせ、勇儀さんが頭を下げる。手を合わせた時の風圧が猛烈にすさまじく、真宵ちゃんの長髪が揺れる。……手を叩くだけでこんなに強い風を引き起こすとは……この人、本気で戦ったら相当やばい人かもしれない。
「わかりました。それでお願いします」
「よし来た!」
勇儀さんはガッツポーズを作る。
「ほう。勇儀が何か話すっていうなら、私も話すのが筋だね。よし、私は今回の宴会で使われたお猪口について話してあげよう。ちょうど、私が用意したものだし、都合がいい。勇儀が話し終わったら説明してあげるよ。それまで私は飲んでるね~」
萃香さんもぼくたちに情報を提供してくれるようだ。こちらはお猪口に関する情報だ。かなりありがたい。期待しておこう。
「お、おい萃香。ずるいぞ、一人だけ飲んで~」
「あんただってさっき飲んでただろう? 私にも飲ませておくれよ」
「むうう……しかたないな」
勇儀さんは不満そうな顔をしたが、こちらを見ると、笑顔を作る。
「ま、仕方ない。パパっと説明しちゃいますか」
勇儀さんはそういうと、座敷から二種類の酒瓶を取り上げてこちらへ見せる。
「さて。今回の宴会でふるまわれた酒は二種類。鬼殺しと、神便鬼毒酒の二つだ」
「……なんだか、名前だけ聞くと両方ともものすごく物騒なお酒ですね」
二種類の酒瓶に書かれた文字には、“殺”やら、“毒”やら、物騒な文字が書かれている。これ、飲んでも大丈夫なのか?
「ははは! 安心しなって。別に飲んでも殺されねえし、毒も入ってねえよ。どっちも鬼がつぶれるくらいにきつい酒だって、目を引きたいがためにこんな名前になっているんだ。どっちも恐るるに足らないものさ。なんだったら、神便鬼毒酒なんか、だいぶ度数が低い酒だ。初心者向けと言っても過言じゃあない。いくらレプリカとはいえ、劣化させすぎな酒さ」
「ならいいんですが……」
「二本ともそこそこ高い酒で、手に入れるのが大変でな……苦労したよ」
「はあ」
……本当に必要か? この話。
「味は鬼殺しが辛め、神便鬼毒酒が甘めだ。全く……神便鬼毒酒を名乗るからには、もっとどぎつい味で、もっともっと高い度数であってほしいもんだよ。な、萃香?」
勇儀さんは、一人で飲む萃香さんのほうに向かって呼びかける。
「馬鹿言うんじゃないよ。お前は本物を飲んだことがないからそんなことが言えるんだ」
「ははは! そりゃあ悪かった!」
気分が悪そうに返される萃香さんの言葉を、勇儀さんは笑って返す。
「さて、私が話せるのはこんなもんかね」
「……そうですか。とりあえず、ありがとうございました」
「おう。さーて、私も飲むかね。萃香―、次はお前の番だぞー」
……心の底からこの情報が役立つとは思えない。……とりあえず、メモしておこうか。
―証拠品「鬼殺し」の情報を法廷記録にファイルした―
・鬼殺し
宴会でふるまわれた酒。
強い度数と辛みが特徴。
―証拠品「神便鬼毒酒」の情報を法廷記録にファイルした―
・神便鬼毒酒
宴会でふるまわれた酒。
弱めの度数と甘い味が特徴。
メモが終わるころ、萃香さんは五つのお猪口を手にぼくの前に来た。
「やれやれ、もう少し飲みたかったのに……しかたない、ちゃちゃっと終わらせて勇儀に合流するか」
「おう! 待ってるぜ。早くしろよ~」
「全く……一人だけ楽なほうを選びやがって……」
先に飲み始めた勇儀さんのほうを見て、萃香さんは恨めしそうな顔をする。
「……ま、いいか。さて、私は宴会で使われたお猪口について話してあげよう」
よし。本命の話題だ。こちらについては、後々に使える情報があるかもしれない。しっかり聞いておこう。
「今回使われたお猪口は、実は私が用意したものなんだ。……といっても、あのいたずらウサギのとこからのもらい物だけどね」
いたずらウサギ……ああ、そういうことか。
「お猪口は全部で十個。柄は全部で五種類だ」
「つまり、同じ柄の物が二つあることになりますね」
「そういうこと。柄はそれぞれ、風、花、雪、月、そして鳥だ」
風花雪月に花鳥風月……あとは雪月花なんかの組み合わせが作れる柄ってことか。
「それぞれの柄について説明するぞ。まずは風。雲の絵と風が吹いている絵が描かれている。次に花。彼岸花と川の絵が描かれている。その次が雪。雪が降っている様子と、裏に月が描かれている」
「なるほど」
「そして月。月の絵とすっぽんの絵が描いてある」
「す、すっぽんですか」
「そうなんだよ。こればかりはお猪口の作り手の感性を疑うね」
うむむ……鳥とかならまだしも、すっぽんはちょっと……ことわざからヒントを得たんだろうと思うけど。
「ちなみに、月と雪は共に月の絵が共通しているが、これを見分ける術はない。使われている色、構図、すべてが全く同じだ。見分けるためには、すっぽんが描かれているか、雪が降っている絵が描かれているかを確認しなければならない」
「なるほど」
「そして最後が鳥だ。鶯色の鳥に、牡丹の花が描かれている」
……被害者が殺される直前に使っていたお猪口はこれだな。
「ほい。これで全部だ。勇儀の話よりは役に立つだろう」
「ありがとうございます。助かります」
よし、これもメモしておこう。こっちは使う場面が多くなる情報かもしれない。
―証拠品「お猪口と徳利セット」の情報を法廷記録にファイルした―
・お猪口と徳利セット
萃香が持参したお猪口と徳利のセット。
お猪口はペアになっているものが5セット入っている。
※詳細
それぞれのお猪口の柄は以下の通り。
風:表に雲、裏面に風が吹いている様子
花:表に彼岸花、裏面に川
雪:表に降雪の様子、裏面に月
月:表に月、裏面にすっぽん
鳥:表に鶯色の鳥、裏に牡丹の花
「よし。お役目終わり! 私も飲むぞー!」
持ってきたお猪口をその場に雑に置くと、萃香さんは勇儀さんのほうへ合流する。
さて……こちらも調査できそうなものはもうしつくした。まだ、華扇さんのサイコ・ロックが解除できていないのが気がかりだし。次はそっちに関する情報を集めてみるとするか。
「そういえば、お二人ってどこで知り合ったんですか? 見たところだいぶ年が離れているように見えますけど」
ぼくが何か聞こうかと考えていると、真宵ちゃんが二人に話しかけた。
「んあ? 年の差? ああ、そうか。萃香、お前チビだから勘違いされてるぞ~」
「ああ、誰がチビだ? もっぺん言ってみろ!」
「私は事実を言ったまでさ、ははは!」
目じりを吊り上げ、怒る萃香さんを勇儀さんは笑って受け流す。
「ははは……! ああ、おかしい。……ああ嬢ちゃん。実は私ら、そんなに年は離れていないんだ。なんだったら、萃香のほうが少し年上なくらいさ」
「おっと、年齢は私のほうが下だぜ。なんてったって、見た目がこんなだからな!」
「おいおい、年の話の時だけチビなことを利用すんなよ」
「これぐらいしか、使いどころがないもんでね。……ああ、勇儀とは腐れ縁のなかさ。その昔はすぐそこの妖怪の山で、“鬼の四天王”なんて名乗ってブイブイいわせてたもんさ」
「あー。あったねぇ、そんな時代も」
「鬼の四天王……ってことは、もう二人メンバーがいたわけですか」
思わず気になったので聞いた。
「ああ、そうさ。そのうちの一人はか……」
「おい、勇儀、やめとけって。あいつの黒歴史を掘り返してやったらかわいそうだろ~?」
「あー……確かに、そうだな。あの頃のアイツ、うちら以上にやんちゃだったもんな。……ってわけですまねえ兄さん。残りのメンバーは私らの口からはちょっと……自分で調べて、本人に聞いてくれや」
勇儀さんは、申し訳なさそうに頭をかく。
……今、勇儀さんが言いかけた名前ってたぶん……ああ、なるほど。これで納得がいった。華扇さんのロックが現れた理由は、恐らくこれが原因だろう。
よし、そうと決まれば、今の情報はメモしておくべきだな。
―証拠品「鬼の四天王」の情報を法廷記録にファイルした―
・鬼の四天王
その昔、妖怪の山に君臨した四人組の鬼の集団。
メンバーは萃香、勇儀、そして残り二人のうち一人は……?
メモをし終え、勇儀さんに一声かける。
「ありがとうございます。今のはかなり重要な情報でした」
「んあ? なんだかよく分かんねえけど、役に立てたなら何よりだよ」
合点がいかない勇儀さんは、頭に疑問符を浮かべた。
「よし、真宵ちゃん。行こうか。調査の仕上げと行こう」
「了解!」
真宵ちゃんを引き連れ、部屋を後にする。
「ああ、そうだ~お兄さん! 私らこの後、法廷で証言することになってるから、よろしく~!」
背後から萃香さんがこちらに呼びかけてきた。
……今日の法廷、あの人たち相手に尋問するのか。……不安だ。
両肩にどすん、と思いなにかがのしかかる感覚を覚えながら、部屋を出た。目指すは、“彼女”のもとだ。調査の最後に、ロックを解除せねば。
どうも、タイホくんです。
新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
探偵1日目 その6をお送りしました。伝え忘れていましたが、探偵パートは全8回の予定です。新年のあいさつの関係上、今回のみ一週間早く投稿しました。三が日を過ぎたタイミングでの新年のあいさつはちょっとな、と思い、今日の投稿に至ったしだいです。
さて、今回はちょっとした小ネタをはさんだりしております。
例えば、神便鬼毒酒。これは、酒呑童子伝説で登場するお酒で、伊吹萃香の元ネタが酒呑童子であることから今回登場させたりしています。萃香=酒呑童子、とは確約されていませんが、彼女が酒呑童子であるという体でセリフを書いたりしています。
後は、盃の柄ですかね。コロナで自宅に籠っているときにはまった、とあるSRPGのタイトルを構成する四つの漢字を、盃の柄に設定しています。逆裁とは何ら関係ないですが()
話は変わりますが、現在、3話の2日目探偵を書いているところなのですが、ストックが尽きる前に書き上げきれるかどうか少々心配だったりしています。さらに3話を書きあげたら、4話の構想を練らなければならないといけないわけで…やることが盛りだくさんです。
プロットを参照して残り話数を計算すると、一週間おき投稿を続ければ、大体一年分ぐらいのストックができることにはなっています。が、やはり不安が残ります。
投稿されない期間ができるというのは、読んでくださっている方に不安とストレスを与えかねないので、万が一4話を書き上げるよりも先に、ストックがなくなってしまいそうになった場合は、さらに投稿間隔をあける可能性があることを先にお伝えしておきます。
新年早々、面倒くさい話題で申し訳ありません。ですが、こういう話は早めにしておくほうが吉かな、と思ったのでお伝えさせていただきます。
次回投稿予定日は、今回一週間早く投稿した帳尻を合わせるために、三週間後の1月23日とします。少し間が空きます。ご了承のほどお願いいたします。
改めて、本年もどうぞよろしくお願いします。
では。