逆転裁判 ~東方法闘録〜   作:タイホくん

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法廷1日目 その7

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 「異議あり!」

 叫んだ僕はそのまま説明に入る。

 「工事現場の幕の内側に被告人の姿を見た……そんなことは絶対にありえない!」

 「どういうことですかな?」

 裁判長が言った。

 「イトノコ刑事が提出した写真を見て下さい」

 裁判長が写真を取りだす。

 「この写真は工事現場を写したものです。では、この写真の幕の部分に注目してください」

 「幕……と言いますと、この足場のところにかかっている布のことですか? しかしこれが……あ!」

 「お気付きになられたようですね。……証人、あなたは“幕の内側に被告人の姿を見た”と証言しました。しかし! 実際には幕は向こう側が見えないようになっていたのです。これでは、幕の向こう側に誰かがいても分かるはずがないのです!」

 ぼくの言葉に管さんは焦りの表情を見せる。

 「しかし、あなたははっきりと“足場を登る被告人を見た”と証言している。これは明らかなムジュンです!」

 管さんに人差し指を勢いよくつきつけてやる。すると彼は“ヒィ!”と小さな悲鳴を上げた。

 

 ……攻め込むなら今がチャンスのはずだ。危険な賭けになる可能性もあるが……引いてもダメなら押してみるしかない。

 成歩堂龍一、推して参る!

 「……度重なる証言の偽証。極めて怪しいと言わざるを得ません。さらに、あなたは本来犯人しか知れないハズの被害者の頭の傷のことについてしっかりと証言しています」

 机を両手で、強めに叩いて言葉を続ける。

 「以上のことから、弁護側は告発します。管椎名さん、あなたをこの事件の真犯人として!」

 「な、何ですと!」

 裁判長を含めた法廷中の人間から一斉にどよめきが上がる。管さんは怒っているのか、証言台に拳を打ち付けた。

 

 「ふ、ふざけるな……」

 管さんは憎しみの表情をあらわにしている。入廷してきたときの快活さはもうどこにも無かった。

 「ふざけるな!」 管さんが苛立って帽子を床に打ち付けた。

 「なんでそんなことぐらいで俺が犯人にされなくちゃならないんだ! でたらめも大概にしろ!」 息を荒くし、証言台を何度もたたく。

 「大体! 俺が犯人だと決めつけるのはまだ早い!」

 「どういう事でしょう?」

 「さっきの話を聞く限りでは、あんたは“俺が被害者を殴った”と考えたうえで俺を告発したんだろう?」

 「その通りです。被害者を殴った人物。すなわち犯人のことになるかと」

 「甘い! あんたの推理には欠けている点がある!」

 「な、なんでしょう?」

 

 「いいか。被害者は頭を殴られただけでなく、屋上から突き落とされている。屋上に行くには校舎の中に入らないといけないようになっている。だが、俺は事件のあった日一度も校舎には入っていない!」

 先ほどとは打って変わった乱暴な口調で証人席から怒号が飛ぶ。

 「異議あり!」

 その発言に対して異議を挟んだ。管さんの今の発言には裏付けとなる証拠がない。そこを攻め込めば抑えられるはずだ!

 「では証人。あなたが校舎に一度も入っていないという証拠はあるんですか?」

 「あるさ」

 

 ……え? 予想外の返答に思わずのけぞりそうになる。い、一体どういう事だ?

 「東深見高校には、校舎には居る事の出来るすべての出入り口に監視カメラが設置されている。その監視カメラの映像を調べれば、俺が校舎に入っていないと分かるはずだ」

 そう言って、管さんは亜内検事の方を向いた。

 「おい、オッサン。あんた検事なんだろう? 警察に監視カメラの映像を調べるように伝えろ! それで万事解決だ!」

 荒々しい態度で亜内検事に詰め寄る管さん。とてもものを頼むような態度ではない。

 押しに弱い亜内検事は慌てて警察に映像を確認するように依頼した。

 

 数分後、警察からの返答があった。全てのカメラをチェックしたそうだが、管さんが校舎に入って行く様子は映っていなかったそうだ。また、校舎周辺の見回りをしている管さん以外の人物の姿は見受けられなかったそうだ。

 「どうだ、俺の言った通りだ。これで証明されたよな? 俺は一度も校舎に入っていない。つまり、被害者を殺すことは俺にはできないのさ!」

 「くっ……」

 法廷中のぼくに向けられる視線が痛い。傍聴席からはぼくを非難するような声も聞こえる。

 (確実な証拠もないのに、告発ってどうかしているよな……) (証人の人がかわいそうよね……)

 ま、まずい。周りのぼくに対する心証が悪くなってきている。この状況は危険だぞ……。

 

 裁判というものは、周りからの心証も重要になってくる。傍聴人たちのぼくに対する印象が悪くなってしまうと、判決を下す裁判長も少なからずそれに影響されてしまう。

 裁判長のぼくへの心証が悪くなると、尋問などを打ち切られてしまうこともあり、最悪の場合審理が終わってしまうこともある。

 つまり、今この状況は弁護側にとってはかなり厳しい状況なのだ。どうにかして心証を回復しなければ、あとに響いてしまう!

 「どうだ、反論できないんだろう? やっぱりお前の推理は外れていたんだ!」

 どうする……ここで何か言い返さないと、こちらが不利なままだ。考えるんだ……監視カメラに見つかることなく、校舎内に侵入することが出来るルートを!

 ぼくは法廷記録から東深見高校の見取り図を取り出した。見取り図には学校の敷地内にあるものが書かれている。また、監視カメラの設置されている場所も書き込まれていた。

 ……これを参考に監視カメラに見つからないで移動できるルートを探すんだ!

 

 

 ―見取り図とにらめっこすること数分。ぼくはある場所を見つけた。

 監視カメラに見つからないようなルートを探してたどり着いた先に“食品輸送用エレベーター”と書かれていた。

 エレベーターは、裏門のすぐそばに位置しその周辺には監視カメラは無い。どうやら、このエレベーターは学食用に配達された食品を校舎内に運び込むために使われているようだ。小学校にあった牛乳用のエレベーターみたいなものだろう。エレベーターが行きつく先をたどってみると、校舎内にある調理室にも同じ名前の設備があった。つまり、このエレベーターの終着地点は校舎内ということになる。管さんはこの設備を使って校舎内に侵入したのかもしれない。……掛けてみる可能性はある。

 「どうした? 本当に何も言えなくなったか?」捲し立てる口調で管さんが煽ってくる。

 

 「異議あり! 残念ですが証人。一か所だけ……一か所だけ校舎内に侵入することが出来る抜け穴が存在したのです!」

 「な、なんだと……?」

 「東深見高校の見取り図をご覧ください。先ほど証人は“校舎に入るための入り口全てに監視カメラが設置されている”と話していました」

 「そうだ。監視カメラに映らずにはいることが出来る場所なんて存在しない!」

 「ところが、この見取り図にもう一か所、侵入できる場所が書かれています。見取り図の左上の方に“食品輸送用エレベーター“と書かれた場所があるはずです!」

 裁判長と亜内検事が見取り図をくまなく調べる。

 「……ありました。たしかにそのような設備があるようですな」

 「このエレベーターは校舎内にある調理室に繋がっています。このエレベーターならば監視カメラに映ることなく、校舎に入ることが出来たのです!」

 「なんだとぉ!」 管さんが後ろにのけぞる。よし、これで何とか……。

 「異議あり!」証人席から異議が飛んだ。

 「なら、俺がそのエレベーターを使ったことを示す誰もが納得する証拠を出せ!」

 まだ食い下がるつもりなのか。……ここは、決定的な証拠を突きつけてやるべきだな。

 

 「分かりました。提出させていただきます」

 管さんは、証拠品を提出できないと思っていたのか、ぼくの返答に対してやや狼狽したような表情を見せた。

 裁判長が木槌を鳴らした。

 「では、弁護側に証拠の提出を求めます。この証人がエレベータを使ったことを示す証拠品を!」

 

―つきつける― 菅椎名がエレベーターを使ったことを示す証拠をつきつけろ!

※作者注:この部分は、本来イラストを見て謎解きをする形式にすべきなのですが、イラストが用意できていないため、答えをこちらから示させていただきます。

雰囲気だけでもお楽しみください。(答え:謎の紋章)

 

【法廷記録】

 

──────────────────

・弁護士バッジ【つきつける】

これがないと、

誰もぼくを弁護士として

みとめてくれない。

──────────────────

 

──────────────────

・被害者の解剖記録【つきつける】

被害者の解剖記録。

下部に詳細あり。

 

※詳細

 被害者 女性(身元不明)

 死因 高所からの転落による脳挫傷

 追記 頭部に鉄パイプのようなもので殴られた形跡を発見。一度だけ殴られた模様。

──────────────────

 

──────────────────

・現場写真【つきつける】

現場の様子を写した写真。

 

※詳細

被害者は、あおむけに倒れている。

被害者の身長は、180~185cmほど。

頭から血が流れているが、髪に隠れて傷跡は見づらい。

校舎によって、影ができており、周囲に飛び散った血も見づらくなっている。

──────────────────

 

──────────────────

・現場の地図【つきつける】

現場となった学校の地図。

監視カメラの設置場所なども記入されている。

 

※作者注…画像を用意できていないため、

この証拠品を使う場面は、答えを掲示します。

──────────────────

 

──────────────────

・ネクタイピン【つきつける】

被害者が所持していた。

数日前に発生した空き巣事件の盗難品。

被害者と空き巣事件の関係は現在不明。

──────────────────

 

──────────────────

・謎の紋章【つきつける】

現場に落ちていた謎の紋章。

金メッキで加工されているようで、

ところどころはがれてしまっている。

──────────────────

 

──────────────────

・鉄パイプ【つきつける】

被害者を死に至らしめた凶器。

殴った衝撃で、一部が曲がってしまっている。

被告人の指紋と、被害者の血液が付着。

──────────────────

 

──────────────────

・工事現場の写真【つきつける】

イトノコ刑事が、現場近辺で撮影してきた写真。

全部で二枚ある。

 

※詳細

一枚目…地上から撮られた写真。足場を覆うように向こう側の見えない白色の幕が張られている。一見するとなんてことの無いただの工事現場。

二枚目…屋上から取られた写真。鉄パイプで作られた足場が写っている。

一か所、鉄パイプが抜けている部分がある。

──────────────────

 

《人物ファイル》

──────────────────

・綾里真宵(19)【つきつける】

ぼくの助手。

倉院流霊媒道の使い手。今もなお修行中。

──────────────────

 

──────────────────

・岡瑠波(17)【つきつける】

今回の事件の被告人。

事件の起こった学校の生徒。

隠れオカルトマニアのようだ。

──────────────────

 

──────────────────

・八雲紫(??)【つきつける】

弁護の依頼人。

瑠波さんの学校の先生らしいが

どこか怪しげな雰囲気がある。

──────────────────

 

──────────────────

・亜内武文(54)【つきつける】

どこかさえない中年検事。

昔は凄腕だったとかなんとか。

──────────────────

 

──────────────────

・糸鋸圭介(32)【つきつける】

おなじみイトノコ刑事。

相変わらずビンボーで、

そうめんばかりすすっているらしい。

──────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───これより下部へのスクロールを禁ずる───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───これより上部へのスクロールを禁ずる───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「証人がエレベーターを使った証拠はこれです!」

 ぼくは証拠品をむんずと突き出した。が、周りの様子が何だか変だ。

 

 「…………」

 裁判長が怪訝な顔でこちらを見ている……。

 

 「成歩堂君。あなたはそれでどうやってエレベーターに乗ると言うのですか?」

 「え、えっと……これを使って、扉の鍵を開けて……」

 「それで?」

 「えー、えーっと……。……ごめんなさい。もう一度考え直します」

 

 「よろしい。ついでにペナルティも与えておきましょう」

 うう……間違えてしまったようだ。

 

 「ふん! 俺がエレベーターを使った証拠? お前なんかに出せやしねえよ!」

 「異議あり! こ、今度こそ出して見せます!」

 「はっ! どうだかな!」

 

 「では、弁護側に証拠の提出を求めます。この証人がエレベーターを使ったことを示す証拠品を!」

 

 ―つきつける― 菅椎名がエレベーターを使ったことを示す証拠をつきつけろ!

 ※作者注:この部分は、本来イラストを見て謎解きをする形式にすべきなのですが、イラストが用意できていないため、答えをこちらから示させていただきます。

 雰囲気だけでもお楽しみください。(答え:謎の紋章)

 

【法廷記録】

 

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・弁護士バッジ【つきつける】

これがないと、

誰もぼくを弁護士として

みとめてくれない。

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・被害者の解剖記録【つきつける】

被害者の解剖記録。

下部に詳細あり。

 

※詳細

 被害者 女性(身元不明)

 死因 高所からの転落による脳挫傷

 追記 頭部に鉄パイプのようなもので殴られた形跡を発見。一度だけ殴られた模様。

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・現場写真【つきつける】

現場の様子を写した写真。

 

※詳細

被害者は、あおむけに倒れている。

被害者の身長は、180~185cmほど。

頭から血が流れているが、髪に隠れて傷跡は見づらい。

校舎によって、影ができており、周囲に飛び散った血も見づらくなっている。

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──────────────────

・現場の地図【つきつける】

現場となった学校の地図。

監視カメラの設置場所なども記入されている。

 

※作者注…画像を用意できていないため、

この証拠品を使う場面は、答えを掲示します。

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・ネクタイピン【つきつける】

被害者が所持していた。

数日前に発生した空き巣事件の盗難品。

被害者と空き巣事件の関係は現在不明。

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・謎の紋章【つきつける】

現場に落ちていた謎の紋章。

金メッキで加工されているようで、

ところどころはがれてしまっている。

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・鉄パイプ【つきつける】

被害者を死に至らしめた凶器。

殴った衝撃で、一部が曲がってしまっている。

被告人の指紋と、被害者の血液が付着。

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・工事現場の写真【つきつける】

イトノコ刑事が、現場近辺で撮影してきた写真。

全部で二枚ある。

 

※詳細

一枚目…地上から撮られた写真。足場を覆うように向こう側の見えない白色の幕が張られている。一見するとなんてことの無いただの工事現場。

二枚目…屋上から取られた写真。鉄パイプで作られた足場が写っている。

一か所、鉄パイプが抜けている部分がある。

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《人物ファイル》

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・綾里真宵(19)【つきつける】

ぼくの助手。

倉院流霊媒道の使い手。今もなお修行中。

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・岡瑠波(17)【つきつける】

今回の事件の被告人。

事件の起こった学校の生徒。

隠れオカルトマニアのようだ。

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・八雲紫(??)【つきつける】

弁護の依頼人。

瑠波さんの学校の先生らしいが

どこか怪しげな雰囲気がある。

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・亜内武文(54)【つきつける】

どこかさえない中年検事。

昔は凄腕だったとかなんとか。

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・糸鋸圭介(32)【つきつける】

おなじみイトノコ刑事。

相変わらずビンボーで、

そうめんばかりすすっているらしい。

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