個性『無能』 作:激辛食パン卵乗せ
原作:僕のヒーローアカデミア
タグ:R-15 オリ主 神様転生 残酷な描写 アンチ・ヘイト 転生 この主人公に足りないモノは! それは! 全てが足りないぃぃぃっっ!!!!!
そんなはなし。
世の中には基本スペックが一般人より低い人間が居る。
一般人は彼らのことを『無能』と呼ぶ。
彼らは反応速度、記憶力、想像力、実行力、共感力、対応力、理解力などの基本行動におけるベースが低いからアドリブが利かせられない。
ここ一番でアドリブを利かせられない人間は、少し普段と違う行動を少しでも求められると作業効率が落ちる。
そして単調な作業だけならロボットに任せた方が早い現代では、ロボットには未だ使えないアドリブをキメられない者に価値はない。
ましてや、複数の作業を組み合わせれば、変化する差分はその分だけバリエーションを生む。
『無能』にはそれが対処しきれない。
普通の人の速度についてはいけない。
10人か20人に1人しかいないレアキャラな『無能』。
彼らを言い換えれば、普通の人間には当然出来て当たり前のことが出来ないという
普通のことを普通以下にしか出来ない『個性』があると言っても良い。
ある『無能』の男が交通事故で死んだ。
青信号の通りに進んできたトラックへ激突しての死であった。
そして某小説投稿サイトではお決まりの転生を行う事に成り、別の世界へ行く前に神様の前に能力を与えられる事になった。
他の人が中々持っていなさそうな、そこそこレアな能力を与えられて別世界でやり直す。
男は歓喜した。
これでやっとマトモな人生が送れると。
しかし、神は言った。
「あれ、お前既にレアスキル持ちじゃん。じゃあ別にスキル与えなくて良くね?」
男は生前より持っていた『無能』のスペックをレアスキルと認知されて、生前の能力のまま異世界で人生をやり直すことになった。
魔法も使えない。筋力も以前と同じ。顔も変わらない。生まれたのは一般家庭。
だが、救いかどうかはわからないが、この世界は『僕のヒーローアカデミア』略して『僕ヒロ』の世界だった。
結構な割合で人々が何かしらの『個性』と呼ばれる能力を持っていた。
ここでなら、彼の
個性ってのは、良い側面や活躍出来る側面を持つ能力の事だ。
マイナスにしかならない個性は、個性が当たり前のものとなって、当たり前になりすぎて、成功する為のツールになってしまった以上、どうやっても成功しない『個性』なんてのは『個性』としてさえも認められるわけが無かった。
無能には社会貢献出来る使い道は無いと、誰もが言っていた。
しかし、そんな彼も世界の為に活躍出来る機会を世界は与えた。
「君の個性を貰うよ」
悪の総帥オール・フォー・ワン。
他者の個性を奪うことが出来る最強の個性を持つ者。
正義の味方であるワン・フォー・オールとの戦いの中、偶然巻き込まれた無能な男を人質にしながらその個性を奪った。
彼が男から『無能』の個性を奪った。
男の『無能』は異能と言うよりも、遺伝子そのものに刻み込まれた個性であった。
よって、著しいダメージを男は受ける事になり、地に倒れ伏した。
そして、オール・フォー・ワンは―――――――――――――――――
反応速度、記憶力、想像力、実行力、共感力、対応力、理解力などの基本行動におけるベースが『個性・無能』により低下した。
端的に言えば、ザコキャラになった。
しかも、遺伝子に吸着するタイプの『個性』であるため、取り外しに手間取った。
というか、とっさのアドリブ力が『個性・無能』で発動できずにオロオロしてしまった…
そしてその隙に―――――――
「DETROIT SMASH!!!!!」
ワン・フォー・オールの必殺技がぶちかまされ、ザコキャラと化したオール・フォー・ワンはあっさり負けた。
こうして世界は無能によって救われた。
無能にも社会貢献出来る使い道はあったのである。
めでたしめでたし。
元『無能』クンは、『無個性』になれたそうです。