逆転裁判 ~東方法闘録〜   作:タイホくん

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探偵2日目 その5

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 【同日 午後4時16分 のんべえ】

 警察署を出るときに受付でもらった、治安維持地区の地図を頼りに、ぼく達はのんべえという居酒屋にたどり着いた。時間が時間なので、客の数はまばらだ。店先に置かれた看板を見ると、午後四時から営業しているようだ。一般的な居酒屋に比べると、少し早いほうだろうか。

 

 赤色の暖簾をくぐると、暖簾と同じ色の三角巾をした店員が現れた。先に連れが来ている、とひとまずその場はやり過ごし、店内を見渡す。目当ての人たちは、すぐに見つかった。店の奥のほうで、相変わらず酒を浴びるように飲んでいる。

 

 「……見たことある人がほとんどだね。なるほどくん」

 「どうやらそうみたいだ。知らない顔が一人しかいない」

 ここには、合計八人いる関係者のうち、四人しかいない。しかも、そのうち三人は、華扇さん、勇儀さん、萃香さんときた。残りの四人は別の居酒屋にいるのだろう。はあ、まわらないといけないところが増えてしまった。

 

 残りの一人は、恐らくメディスンさんが話していた人だろう。勇儀さんの隣の席に、座っている人……いや、妖怪は金髪に緑眼の容姿をしている。かなりの美人だ。金髪の妖怪は、会話にあまり加わることはなく、グラスを片手に持ったまま、隣に座る勇儀さんのほうをぼーっと見つめている。

当の本人は、あまり気にすることなく萃香さんと大きな声で話している。もう少し人目をはばかって欲しいものだ。

しかし、金髪妖怪の方にも時折話しかけてあげたり、グラスにお酒を注いであげたりしている。仲は結構いいみたいだ。金髪妖怪は、勇儀さんに話しかけるたびに、モジモジとしている。きっと、勇儀さんが憧れの存在なのだろう。

 

「ね。なるほどくん。いつまで突っ立ってるの。入り口つっかえちゃうよ」

「あ、ああ。ごめんごめん」

 萃香さんと勇儀さんの会話がやけに盛り上がっているようで、つい足を踏み入れづらくなってしまっていた。真宵ちゃんの言葉で我に返ったぼくは、そのまま四人の座る席に向かう。

 

「あのー、勇儀さん。すみません、ちょっと……」

「ん? ああ、弁護士さん! なんだ、あんたも飲みに来たのかい?」

「い、いえ。ちょっとお話を聞きに来ただけで……」

 

「……あ、あなたね! 勇儀に近づいていたっていう“不届き者”は!」

一番手前にいた勇儀さんに声をかけた瞬間、隣にいた金髪妖怪が、キッ、とこちらを睨んできた。

 「え。ふ、不届き者、ですか?」

 「ええそうよ。あなた、私の知らないところで、勇儀と話したって聞いたわ! ああ、妬ましい、妬ましいっ!」

 金髪妖怪は、片手で勇儀さんの腕をがっちりとホールドし、もう一方の手でこちらを指さし、涙目になって叫び散らす。先ほどの、物静かな美人の彼女のイメージはどこに行ってしまったのだろうか。

 

 「お、落ち着けってパルスィ! 別になんもされてねえし、なんもしてねえから!」

 腕をホールドされた勇儀さんは、金髪妖怪改めパルスィさんに弁明する。しかし、彼女の弁明もむなしく、むしろパルスィさんはさらに腕をきつく抱え込み、ぼくに非難の言葉を浴びせる。

 

 「いいえ。勇儀が何と言おうと、私が許さないわ!」

 パルスィさんが語気を強くするに伴い、彼女が腕を抱える強さも大きくなっているようだ。勇儀さんが「ちょちょちょ、人前人前!」と叫んでいるが、当の本人にその言葉は聞こえていないようだ。綺麗な緑眼からは、涙が今にもこぼれだしそうだ。

 

 「……謝りなよ、なるほどくん」

 「ええ……。ぼく、何も悪いことしてないんだけど」

 「いいから。早くしないと、いつまでたっても収まらないよ!」

 真宵ちゃんが肘でぼくの脇腹を小突く。はあ。仕方ない。今は場を収めるのが先決か。

 

 何をどんなふうに行って謝罪したものか、と考えていると突然、ぴたりとパルスィさんの言葉がやんだ。見ると、勇儀さんがパルスィさんを抱きしめてなだめているようだ。

 

 「ほら。落ち着けってパルスィ。どうどう」

 勇儀さんは、パルスィさんの背後に手を回して、背中を軽くたたいてやっている。……なだめ方が、犬や馬に対するそれに思えてならない。

 が、意外とパルスィさんには有効なようだ。先ほどまでの険悪な感じはすっかりと消え去り、勇儀さんに甘えだしている。

 

 「そ、そこまであなたが言うなら? ゆ、許してあげなくもないけれど」

 「ああ。そうしてくれ」

 抱きしめられてまんざらでもなさそうなパルスィさん。

 パルスィさんは、そのまま勇儀さんの背中に手を回し、彼女を手繰り寄せる。勇儀さんは、抵抗することなくそれを受け入れつつ、背中を軽くたたき続ける。……ぼく達はいったい何を見せられているのだろう。

 

 割って入るに入れない空気感に、ぼくと真宵ちゃんはただ立ち尽くすのみ。華扇さんは、呆れた様子で二人を見ており、萃香さんはニヤニヤと笑いつつ、瓢箪から直接酒を飲んでいる。結局、そんな調子がそれなりの時間続いてしまい、パルスィさんが満足して離れるまで実に五分少々かかってしまった。

 

 「……満足かい、パルスィ?」

 「ええ。ごめんなさい。私ったら、また嫉妬に狂ってしまったわ」

 パルスィさんは落ち着きを取り戻した様子で答える。……また、ってこれが日常茶飯事なのだろうか。だとしたら、嫉妬の対象になった人は迷惑極まりないな。

 

 「すまなかったね、弁護士さん。見ての通り、こいつ少し嫉妬深い性格で」

 「あはは……。そうみたいですね」

少しなんてもんじゃないと思うけれど。

 

 「ほら。パルスィ。この人に謝って。ついでに自己紹介」

 勇儀さんは、パルスィさんにやさしい言葉で語りかける。法廷で好き放題暴れていた鬼と同じ鬼だとは思えない。しっかりとした立ち振る舞いができるなら、最初からそうしてほしい。

 

 「ご、ごめんなさい。言いすぎてしまったわ」

 「いえ。お気になさらず」

 これ以上この話を広げるわけにはいかない。彼女の謝罪を素直に受け入れる。

 「私は水橋パルスィ。橋姫と呼ばれる妖怪よ」

 パルスィさんは会釈する。……橋姫って何だろう。

 

 「ま、かなーり平たく言うと、橋の守り神ってところさ」

 二人の様子をニヤニヤと見ていた萃香さんが、その表情を崩さないまま答える。

 「橋の守り神、ですか」

 「そう。ま、妖怪の括りに入る種族と思ってもらって差し支えないよ」

 萃香さんは、瓢箪を思いっきりあおる。見ていて不安になる飲み方だ。

 

 「ところで、四人はどういう関係で?」

 ひとまず、話題を切り替える。会話で少し場を温めてから、事件に関する話をパルスィさんから聞き出す考えだ。

 

 「私ら三人はお兄さんのご存じの通り、いわゆる腐れ縁さ。な、華扇?」

 「え。ええ、そうですね……って、あまり昔の話を想起させるようなことは言わないでください! まったく、恥ずかしい……」

 萃香さんにからかわれた華扇さんは、盃を片手にそっぽ向く。……詮索するつもりはないが、鬼時代のやんちゃぶりは、ぼくの想像をはるかに越えるものなのだろう。

 「んで、パルスィは私のマブダチってやつさ。最初は萃香と華扇のことを嫌がっていたんだが、何度も私が引き連れていくうちに打ち解けた、って感じだ」

 勇儀さんが華扇さんの肩を持って話す。パルスィさんの顔が紅潮する。

 

 「マブダチ、ね~。傍から見ていると、惚気られているようにしか見えないんだけれど~?」

 萃香さんはまたもニヤニヤと二人のほうを見る。

 

 「な、ちょ、萃香! 恥ずかしいこと言わないでよ!」

 パルスィさんは恥ずかしさのあまり、さらに顔を赤くし、興奮に任せておつまみの唐揚げを萃香さんのほうに向けて投げる。

 「ははは。事実じゃないか? な、華扇?」

 「……ノーコメントで」

 投げられた唐揚げを難なく片手でキャッチした萃香さんは、それを口に放り込んでケタケタと笑う。華扇さんはそっぽを向いたまま、そっけなくその言葉に答えた。

 

 「ま。何はともあれ、パルスィは私の一番大事な存在ってわけだ」

 「おいおい。私や華扇じゃないのかよ」

 「お前らだって仲間として大事に思ってるさ。パルスィは“マブダチ”としてってわけだ。な、パルスィ?」

 「そ、そそそそそそそそそそ……」

 勇儀さんは、今度よりもがっつりとパルスィさんの肩を抱く。パルスィさんは色々な理由でのぼせてしまったのか、顔が真っ赤になって、呂律が回っていない。

 

 「……こりゃ、完全に“ホ”の字ですな」

 真宵ちゃんがぼくに耳打ちしてくる。こういったあれに比較的疎い真宵ちゃんでも、さすがに感づいたか。

 「……介入しないようにしよう」

 「そだね」

 ぼく達二人は、聞こえないように小声で耳打ちしあう。この手の話題に首を突っ込むのはよろしくない。話だけ聞いて、さっさとお暇しよう。

 

 「んで。弁護士さん、話ってのは何だい?」

 パルスィさんを解放すると、勇儀さんが話を切り出した。当のパルスィさんはキュウ、と言って壁にもたれてしまった。

 

 「事件関係者に話……特に、お猪口に関することを聞いて回っているのですが……。三人からはもう聞いてしまっていますので、パルスィさんにお話を聞こうかと」

 「ああ。先にこっちに来たのか。残念、ハズレを引いたな。ついでに言うと、お猪口に関すること、という点においても実質ハズレを引いちまったようだな。残念だが、私と萃香が覚えているお猪口に関する情報は、今日の法廷で話したことだけだ。それ以上は何も覚えていない。華扇は例の吐き気のせいで、周りを気にしている余裕はなかったそうだ。あいつから情報をとることはできないぞ」

 「そうですか……」

 「パルスィだけは唯一覚えているみたいだが、裁判の時まで喋らないように口止めされているそうだぜ。な、パルスィ?」

 まだ声を出すことができないのか、勇儀さんの問いにパルスィさんは弱々しく頷くことで答えた。

 ううむ、弱った。ということは、最大で合計五人の人物からしかお猪口に関する情報を得られない、ということか。……これで、鳥の柄のお猪口を使っていた人物を特定できるのだろうか。

 

「ちなみに、あんたがまだ会っていない他の鬼たちは、もう一軒の居酒屋に行っちまったよ。華扇がこっちにしかないつまみを食いたいっていうから、そいつらとは別れてこっちに来たってわけだ」

勇儀さんは親指を立て、後ろにいる華扇さんのほうをちょいちょい、と指す。華扇さんは、やや恥ずかしそうに、

「だって……食べたいんだから仕方ないじゃないですか……」

と、縮こまって盃を傾ける。

……さっきの調査の時にも感じたが、彼女、少し大食いの気があるのかもしれない。

 

 「ま、向こうの連れさんも、もう一軒の居酒屋で食いたいものがあるって言ってから、お互い様なんだけどな。確か、“らーめん”とか言う麺類系の……」

 「ラーメン!? 今ラーメンって言いましたね!」

 「どわっ!? ど、どうした嬢ちゃん、いきなり」

 ラーメンという単語が勇儀さんの口をついて出た瞬間、真宵ちゃんが飛び跳ねた。突然の出来事に、勇儀さんは驚いている。

 

 「ラーメン! ラーメンだよ、なるほどくん!」

 真宵ちゃんは目を輝かせる。……そういえば、昨日の裁判の後、ラーメンを食べに行こうとしていたところを、紫さんに幻想郷に連れてこられて食べ損ねたんだっけ。

 嬉しさのあまり、ぼくの両手をつかみブンブンと上下に振る真宵ちゃん。

 「なるほどくん!」

 「はい」

 「さっさと話聞いて、その居酒屋に行くよ!」

 ……現金な子だこと。

 

 「……と、言う訳ことで。パルスィさん、お話を聞かせてもらえないでしょうか」

 のぼせて壁にもたれっぱなしのパルスィさんは、「ふぁ、いいわよ」と少し腑抜けた声を出しながら起き上がる。

 

 「それで、聞きたいことって何かしら?」

 「ええと。事件に関することなのですが……何か、妙に思ったこととかありませんか?」

 「妙に思ったことね。あまり思い当たらないけれど……。勇儀と私の席が離れていたことくらいかしら。隣に座っていた萃香が妬ましかったわ」

 じろり、とパルスィさんは萃香さんのほうを見る。

 

 「た、たまにはいいじゃないか。積もる話もあったわけだし」

 「……ま、いいわ。あなたたちの関係だし、許してあげる」

 パルスィさんはそっぽを向いた。かなり勇儀さんにご執心の様子だ。

 

 「え、えっと。勇儀さんのこと以外には何かありませんか。お猪口に関する情報があれば、ありがたいんですけれど」

 「お猪口、ね……。取り調べの時も同じことを聞かれたわ。他の人のお猪口の柄を覚えているか、って。その時は覚えていたのだけれど……今はもう忘れてしまったわ。でも確か、調書をとっていたみたいだから、それを見れば話せると思うわ」

 「なるほど」

 取り調べの時にお猪口の柄について聞かれた……。検察側は、初めから柄に注目していたようだ。意図的にそうしていたかどうかまでは定かではないが。

 

 「後は……。そう! 忘れていたわ」

 「なんでしょう?」

 「私が使ったお猪口だけ、一部が欠けていたのよ! おかげで唇が切れてしまったわ!」

 「欠けていた、ですか。妙ですね。新品だと聞いていましたが」

 「お猪口を置いて回った二人のどっちかが割っちまったんだろうね。私が開封した時点では、傷ひとつなかったから」

 持ち主である萃香さんが答える。

 「ま、壊したことについて問い詰める気はないさ。形あるもの、いつかは壊れる。それが道理ってもんだろ?」

 本人が許しているなら……まあ、いいか。

 

 「ああ、私だけこんな目に合うなんて……欠けたお猪口を使わなかった奴らが妬ましい……妬ましい……」

 なぜか嫉妬の炎をパルスィさんは燃やす。気持ちは分からなくもないが。

 「あ、そういえば。あのお猪口って、今はどこにあるんですかね。現場にまだ残されているんでしょうか」

 萃香さんに聞く。

 「いや。あんたらが現場を出た後ぐらいに、河童刑事が全部まとめて持って行ったよ。この後の裁判で使うかもしれないからって。ついでに、現場にある酒を勝手に飲むなって大目玉を食らっちゃったよ。ほんと、ケチな野郎だよな。その根性は認めてやるけど」

 「それは怒られて当然だと思います」

 「お。言うねえ、お兄さん。ま、次からは気を付けるさ! ははは!」

 ……絶対分かってない。

 

 「オホン。パルスィさん。他に何か思い当たる節はありますか?」

 「……後は特にないわね」

 「そうですか」

 うーむ。得られた情報が少ない。……とりあえず、唇を切ったという話だけでもメモしておくか。ここで得られた、唯一の情報らしい情報だし。

 

―証拠品「パルスィの証言」をメモにまとめた―

・パルスィの証言書

宴会中にお猪口で唇を切ってしまった。

 

 「ありがとうございました。パルスィさん」

 「ええ。これくらいならいくらでも」

 パルスィさんは大分落ち着きを取り戻したようだ。顔の火照りはもう収まっている。

 

 「よし。なるほどくん。終わったね? それじゃあ早速もう一軒の居酒屋に行こう!」

 「はぁ……しかたないな。では、これでぼく達はお暇させて……」

 「おおっと待ちな、お兄さん?」

 お礼を言って立ち去ろうとしたぼくを、萃香さんが引き留める。

 「な、なんでしょう?」

 何か、まだ話があったのだろうか。

 

 やや神妙な面持ちになる萃香さん。もしかして、何か重大な情報が……。

 ふと、そんな期待が頭をよぎる。が、その期待は、数秒足らずで杞憂と化す。

 「折角来たんだしさ……よかったら一緒に飲んでいかない!」

 「……はい?」

 見た目通りの子供らしい無邪気な笑みを萃香さんは浮かべる。

 「え、えっと言いましたよね? 調査中だって」

 「それはそれじゃんか~。なあ、ちょっとくらいいいだろう?」

 「いえ。申し訳ありませんが」

 ここはきっぱりと断る。仕事中にアルコールを入れるわけにはいかない。

 

 「ちぇ。つまんないの。ま、無理に付き合ってもらっても悪いし。分かった。諦めるさ」

 萃香さんは、意外にあっさりと身を引いた。話の分かる人でよかった。

 

 「こら。萃香。またあなたはそうやって見境なく人に酒を薦めて……。引き際をわきまえているところは評価しますが、もう少しその行為自体を控えるように……」

 「お? なんだ、仙人様の説教か?」

 クドクドとお小言を言い始める華扇さんを見て、今度はいたずらっ子の笑みを萃香さんは浮かべる。

 「ところで華扇さん。あまり飲んでいられないようにお見受けいたしますが……昔はもっと飲んでいましたよね?」

 「! じ、自制しているだけです」

 妙な敬語で話す萃香さん。華扇さんは、酒の量の話が出ると、目をやや見開き動揺する。かつてのいわゆる“黒歴史”の正体はもしかしたら……。

 

 「このことについてどう思われますか、勇儀さん」

 「そうですねー。仮にも元四天王の一人です。もう少し飲んでもいいでしょう」

 萃香さんが投げた言葉のボールを、勇儀さんはしっかりキャッチしてしまった。ああ、なんか嫌な予感がするぞ……。

 

 「さ、酒は飲んでも飲まれるな、と言います。自制して飲むことが肝要なのです」

 「そっか。なら仕方ない…………。……なんて言うと思ったかい?」

 萃香さんは、素早く徳利を手に取ると、それを華扇さんの口元に押し付けた。

 

 「ほらほらどうした! 私の酒が飲めねえってのか~?」

 いきなり、アルハラ上司のようになってしまった萃香さんは、徳利を傾けてむりやり酒を注ぎこむ。元鬼とはいえ、現役の鬼の力には若干劣っているのか、華扇さんは抵抗するもむなしく、酒を流し込まれる。

 「いいぞー! 昔のお前なら、もっと飲んでたぞ!」

 勇儀さんがそれに同調しだす。なんだこの地獄絵図は。

 

 一本、二本と、徳利は次々に消えてゆく。全ての徳利の中身がすべて消費される頃には、華扇さんはすっかり出来上がってしまっていた。

 

 「……うう。ッヒック。……うわぁぁぁん!」

 酔っぱらって顔が真っ赤になった華扇さんは、突然泣き始めた。この人、泣き上戸ってやつか!

 「だ、だから言ったんです! お酒が入ったらこうなっちゃうってわかってるから! だから自制して……ふぇぇぇん!」

 「おいおいどうした! 昔は泣き上戸じゃなかったってのに!」

 「あなたたちが昔、酔った私に色々恥ずかしい事をさせたからこうなったんですよお! ああもう、恥ずかしわぁぁぁん!」

 華扇さんは周りの目をはばからず、おいおいと泣き出す。幸い、客がほぼいないのでまだ被害は少ない。

 「おらおら! 嫌なことは飲んで忘れちまいな!」

 「そうそう、萃香の言う通りさ! ほら、パルスィも!」

 「え、ええそうね。……私も飲むわよ!」

 いつしか、四人の座っていた席は、訪れた時よりもはるかにうるさくなっていた。

 

 「真宵ちゃん、行こう。早く出よう。一秒でも早く」

 「そうだね。早くラーメン食べたいし!」

 てんやわんやになり、手の施しようがなくなった四人に頭を下げると、さっさと店を出た。

 ……もう一組の鬼たちがこんな感じでないことを祈ろう。

 

   

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも、タイホくんです。「探偵2日目 その5」をお送りしました。

作者が暴走した結果、探偵パートというにはあまりにも得る情報が少なく、代わりに勇パル的なサムシングが暴れ狂う結果となりました。反省もしてないし後悔もしていません。

さて、ところで話は変わりますが、最近ありがたいことに、投稿日以外の日にもお気に入り登録をしてくれる方が増えています。(恐らく偶然の連鎖だとは思いますが)

そこで、読者の皆さんはどのようにしてこの作品に辿り着いたのだろう、と疑問に思いました。

現状、ハーメルンで動いている逆裁二次創作はこの作品だけの実質市場独占状態なので、比較的見つけやすいとはいえ…マイナージャンルであることに変わりはないので少し気になります。

去年の春ぐらいにランキングに載ったことがあったので、その時に見始めてくれた方もいると思うので、一応回答の中にのっけておきます。もしかしたらその時以外にも、私が知らないだけでランキングに載っていたかもしれない、というのも理由の一つです。

下にアンケートを置いておくので、お手数でなければ回答してくださると幸いです。

次回投稿予定日は、8月14日です。

では。
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