蒼空の魔弾 対魔の剣 四つの訪問者(無期限停止)   作:夜刀ノ神

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ほぼ同じ時間の別の場所での出来事です(襲撃から四日後のこと)



3、氷の盾

時を同じくしてジスタート王国、七戦姫の一人リュドミラ=ルリエが

納めるオルミェッツ公国

 

その戦姫リュドミラは山にこもり気晴らしに狩りをしていた

 

腰には紅茶(チャイ)を下げ、竜具たるラビアスと弓を片手に

雪深き山を進んでいた

 

「!あれはキツネねこの距離だと・・・流石に当たらないわ」

 

リュドミラから狐までの間には目測で三百アルシンはあるこの距離では

矢を当てるどころか、届かせることも難しい

 

「・・・・シッ」

 

慎重に近づき、狐との距離が百アルシンを切ったことろで矢を射かける

リュドミラが放った矢はキツネに吸い込まれるように突き刺さる

 

「よし・・・」

 

完全に息絶えていることを確認すると、突き立った矢を回収し狐を

回収する

 

「風がしのげて、水場が近いところに行きましょうか」

 

本来、水は積もっている雪を溶かせばいいのだが、なぜかこの時リュドミラは

水場の近くに行くことにした

 

「確かこっちに、池があったはずね」

 

この山はリュドミラが子供のころから駆け回ってほとんどを知り尽くしている

この山で見たことがない物はほぼないと言っていもいいだろう

 

「・・・・なにかしらあれ?足?足じゃない!!」

 

うっすらと雪の積もった池に到着すると真っ先に目に入ったのは

じたばたと動く足だった、それも上半身が池に入っているため顔は見えない

 

そうまるで某犬神家の一族のように・・・周りには氷が厚く張っており状況が

まるで意味がわからないが

 

「とりあえず、助けないと!」

 

引っ張っても、抜けないのでラビアスで氷を砕く

 

「よし、これだけ砕けば・・・よいっしょっと」

 

「ぷはぁ、はあ、はあ」

 

「貴方、大丈夫?」

 

「ああ、大丈夫じゃないなぜか寒さは感じないが、身体が冷えててやばい」

 

「少し待っていなさい、火をおこすわ」

 

「ありがとう、君が助けてくれたのか」

 

「ええ、よしこれで」

 

集めた木に火口箱で火を付けると次第に燃え移り、かなりの火力になる

 

「おお、暖かい」

 

「それで?貴方はここでなにしてたの?」

 

「それがなぁ、気付いたらああなってたんだ」

 

「気づいたら?記憶がないとか?」

 

「うーん、記憶喪失ってわけじゃないんだこれを言って信じてもらえるかわからないけど

恩人に、嘘はつきたくないから言うけど、俺は多分この世界の人間じゃない」

 

「なにを言ってるの?」

 

意味不明なことを言う男にリュドミラは怪訝な顔をする

 

「まあ、そんな顔にもなるわなだが事実だ、そう言えば

自己紹介がまだだったな、俺はノーマッドだ」

 

「リュドミラよよろしく」

 

「リュドミラだって!?」

 

「ど、どうしたのよいきなり大声をあげて」

 

「いや、すまないなんでもない、一つ質問なんだが

君は戦姫と呼ばれているか?」

 

「?ええ、そうだけれどなぜ異世界から来たという貴方がそのことを?」

 

「・・・俺の元いた世界には君が出て来る本があるんだ」

 

「?・・・よくわからないけど、貴方にしてみれば物語の世界に迷い込んで

しまったって言う、認識で合っているかしら?」

 

「そうだな、おおむね問題ない」

 

「貴方、行く当てがないのよね」

 

「そうだな、右も左もわからん」

 

「私の従者にしてあげたいところだけど、流石に無能を私の直属にするわけにはいかないわ」

 

「そうだろうな、ちなみに俺が得意なのは盾と氷を操ることだ」

 

「わかったわ、公都に戻ったら試験を受けさせてあげるわそこでいい成績を残せたら

貴方の待遇を考える、それでいい?」

 

「もちろんだ、助けてもらった上仕事までもらえるなんて

願ったりかなったりだ」

 

「それじゃあ、まずはこれを飲みなさい私が入れた紅茶よ温まるわ」

 

「ありがとう、頂きます・・・・うまい、身体の芯から温まる

ここまでうまい紅茶を飲んだのは、初めてだ」

 

「そ、そうよかったわ」

 

「うん、うまかったごちそうさま」

 

「それじゃあ行きましょうか」

 

「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

オルミェッツ公国公都公宮訓練場

 

 

ノーマッドはオルミェッツ兵の一人と対峙していた

 

「まずは一対一よ、両方とも刃は潰してあるけど、当たると骨ぐらいは折れるわよ

始めなさい!」

 

開始と同時に兵士が小手調べとばかりに上段できりかかってくる

 

「はあっ!」

 

「ここだ!」

 

それをなんなく受け流す

 

「次はこちらからいくぞ」

 

盾を構え突進する、無論兵士も黙って盾の突進を受けることはなく

左への回避とともに今度は下段から切り上げる

 

「(位置的にはガードできないと思って左へ回ったんだろうが関係ない)

せい、やあ!!」

 

ノーマッドは突進の形から盾を右に振りぬきその振動でそのまま右回転し

下段から襲ってくる剣をはじき返す、回転するのに掛かった時間はわずか一秒にも満たない

 

「ここ!!」

 

突然剣をはじき返された兵士はよろめき体勢を崩す、それを見逃すノーマッドではない

すかさず、盾による追撃をかける

 

まあそもそも盾しか持ってないのだから盾で攻撃するしかないそれも全身を護るようなタワーシールド

ではなく、腕の肘あたりまでを護る三角形の小型盾だ

 

「ぐはっ」

 

 

「そこまで!!、勝者ノーマッド」

 

周りで見ていた者たちから歓声が上がる

 

「盾一つであそこまで戦えるのね」

 

「ああ、俺はこれしかないからな使い方はなぜか知ってたが」

 

「次は一対多数ね兵士は前に出なさい、さっきも言ったけどこれはあくまで

彼の実力を測るためのものよ、それでは両陣営構えて」

 

 

「(今回の相手は三人か・・・まあ魔法を使えば何とかなるか?)」

 

「初めっ!!」

 

三人の兵士は、中央に立っていた兵士をはじめに突進してくる

 

「まずは受けようか」

 

盾をまっすぐ構えながら、盾の能力を発動させる

 

「ふっ!___なっ」

 

盾と兵士の長剣が接触する刹那、ノーマッドはすかさずバックステップで

衝突を防ぐ

 

そんなことをされた兵士は、初めから剣が当たる前提で突撃したのだ

かなりの前傾姿勢で、そのまま慣性に従い転倒してしまう

 

「氷!!」

 

「な、なななんだこれは!?」

 

ノーマッドが宣言すると同時に、転倒した兵士が正確にはその地面から凍りついていく

 

「くっ、動けん」

 

「・・・面白いことができるのね」

 

「「同僚の恨み!!」」

 

先ほどの兵士と同じく突進しようとしていた、兵士は

異変に気付き、今まで止まっていたのだが、気を取り直し剣を振ってくる

 

「(まずは一人、次はまとめて片付けるか)再びの氷」

 

唱えると、いつの間にやら濡れていた訓練場の床が氷に覆われていく

さながら、アイススケートのリンクのように表面はツルツルだ

 

そんな、足場を普通に歩こうものなら・・・

 

「なんだ!?おうわっ」「ぶべら」

 

もちろん転倒する

 

「なんだ、お前らそんなに地を這いつくばって、芋虫か何かか?」

 

そんな二人を尻目にノーマッドは靴底に氷で生成した刃で凍った地面を滑っている

ついでに、馬鹿にするのも忘れない

 

「このっ!!」「うわっ!!」

 

「確か、場外でも勝ちになるよな?」

 

一応リュドミラに確認するが、大丈夫なようだ

 

「じゃあ、いつまでも遊んでいられないしこの辺で終わりにするか、ほらよっと!!」

 

転がっている兵士に高速で近づき、渾身の蹴りをお見舞いする

 

摩擦の少ない氷上で急に一方から力を加えられたらどうなるか・・・まあもちろん吹っ飛んでいく

 

「一名戦闘不能、二名場外、よってこの勝負ノーマッドの勝利!!」

 

先ほどよりも、大きな歓声が上がる

 

「(兵士をぼこぼことは言い難いが倒したのに、素直な賞賛とは・・・)」

 

「ノーマッド貴方見かけによらず、強いのね侮ったことを謝罪させてもらうわ」

 

「気にするな、出身もわからないような人間を信頼しろって方が無理な話だ」

 

「そう言ってもらうとこちらとしても、助かるわそれとさっきの兵士を

凍らせたのはなに?見た感じは呪術って感じじゃなかったんだけど」

 

「そうだなぁ・・・(うむ・・・・これを教えていいかどうか悩みどころだな

このまま、ここでお世話になるなら話さなきゃならないだろうが・・・)

雇ってくれると確約してくれるなら話してもいい、働かずに飯が食えるのならなおいいが」

 

「働かずにご飯は無理だけど、貴方を正式に兵士として取りたてることは約束するわ」

 

「いいのか?そんなに簡単に決めて家臣たちが反発するんじゃないか?」

 

「武官ならここまでの能力を持った人間を放っておかないでしょう、問題は

文官だけど、貴方次第ね」

 

「それなら、いいんだが・・・仕方ないよろしく頼むよ

とくに行く先もないしな」

 

「そう!、それでさっきのこと教えてほしいのだけれど」

 

「なんと説明したらいいか・・・そうだな魔法って知ってるか?」

 

「えっと、ええ一応おとぎ話に出て来るアレよね」

 

「今はその認識でいい、それだ俺には氷を操る能力があるんだ」

 

「無から氷を生み出せたりするの?」

 

「流石に・・・できなくはないが俺の負担が大きいな

近くに水があれば、それだけ多くの氷が操れるようになる」

 

「あれ?でもさっき、地面を凍らせていたわよね?見た感じそれほど疲れているようには

見えないのだけれど」

 

「この盾にはな水蒸気を出すっていう能力があるんだ

そして実はすっげー疲れてる今にも倒れそう」

 

「水蒸気?やっぱり疲れてるのね」

 

「水蒸気ってのは・・・・水が細かくなって空気中に浮かんでる状態だ

お湯を沸かした時上に白い靄が出るだろ?あれが水蒸気だ」

 

「なるほど、空気中の水蒸気を水に変えて地面を凍らせたのね」

 

「そう言うことだ、それともう休みたいんだが?」

 

「そうね、その前にあと一戦してもらうわ」

 

「は?もう採用は決まったんじゃないのか?」

 

「ええ、決まったわよ私が個人的に戦いたいの」

 

「それは、休んでまた後日でもいいんじゃ」

 

「私は、戦姫よそれなりに忙しいの、この機会を逃したら次いつ戦えるか分からないわ」

 

「はあ、わかった」

 

「それでよし、私もラビアスは使わないから安心しなさい」

 

「全然安心できねえ」




いやー意外と盾強いっすね
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