さて、法廷2日目でございます。お伝えしていた通り、前半戦は逆裁らしからぬ漢字の展開が続くのでご了承のほどを。
今年も相変わらずの亀ペースで進めていこうと思います。
余談?ですが、実はまだ4話を一文字も書き始められていません。それどころかプロットすら完成しておりません。
さすがにストックが尽きるまでには完成させるつもりですが、もしかしたら一瞬失踪してしまうかも…。そうならなないように努力いたしますが、念のためお伝えしておきます。
一年前も4話の構想をーとか言ってたのに未だに完成させていない自分に驚いております()
今回は2回分投稿しております。つづけてどうぞ。
では。
【4月11日 午前9時41分 裁判所 被告人第2控室】
「おはよう、メディスンちゃん!」
一晩明けて次の日、ぼくたちは裁判所の控室にいた。真宵ちゃんはもうすっかりメディスンさんと打ち解けたようで、敬語を使うことなく気楽に話しかけている。
先に来ていたメディスンさんは、昨日の開廷前とは打って変わって落ち着き払っていた。なかなかの適応力。まさしく“レディ”だ。
「おはよう。真宵さん、弁護士さん。昨日はあれからなにか進展はあったのかしら?」
顔を合わせて早々に、メディスンさんは面会後の調査の進捗について尋ねてきた。
「ええ。かなり重要な証拠を掴み取りました。真犯人を追い詰めるのに十分役立つかと」
「まあ。それはよかったわ」
メディスンさんは感嘆の声を上げた。
「……その割には、少し浮かない顔ね。真犯人の正体、もしくは犯行動機につながる証拠こそ取れたけれど、肝心の盃に関する情報は、あれ以降も手に入らなかった、ってところかしら?」
「……はい。まったくもって仰る通りです」
すべて見抜かれてしまった。洞察力もかなり優れている子だ。将来は大物になるかもしれない。
「そうだねー。メディスンちゃんの言うとおりかも。今の私達、ある種“死んでいるも同然の状態”って感じ?」
「……真宵ちゃん、君は開廷前に不安の種を生まないと気が済まないのかい?」
「そんなことないよ! それに、死んだも同然の状況なのはいつも同じでしょう? 大丈夫だって、何とかなるなる!」
「それもそうだけど」
常に死んだも同然……否定できない。昨日の裁判は確かに例外だった。今回みたいな状況のほうがある意味ぼくらしいのかもしれない。……それはそれでどうかと思うけれど。
「ほら。眉間にしわが寄ってるよ! 伸ばして伸ばして! 年取ってから痕になっちゃうよ」
真宵ちゃんが腕を伸ばしてぼくの眉間を指でぐりぐりと弄ってきた。身長差がそれなりにあるので背伸びまでしている影響か、指がプルプルと震えている。
「ちょちょちょ、ストップ! 指震えてる! 目に入るって!」
「あ。ごめんごめん」
ぼくの訴えを受けて真宵ちゃんは手をひっこめた。悪びれる様子は特に見えない。親切心と緊張を解くという意味を込めてやってくれているのだろうが、少し空回りしている。そういうところが彼女らしいとも言えるのだが。
「ま。なるようにしかならない、ってことね。気負うことなく楽にしていきましょう?」
メディスンさんは優しく微笑んでそう言ってくれた。うう、ほんとはこちらが色々と気遣わなければいけない立場なのに……これじゃあ、逆転してしまっているではないか。情けない。
「弁護士さーん。そろそろ法廷に来ておくれよー。ふぁ~あああああ」
小町さんがこちらに入廷を促してきた。扉が開けっ放しにされていたのをいいことに、廊下を進む歩みを止めることなく、さも“通りかかったから一応声をかけておこう”と感じるようなずぼらな印象を受ける。欠伸もいつもより大きいような気がする。朝に弱いのだろうか。
「あ。ちょっとあなた! 私を連れていく役目を忘れているでしょう! 待ちなさーい!」
メディスンさんは、小町さんにツッコミを入れながら控室を後にした。四季検事以外からも説教を食らうような職務態度とは……。大丈夫なのか、あの人。
「よし! 私たちもいくよ。なるほど君!」
真宵ちゃんも続けて部屋を出ていった。
なるようになる、か。本当にそうなればいいのだけれど……。