蒼空の魔弾 対魔の剣 四つの訪問者(無期限停止) 作:夜刀ノ神
村の襲撃から3日後
アルテミスは村人の有志を集め村人たちに訓練をさせていた
「(集まった村人は予想を超えた80人・・・この村はそこそこの規模だったようですね
聞いた話だと襲われる前は400人を超える村だったとか、生き延びたのは四分の三で300人
これだけ、村人がいれば有志も集まりますか)」
「姐さん」
「はい、隊長何か御用ですか」
思考に耽っていたアルテミスを呼びもどしたのは先日アルテミスが最初に助けた
男だった
更に、初めは迷っていた村人のなかで最初に志願したのも彼である
「・・・やはり私が隊長ではなく姐さんが隊長の方が・・・」
「これは、貴方達の戦いです私は皆さんに戦う術を説き導くのが
役目です、ここはやはり村人の誰かが隊長をやるのが筋というものでしょう」
「理解は、できますが納得はできません」
「それより、私に用があってここに来たのでしょう」
「そうでした、この三日間でみんなはみるみる間に上達しています
それもこれも、姐さんのおかげです本当にありがとう」
「感謝の言葉は賊を殲滅してからにしなさい、本音を言うと
きちんとした武器をそろえたかったのですが・・・」
現状、村人の武器は賊から奪った物と木製で新たに作った物がある
奪った物は手入れも適当で、いい状態とは言えないし
木製の武器も所詮はその辺の木を使って作った武器だ見た目はお粗末なものだ
「後訓練させられるのは一日ですね・・・進軍前には休憩を取らせないといけません
戦場で動けなくなったらいけませんから」
「では、賊のアジトに向かうのは明後日ですか」
「そうなりますね、何事もなければですが
ああそれと、これをみんなに配ってください、戦場でお互いを見分けるのは大変ですから」
「青い布ですか、これを見えるところに付けさせればいいですよね」
「ええ、聡明で助かりますではお願いしますね」
「はい」
アルテミスは村長の家の屋根に座っている、理由は様々あるが今はいいだろう
隊長が屋根から飛び降りる
「(たった三日でずいぶんと身のこなしが軽くなった物ですね
私が教えたのは、基本的なことだけだったのですが・・・・これも復讐心が成せる
技でしょうか・・・・)」
アルテミスの脳裏に必死に汗を垂らしながらも笑いあいながら訓練している村人たちの
様子が浮かび上がる
「(復讐心だけでここまでなるとは思えないのですが・・・これもこの旗のおかげでしょうか
考えても詮無いことです、今はできることをしましょう)」
旗傘を日傘代わりに兵法の思考を再開する、
翌日、この三日間村を包んでいた熱気はすっかり見えなくなっていた
しかし全くなくなったわけではない、むしろあえて抑えているという方が正しいのかも知れない
そんな中、アルテミスは今日も屋根の上で思考していた、そこへ一人の村人がかけて来る
「(彼は・・・・確か斥候部隊をまとめる人でしたね、斥候部隊と言っても彼を入れて5人しかいないのですが
まあ、いないよりはましでしょう、情報は重要です)」
「姐さん大変だ!!盗賊が!盗賊が100人以上連れてこっちに来てる!」
「あら、想定より早いですねですが問題はありません、どのくらいの距離があるかは
分かりますか?」
「あ、えっと・・・・二時間ぐらいだったはずだ見つけて観察したらすぐに
戻って来たらしいから、正確とは言えないがその位だと思う!」
「それだけ分かれば十分です、おそらく奴らで全員でしょう叩き潰すのが早まっただけです」
「あ、姐さんは怖くないのか?」
「ええ、所詮は盗賊襲いかかってくるなら蹴散らすだけです」
「なんか、姐さんを見てるとあんなに焦っていたはずなのに心が落ち着いた」
「それは、よかった戦場で焦りは禁物ですから
では指示を出します、心して聞きなさい」
「はい!」
アルテシアはまず、隊長と副隊長を呼ぶように言う
それと同時に、休んでいるはずの民兵達を広場に集める
「行きなさい!、それと賊を発見した斥候の方にはよく労いの言葉をかけ
休ませなさい」
「はい!!」
しばらくすると、隊長と副隊長がやってくる
「姐さん盗賊が来たと聞きましたが」
「ええ、もうすでにここから2時間もしない位置まで来ているようです
賊は100人こちらと20人差がありますが、それも今の貴方たちなら
問題ないでしょう」
「姐さん、防衛線ですか?」
副隊長が訪ねて来る、彼は盾隊の隊長も兼任しているので気になったのだろう
「いえ、護りに数名残して打って出ます、そもそもこの村では広すぎて防衛に向きません」
「ですが・・・大丈夫でしょうか・・・」
「隊長、貴方がそんな気持ちでは、兵にも不安が広がります
胸を張りなさい、この三日間鍛えたのです問題ありません、存分に賊たちに復讐してやりなさい」
「「はい!」」
「斥候の隊長が兵を集めているはずです、広場へ向かいましょう」
三人が広場へ向かうと兵は全員そろっていた、各隊の隊長が総隊長へ報告する
「貴方が、総隊長です兵の激励は貴方がやりなさい」
「はい、みんな!聞いてくれ」
ざわめいていた兵たちが総隊長の言葉に耳を傾ける
「耳にしているかもしれないが、この村に盗賊が向かってきている」
総隊長の言葉に再び、ざわめきが戻ってくる
「だが!、我々は以前の戦うことのできない、ただの農民じゃあない!
この三日間姐さんに教えてもらった、技術、があるはずだ!
我らの後ろには護るべき愛すべき、家族がいる賊なんかに荒らされていいのか!?
いいはずがないだろう!、ならばともに戦おう、家族を守るために」
おおおおおおおおおお!!
おおおおおおお!!
「完璧な、演説でしたお見事です」
「ありがとうございます、初めて姐さんにあった時のことを思い出しながら言いました」
「そうですか・・・皆!賊の頭の相手は任せなさい、我らに勝利の栄光を!!」
「「「我らに勝利と栄光を!!」」」
「隊長!!賊が姿を現しました!!」
それからきっかり2時間賊が姿を現した
こちらを発見した賊は隊列を組んでいるこちらを見て驚いたものの
構わず、怒号を上げながら突進してくる、賊たちに隊列という言葉はないのだろう
こちらは、前方に盾隊25人、そのすぐ後ろに槍隊20人更に槍隊の左右には剣隊20人が十人づつ待機している
ちなみに右は完全に森になっておりかなり暗い
「盾隊!しっかり踏ん張りなさい、敵を止められるかは貴方達に掛かってます」
「槍隊!盾隊が止めた賊を付き殺せ!踏ん張りを無駄にするんじゃない!」
盾隊が抑えた賊を盾の隙間から槍隊が攻撃する、どちらの隊も武器が木製なのですぐに壊れてしまうが、すぐに後ろに置いてある
新しい武器を手に取り戦場に戻る
更に盾隊からはみ出した賊は剣隊問う名の賊から奪った武器を持った者たちが処理していく
「そろそろですね」
「はい、敵も完全に進軍が止まりました打つならここでしょう」
「それでは合図を送ります、火!!」
旗の能力により使えるようになった魔法で火の玉を空に向かって放つ
すると、次の瞬間右手の森から、賊に向かって次々と木の短い槍が飛来する
防具もなにも付けていない賊たちにとっては飛んでくるのがただの木の槍だったとしても
それなりの威力があるのだ、運の悪い奴は頭に直撃し運のいい奴でも足に刺さり動けなくなった
「すさまじいですな、このアトラトルでしたか簡単な作りの割によく飛びます威力もそこそこですし」
そうアルテミスはアトラトルを持たせた遠距離部隊を森に潜ませていたのだ
三日もあれば、狙ったところに命中させるのは無理だとしても、狙った範囲に飛ばすことはできる
しかし、100人にも及ぶ賊の前ではたった10人から打ちだされる、木の槍で打ち取使者はれる
数など、たかが知れていた
「やはり、思ったほどの戦果はあげられませんか一人当たり2,3人と言ったところでしょう」
「それだけ、打ち取れれば十分だと思うのですが」
「見なさい、こちらもかなり賊の数を減らしましたが、こちらの兵もかなり被害が
出ています、負傷者はかなりの数ですやはり戦いに関してはあちらが優勢ですね
そろそろ、私も出ます指揮は任せましたよ」
「武運を」
「まずは手始めに、回復魔法をかけましょうか【我が旗よ、戦う友に癒しを】」
傷を負っていた兵たちの傷がみるみる、内にふさがっていく
その光景を目の前で目の当たりにした賊は恐れおののく
「傷がふさがっただけです、血は戻らないので気をつけなさい!」
「「「おう!!」」」
「敵の頭は・・・あそこですね」
アルテミスは明らかに大きな出来のいい剣を振っている賊を発見する
「貴方が、賊の頭ですね」
「なんだ?お譲ちゃんこんな戦場までお散歩か?死ね!!」
「死ぬのは貴方ですよ、(この世界に来てからこんなようなことしか言ってないような気が
しますね・・・まあいいか)」
大ぶりに振ってくる大剣をなんなく避け、何時ぞやと同じように心臓に一突き入れようとすると
それに気づいた賊は片方の手で強引に穂先をずらす
「(かなり強引ですね、ですがそんな適当な逸らしでは止まりませんよ)」
逸らされた穂先を今度は逸らした腕に添わすように持って行き首を一閃する
「・・・・!?」
「他愛ない」
あっけなく首と胴体は別れ賊は死に絶える
「お前らの、頭打ち取ったぞ!!!」
「「「「うおおおおおおお」」」」
賊たちに動揺が広がっていく、そして一人また一人とやってきた方向へ逃げていく
しかし、そこへ賊たちのゆくへを遮る者たちが現れた
先頭にて騎兵たちを率いているのは白いドレスをまとった女性だった、まるでパーティーから抜け出したような
服装だが、その手には大鎌を肩に担いでいる、後ろではためく軍旗にも同じ漆黒の大鎌が描かれている
「戦姫様だ!」「戦姫様が助けに来て下さった!!」
「(ここは魔弾の世界で間違えなさそうね)」
戦姫らしき女性が指を鳴らすと後ろに控えていた騎兵たちが突然の敵に驚いて
固まっている、賊たちを蹂躙し始めた驚きから帰った賊たちだったが騎兵の速度に
追いつける訳もなく蹂躙されていく
「姐さん、私たちは行かなくていいんですか?」
いつの間にやら、近くまでやってきていた隊長が聞いてくる
「私たちが行っても邪魔になるだけよ、せいぜいこっちに来る賊を打ち取るぐらいね
それと遠距離隊も戻しなさい、戦いは終わったわ」
アルテミスが指示を出し、遠距離隊がもっどって来る頃には殲滅が完了していた
殲滅を終え隊列を整えた、騎兵たちが近づいてくる
それと同時に周りにいた村人たちが一斉に跪く、
「(おう・・・まあ私はいいか別にこの国の民じゃないし?)」
近づいてきた女性が馬上から話しかけて来る
「この村人たちを統率していたのは貴方でしょうか?」
「いいえ、私は三日前この村が襲われているところにたまたま遭遇した
そうですね・・・旅人です、この隊の隊長は彼ですよ」
「そうなのですか?、色々聞きたいことはありますがまずは隊長とやらに話しを聞いてからですね
隊長とやら面を上げてください」
「は、はいえと、とえと」
「そんなに、緊張しなくても大丈夫ですよ」
「は、はいもうしわけ、ありません」
「では一つ目の質問です、あの旅人さんが言うには貴方が統率者だそうですが
間違いありませんね」
「は、はい私が姐さんに総隊長を任せらました、この戦いは村の戦いだから
村の者が隊長をやるべきだと」
「ふむ・・・次の質問です、かなり統率がとれているようでしたが貴方達は以前から賊との
戦闘に備えた訓練をしていたのですか?」
「いえ、訓練を始めたのは三日前です我々に武器の使い方と戦術を教えてくれたのも姐さんです」
「三日前・・・・その言葉に嘘偽りはありませんね」
「もちろんです、私たち村人は戦姫様に感謝しているんです嘘など恐れ多いです」
「貴方の言葉を信じましょう、最後に賊と戦ったのは貴方達の意思ですか?」
「?質問の意味がよくわかりませんが私たちは村にいる家族を守るために戦いました
無論この中には、三日前に賊に家族を殺された者もいますが、そんな者たちも村を守るために戦って
くれました」
「なるほど・・・救援が遅れたこと謝罪します、そして無念にも賊に襲われなくなった命と
勇敢に賊と戦って命を落とした者にも祈りを」
「ありがとうございます」
隊長は死んでしまった者たちへの祈りをささげた戦姫へ深いお辞儀をする
「さて、旅のお方次は貴方へ質問させていただきたいのですが
よろしいですね」
「(これはお願いふうに見せかけて命令ですね)ええお答えできる範囲で
お答えしましょう」
「まず一つ目貴方は旅人と言いましたが、どこから来たのですか?」
「難しい質問をしますね、しいて言うならあの森でしょうか」
「答える気はないと」
「まあ、そうも取れますよね私の出身に関しては大勢がいるこの場所では到底話せることでは
ないので、次の質問を」
「しかたありません、では次ですなぜあなたは通りがかった、何の縁もない村を救うために賊を退治し
更に、賊の殲滅にまで手を貸したのですか?」
「見て見ぬふりをするのは、目覚めが悪いからですね手の前に助けられる命があるのです
そして自分には、それを救う術があるこの答えで不十分ですか?」
「ええ、十分です最後の質問です、貴方はこれから向かう先が決まっていますか?」
「向かう当てさえなければ、路銀さえないですねどこかに私の能力を正当評価して雇ってくれるところは
ないものでしょうか、雇ってくれさえすれば私が何処から来たか、旅の目的は何か答える気になるかもしれませんね」
余りにも白々しいアルテミスの言葉に、笑みを浮かべながら
「いいでしょう、貴方の能力はさきほどたっぷり見せてもらいました
客将として招きましょう、待遇は相談ですが」
「ではお招きに、預かるとしましょう申し遅れました私アルテミスと名乗っています
どうぞよろしく」
「オステローデ公国 戦姫バレンティナ=グリンカ=エステスですよろしくお願いしますね」
これが、軍旗姫と幻影の幻姫の出会い
ついジャンヌさんの宝具を使いそうになってしまった
【我が旗よ、我が同胞を、守りたまえ】