見つかったのは戦場帰りの青年
イチカ オリムラ 21歳
彼は私立藍越学園を卒業後、なぜか外人部隊に入隊し戦地へと飛んだ。
1年半の地獄を体験した彼はもう摩耗してしまっていた。
戦地で負傷し、日本へと帰ってきた イチカ オリムラ
千冬姉と再会しようと帰る道中、ISの適性検査を行っていた。気まぐれから受けてみると適正があると判明し、IS学園への入学が決定したのであった。
IS学園に到着し、周りを見渡す。とてもいい場所のようだ。
校門前にはずっと会いたかった姉が立っている。
「一夏、元気にしてたか?」
本当に心配そうな顔をしながらこっちを見てくる千冬姉
「勿論大丈夫だ!」
昔のように返事をしようとした。
だが出来なかった。逢えたことが嬉しくて、涙が溢れ出る。見たかった千冬姉の顔が歪み、見ることができない。
「ッ千冬姉、またあえて嬉しいよ。嗚呼、元気にしていたとも。」
俺の涙でオロオロとしている眼前の姉が愛しくて抱きしめてしまった。
「い、一夏!?ど、どうしたんだ。そんなに寂しかったのか?」
この身体が、匂いが、すべてが懐かしい。
HRの開始を告げる鐘が鳴り緑髮の先生には見えない童顔の女性が入ってきてHRを開始する
「皆さん、入学おめでとうございます。私は1年1組の副担任、山田真耶です」
しばらく話を聞き、座っていると意識が戦地に引き寄せられていく。
あれはちょうど一年前だったか、はじめて仲間が死んだ日。いつものパトロール任務だった。俺の小隊が歩いているとき急にパンパンパンと銃声が聞こえて物陰に向かって走った。そうしてそこから見えない敵に撃ち続けた。
チュイッ、というような跳弾の音がしょっちゅうなっていたっけ。それから隣の仲間が急に倒れて叫びだした。
「撃たれた!撃たれた!」
それからどうしたんだっけか
そう、たしか...
「織斑さん、織斑さん、大丈夫ですか?顔色悪いですよ?」
うっかり気を抜いてしまっていたようだ
しっかり自己紹介をしなければ
「イチカ オリムラです。国籍はフランスです。
21歳と皆さんより年上ですがともに机を並べる仲間として頑張っていきましょう。」
教室のドアが開き、姉が姿を現す。
「織斑先生、もう会議は終わられたんですか?」
「ああ、山田君。職員会議があったからな……クラスへの挨拶を押し付けてすまなかった」
「い、いえっ、大丈夫です! 副担任ですから!」
真耶の言葉に微笑みんだ人物。
織斑千冬が黒板の前に立って話し出す。
「このクラスの担任の織斑千冬だ、私の仕事は1年でISについて科を問わず必要最低限の基礎を叩き込むことだ。私や山田先生の言葉はよく考えて自分のモノにしろ、口答えしてもいいがあまり煩わせるなよ?」
その言葉に爆発したかのような黄色い声が教室中から上がった。
「キャ――! 千冬様よ! 本物! 世界最強の【ブリュンヒルデ】!!」
「貴方のようになりたくてここに来ました!!」
「ずっとファンでした!!」
「叱って下さい!」
教室は阿鼻叫喚の様相になっている。
その様子に心底鬱陶しそうに千冬が話し出す。
「…………毎年、よくもこれだけ馬鹿者が集まるものだ。逆に感心させられる。
それともなにか?誰かが私のクラスだけ馬鹿者を集中させているのか?」
少々語気が荒くなっているが、それは火に油を注ぐだけだった。
その様子に顔に手を当てて千冬はため息をついた。
「そういえば先生と織斑さんって姉弟なの?」
「あ、確かに……苗字同じだし」
「……貴様ら、いい加減に無駄口をたたくな。それと一夏と私は姉弟だ」
千冬の鶴の一声で雑談は消え、自己紹介が再開されたのだった。
2時限目
「そうそう、1限目に伝え忘れていたが近々行われる【クラス対抗戦】に出場する【クラス代表】を決定する必要があるんだった」
「自薦他薦は問わない、誰かいないか?」
千冬の言葉に一斉にクラスメイト達が手を挙げる。
「織斑君がいいと思います!」
「同じく織斑君で!」
「えっ、俺が!?」
選ばれることはないだろうと思っていた。
「納得いきませんわ!」
バンッと机をたたき、セシリアが立ち上がる。
「このクラス唯一の代表候補生であるわたくしではなく、なぜ彼を代表にしなければならないのですか!?」
「それは俺も思った。物珍しいからという理由で俺にしていないか?だったらやめてくれ。俺にはクラス代表という役職についてくる責務が果たせる自信がない。」
「一夏、拒否権はない。それならば二人がISで対決すればいいのではないか?一夏が責務を果たせることができるかもわかるしオルコットがいいとなるかもしれん。」
ISを用いた対決をすることとなったのであった。
「織斑さん。そろそろです。準備はいいですか?」
「はい。」
待合室にやって来た山田先生に頷き、第二アリーナのAピットに向かう。
ピットに入るとそこには千冬姉がいた。
「こい、打鉄」
つぶやくように打鉄の名を呼ぶと、俺の体は軽い浮遊感とともにISを纏う。
試しに両手をグッパッと開いたり閉じたり、両方の膝を交互に動かす。問題ない。
「向こうも準備ができたようだ。お前の方はどうだ?」
「ああ、問題ない。」
ピット・ゲートに進む。
「イチカ オリムラ、出撃する。」
「待っていましたわ」
アリーナに出てきた俺を出迎えるオルコット。
青色の機体『ブルー・ティアーズ』。その外見は、特徴的なフィン・アーマーを四枚背に従えている。さらに目を引くのはオルコットの手にある二メートルを超す長い銃器、六七口径特殊レーザーライフル≪スターライトmkⅢ≫が握られている。
試合が始まる。
「行きますわよ!」
行動を開始。
打鉄の警告音声に従って、地面すれすれを前進する。さっきまで俺がいた空間に耳をつんざくような独特な音とともに閃光が走る。
その時、チュイッという音とともに土煙が立つ。
意識はまた戦地に、あの山岳の小さな岩陰へ戻っていく
ああ、そうだ。仲間が撃たれて俺は必死に応戦しながら応急処置をしたんだ。だけど出血がひどくて止まらなかった。風が強くてヘリも呼べない。だから俺は司令部に支持を求めた。
そうしたら30分待てと言われた。俺は必死に応戦した。撃ちまくりながら止血した。だけど止まらなくてどんどん弱っていく。
どんどん弱っていってそのまま死んでしまった。俺の行動には何も問題はなかったらしいし必死の応戦のおかげか勲章ももらった。
「試合中止!!」
「っ!」
「バイタルが異常です!」
「どうなってる!」
「わかりません。攻撃は当たっていません。」
ふと、口を開く
「言い忘れていたな。」
ISをオープンチャンネルにして告白する。
「俺はほんの数週間前まで戦地にいた。そのときに負傷して退役したんだ。」
俺の急な告白にオルコットが驚いている。
「IS学園に来てからねれないんだ。決まって悪夢を見るから。銃声も聞いただけで体が勝手に伏せてしまうし、跳弾の音が聞こえると身体が固まってバイタルが異常を示す。
まあ、所謂PTSDなんだよ、俺は。」
会場は騒然としている。
「端的に言おう。俺はISに
乗れない。」
その後イチカオリムラは姿を表すことはなかった。