世界は珍兵器によって救われるのだ

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多元世界異種パンジャンドラム戦

 時は20XX年。

 突如として発生した時空変動によってさまざまな世界が融合を果たしてしまった。

 当然、各世界の人々は困惑の嵐、なぜこうなったのかと信じもしない神に祈る者たちさえ存在した。

 そして多くの問題が発生した。

 食糧問題から始まり、言語の差異、世界観の常識、そして何より土地の問題が発生したが、なんとか人類たちは共存することを可能にしたのだった。

 異なる世界同士の技術を吸収することで、様々な科学技術も大幅に向上し宇宙の生存権であるコロニーも生み出した。

 だが、そのせいなのか地球と呼ばれる惑星の扱いが雑になった。

 

 具体的に言えば、地球がリングだ状態になったのだ。

 荷電粒子砲や超電磁砲が火を噴き、ミサイルは飛び交い、戦車や軌道兵器は走り回るというありさまだ。

 これでは地球に住めなくなってしまうと危惧した者たちはこれをやめさせるため、地球での武器を用いた戦闘行為自体を禁止にしたのだった。

 これで平和にになるかと思われたが戦闘狂と呼ばれる者はどこの世界でもいるもので、様々な世界出身の者たちが規律を無視して武器を持ち、テロ活動を始める始末。

 各世界の上位陣は再び頭を抱えることになった。

 しかしそこに、紅茶を飲んでいたとある人物が人声を上げたおかげでこの危機を脱することに成功する。

 

――逆に考えるんだ、戦わせちゃっていいさと考えるんだ。

 

 突然の発言に気でも狂ったのかと思われたが、その人物は紅茶を飲みながら冷静に話し出す。

 

――何でもかんでも禁止するから反発するんです、ここはガス抜きや欲望を満させるためにある程度は許可すればいいのです

 

 だがそんなことをしてしまえばまた地球が傷つくことになってしまうという発言も沸き上がる。

 紅茶の茶葉がなくなったせいか午〇の紅茶をカップに注いで飲みだしたその人物はまた冷静にこう言い返した。

 

 

――我が軍の兵器は彼らの欲望を満たしながら、かつ地球を過度に傷つけさせることないことを可能にします

 

 周囲にいた人物はその人物の言い分にざわついた、

 当然だろう、今や別世界の技術を取り込んだおかげで、兵器と呼ばれる者は飛躍的にその殺傷力を上げている。

 最低でも山を吹き飛ばすことなど可能というレベルだ。

 なのに、この人物はそれを可能にする兵器が存在すると言う。

 

――その兵器とは……

 

 各世界の上位陣が息を飲む中、紅茶を飲むその人物は兵器の名を口にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、ギアナ台地と呼ばれる大地に特設ステージが建設された。

 観客が座る座席は満杯となっており、今にも始まるであろう戦いにみな胸を躍らせている。

 

「レディースアンドジェントルメーン! 皆様ようこそ果てることのない戦闘欲求を満たすためにつくられた場所、ギアナフィールドへ! 司会はリプ〇ンが務めさせていただきます!」

 

 司会の声に沸き立つ観客たち、視界はその熱が冷める前にほかのスタッフに兵器の入場を促した。

 

 

「それでは戦闘を行う兵器のご紹介に移りたいと思いまーす!」

 

 声と共ゲートが開き、一機ずつ兵器が()()()()()()

 丸みを帯びた白いフレームは大地を踏みしめながらその巨体を知らしめる。

 

「エントリーナンバー1!親父が夢中になるわけだ! 通常の五倍のエネルギーゲインもあるぞ! 固いぞルナチタニウム! RX-72 ガンダム!」

 

「ガンダム、出るぞ!」

 

 一機目のに続き、兵器が転がってくる。

 その兵器は最初に出た兵器と同じ白のフレーム、動力部からは緑色の粒子が発生し兵器を包んでいる。

 

「エントリーナンバー2! あんな物を作って喜ぶか変態共が! 炸裂AA(アサルトアーマー)! 広がるコジマの光! ホワイトグリント!」

 

「……」

 

「お前ならできるさ」

 

 次に出てくるのは銀色のフレーム、中心部分には黄色い球状の物体が存在する兵器だ。

 

「エントリーナンバー3! 今回は何人犠牲になったんだ! 困ったことがあればすぐに我々R-TYPEへ! 中心部のスタンダードフォースは今回誰を食らうのか! R9/A アローヘッド!」

 

「次はバイド使おうと思うのだが、どう思うかね?」

 

「いいじゃないですか! やろうやろう」

 

 その次は、赤、黄、白の色のフレームが重なった特異なフォルムの兵器だった。

 

「エントリーナンバー4! 掛け声一つで即変形! ゲッター線に導かれてやってきた!  悪役顔だらけな奴らだドワォが怖い! 真・ゲッター1!」

 

「ゲッターの恐ろしさを見せてやるぜ!」

 

「はやるなよ竜馬」

 

「そうだぞ竜馬、俺たちもいることを忘れるなよ」

 

 そして最後の兵器が入場する。

 黒いフレームの機体が中央部に赤い機体を格納してやってくる。

 

「ラストエントリー! みんながお前を待っていた! カッチカチだぞ超合金Z! 大地を転がる鉄の城!  マジンガーZ!」

 

「行くぞ! マジンガーZ!」

 

 そうして会場に5体の兵器が揃った。

 観客たちはその圧巻な光景に皆思わず唾を飲む、そして観客たちが今か今かと試合の開始を待っていると、司会が声高々に宣言した。

 

「それでは! ()()()()()()()()()()()()()()()! レディィィィィイGOOOOOO!!」

 

 

 

 

 

――その兵器の名は、パンジャンドラムです

 

 

 こうして各世界で開発されたパンジャンドラムが戦うという常人からすれば意味不明な競技が生まれてしまった。

 これで、紅茶を飲んでいた人物の言う通り欲求が満たされ、あまり地球を傷つけていないのだというのだからおかしな話だった。

 

 こうして、一つの世界が救われた……?。



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