パスワードを忘れて三ヶ月ほど。
昔使っていたパソコンに記録していたのを見つけて戻ってくることが出来た記念のお話です。
プリコネRでもお気にのキャラであるムイミを突っ込んでみました。メインストーリーは面倒臭いから読んでませんし()、個別ストーリーを読んだだけなので知識量はヤバいですね☆ですが、まぁ短編やし大丈夫やろ……。

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ムイミがダンジョンに潜るのは間違っているだろうか?

 

 

 

 

「うおぉおおぉおお! 道を開けろぉ!」

「ギャフ!」

 

 だだっ広い大草原を走り抜ける少女が一人。

 雨でも降ったのだろう泥濘るんだ地面に足跡を付けながら全速力で駆け抜け、飛び散った泥が頭から足元まで満遍なく付着しても気にせずに進んでいる。

 

 偶に遭遇するモンスターを少女の背丈よりも大きな大剣で切り裂き、破断する。

 持っているだけでも疲れそうなそれを振り回しながらも疲れる様子を見せない少女は、爛々と輝く瞳を遠くに見える城壁に向けながら口角を上げ、可愛らしい声で叫んだ。

 

「待ってろよオラリオ! このアタシが来たからにはダンジョンなんてフルボッコにしてやる!」

 

 高笑いを辺り一帯に響かせながら猪突猛進する少女。特徴的なオレンジ色の髪をはためかせ、目指すは神々が集い数多の冒険者が挑み続けるダンジョンが存在する迷宮都市『オラリオ』。

 

 

 

 

 

 

「は!? ファミリアに入れてくれないって、どういうことだよ!?」

「だーかーらー、ウチはお前みたいなガキを入れる程困窮してないんだよ!」

「なんだと!? アタシが足手まといだとでも!?」

「分かってんじゃねぇか! さっさと帰れ!」

「あっ! てめ……くそ!」

 

 腹立ち紛れに扉を蹴り飛ばすも何も反応はなく、都合三十回は超えたであろうファミリア訪問の失敗によって苛立ちは限界に達しようとしていた。

 

「なんなんだよ! 何処行っても主神には会わせてくれねぇし、アタシがガキだからって弱い癖にキャンキャン吠えてさ! あ〜! ムカムカする!」

 

 オラリオに着いてから一時間も経っていない。しかし到着時刻が時刻だった為に、これ迄は断られる度に走り回って探していたとしても夜の訪れまでは勝手にやってくるもの。

 既に暗くなり始めた空を見て、所持金も少ない為に何処か適当な場所を見つけて野宿しようと決めて、ふらふらと彷徨いていた時だった。

 

「お? あそこ良いじゃん!」

 

 丁度向かう先に荒れ果てた教会のような廃墟を見つけた少女は喜色満面といった顔を見せると、陽気なスキップで土埃を立て、廃墟に辿り着くや否や扉を蹴破り中に侵入した。

 外見だけではとても人が住んでいる風には見えないが、それでも個人所有の廃墟である可能性はないとは言えない。それを分かっていて少女もこのような行動に出た……とは思えない程に、その行動はイキイキとしている。

 

「屋根とかないとこあるけど、野宿先としては良いとこだな! そんじゃまお休み!」

 

 頭上に屋根がある場所の移動すると、少女は泥だらけの姿のまま埃が積もった床に転がると直ぐに寝息を立て始める。

 その図太いと表現していいのか分からない精神力には驚くべきところがあるが、その代わりに油断も多いらしく、寝静まった瞬間を見られていたことには気付いていなかった。

 

 突然扉が蹴破られ、その後直ぐに床に横になって寝始めた少女を僅かに開いた床から見詰めていた少年は音を立てないように床を閉めてから、ドタドタと音を鳴らして階段を駆け下りた。

 その顔には混乱と恐怖が入り交じった感情が浮かんでいて、下まで辿り着いた先にある扉を開け放つと中にいる人物に向かって叫んだ。

 

「神様! 知らない人が扉を破壊して教会で寝てますぅ!」

「うわわっ! ビックリしたぁ! 急に大声出されるもんだから驚いちゃったじゃないか……うん? なんて?」

「知らない人が扉を破壊して教会で寝てますぅ!」

「な〜に〜!?」

 

 ベッドで横になっていた黒髪ツインテールにロリ巨乳が特徴的な神様と呼ばれた少女は目を見開くと、少年と一緒に階段を駆け上がり、慎重に床を開いた。

 

「アンタ達何してるんだ?」

「うわぁ!」

「ちょっ! 神様危ない!」

 

 音を立てないように開いた床の先にいたのは不思議そうに二人を覗き込む少女の姿。

 予想打にしていなかった事態に驚愕した神様が仰け反りそうになった所を、少年が慌てて後ろから支えて落ちないように防いだ。

 

「あ、ありがとうベルくん。助かったよ」

「ベルくん? お前はベルって言うのか?」

「そ、そうですけど……えっと……その……」

「……あぁ、もしかしてこの廃墟ってアンタ達の持ち物だったのか? 知らなかったとはいえ、悪いことしたなぁ……扉壊しちゃったし」

 

 申し訳なさそうに後頭部を掻きながら後方を見やる少女を見て、ベルと呼ばれた少年と神様は顔を見合わせて頷き合うと、神様が言った。

 

「取り敢えず……服、着替えようか?」

「え? ……あぁ……」

 

 困惑気味に自分の体を見やった少女だったが、直ぐに納得したのか何度か頷いた。泥まみれの服の上から埃が付着していて、小汚いでは済まされない姿になっていることに気付いたのだろう。

 

「悪いんだけど……アタシこれと金しか持ってないんだ。なんか服貸してくれるか?」

 

 苦笑いを浮かべながら言った少女に、ベルと神様も苦笑いで返したのだった。

 

 

 

 

 

「へぇ〜成程ね。それで冒険者になりに来たのは良いけど誰も相手にしてくれなかったと」

「今考えたら泥だらけの服が不味かったのかもしんないって思うな。まぁにしてもあの態度は流石にねぇだろ。中にはアタシを男扱いした奴もいたしな」

「え?」

「ん? どした?」

「あぁ、いや。なんでもないさ」

 

 ロリ巨乳の神様と呼ばれた少女、ヘスティアと名乗った神様とベルは僅かに驚きを表したが、直ぐにそれを消し去って笑顔に戻る。

 まな板と呼ぶのも悲しい程のまな板に、起伏のない体つきと男勝りな口調。可愛らしい顔をしているが、全体的に見れば男か女か分からなくなるような姿から二人は判別がつかなかったのだろう。

 

「でも……そっか。ムイミくんは今ファミリア探し中なんだね?」

「ん、そうなるな」

「……神様」

「あぁ、分かってるよ」

 

 ベルからの呼び掛けに微笑みを返したヘスティアはムイミと向き合うと、得意げに言い放った。

 

「ムイミくん……君をボク達ヘスティアファミリアに勧誘したいんだ」

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あの! 聞いてもいいかな?」

「ん? どうしたベル?」

「その……さ。そんなに大きな剣をどうやって振り回してるのかなぁって、気になっちゃって」

「あぁ、これか。よく言われるんだけど、アタシもよく分からないんだよな。昔から力が強かったから」

「そ、そうなんだ」

 

 洞窟の中を二人で歩いている最中、ベルからの問いに自分でもよく分かっていなさそうな口調で答えたムイミは、苦笑いを浮かべているベルの背中を叩いた。

 

「心配しなくてもベルは強くなるって!」

「いっつ! ははは……そうだといいんだけど」

「……なんだ? 何がそんなに心配なんだ?」

 

 ベルは視線を彷徨わせて迷う素振りを見せる。二人分の足音だけが聞こえてくる洞窟内で、ムイミはベルが話し出すのを待っているのか周囲を警戒するだけで何も言わない。

 やがて決心がついたのか、何処か吹っ切れたような表情を見せながらベルは話し出す。

 

「実はね、次に新入団員が入ってきた時は色々と教えてあげられるようになれたらいいなって、思ってたんだ。だけどムイミはボクなんかよりもずっと強くて、ダンジョンに潜っていた時間はボクの方がずっと長いのに助けられてばかりで……さ」

「……」

「な、なんてね! ごめんかっこ悪いとこ見せちゃって。あ、今日は潜りすぎちゃったしそろそろ帰ろっか! もう5階層」

「恥ずかしくなんかないよ」

「……え? ……へ?」

 

 ムイミの答えに驚き立ち止まったベルは、次に洞窟の向こう側から聞こえてきた牛の嘶きのような声が聞こえてきて声を漏らす。

 それから聞こえてくるのは何か巨大な存在が洞窟を踏み鳴らしている足音で、それが此方に近付いてきているのに気付くと、恐怖からジリジリと足は後退し、その姿が見えた瞬間に、恐怖は戦慄となる。

 

「グモオオォオオオォ!!!!」

「み、ミノタウロス!? なんでここに!?」

 

 通常15階層からしか出現しないレベル2相当のモンスターが現れるという異常事態。

 レベル1の自分達が叶うはずのない圧倒的存在を前にして、ベルはガクガクと震える足を無理矢理動かし逃げ出そうとする。

 

「に、逃げなきゃ……って、ムイミ! 止まってたらダメだよ!」

 

 しかし動こうとしないムイミを見て我に返ったベルは腕を掴み引こうとするが、岩を相手にしているかのようにビクともせず、此方に走り寄ってくるミノタウロスの存在もあって混乱が極限状態に達しようとしていた時だった。

 

「悔しいんでしょ、ベルは」

「……くや……しい?」

「うん。それをベルは間違っていることって考えてるけどさ、アタシはそうは思わない。悔しいってことは強くなりたいって考えてるってことだから。本当にレベルの差を感じているんだったら悔しいなんて感情も浮かんでこないよ」

 

 掴まれた腕を振り解き、一歩前に進んだムイミは大剣を後ろに構えて視線だけをミノタウロスにやる。

 本来なら死を覚悟し絶望してもいい状況。実際に先程までそうだったベルだが、何故か今は強い安心感を覚えていた。

 

「……ボクは……強くなれるかな?」

「あぁ、そう信じていればな」

「グモオオォオオオォオオオォオオ!!!!!」

「ったく、いちいち五月蝿い牛だな! なんでこんなとところにいるのかは知らないけど、お前の居場所はここにはないぞ!」

 

 大剣に光が巻き付き始める。

 その粒子はやがて洞窟に広がっていき、荒れ狂う波動が急速に力を強めていく。

 やがて周囲を埋め尽くさんばかりに放たれる力の奔流を、ムイミは大剣に乗せて振り翳した。

 

「現出せよ! 天楼覇断剣ッ! 道を開けな! 魔物共!」

 

 一直線に放たれた光の斬撃がミノタウロスを両断するも止まる気配を見せず、それはダンジョンの地面を破壊しながら最奥まで進み、壁に深い傷跡を付けたところで消えた。

 

「……す、凄い」

 

 真っ二つになったミノタウロス、深い傷を付けられたダンジョンの内壁。そしてそれを行ったムイミが大剣を片手に立つ姿は、冒険者になることを目指した原因、自身の信念である英雄そのものだった。

 

「ベル、お前は英雄になりたいか」

「……ボクは……ボクは英雄になる!」

「そっか……なら、アタシと勝負だな!」

 

 差し伸べられた手を掴み、ベルは立ち上がる。

 英雄の姿をその目に宿しながら、自身が想像する子供の頃から夢見た英雄としての未来像を……それを超えた先を目指して、少年は少女と共に歩いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 




失踪はしてないのでよろしくお願いします

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