【同日 午後1時23分 裁判所 被告人第二控室】
「やったね、なるほどくん! 華扇さんを法廷に呼び出すことができたよ!」
控室に戻ってくると、真宵ちゃんが歓喜の声を上げた。
「ああ。後は、華扇さんが宴会の席で毒を飲んでいた可能性を主張することができれば、こちら側に流れは傾く」
よし、何とかうまく行きそうだ。……うまく行き過ぎて、我ながら怖い。
「流石ね、弁護士さん! もうこんなに有利な状況になるなんて!」
一旦、控室にやってきたメディスンさんが言った。
「メディスンさん。緊張はもう解けましたか?」
「ええ、流石に解けているわ。今のところは順調みたいね」
「はい。後は、留置所でお話ししたことを証明することができれば、どうにかなるかと」
「ふふ。もしかしたら、次の証人が決め手になっちゃうかもね」
「ええ。……そう、ですね」
「? どうしたの、なるほどくん。なんだか歯切れが悪そうだけど」
「い、いや。何でもないよ。大丈夫」
「そう? ならいいんだけど」
うーむ……本当に我ながら事がうまく運びすぎているような気がして、怖い。……どうも、何かもうひと悶着ぐらいありそうな気がしてならない。
「おーい、弁護士さん! 証人の準備ができたみたいだよ! そろそろ戻ってきておくれ!」
小町さんが控室にやってきた。思っていたよりも早い。
「さて、それじゃ弁護士さん。後は頼んだわね」
メディスンさんは、特に心配する様子も見せず、控室を後にした。
「さて、なるほどくん。私たちもいこうか!」
「……そうだね」
何とも言えない不安な気持ちを抱え、ぼくは控室を後にした。
【同日 午後1時33分 裁判所 法廷】
弁護席に戻ると、既に二人は自身の席についていた。ぼく達が戻ってきたのを見て、紫さんは木槌を鳴らす。
「では、審理を再開するわ。四季検事、証人の召喚は済ませられたかしら?」
「ええ、何の滞りもなく。すぐにお呼びできます」
四季検事は、すっかり落ち着き払っている。先ほどまで見せていた動揺が、欠片も感じられない。
……やはり不安だ。メディスンさんは、華扇さんの証言で決まると言っていたが……少なくともそれはないと思う。
「では、早速入廷していただきましょう。係官、証人をここへ!」
四季検事がそう言うと、法廷の扉が開かれ、華扇さんが入廷してきた。さっきまでの二人とは違い、落ち着いた物腰をしている。もちろん、酒の匂いもまったくしない。
「……ああ。普通の証人が、これほどまでに有難い存在だとは……」
四季検事は、法廷で好き勝手をしない華扇さんを見て、ある種の感動を覚えているようだ。
「あ、あの検事様……いったい、先ほどまで法廷で何が?」
「ああ。あなたは気にする必要はありません。……後であの鬼どもには、私がきつ~いお説教を食らわせておきますので」
「……何となく察しました。どうやら、私の友人が迷惑をかけたようですね。お詫びいたします。つきましては、私も説教に加勢を……」
「……助かります。あの者たちには、しっかりとお灸をすえてやらねば」
「ええ。同感です。せっかくの機会ですし、みっちりと絞ってあげましょう」
すでに退廷した二人の知らぬところで、四季検事と華扇さんが謎の協定を結びだした。
……二人にはかわいそうだが、完全な自業自得だ。ここは素直にお説教を受けてもらうとしよう。
「……話がそれてしまいましたね。では、証人。名前と職業、種族をお願いします」
「名は茨木華扇と申します。種族は仙人。……未だ修行の身でございます」
「……では、証人。宴会中にあなたが見聞きしたことについて、証言をお願いいたします」
「宴会中のことですか……。分かりました。覚えている範囲でお話しさせていただきます」
どうも、タイホくんです。いつもより少し遅くなってしまいました。
今回、少し物足りないと思うので、3時53分にもう一本投稿いたします。
では。