今日もどこかで怪獣達がユルいファイトを繰り広げる
ウルトラマンゼロVSバルタン
ウルトラセブン
怪獣島。
今日もこの島の何処かで、人知らざるファイトが繰り広げられている。
波が打ち寄せる海岸で戦っているのは……
「フォッフォッフォッフォッ」
角の丸いハサミに笑い声、バルタンだ。
「さぁ、かかって来やがれ!」
そのバルタンと相対するのは今やすっかり新世代ウルトラマンの顔となったウルトラマンゼロであります。
さぁゼロとバルタン組み合った。宇宙拳法の使い手と言われるゼロ、バルタンに猛烈なパンチの応酬をかけます。その猛攻にバルタンたちまち押されて行き早くもグロッキーか?
バルタン、もう参ったのか膝を折り曲げ両手のハサミを地に着け平謝りをするバルタン。
対するゼロ、バルタンを見下ろしますがなにもしない。さすが正義のヒーロー、無抵抗の相手を傷付けるつもりは無いのかバルタンに背を向けますが……
「引っ掛かったなこのヤロウ!」
あっとバルタン、不意をついてゼロに襲撃をかけた!
そのハサミでゼロの両足を取りすっころばした! さすがバルタン汚い! さすが宇宙忍者汚い!
この怪獣島で、情けを見せた奴がろくな目にあった試しはありません。さぁどうなるゼロ、もう黒星がついてしまうのか?
「ふざけやがって! 汚ねぇぞ!」
ゼロ、力任せに身をよじりバルタンを引き離し距離を取ってなにやらポーズを取ります。
\エメリウムスラッシュ/
おっと出ました飛び道具! ウルトラマンゼロ怒りの余り必殺の光線を発射しました! 額から発射された光線、見事バルタンに命中。
「お、お前……それありかよ……」
バルタン、まさか光線が出るとは思わなかったのかモロに食らいました。火花を吹きながら倒れます。
どうやらこの勝負、ウルトラマンゼロの勝利のようであります。ウルトラマンゼロ勝ち誇って胸を張りますが―
「バカヤロー!」
「あっ痛!」
おっとどこからともなく補助ベルトの付いた杖のような物がゼロの背中に直撃した。ゼロ、背中を押さえながら何事かと辺りを見渡します。
「光線なんて出しやがって!」
「あっ、親父!」
出ました。怪獣島の王者、セブン。ウルトラセブンであります。ゼロの親のウルトラセブンであります!
セブン、ゼロのファイトが気に入らなかったのか杖を投げつけたようです。サァこれから説教だ、と言わんばかりにふてぶてしくゼロに寄って行きます。
「バルタンは卑怯だから足をとられたのは目を瞑ってやるが、光線なんて使いやがって!」
「ウルトラマンが光線使って何が悪いんだよ?」
「光線使い出したら勝負にならねぇだろ」
ゼロ、酔っぱらいの親父に絡まれたような雰囲気を感じとりややゲンナリしています。そういえば仲間のミラーナイトがかつて先輩のミラーマンから真面目に戦ったら『ミラーファイトを分かっていないよ』と窘められた話を思いだしあいつもこんな思いをしたのか、と思い起こします。
「派手にやりやがって、節約しろよ!」
「親父が貧乏性なだけじゃねーか! ゼロスラッガーは?」
「ダメ!」
「ツインソードは?」
「岩でも投げろ!」
「……イージスは?」
「論外だ」
「ふざけろバカ親父!」
どうやらセブンとゼロ、世代の違いからか、あるいは武器盛りだくさんの息子に対するひがみか、親子ケンカに発展しました。再放送分で光線撃っていた自分を棚にあげていますウルトラセブン。
「ウルトラマンが岩なんて原始的な攻撃出来るか!」
「俺の世代は結構やってたぞ!」
「知るかそんなノスタルジー!」
(完全に忘れられているな俺……)
親子ケンカの影で、砂に埋もれ波をかぶり始めたバルタン。巻き込まれまいとさすがに大人しく、親子ケンカが収まるまで死んだフリを決め込んだようです。
登場キャラ紹介
ウルトラセブン(ファイト)
誰もが知っている人気者。その戦闘力で怪獣島の王座に君臨している。後頭部から首筋が黒い。モードチェンジか?
ファイトのセブンは何かと素行が悪く、売られたケンカはとにかく買う。死んだフリや奇襲、他の怪獣同士の戦いでどちらか一方が勝ち、消耗した所を狙うなど……意外と手段を選ばない。他の怪獣のドジを嘲笑う事もある。一方で面倒見は良く子分のアギラを可愛がり、正義のヒーローらしく怪獣のケンカの仲裁をしたり、一緒に宝を掘り当てようとしたりする。但し自分が仲裁を買って出てもそれが罠であり二体一緒に仕掛けて来た時には容赦なくボコボコにする。
卑怯な手が嫌いなようだ。ファイトで卑怯キャラは大抵セブンに仕置きされ、バルタンは首チョンパされゴドラは腕を切られた。自分もたまに卑怯な手を使う時があるのに……まぁそれがウルトラファイトである。
結論:キレたセブンは恐ろしい