あと、表現が中々に難しくて……(言い訳)
「――っていう存在だ」
「なるほど……」
「記憶までもコピーする擬態能力に、超高速能力……」
一通り、ネイティブについてあたしの知る限りの事を話した。実際に擬態してあるのは見たことないけど、旦那の説明でそんなこと言ってたしな。
「厄介だな……。そちらの世界ではどのように対処したんだ?」
「あー……。あたしが戦った事は一回しかないんだが、ボロボロに負けたんだよな」
「え、奏さんがですか!?」
「目に見えない速さで攻撃してくるんだぞ?手も足も出なかったさ。そのときは殺されるかもって思ったね」
「でも、今ここにいるってことは倒したんですよね?」
「そうだな。ま、倒したのはあたしでも翼でもなくて響だけどな」
デュランダル移送作戦の時の事を思いだしながらネイティブと戦った時の事を話していく。あのタイミングで響が来てくれて助かったよ。未来がやられる寸前だったしな。
「奴らのクロックアップに対抗するには、同じクロックアップしかない」
「ってことはそちらの立花は、そのクロックアップとやらが使えるということか?」
「そういうことだ。こっちの響が使ってるシステムはシンフォギアシステムとは別物のマスクドライダーシステムって奴で、人類の味方をしてるネイティブから技術提供されて造られた物だって聞いている」
で、合ってるよな?翼に目線で確認すると頷いてくれた。良かった、良かった。
「なあ、それってどんなものなんだ?」
「それは――『ウィィィン!ウィィィン!』――なんだッ!?」
警報!?一体何が……。
「司令!研究施設から緊急警報です!」
「どうやら侵入者による襲撃の模様!救援要請が来ています!」
「このタイミングで施設に侵入者……。疑うなって方が無理がありますね」
「ああ、全員出動だ!先ほどの話に出たネイティブの可能性が高いから気を付けろ!」
「了解!」
「それと、並行世界の二人も出てもらって構わないか?そちらの響くんにはこちらから連絡しておこう」
「ああ!」
「はい!」
そんなの言われるまでもねぇ!少しだけど、世話になってるからな。助けない訳にはいかないだろ!
――――――――――――――――――――――
研究施設となっているS.O.N.G.の船。そこから火の手が上がっていた。消防が出動して消化活動に当たっているが、時間が経とうとも一向に状況は改善せず救助活動もままならない。
「くそッ!火の勢いが強すぎる!」
「口を動かす暇があるなら、手を動かせ!中には人がいるんだぞ!」
「そうは言っても……?」
「これは歌、か?」
好転しない状況に悪態をつく消防隊員だったが、この場に似合わない綺麗な歌声が聞こえてきた事で、そちらに気をとられる。だからだろうか、船から一体の怪物が出てきて自身に近づくのに気づけなかった。
『シャァァァ!!』
「え、か、怪物!?うわぁぁぁ!!!」
声で気づき、逃げようとするが足が動かない。隊員の命が刈り取られる、その直前。
『ギャア!?』
「え?」
「速くここから離れろ」
どこからか飛んできた手斧のような何かが怪物に突き刺さり、怪物が地面を転がる。その怪物――ネイティブ蛹態――を攻撃した響は唖然としている隊員に声をかける。全身鎧姿の響に驚く隊員だったが、助けてくれたのを、そしてここにいては足手まといになるのを察したのか軽く頭を下げてからその場を離れた。
『響くん!S.O.N.G.の研究施設が……』
「知っている。ネイティブの姿を確認した」
『そうか……。こちらの装者が今さっき出動した所だ。協力して対処をして欲しい』
「……成虫態のネイティブが出たらすぐに私に連絡する事、それが条件だ。奴らは私以外では対処不可能だ」
『例のクロックアップというやつか。わかった』
ネイティブと戦いながら施設の中の研究員を助けるのは難しいと思い、条件付きで弦十郎からの共闘の提案を了承。蛹態はクロックアップ出来ないので、装者たちでもなんとか出来るだろう。S.O.N.G.からの通信をそこで切り上げ、先ほどダメージを与えたネイティブを見る。響の投げたカブトクナイガン・斧モードを抜いて地面に放り、怒りを露にしている。そしてその体の表面にはヒビが見えている。脱皮して羽化しようとする前兆だ。
「キャストオフ」
【CAST OFF】
今からだと羽化までに倒しきれないと判断した響はゼクターホーンに手を添え、一気に動かした。ネイティブはスズムシを模した怪人、ベルクリケタスワームへと羽化。
ベルクリケタスワームは響を拘束しようと首元からスズムシの足のようなものを伸ばしてくる。それを響は体を動かして、左手だけを捕まえさせた。わざと捕らえられたとは思わないベルクリケタスワームは喜びの声をあげる。そして獲物を仕留める為に勢いよく引き寄せ手刀を繰り出した。それが響の狙いであるのも知らずに。
【RIDER KICK】
勢いよく引き寄せられた響は空中に浮き上がりつつも、そこで冷静にゼクターを操作。空中で体勢を整え、ライダーキックを発動させた。ベルクリケタスワームの攻撃を正面から打ち破り、そのまま胸部へと命中。その場で爆発四散した。
そこに5人のシンフォギア装者が現着。この姿の響を見たことがないこの世界の翼とクリスは警戒を示し、一度見たことのある響は驚く。そして残りの二人は
「わり!遅くなった!」
「立花、状況は?」
そんな三人の様子など知ったことじゃないとばかりに気安く近づき話をする。
「……いやいやいや!ちょっと待て!?」
「ん?どうしたクリス?」
「そいつがほんとにさっきのアイツなのか?」
「ええ。立花で間違いないわ」
初めて出会った時の二人の響の性格の違いにも驚いた三人だったが、全身鎧姿には更に驚いた。そしてその中でも一度交戦したこの世界の響はまさかもう一人の自分だとは思いもしなかったようだ。
「……行くぞ」
「おう!」
「ええ!」
「あ、ああ!」
「立花、私たちも」
「はい!」
六人が船の内部に入ると、響はネイティブを探しに、他は残された人の救助活動に入った。
――――――――――――――――――――――
「よっと、大丈夫か?」
蛹態のネイティブに襲われてた人を助け、怪我をしていたその人を奏が背負う。この世界では奏はもう死んでいるけど、時折並行世界から遊びに来たりしているみたいだから素顔のままでもS.O.N.G.がなんとか出来るらしい。
「すいません、他にさっきのような怪物を見ませんでしたか?」
「ああ……。いきなり現れた奴らは『ガタックゼクター』は何処だ、と聞いてきた。当然そんなのは知らないから、そう答えたが……いてて」
『ガタックゼクター』?確か立花の使っているのが『カブトゼクター』と言ったはず……。確認するのが早いな。
「立花、聞こえるか?」
『ああ、聞こえている。用件は?』
「敵のは『ガタックゼクター』という物を探しているらしい。立花はそれがどんなものか分かるか?」
『……なるほど。そういうことか』
「立花?……おい、立花!」
切れた……だと!?
「翼さん、呼びました?」
「あ、いや、そちらの立花ではなくて……」
「あ、なるほど。わかりました」
しかし、ここまで出てきた蛹態のネイティブは全てこの世界の三人によって倒されている。ルナアタックから一年が経っているらしいから今の私より強いというのはわかっていたけど……。私も負けてはいられない!何より私たちの世界に戻ったら戦うのは私たち自身なのだから!
「翼ー?なんか変な事、考えてないか?」
「ひゃっ!?奏!?なんで脇腹をつねるの!?そんなことは考えてないわよ!」
「そうか?なんか考え事してる時の翼の顔だったからさ。無理はするなよ?」
そう言って奏は笑う。むぅ……やっぱり奏は意地悪だ。そもそもギアを纏うのにLinkerが必要な奏の方が無理してるのに。うん。奏に無茶をさせない為にも頑張らないと!
そう決意した私が周囲を見渡すと、施設の奥の方へ向かう影が見えた。装者はここに揃っているし、この状況で奥に向かうとしたらネイティブか!S.O.N.G.からの情報だと、この奥にもまだ人が残されているらしい。急がなければ!
「翼!?どうした!?」
「ネイティブらしき影を見た!先に行く!」
「な、おい、待てよ!翼!」
私は走る。防人として守る為に。人に害を為すネイティブを倒す為に。そしてとある部屋から声が聞こえ、その部屋を覗くと。
『フハハハ!!!見つけたぞ、『ガタックゼクター』!これで俺は最強の存在になる!』
まずい。先に見つけられたか!ネイティブ、それも成虫態。立花は……いや、待っている時間も無い。私がやるしかない。敵は緑と黒の体色をした蜘蛛のよう。奴はまだこちらには気づいてなさそうだ。よし、いざ行かん!
『では、早速……む?』
「……!セイヤァァァ!!」
声を殺し、アームドギアで斬りかかるが、途中で気付かれてしまったので、声を出し気合いを入れる。しかし、掲げた腕に止められてしまう。
『シンフォギアか……。邪魔だ!』
「くっ!?」
そして何度も殴られ、蹴り飛ばされる。だけど、負ける訳にはいかない。すぐに立ちあがり、再び斬りかかる。
『このっ……。鬱陶しい!』
何度もあしらわれるが、諦めずに取り返そうと挑んでいく。だが、ネイティブの我慢が限界に達したのか、突然とその姿が消える。クロックアップをした、と認識した瞬間には床に叩きつけられ、全身が悲鳴をあげていた。そして姿を現したネイティブが私に向けて何かを飛ばす。
「やめろぉぉぉ!!!」
殺られる。そう思った時、奏が叫びながら私を庇うように割り込んできた。そしてネイティブから飛び出た物体が奏の背中に突き刺さる。
「か、奏ぇぇぇ!!!!」
「げほっ……大丈夫か、翼?」
あ、ああ……。私のせいだ。私が鞘走ったから奏が、奏が!
『大した障害では無いが、目障りだ。貴様らはここで消え……』
「させるわけがないだろう」
私と奏に向けてトドメを刺そうとネイティブが動こうとする。しかし、立花が私たちの前に立ち警戒する。
『チッ、カブトか……。目的の物は手にした以上、ここは引かせてもらう!』
それだけ言うとネイティブはクロックアップしてここから立ち去った。そして、私と奏は立花ややって来たこの世界の装者によってS.O.N.G.の医務室へ搬送された。
緑と黒の体色をした蜘蛛のネイティブ→ブラキペルマ(タランチュラ)ワーム・ビリディス
とりあえず課題は今のところ無い。コラボの方も、こっちも今のうちに頑張って書かないと!