逆転裁判 ~東方法闘録〜   作:タイホくん

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遅くなってしまい、申し訳ありません。


探偵2日目 その9

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【同日 某時刻 警察署内・にとりの実験室】

 受付で手続きを素早く済ませたぼく達は、今度は二階に立ち寄ることなく、真っ先に三階の実験室を目指した。さっきよりも薬品の臭いが強くなっている気がする。

 

 にとりさんは先ほどと同じ実験室にこもって、まだ実験をしていた。マスクにゴーグル、手袋と完全防備でフラスコなんかを振っている。……これ、入っても大丈夫なんだよな? 多分鬼殺の秘薬の実験だろうから、問題ないとは思うが。

 

 ぼくが扉の前で少し凄んでいると、真宵ちゃんは臆することなく扉をノックした。すぐにそれに気づいたにとりさんが扉を開けて出迎える。

 

 「おお、どうした盟友? まだ何かあったかい?」

 にとりさんは意外そうな顔をしていた。彼女的には、さっきの情報以外には特に有益なものはないと思っているのだろうか。

 

 「少しお尋ねしたいことがあって」

 「ああ。いいよ。丁度実験もひと段落着いたところだし」

 にとりさんは快く入室を許可してくれた。……気のせいか、部屋の天井のほうに紫色の煙が舞っているように見えるのだが……。大丈夫か、これ?

 

 少々入るのに勇気が必要だったが、真宵ちゃんがこれまた臆することなく入っていくものだから、ぼくも仕方なくそれに準ずるしかなかった。

 

 「それで、聞きたいことって何だい?」

 丸椅子を二脚こちらに滑らせ、自分も同じものに着席した後、にとりさんが聞く。

 

 「被害者のことについて、お聞きしたいのですが」

 「被害者? 特に話せることはないけれど」

 「彼女が偽名を使い、さらに種族も偽っていたと聞きました」

 「……! ……おっと、そこにたどり着いたか」

 にとりさんの眉が少しピクリとなった。知ってはいけない情報だっただろうか。

 

 「ああ、いや。別に知っちゃいけない情報ってわけじゃないんだけれどね。四季様が、“あの弁護士が気付かない限りは、偽名の件については伏せておくように”と言っていたもんだから」

 にとりさんはさりげなくこちらの心を読んできた。こういう現象がたまに起こるが、ぼくってそんなに顔に出やすいタイプなのだろうか。

 

 「……それで、実のところはどうなのでしょう」

 聞いても問題なさそうと判断したうえで、一歩踏み込むような姿勢で問いかける。

 「……ああ。確かに、被害者……鬼道酒華は宴会の場で偽名を使い、さらに自身の種族を人間だと話していたそうだ。参加者から確認が取れてる。柿戸秋、って名乗っていたようだね」

 「やはり、そうでしたか……」

 よし、これでこの情報は信ぴょう性のあるものになった。後、すべきことは……。

 受け入れられるかどうか、すこし微妙な質問だが、聞かないわけにはいかない。にとりさんに再び問いかける。

 

 「あともう一点、いいでしょうか」

 「なんだい?」

 「可能ならばの話なのですが……警察の事件調書が保管されている倉庫なんかに入ることは……」

 気持ち下出(したで)にでる態度で尋ねてみた。

 

 「ああ……。いいよ、って言ってあげたいけれど……。申し訳ない、これは許可してあげられない」

 「ですよね……」

 やはりだめか。まあ、外部の人間が勝手に立ち入っていいような場所ではないのだけれど。一抹の希望にかけたが、無理なものは無理なようだ。

 

 「役に立てなくて申し訳ない」

 にとりさんはしょんぼりした。

 

 「いえ。規則は規則でしょうから。しかしどうしたもんか……」

 「あ、それならなるほどくん。新聞を見ればいいんじゃないかな?」

 「新聞……。ああ、それがいいかもね」

 真宵ちゃんのナイス援護だ。しかし、新聞を調べるのもそれはそれで難しい気がする。

新聞記者の知り合いなんて、外の世界でも一切いなかったのに。……ジャーナリストと辛うじて呼べるような人は一人だけいるにはいるが。

 頭の中に突如浮かんできた関西弁が思考を阻害する。うーむ……苗字に負けない勢いで大騒ぎしている。一度聴いたら忘れられないというのもなかなか考え物だ。

 

 「あ。新聞が欲しいならいい人が一人いるよ」

 「ほ、本当ですか?」

 思わぬところで、思わぬ僥倖に巡り合った。にとりさん、意外に顔が広いのかしら。

 

 「射命丸文(しゃめいまる あや)っていう烏天狗が知り合いにいるんだけどね。彼女、新聞屋をやってるんだ。最近は、どうやら盟友の番記者も同然の状態らしいよ。……もっとも、個人製作の新聞だけれど」

 烏天狗……もしかして、香霖堂で一瞬コチラの前に現れたり、ぼくの髪型のことを面白おかしく書いたりしたと言われていた、あの烏天狗の事だろうか。

 

 「案外、今も近くにいたりして。おーい、文! ……なんて呼んで出てきたら苦労は……」

 

 「呼ばれて飛び出てあややや。伝統の幻想ブン屋の私をお呼びですか?」

 「ひゅいいいいい!?」「きゃわああああ!?」

 

 突然、くぐもった声が聞こえた。二人は驚いて奇声を上げている。……どこからそんな声が出せるのだろう。

とにかく、そちらのほうを見ると、窓ガラスの向こうで女性が浮かんでいる。浮かんでいる……? ああ、烏天狗だから飛べるのか、なるほど。

 

窓の外の存在を遅れて認知したにとりさんは、慌てて窓を開けると彼女を部屋に引きずり込んだ。頭にかぶった椛色のキャスケット帽が、窓枠に引っかかって外に落ちそうになる。

 

「ちょっと文。驚かさないでよ!」

「いやはや、申し訳ない。声をかけられてつい嬉しくなってしまって」

 烏天狗は、特に悪びれることもなくひょうひょうとしている。図太い性格のようだ。

 

 「おっと、直接顔を合わせて話すのは初めてでしたね」

 烏天狗は帽子を浅くかぶりなおす。キャスケット帽と同じ椛色のジャケットに、ショルダーバックをかけた、いかにもジャーナリスト、といった格好の彼女は、羽が生えていないせいで、パッと見た限りは烏天狗だと認識できない。

 しかし、先程まで窓の外で浮遊していたところを見るに、羽は恐らく自由に出し入れができるのだろう。

 

 「私、射命丸文(しゃめいまる あや)、と申します。以後お見知りおきを」

 射命丸さんはそう言うと、懐から小さな長方形の箱を取り出し、中から一枚の紙を抜くとこちらに差し出した。ああ、名刺と名刺入れか。差し出された名刺には「社会派ルポライターあや」と書かれている。

 こちらも社会人としての本能が働いて、名刺を射命丸さんに差し出した。「これはどうもどうも」と彼女はそれを丁寧にポケットにしまう。

 思えば、外の世界であまり名刺を差し出すような機会がないような気がする。……もっと依頼が舞い込んできてくれたらなあ。

 

 たびたび頭をよぎる事務所の財政難の話はさておき、目の前の新聞記者に目線を向ける。

 どれくらいの期間、彼女が新聞屋として働いているかは知らない。それ以前の問題として、被害者について彼女が自身の新聞で取り上げているかが分からない。さて、結果はどうなることか。

 

 「さてさて。成歩堂龍一さん。私に御用があるようですが、一体なんでしょうか?」

 若干わざとらしい態度で、こちらに尋ねてくる。……部屋の外で盗み聞きをしていただろうから、何を尋ねられるかはきっと知っているのだろう。白々しいな。

 

 「えっと、今回の事件の被害者……鬼道酒華、という鬼なのですが。彼女についての記事を過去に書いたりしていないかな、と思っておりまして」

 「ほほう。鬼道酒華ですか。なるほど……」

 胸ポケットから引っ張り出したメモ帳と万年筆をもって、射命丸さんはこれまたわざとらしく部屋の中を闊歩する。……じれったいなあ。

 

 「結論から申し上げますと……ええ、過去に書いたことがあります。私以外の文屋に聞いても答えは恐らく、“いぇす”でしょう」

 「射命丸さん以外の文屋に聞いても……」

 もしかすると、被害者はぼくが思っている以上に重い過去を持っているのかもしれない。

 

 「それがなにか、教えていただけませんか?」

 「ふーむ。教えてあげなくもないですが……」

 しつこいぐらいに、射命丸さんはじれったい態度をとる。何かこちらに要求してきそうだ。いや、絶対に来る。第六感がそう言っている。

 そんなぼくの予想通り、彼女は悪戯っ子の笑みを浮かべて、こちらに近づく。

 

 「その代わりと言っては何ですが……あなたの独占取材をさせていただきたいですね。あ、助手の方も一緒に」

 ほらやっぱり。

 

 「なるほどくん! 独占取材だよ、ど・く・せ・ん!」

 「……乗り気だね、真宵ちゃん」

 「だって、私たちの事務所を売り出すまたとないチャンスなんだよ! これで財布の紐を固くしなくてすむね!」

 真宵ちゃんは嬉々として喋る。

 

 「……でも、ここ幻想郷だよ。外の世界にある事務所のことを話してもどうしようもなくない?」

 「……確かにそうかも」

 真宵ちゃんの歓喜の声は、ぼくの一声で一気にしぼんだ。

 

 しかし、独占取材ときたか。どうしたものか……。応じてしまったら、根も葉もないことを書かれそうな気がする。でも、他の新聞記者がどこにいるかなんてぼくは知らないわけだし……。仕方ない。渡りに現れた船に乗っかるしかないようだ。

 

 「分かりました。条件を飲みましょう。……根も葉もない嘘っぱちを書かないならですが」

 「もちろんですよ。こうして、周りにばれるかもしれない危険を冒して、わざわざ人里内で空を飛んでまで盗み聞き……ゲフンゲフン、取材をしていたんですから。あなたに不利益なことは書かないとお約束しましょう」

 ……心配だ。

 

 そんなぼくと射命丸さんの会話を、丸椅子に腰かけて聞いていたにとりさんが一言、ぼくの不安を増幅させる言葉を発する。

 

 「あーあ。盟友、乗っかっちゃったか。覚悟しときな、こいつ自分では“伝統の幻想ブン屋”なんて小洒落た二つ名を使ってるが、素性を知ってる奴からはこぞって“捏造新聞記者”なんて呼ばれてるんだよ。口先ではこう言っているけど、信用しないほうがいいよ」

 ……ますます心配だ。

 

 「ちょ、にとりったら。あなたこそ根も葉もないことを言わないでください! 私は、常に真実を提供する正しき文屋なのですから!」

 「重大事件とか、真面目な内容ならそうかもしれないけれど、ゴシップに関しては別だろう? 盟友なんて、今や幻想郷中の注目を集めているんだ。あんたが変なことを書かないほうがおかしい」

 「あややや。言ってくれますねえ……」

 にとりさんに真正面から正論で刺された射命丸さんは、少し立ち眩む。否定しないということは、本当なのだろうか。……受けるんじゃなかった。

 

 「と、とにかくご安心ください! 絶対に真実しか書きませんから。ね?」

 「……今は信用しておきます」

 いずれ、幻想郷から去る日が来るのだ。あれこれ捏造されてもまあいいや、と正答なのかどうかも分からない答えをひとまず自分の中に出して、この場は飲み込むことにした。今は、そんなことよりも情報が優先だ。

 

 「さて、ではお望みの話題に移らせていただきましょうか」

 射命丸さんはそう言うと、ショルダーバッグから新聞の切り抜きを取り出した。紙の黄ばみ具合からして、結構古い記事のようだ。

 

 「実は、成歩堂さんの取材の傍ら、私も今回の事件を追っていたんですよ」

 「傍ら……ということは、ぼくがこの事件の弁護人である、というのとはまた別件でということですか?」

 「ええ。その通りです。なぜ取材をすることになったのか。……その理由は、他でもない今回の事件の被害者です」

 そう言って彼女は、切り抜きをこちらに差し出した。

 

 まず目についたのは、“転生管理委員会”という文字だ。数時間前に紫さんから聞いたばかりの単語ということもあって、真っ先に意識がそちらに向いた。

 その単語に続いて、“襲撃される。人間二名が死亡”とある。死亡、だって……?

 

 「この記事は、今から十年前。丁度、転生管理委員会が設立された三日後に起こった事件について書いたものです」

 「死亡って……大事じゃないですか」

 「ええ。だから、私以外の文屋もこぞってこの記事を書いたのです。幻想郷を牛耳っている組織の新たな部署設立から、間もないタイミングでの襲撃事件。取り上げない文屋なんているわけがありません」

 「そう、でしょうね」

 「そして、あなたが最も知りたい部分はここです」

 射命丸さんは新聞の端のほうを指さす。そこにはこうあった。

 

 “……警察は、事件の主犯格である鬼神正邪ら四名の人妖を確保。しかし、仲間の一人である鬼道酒華容疑者は依然逃走中である。現在、警察は彼女を指名手配し、懸命の捜索に当たっている。だが、現状、鬼道容疑者について現在判明しているのは、名前と顔のみであり、体格や身長、種族などの情報が不明瞭な状況の中での捜索は、困難を極めるものと推察される”

 

 「こ、これは……」

 思わず絶句した。鬼道酒華が、襲撃事件の実行犯の一人……。想像の範囲を超える情報の登場に、混乱が抑えられない。……まさか、是非曲直庁がらみの過去の事件と、今回の事件が繋がるとは。……だが、これで犯人の動機が少し見えてきたかもしれない。

 

 「記事にある通り、鬼道酒華は実行犯の中で、唯一警察の手から逃れています。そして、顔がわれているにも関わらず、十年間この狭い幻想郷の中で逃げ延びていた。その彼女が殺害されたとなれば……この事件との関連性を疑わないほうがおかしいってものです」

 射命丸さんは万年筆を回しながら話す。

 

 「あと、これは余談ですが。彼女は随分とかくれんぼがお上手だったようで……。殺害される今日まで、誰一人、名前と顔以外の彼女の情報を掴むことができていなかったのです」

 「誰一人? 射命丸さんでもですか?」

 「あやや……グサリと来る一言ですね……。ええ、その通りです。本当に煙のように消え失せてしまって……。私たち記者の包囲網をもってしても情報を得られていないのです。一般の方々は、絶対に情報を掴めなかったでしょうね。公表されていないだけで、警察上層部ではすでに判明していた、という可能性もあるかもしれませんが」

 

 「なんにせよ……今回の事件は、この過去の事件に関わっていた人物が引き起こした可能性が高い、と」

 「そのとおりです」

 ……どうやら、ついに尻尾をつかんだようだ。この事件の真犯人、その正体を暴く証拠の一つを。

 これで彼女が名前と種族を偽っていた謎は解けた。……しかし、追われる身であるのに宴会に参加していた、という点が腑に落ちない。瑠夏さん達とも何度か飲んでいたそうだし……。十年間も逃げ続けていたら、危機感も薄れてしまうものなのだろうか。

 

 「助かりました。真犯人への手掛かりになると思います」

 「あやや。それは何より。もしよろしければ、それ、差し上げましょう。うちにまだその記事は取っておいてあるので」

 「ありがとうございます」

 非常に大事な証拠だ。なくさないようにしないと

 

 

―証拠品「十年前の文々。新聞の切り抜き」を法廷記録に大事にしまった―

・十年前の文々。新聞の切り抜き

十年前、転生管理委員会で起きた襲撃事件について書かれた記事。

 

※詳細(記事一部抜粋)

 “……警察は、事件の主犯格である鬼神正邪ら四名の人妖を確保。しかし、仲間の一人である鬼道酒華容疑者は依然逃走中である。現在、警察は彼女を指名手配し懸命の捜索に当たっている。だが、現状、鬼道容疑者について現在判明しているのは名前と顔のみであり、体格や身長、種族などの情報が不明瞭な状況の中での捜索は、困難を極めるものと推察される”

 

 

 「さて……本来ならばこれで提示できる情報はおしまいなのですが……。出血大サービスです。もう二つ、あなたにとって耳寄りな情報を差し上げましょう」

 「な、なんでしょう」

 耳より、と聞いて期待せずにはいられなかった。さらに核心に迫ることができる情報が得られるなら、ぜひ欲しい。

 

 「えー。ではまず一つ目は……こちらの写真です」

 射命丸さんはショルダーバッグをがさがさと漁りだす。が、しばらくすると眉をひん曲げて怪訝そうな顔になった。

 

 「む。むむむ。むむむむむ~。あやや、おかしい。入っていませんねぇ」

 しまいにはショルダーバックに頭を突っ込んで写真を探し始めた。すると、開いたチャックの隙間から、ネガが一つ零れ落ちた。目ざとくそれを認めた真宵ちゃんが、拾い上げる。

 

 「あの、これ落としました……」

 「あやややや! これはこれは!」

 ネガを目視した射命丸さんは、瞬間、軽い叫び声をあげた。

 

 「いやー申し訳ない。私としたことが、現像するのを忘れていました!」

 ……おいおい。

 

 「いやはや、失敬失敬。後で事務所に戻って現像してまいります。完成次第、手渡させていただきますよ!」

 射命丸さんは、特段悪びれることなくネガをバッグにしまうと

 「さてさて。二つ目の情報に移りましょう」と続ける。

 

 「先ほどの、この記事に書かれた主犯格である鬼神正邪とその仲間たち……死刑判決を受けてしまっているのですが、まだ刑が執行されていないのです」

 「まだ……ということは、話が聞ける!」

 「ええ。その通りです」

 射命丸さんはニヤリとする。

 

 「彼女らは、現在この地区にある刑務所内に収監されています。幸い、こちらの面会時間は、午後八時までとまだ時間に余裕があります。……いかない手はありませんよね?」

 射命丸さんはさらに口角を挙げる。その笑みの裏側にやや背筋が凍るものがあるような気がしたが、今は関係ない。

 

 「にとりさん。刑務所の場所って、分かりますか?」

 突然話を振られたにとりさんは慌てながらも、「あ、ああ。分かるよ。地図ならここに……」と棚のほうに手を伸ばした。が、それを射命丸さんが制止する。

 

 「ああ、にとり。大丈夫ですよ。お二人なら私が運びますので」

 「は、運ぶ?」

 思わず尋ねてしまった。

 「ええ。人里の地理はばっちり頭の中に入っておりますので。幻想郷最速でもある私をもってすれば、あっという間に目的地までお運びいたしますよ!」

 射命丸さんは腕をまくるようなしぐさをする。

 

 「おお、そりゃあいいね。盟友、文に任せればいいよ。一瞬で着いちゃうから、まじで」

 にとりさんも射命丸さんの意見に賛同する。

 

 「幻想郷最速……ジェットコースターみたい感じかな?」

 真宵ちゃんも目を輝かせだしてしまった。……これは、やらなければいけないやつか。

 

 「あやや。異存はないようですね。では、すぐにでも向かいましょう!」

 射命丸さんは、まだ発言していないぼくの意見を聞くこともなく、右脇にぼくを、左脇に真宵ちゃんを抱えだす。

 

 「暴れないでくださいね。振り落とされますから」

 「ちょっと、ちょっと、まだ心の準備が!」

 「文、こっちはオッケーだよ」

 にとりさんが窓を全開にして射命丸さんを手招きする。ああ、もう覚悟を決めるしかない!

 

 「では……ゴー!」

 射命丸さんがそう言った次の瞬間、強風というには生易しすぎるぐらいの大風が顔にぶつかった。痛い。

 空を切る音が次第に加速しているようで、ヒュンヒュンとも、ギュンギュンとも、何とも言いがたい奇妙な音が耳にまとわりつく。

 

 わずか二秒程度で、衝撃が原因で気を失ったのは想像に難くないだろう。

 

   

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

質問:この作品を読み始めた時点でのあなたに当てはまるのはどれですか? また本家逆転裁判をプレイしたことがありますか?

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