誰か書くだろうと思って5年経ったので触りだけ書きました。

だれかロールシャッハとヒロアカのクロスを書いてください

書け(豹変)


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 誰か書くだろうと思って5年経ったので触りだけ書きました。

 だれかロールシャッハとヒロアカのクロスを書いてください

 書け(豹変)




絶対に妥協しない男のヒーローアカデミア

 すべてが終末へと向かっている世界があった。

 

 

 

「新しい理想郷を守るんだろう、今さら一つぐらい死体が増えても同じことだ」

 

 

 

 ある天才がその終末を避けるため、多くの命を犠牲にした。

 

 それが人のためであると信じて

 

 

「どうした?何を待ってる?」

 

 だが彼は、彼だけは世界のゆがみを決して認めなかった。

 

 それがさらなる犠牲を生むことと知っていても自分の正義を曲げなかった。

 

 

「やれ……」

 

 

 それが確実に訪れる死だとしても

 

 

 

「殺せ!」

 

 

 

 彼は絶対に妥協しなかったのだ。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日誌 ロールシャッハ記 20●●年●月●日

 

 

 俺は死んだはずだ。

 

 

 確かに南極で殺された。神に最も近い男の手にかかり、一片も残さずに消し飛ばされたはずだ。

 

 

 だというのに俺があの世とやらに行かずに済んでいるのを見るにどうやら単純に死んだというわけではないらしい

 

 殺された俺は全く知らない場所で目が覚めた。

 

 しばらくその場を探ることになったのだがまとめた情報を整理するうちに俺は愕然とした。

 

 驚くことに、この世界にはニューヨークがない

 

 正確に表現するなら、俺の知るニューヨークだ。

 

 自警活動を禁止させたキーン条例もなければオジマンディアスによる虐殺もない

 

 そもそもの世界が違うのだ。

 

 

 あの超人がどういった意図で俺をここに送ったのか分からない

 

 

 しかし恨むぞ、あの変態青光り野郎め、俺をよくもこんな所に……

 

 

 

 

「どうしたの?」

 

 

 

 

 俺はすぐさま手に握ったクレヨンとメモ用紙を家具の隙間に隠そうとした。

 

「またお絵かきね、これはミミズさんかしら?」

 

 俺のメモを見つけて手元で弄っているがこの女に英語を読むほどの学はなく、俺も盗み見られないように文字を崩しているので何とかメモの存在には気付かれていないようだ。

 

 幸の薄そうな若い女だ。顔には表情がなく、生きようという気力が見えない

 

「ごめんね仕事ばっかりで遊んであげられないから……」 

 

「……」

 

「今からお客さんが来るから先に寝ててね、いつも行儀よく待ってくれているからお母さんすごく助かってるわ」

 

「……」

 

「あとはお風呂を嫌がらないこととお乳を素直に飲んでくれれば言うことはないんだけど……」

 

 何が悲しくて淫売の乳などしゃぶらなければいけないのか、そんなことをするぐらいなら俺は舌を噛んで死を選ぶ。

 

 

 

 

 だがそれはできない、なんせ歯が生えてないからだ。

 

 

 

 これが俺の母親だ。

 

 どんな因果かその股座から出てきた俺は赤子。

 

 ここはニューヨークではなくジャパンで、この俺がイエローモンキーの子供として生まれたなんて質の悪いコメディだ。

 

 

 おまけに実の母親が売女ときた。これがマンハッタンの考えたことだとしたら、奴が人の心が分からないなんて真っ青な嘘だ。確実に俺の嫌がる要点をダース単位でそろえてある。

 

 こんな所、すぐにでも出ていきたいが、今の俺は歩くのもやっとで自分の尻さえ拭くことさえ難しい、逃げることさえできない。

 

 

「今日はオールマイトのベビーモールを買ってきたの、これがあれば私がいない時もさみしくないでちゅね~、ほら電源をコードに刺すと声も出るのよ」

 

 まさに地獄だ。頭がおかしくなるのも時間の問題だろう。

 

 

 今晩も肉の交わる不快な音を聞きながら寝ないといけないと考えるだけで怖気が走る。

 

 

 こんなセックスと金しか頭にないようなクズ共の最後なんてものは馬鹿でも分かる。

 

 前に俺を生んだ女と一緒だ。

 

 最後にはどうせ野垂れ死ぬ

 

 

 

 だが俺には関係ない、精々その最後で己の愚かさを悔めばいい。

 

 

 

 今できることは体を動かすこと、すぐにでもここを離れるためにひたすらに体を動かさねば……

 

 

 

 

 

 

日誌 ロールシャッハ記 20●●年●月●日

 

 

 

 1年が経った。

 

 

 

 適当な男でもできて俺を邪険に扱い始めるだろうとの予想は裏切られ、意外なことに女は俺に暴力は振らなかった。

 

 

 俺が体を動かそうとしている様子を何が楽しいのか飽きもせずに見ている。

 

 食い物もかびたパンではなく、下手くそでも俺に作った。

 

 ……作るのは構わないのだがこのミソスープなる料理は最悪だ。醤油臭いうえにしょっぱすぎて食べれたものではない、いったいこれは何を原料に作られているんだ?

 

 

 あぁ、豆が懐かしい

 

 

 

 しかし、女という生き物は口を動かさなければ手足を動かすことができないのだろうか。

 

 返事もしていないのに俺に話しかける。

 

 こちらが無反応だというのによくしゃべるものだと辟易した。

 

 話の中には女自身の身の上話も含まれた。

 

 要約すれば女の生い立ちはこうだ。

 

 

 この世界でロクな身寄りもなかった。

 

 親戚にたらいまわされて、頼れる大人なんて一人もいない幼少期を過ごす。

 

 そんな分別もない少女時代に、少しだけ優しくしただけのチンピラと付き合う

 

 止めるような家族もいない女は男に引っ付いて家を出る。

 

 そうして何の計画性もなく俺をミドルスクールで作って、男は早々に行方をくらましたらしい。

 

 いつか戻ってくると彼は約束してくれたからと俺にほほ笑みかけるその目は暗い。

 

 この仕事を紹介したのもその男で、その男の借金を返すために働いているという話を聞いたときは、据わっていない首のまま思わず天を仰いだ。

 

 流れるようなクズの手際だ。

 

 どうせその男はこの女をどこかで笑いものにしているだろう

  

 

 クズどもにとっての典型的なカモ、そう表現するしかない哀れな女だ。

 

 

 

 

 

日誌 ロールシャッハ記 20●●年●月●日

 

 

 二年たった。

 

 体がようやく動かせる。

 

 しかし文字通り、赤子に毛が生えた程度の運動能力である。

 

 できることはただこの女の腕の中に納まるだけだというのは情けない。

 

 俺は同じ生活を繰り返すしかない、正確に言うなら自由に動けない俺はこの女の生活に合わせることしかできない。

 

 朝起きて、この薄暗い部屋で俺にずっと話しかける女。

 

 

 そんな風に過ごしていれば一日に4~5人ほどの男が我がもの顔で部屋に上がり、俺は奥の方で無駄に古く重い、あの女の不器用のせいで組み立てに4日かかったベビーベッドへと移される。

 

 この繰り返しだ。

 

 女が部屋から出ていくことは、食事や俺に与える物を買いに行く以外はほぼない。

 

 たまにくる。客ではない男、おそらく仲介役だろうクソ野郎がたまに来ては女をどこかへと連れて行くぐらいだ。

 

 そういう外出の後の女は、ひどく疲れた顔をしてるというのに俺にさらに構うのでうっとおしい。

 

 話の内容もひどく幼い。

 

 いつかお父さんが迎えに来てくれる。そしたら三人で一緒に暮らそうなんてよく笑顔で話せるものだ。

 

 お前は男に騙された馬鹿な女だと叫びたい気分だ。

 

 この女はまるで夢見がちな子供のように現実を直視できていない。

 

 

 

日誌 ロールシャッハ記 20●●年●月●日

 

 

 3才になった。普通ならしゃべる年頃だが、もし俺が喋れるようになったとしたらこの女がどのような暴走をするか想像に難くないので俺は一切しゃべらないと決めた。

 

 3歳の誕生日に誕生日祝いだと言ってフライドチキンを買ってくるようなこの女のブロンド並みの常識の無さに笑ってしまう。

 

 しかもクリスマスにもフライドチキンを用意するなんて話している。

 

 わざわざクリスマスにそんなものを用意して食べる奴がいったいこの世界のどこにいるというのだろうか。

 

 まぁ、このジャンクな味は世界共通だ。故郷のアメリカを思い出し、懐かしいので一応は食べた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 日誌 ロールシャッハ記 20●●年●月●日

 

 思えば精神が発達していないガキだと見下してはいたが、この女はまだハイスクールに通っててもおかしくないことに、今更ながら気づいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 日誌 ロールシャッハ記 20●●年●月●日

 

 

 俺の言葉が遅れていることに女が気付いたようだ。

 

 どうやら客の一人が俺の話を聞いて指摘したらしい。

 

 何て余計なことをしたのか。

 

 そのことに気付いた日から女は、俺に何とか話をさせようとしてくる。

 

 もちろん俺は口を開くことはしない。

 

 女はひどく気に病んでいた。

 

 

 

 

 

 

 日誌 ロールシャッハ記 20●●年●月●日

 

 

 女がなにを勘違いしたのか、俺が言葉をしゃべらないのはこの閉じこもった環境のせいだと考え始めたようだ。

 

 真実は違うが、普通こんな環境で育った奴がまともな人間になれるわけがないのでこの女にしてはまともな発想だ。

 

 

 

 日誌 ロールシャッハ記 20●●年●月●日

 

 なにやら今日は無理やり手を引かれて外に連れていかれる。

 

 どこに行くかと思ったら公園だ。

 

 俺を他の子どもと遊ばせようとしているようだが、そんなことをされたらガキどもを無視しようと腹に決めていた。

 

 俺の思惑は予想外の方法で達成される。

 

 女に他の子どもがいる砂場に連れていかれると、子供の親がそこから自分の子供を引きはがし、陰口を言いはじめた。

 

 結果的にすぐ帰れたのでよしとする。

 

 

 

 日誌 ロールシャッハ記 20●●年●月●日

 

 最近女が家で良く分からないアクセサリーを作っている。

 

 自分で使うわけでもなさそうだ。

 

 この女の無趣味ぶりのせいで俺の負担が大きくなっていたので、ぜひ俺と接する時間を減らすために趣味に興じていてほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日誌 ロールシャッハ記 20●●年●月●日

 

 

 

 

 

 

 やはり、どの世界に行こうとも汚物はついて回る。

 

 停滞し過ぎていた。

 

 せめてもう少し体が出来上がるまではと思っていたが遅すぎる。

 

 

 今ここから掃除を始めなければ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある女の一日 20●●年●月●日

 

 

 

 

 あの人のことはまだ心から愛している。

 

 でも薄情かもしれないけど、それと同じぐらいこの子のことが大事だった。

 

 私は良い、でももしこの子がこの狭い部屋の中で育ったらどうなるのだろうか。

 

 自由に遊ぶ場所も友達もいないこの場所で、この子を終わらせてはいけない。

 

 私がこんな仕事をしているばっかりに、この子に迷惑をかけてしまっている。

 

 そう考えた時、私はここから出なければいけないと考えた。

 

 秘密で慣れない内職も始めた。

 

 この子が誇れる親になりたい、お金を節約して少ないけどここを出るための資金を作った。

 

 別の部屋と仕事もなんとか見つけた。ようやく新しい生活を始めることができる。

 

 最後に今の仕事を片付けられさえすれば自由になれる。

 

 

「今日でこの仕事は辞めるわ」

 

 

 私の仕事を仲介してくれる人が困ったように私を説得する。

 

『お前の待っている男は自分の借金を返すために海外で働いている。それをお前が裏切るのか、今日もお前に会いたいと奴からいつもの手紙をもらっているんだぞ』

 

 

 私は意を決して言葉に出す。

 

 

 ごめんなさい、本当は全部知っていたの。

 

 私の個性は『サイコメトリー』

 

 ものに宿った思念を読みとる力

 

 その力で分かってた、彼に裏切られているって、彼が義理でも私に書いてくれた手紙は初めの一枚だけなんでしょ。

 

 その初めに手紙に乗っていた感情は『蔑み』。

 

 馬鹿な女って思われていたことはすぐにわかっていたの。

 

 でも私が信じたくなかった。私は弱くてそんなこと耐えられなかったから。

 

 でも、私には今あの子がいる。私の弱さのせいであの子の未来が閉ざされることはあっちゃいけないの

 

 

 あとは仕事を辞めてここから出ていけば……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふざけてんのか? テメェ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私はおなかを殴られ地面に蹲る。

 

 

「今更テメェみてぇな、脳みそスッカスカの女がまともに生きれるわけねぇだろ」

 

 蹲る私をさらに蹴り飛ばし、地面に転がすと頭を掴んで無理やり部屋の中央に引きずる。

 

「馬鹿な女だから平和的に情で縛れたと思ってたのによぉ、騙される自分を美化するとか俺が想像する以上のノータリンだなテメェはよぉ?」

 

 

 

 私はその瞬間、プッツリと暗黒に落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男は手足をバタバタと動かす女を感情のない目で見ていた。

 

 

 

「俺の個性も教えてやる。俺の個性は『五感喪失』手のひらに触れられている間、全ての生き物の感覚は消失する。これからテメェを再教育してやる。まぁ聞こえちゃいねーがな」

 

 やがて女は手足の動きは緩慢になり、動かなくなる。

 

「1時間もやれば廃人だ。30分くらいで軽く壊してからシャブシャブしてやるからな、今後はお薬のために働く立派な道具になるんだぞ、分かったかこの糞アマ」

 

 男は女の背中に腰を掛けたままタバコを一服吸おうと火をつけようとする。

 

 

 

「おい」

 

 

 ひどくしゃがれた声がした。

 

 

 男は部屋の奥に目をやる。するとそこには一人の幼児がこちらをじっと見ていることに気付く。

 

 殺気のこもった低い声、だが今目の前にはただの子供が一人、男は困惑しながらも目の前の幼児を睨みつける

 

 

「あ? なんだテメェ、ガキが何見てんだよ」

 

 その言葉に返事を返さず、子供は手に持った何かを肩に担ぐ。

 

 そして自分の体が持っていかれながらも、ハンマー投げのように何かを投げつけてきた。

 

「うぉッ!?」

 

 片手に女を掴んでいる男はうまく動けずその一撃を浴びる。

 

 体に付着したワカメと嗅ぎ慣れた匂いに、それが鍋とその中身である味噌汁だと気付いた時には上質なスーツにはびっしょりと大きなシミができていた。

 

「……ふざけやがって」

 

 男は自身のスーツを汚されたことに激怒し、必ず目の前のガキを溜飲が下がるまで殴ろうと心に決めた。 

 

 男はそう考えていると間髪入れずに頭に衝撃を襲う。

 

 子供は鍋の蓋をフリスビーのように投げつけると、男の額を浅く傷つけた。

 

「………殺す」

 

 所詮は戸籍もない子供、消えたところで死体さえ処理すれば何も問題はない、そう男は考えた。

 

 小さな彼は大の大人の怒りを前にしても無表情で、すぐに奥の部屋の方にかけていく。

 

「逃げるんじゃねぇ!! ナニをママの中に忘れてきてんじゃねーかおい!! ……クソッめんどくせぇ」

 

 女の頭を引きずりながら追いかけると、そこは子供用のベッドとおもちゃが置かれた部屋だ。

 

「かくれんぼのつもりか? 」

 

 部屋を探してみるが隠れるところはそう多くない、もともとが殺風景な部屋であったそこはほぼすべて子育て用品が占めていた。ベビーベッド、クローゼット、テーブル、タンス、精々隠れられるところはそのくらいだ。

 

 虱潰しに探せばいずれは見つかる。だが男はいい考えを思いついたと邪悪に口をゆがめた。

 

「……何だ、こんな売女の汚ねぇ股座から生まれてきたカスが一丁前にママを守ろうってか?泣かせるねぇ」

 

 男はそういうと、何の遠慮もなく頭を掴んだ女のみぞおちを思いっきり殴りつける。

 

「悔しかったらこっちに来て俺からママを取り返してみろよ」

 

 遠慮もせずに拳を振るい続けていると、部屋の一角からコトリと物音が聞こえる。

 

「ベッドの下か!!」

 

 男がベッドをひっくり返そうとするが、古く丈夫なベッドは片手では持ち上げにくく、両手を使って無理やりにひっくり返す。

 

 ベッドの下で男の予想通りに子供はいた。

 

 その手に掴んだベビーモービルを投げつけるが、両手が空いた男はそれを難なく避ける。

 

「そう何度も同じ手は…」

 

 子供は飛び出し、肩からぶつかるように飛び出す。

 

 破れかぶれの一撃、幼児の体重をのせた突進では、ある程度の荒事もこなせる男にはきかない。

 

 

 

 

 

「離したな」

 

 

 

 

 

 男はぞっとするほど冷たい声を聞く。

 

 

 小柄な彼の突進は男に何の痛痒も与えない。

 

 

 だが、その小さな手に握られたものは別であった。

 

 

 むき出しの銅から続く線。

 

 

 それをたどればコンセントに差し込まれていた。

 

 

「グギャッ!? グギャギギ! ギィギギッギギギ」

 

 男は激痛を感じて身を捩らせようとするが、強制的な筋肉の収縮からうまく体を動かせない。

 

 必死になって子供を押しのけようとする。

 

 だというのにその小さな塊は、男の髪を掴んで話そうとせず、さらに強い力で銅線を押し付ける。

 

「おッ! おおまえもッ!! 死ぬぞ!!!!」

 

 もちろん感電している人間に触る者にも電気は襲い掛かる。

 

 その手は焼き爛れ始めていた。

 

「家の電気程度ではなかなか死なないものだ……、塩水で濡れているお前みたいな奴は別だがな」

 

 気力を振り絞り、目の前の子供を掴むと個性を使用する。

 

 暗黒の世界に引きずり込まれれば方向を見失うと、己の個性を信じた。

 

「ななッ…ににィにッに」

 

 だが止まらない、何も映さないはずの目は、男がいるだろうただ一点に力をこめて押し込み続けている。

 

 男は心臓に強烈な痛みを感じる。

 

「ばばばばばっばかな、あありえ」

 

 突き出した電流は胸を通り、男の手や足に逃げていく、相手は明確な殺意を持って胸のその奥、心臓を見据えて腕を突き刺していることに男は気付いた。

 

 

 男は恐れおののく。

 

 

 目の前にいるこのガキはおかしい。

 

 どうすればたかが三歳程度の子供がためらわずにここまで順序立てて人を殺すことできる。

 

 

 感電をしやすくするため味噌汁を投げて濡らし

 

 人質を巻き込まないために両手で動かさなければならぬところに隠れ

 

 家庭用の少ない電流で殺すために心臓を狙って止めようとし

 

 自身が傷つくことをまったく顧みず手を突き出す。

 

 

 あり得ない、まるで中身が子供じゃない別の……

 

 

「たっ、たすけっ」

 

 

「いやだね」

 

 

 

 男は口から泡を噴き、意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある女の始まり 20●●年●月●日

 

 

 私が意識を取り戻した時、そこは病院だった。

 

 呆然とする私に看護師が気付くと、慌てたように人を呼ぶ。

 

 混乱している私に、警察だという男の人が私に矢継ぎ早やに問いかける。

 

 なぜあなたはあの部屋にいたのか

 

 あの日あのとき何があったのか

 

 あの場にいたもう一人の人物について

 

 私は答える前に何より大切なことを聞く。

 

 

「あの子は! 私の子供はどこにいるのですか!!!」

 

 

 難しそうな顔をする警察の方々は要領を得ない説明をする。

 

 どうにか分かったことはこうだ。

 

 私を売っていた組織は壊滅したらしい。

 

 らしいというのは、その組織というのが長年警察組織が尻尾を掴ませない者達で、その組織の全容は誰も知らなかった。

 

 警察の努力の結果、捜査線上に浮かびあがった組織の一員とみられる男を見張っている中、わずかに目を離した隙に襲撃され重体となる。

 

 発見された男の姿は容赦なく骨などを折られ、再起不能で後遺症が残るような状態であった。

 

 ヒーローや警察組織達は口封じや内部抗争ではないかと警戒を強めたが、そこから次々と同じような手口の襲撃事件が続いた。

 

 やくざ者、ダフ屋、劇団員、不動産屋、銀行員、商社マン、挙句の果てには警察官や政治家まで、その者達は一見何の繋がりも見えなかった。

 

 しかし、身柄を洗い出せば確かに一つの組織へと繋がっていたのだ。

 

 警察はそこからヒーロー達と共同し芋づる式に組織を検挙することができた。

 

 私としてはだからどうしたという気持ちである。

 

「組織なんてそんなことは知りません!! うちの子はどこですか!!」

 

「……この一連の事件の始まりはあなたの部屋で起こった殺人事件で、私たちはあなたが息子と呼ぶ人物が重要参考人とみて捜査をしているのです」

 

 私が目覚めた時、そこには私と男の死体しかなかったらしい。

 

 そして現場の状況から、それを殺したのが部屋にいたもう一人いたと思われる人物であると。

 

 

 

 あの子は私の元から消えてしまったのだ。

 

 

 

 そこからは記憶が判然としない、警察の質問にぼんやりと答える。

 

 しばらくそうして何日も過ごしていると、もう体は元気だからと病院から追い出される。

 

 市役所の職員だという人も来るが、言われたことをするだけでよく覚えていない。

 

 新しい住居も仕事ももはや意味はない、あの子がいないのだから。

 

 

 変わった子だった。

 

 

 よく描いていたお絵かきを私の個性で読み込めば、あの子はいつも何かに憤っていた。私や今まで見た人となんて比べものにならない、とてつもない強い意志があの絵にはこもっていた。

 

 それが何か分からなかったけど、私は構わなかった。いつか話せたときの楽しみに聞ければと思っていた。

 

 でも、もうあの子はいない。

 

 あの子を私が愛していたとして、あの子がそれをどう思っていたなんて知ることも、もうないのだ。

 

 

 

 私は以前のように無気力にただ生きる生活に戻っていた。

 

 

 

 ただながされるまま、今後の仕事についての講習を市役所に受けて家に帰ると、机の上に見慣れないビニール袋が置いてある。

 

 不思議に思い中を見ると、その中にはお札の束がゴミのように詰め込まれている。

 

 机の上には豆の煮物の缶が開けられてあり、その缶で一枚の紙が止められてあった。

 

 

 

『うめあわせのホウシュウをハラう』

 

 

 かなり擁護して、ミミズが這いまわった字だった。

 

 でも、たしかにそこには感謝が読み取れた。

 

 

 私は思わず家の外を飛び出すと辺りを見まわったが、そこに私の探している人はいなかった。

 

 

 あぁ神様、あの子の行き先に幸が多からんことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日誌 ロールシャッハ記 20●●年●月●日

 

 まさかこのようなことになるとは思わなかった。

 

 この世界は俺がいた世界のようにヒーローが存在していることは知っていたが、俺はそれになろうなど微塵も考えていなかった。

 

 それは所詮法の中だ。 

 

 俺はただ必要なことをやる、法律なんて関係ない。

 

 だが現実はどういうわけか、この国のヒーローたちを育成する機関とやらへの受験を受けなければいけないことになってしまう。

 

 俺をここに追いやった奴らがどう考えているかなど知ったことではない、矯正しようとするつもりならすればいい、ヒーローのあるべき姿とやらの口弁を勝手に垂れようともかまわない。

 

 

 

 『俺は絶対に妥協はしない』

 

 

 

 

 

 

 




僕「よし!他のヒロアカクロスみたいにロールシャッハを雄英高校に入学させるぞ!!」

ロールシャッハ「自分の罪でがんじがらめになった売春婦と政治屋どもは共は終いには天に向かって叫ぶだろう。『助けてくれ!』とな・・・そしたら俺はこう答えてやる。『いやだね』」
僕「………」
ロールシャッハ「俺たちはただ必要なことをやる。法律なんて関係ない」
僕「……」
ロールシャッハ「下水道があふれて、クズどもが全員溺れ死んでしまえば、いっそすっきりするだろうに」
僕「…」
ロールシャッハ「絶対に妥協しない」


僕「よし!妥協しよう、彼に高校生活など不可能だ!!」

 マジな話、どんな超展開があったらロールシャッハが大人しく学校を受験することになるんですかね?



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