原作主人公たちとようやくコンタクトが!
周囲に畑が広がる田舎道で、
刈り上げた髪に丸い大きな目が特徴的な青年隊士で、鬼殺隊の隊服の上に白地に薄桃色の縁取りがされた
「こんにちは。竈門 炭治郎君、我妻 善逸君。自分は
「はい! 階級
「待てよ、炭治郎ォ! 何普通に挨拶してんだよ! 今この人“お目付け役”って言ったぞ!?」
二人の行く先に待ち構えるように現れた結一郎に、警戒心丸出しの善逸。
やばいやばい、鬼殺隊の偉い人を知らないうちに怒らせて、俺たち監視されてるんだ! と、騒ぐ善逸に結一郎は落ち着かせるように言葉をかける。
「ハハハ、安心していいですよ! お目付け役と言っても監視というよりは君たちが死なないように教導の意味合いが強いですから」
「すみません。それはどういうことでしょうか?」
「それはですね――」
結一郎の言葉に疑問を持った炭治郎が疑問を投げかけてくるので、一から説明を始める。
曰く、鬼殺隊はその任務の性質上、損耗率が非常に高い。
特に経験の浅い隊士ほど死亡率は高くなっていく傾向がある。
それを問題視した鬼殺隊の上層部によって、熟練した隊士を未熟な隊士に着けて経験を積ませるという試みが行われることになったのだという。
その第一弾が最近入隊した炭治郎たち新入隊士への結一郎の派遣である。
「つ、つまり、俺が死にそうになったら結一郎さんが守ってくれるってことですか?」
「ええ! 任務に同行している間は善逸君が成長できるよう助けてあげますとも!」
「結一郎さん……俺、あんたに一生付いていくぜ!」
先ほどまでの警戒心はどこへやら。一瞬で掌を返した善逸に動じることなく結一郎は笑って受け止めた。
この程度、いつもの会話事故の処理に比べれば大したことはないのだから。
ただ、同時にわずかな罪悪感を感じてはいる。
というのも――
『うーん、表向きの理由でここまで喜ばれるとは申し訳ない気持ちになりますね』
結一郎の本当の任務は炭治郎とその鬼の妹の
何はともあれこのまま立ち話をしているのもあれなので、続きは移動しながらということになった。
炭治郎の
「あ、炭治郎君。骨折してるんだから無理は駄目ですよ?」
「は、はい!」
まだ話もしていない自分の骨折のことを言い当てられてびっくりする炭治郎。
『なんで分かるんだ? 俺は何も言っていないのに』
「傷を庇って少し体の動きが不自然になっているので分かるんです。足と肋骨かな?」
「なるほど! そんな風にわかるなんてすごいですね!」
自分の身体のわずかな動きから負傷の個所まで読み取られたことに、素直に感心する炭治郎。
その素直な反応が嬉しいからか、結一郎は他にも助言を続けていく。
「骨折した状態で動くと痛みで踏ん張りが効かなくなるので、全集中の呼吸で痛みを緩和しながら戦うわけです。しかし、かといって深く呼吸すればまた痛むでしょう」
「はい、どうすればいいですか?」
「答えは簡単。深く呼吸したら痛むなら浅く速く呼吸すればいいんですよ。ついでに骨折している部分に意識を集中して筋肉で強化すればなお良いですね」
全集中の呼吸を極めればいろいろなことができるようになりますからね。と、笑って告げる結一郎に炭治郎は頼もしさを覚えた。
もともと真面目な努力家である炭治郎は、年上で経験を積んだ剣士である結一郎のアドバイスを素直に聞いていく。
走りながら全集中の呼吸を使って言われた通りにしてみれば確かに痛みが楽になって動けるようになった。
全快とはいかないが、マシになった体調で結一郎の後に続く。
その二人の後ろに続く善逸はふと思う。
『さっき、炭治郎が口にしてないところにも返事してたよな。怖い、覚妖怪かこの人!?』
――
鬼の
その中で、結一郎は善逸と鬼に兄を攫われた少年・
「まずいですね。早く炭治郎君とてる子ちゃんに合流しなければ」
そう、よりにもよって戦力が分断された状態なのである。
炭治郎一人だけなら何とかなるかもしれないが、保護対象と共にいるとなれば話は別。
正一の妹のてる子とこの屋敷をさまよっているだろう炭治郎のことを心配していた。
この屋敷からの脱出は困難を極めている。というのも、血鬼術によって屋敷の構造が次々と変化しており、出口を探すことはおろか現在地の把握すら危ういのだ。
保護対象の正一を安全な外に連れ出そうとしていた善逸が、先ほどまであった玄関がなくなって大騒ぎしていたことは記憶に新しい。
脱出が難しいとなれば、原因となっている鬼を倒して血鬼術を解除するのが一番手っ取り早いのだが、非戦闘員を連れていることがどうしてもネックなる。
一時的に正一たち保護対象を安全な場所に隠して戦いに臨めれば良いのだが、そうそう安全な場所が見つかるという幸運があるとは限らない。
難しい状況に少しばかり頭を悩ませる結一郎。
そんな状況を善逸も理解しているからか、涙目で謝罪の言葉を口にする。
「結一郎さん、すみません。俺が尻で炭治郎たちを押し出したばっかりにバラバラに分かれて行動することになるなんて……もしこれで炭治郎たちが死んでたら俺のせいだよな。もしそうなったら俺は、俺は良心の呵責に耐えられずに死んでしまうぞーーッ! 頼む死なないでくれよ二人ともー!」
「善逸さん! 何てこと言うんですか! てる子が、そんな……不安になるようなことを言わないでくださいよ!」
「ご、ごめんね~、正一君! そんなつもりじゃなかったんだよぉ~」
年下の正一から叱責されて謝るという情けない姿を見せる善逸。
結一郎は善逸の言葉を聞いてホゥと息を吐いた。
呆れてため息を吐いた……のではない。むしろ感心して息が漏れたのだ。
その理由は、言葉では自己保身が先行した情けのないことを言っているが、心の中では本当に分断された二人のことを心配しているのが分かったからだ。
柱合会議の翻訳係はこのくらい読み取れなければやっていけないのである。
「善逸君、鬼との戦いに臨む際は、酷く精神的に追い詰められるものです」
不安を隠し切れない――いや、隠そうともしない善逸を励ますように力強く声をかける。
「そんな鬼との戦いの中で人は否応なく本性が現れるもの……悲しいことに中には戦いの場で利己的な自分をさらけ出してしまう者もいます」
結一郎が鬼殺隊に入ってから見てきたものの中には眉をひそめたくなるような味方の醜態も当然あった。
鬼への恨みで暴走する者、功を焦って突出しすぎる者、鬼の恐怖に負けて無辜の民を見殺しにした者……
鬼殺の剣士と言えど、人間。無理からぬこととはいえ、悲しいことだった。
「そんな中で、怯えながらも他者への思いやりを忘れない君はきっと素晴らしい剣士になりますよ」
「結一郎さん……」
結一郎の気持ちのこもった言葉に善逸は――
「いや、そんな気休めを言われても困るんですよォーー!」
「善逸さん、そこは励ましを受けて頑張るところでは! 情けなくないんですか?」
「ギャアアア! 正一君の厳しい言葉が俺に突き刺さる!」
まったく心揺らがなかったのだった。こいつ、逆にメンタル強くないか?
しかし、翻訳係は動じない!
「なるほど。善逸君に足りないのは自信ということですね! よくわかりました!」
「わかりましたって、何がですか?」
ヒィヒィと悲鳴を上げている善逸に代わって正一が結一郎に質問をした。
返ってきたのは自信に溢れた言葉だった。
「善逸君に自信を付けさせる方法ですよ。まぁ、何とかなります!」
笑顔であっけらかんと答える結一郎に正一は尊敬の念を覚えた。
『すごいなぁ。この人こそ、鬼を倒す剣士なんだな。こんなゴミみたいな人を立ち直させられるんだから』
結一郎から善逸に視線を移して正一は思った。
「なんだよう! どうして俺をそんなゴミを見るような目でみるんだよーーォ!」
「すみません、口に出してましたか」
「今ね! 今、君がそう思ってたって知ったよ!」
善逸と正一の掛け合いを見て結一郎は思う。
なんか、意外と大丈夫そうだな。と。
「さて、おしゃべりはこれくらいにしておきましょう! 早く炭治郎君たちと合流しないと。先ほどすれ違った猪の鬼殺隊士も気になりますしね」
パンパンと手を打って注意を向けた後、二人を促す。
動き出した三人が出会うのは炭治郎だろうか? 鬼だろうか? それとも?
鼓屋敷に善逸の汚い高音の悲鳴が響き渡る。
「出ちゃったじゃない! 出ちゃったよ!! イヤアアアア!」
残念なことに出会ったのは鬼であった。
ぐひぐひと薄気味悪く床下から這い出してきた鬼を見て騒ぎ出す善逸。
「ぐひぐひ、子供だ。舌触りがよさそうだ」
「ギャアアア! た、助けて! 結一郎さんんん!」
「ハァ……仕方ありません、ね!」
助けを求められた結一郎は、ため息を吐きながら鬼の攻撃をはじいて二人を守る。
鬼の伸びる舌が槍のように高速で飛来するのを、容易く見切っていた。
その一瞬の攻防で、鬼のおおよその力に検討を付けた結一郎は、いいことを思いついたとばかりに善逸に声をかけた。
「ふむ……この程度の雑魚鬼なら練習にちょうどよさそうですね! 善逸君、あの鬼を倒してください!」
「ハァ!? 何言ってんの、この人ォ!?」
このまま結一郎が鬼を倒してくれると安心していた善逸は、不意打ちを受けたように素っ頓狂な声を上げる。
正直、鬼と戦うなんていう恐ろしいことはしたくない彼は、必死で言い訳を探すのだが、そうは翻訳係が卸さない。
「ああ、正一君の事は心配しなくていいです。おっと。自分がしっかりと守っていますから」
「ヒィ、逃げ道塞がれた! じゃなくて、俺の心配はしてくれよーッ!」
「大丈夫大丈夫! よっと。善逸君ならできますよ」
「そりゃ、喋ってる片手間に鬼を相手できるようなあんただからでしょォーッ!?」
会話をしながらも危なげなく鬼の攻撃を捌いていく結一郎に、善逸は思いっきり反論をぶちまける。
こんなに強いあんただから言えるんだという言葉はごもっともではあるのだが、それでは善逸の成長にならないと結一郎はその言葉を否定する。
「そんなことないです! では、今からお手本をお見せしますね」
そう言って結一郎は鬼の倒し方を解説を交えながら実演していく。
『簡単! 鬼退治攻略術♪』とでも言いだしそうな気楽な雰囲気で。
「この鬼の舌は複雑な動きは出来ないみたいなので、初撃を見極めて切り落とします。で、即座に近づいて防御されないよう両腕を切り落とす。最後に無防備になった頸を落とせば……ほら、簡単でしょう?」
「料理の手順を説明するように言われても!? っていうか、そのまま頸を落としてくださいよ! お願いですから!!」
「グオオオ、てめえ、俺をなめてんのかァ!」
もう頸を落とすだけ、というところで刃を止めて続きを善逸にやらせようとする結一郎に、善逸と鬼からそれぞれ抗議の声が上がった。
鬼との戦いって命がけのはずなのにもう完全に
そりゃあ、文句の一つも出るというもの。
「ダメですか……あ、そうだ。善逸君、やられる前にやれば怖くなくなりますよ!」
「良いこと言ったみたいに言わないで! 無理無理ムリィイイ!」
がしかし、この結一郎という男。これまで散々柱たちから無茶無理をさせられてきたので、感覚がマヒしている。
この程度は無理などと思わなかった。
ヤバいぞ。感覚が
「仕方ありません、妥協しましょう! 抵抗できないくらいボコボコにしますから頸を切るのだけお願いしますね」
「エエエェ!?」
一応、どこが妥協したのか分からない妥協をしだした結一郎。
手足を切り落とし、適度に痛めつけて鬼を動けなくしながら善逸に頸を切るように迫る。
その光景を見て正一は、以前どこかで聞いた獅子の子育てを思い出した。
母獅子は子に狩りを覚えさせるために、まだ生きている獲物を目の前に持ってきてとどめを刺させるのだという。
今、目の前で繰り広げられているのはまさにそんな風景だった。
「さぁ、早く頸を切るんです! 早く!」
「イヤアアア! 助けてェエエエ!」
「殺せ……いっそ、一思いに殺せよォオオ!?」
その後、何とか頸を切った善逸。彼は鬼を切れるという自信を得た代わりに何かを失ったような気がしたとか。
めでたし、でよいのか? これ。
小ネタ「ネット小説家“響凱”さん」
響凱「段々とお気に入りが増えなくなってきた。勿論、継続して更新はしているのだが、以前ほどのお気に入りの量が増えなくなってくるのだ。そして……」
無惨「響凱。もうお気に入りは増えないのか? その程度か?」
響凱「いいえ……いいえ、まだ……。お、お待ちください、あと少し……」
無惨「もういい。ランキングから除外する。それがお前の限界なのだ」
響凱「
「高評価をもっとつけるのだ。そうしたら小生は、また
炭治郎「君の作品はすごかった! でも、複アカで総合評価の操作をしたことは許さない」
響凱さん、垢BAN!
ゲームの実況は攻略動画系が好きです!
次話の後編でこの作品も10話目ですね。
何か記念企画でもしようかと思うんですが、どうでしょう?
考えているのは
1.キメツ学園の翻訳係 ~生徒会長・和 結一郎の日常~
2.鬼の翻訳係 ~if もし結一郎が鬼だったら~
このどっちかですね。
どっちの結一郎でショー
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キメツ学園の翻訳係
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鬼になった翻訳係