IF:仮面ライダージオウ 『アマゾンズ編』   作:TAC/108

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C Part-3

 

仮面ライダーウォズ・フューチャーリングキカイの力によって、大幅な強化改造を施されたタイムマジーンを以てしても、彼の前に立つ相手はあまりにも強大であった。

縦横無尽に枝を広げ根を張るは、アナザーアマゾンネオが生み出した無数の触腕を束ねたる大樹めいたナニカ。タイムマジーンの全長は7メートル強といったところだが、この『獣の大樹』は高さ約17メートル、直径約5メートルという規模に膨れ上がっていた。

的が大きいと言えば聞こえは良いが、その実苦戦を強いられる相手だ。地中に張った触手を不意打ち気味に突き出したり、触手自体が枝分かれして襲いかかってくる上に、威力も高い。おそらく素のタイムマジーンであれば装甲を一瞬で引き裂かれて爆散していたかもしれない、とウォズに思わせる程である。

ウォズはタイムマジーンに防御態勢を取らせ、同乗させたままであった守衛礼二の方を向いた。

「……これ以上は危険だ。少々強引な手段ではあるが、貴方を安全な場所へと避難させる。構わないかな?」

「すまない、宜しく頼む」

「では、脱出ポッドに乗っていただこう」

タイムマジーン内部で生成した特殊な脱出ポッドに礼二を乗せ、背部から射出する。ウォズは仮装コンソールを操作して破損した装備の復元に取り掛かった。

 

手数の多さではウォズも遅れは取らない。全身から冷気を噴射して足下に散らばるアマゾン達を凍らせ、胴体部分の装甲を展開する。胸部が観音開きめいて左右に開かれ、『キカイ』の文字を刻んだ仮面……ウォズ自身の顔面を模した砲塔が迫り出す。昼の陽光を反射して白く光る氷のアンカーを、胴体部分から地面に向けて多数射出して姿勢を固定すると、砲塔に光が充溢し始める。

獣の大樹の頂に座するアナザーアマゾンネオは、様子を見るように動きを止めた。真正面から受け止めるつもりらしい。

 

()()()()()

 

「この一撃……受け切れると思うな!」

50メートルの距離を隔てて、白い光線が風を切る。頂点付近に直撃を受けた獣の大樹は、着弾地点を中心に凍結し、触腕が樹氷を形作る。

まさに絶対零度(アブソリュート・ゼロ)。暴走する機械すら鎮静(フリーズ)する、機巧の一撃である。

ウォズはタイムマジーン右腕の機構を展開する。炸裂機構を利用して強靭な杭を打ち込む杭打ち機(パイルドライバー)が、凍りついた大樹の頂点……アナザーアマゾンネオが立っている触手の玉座に叩き込まれた。

原理は単純明快、凍結した対象を巨大質量と衝撃を持って粉砕する。

 

タイムマジーン右腕部に衝撃が走る。しかし手応えはまるでない……いや、右腕の動きが止まっている。

つまり、撃鉄の反動ではない。ウォズはモニターを遷移させて巨大な右腕を見遣る。

「ば、バカな……!?」

あまりの衝撃に驚愕の声を上げる。当然であった。杭打ちの右腕を止めていたのは、巨大な一本の腕だったからである。

虚空から伸びる腕に付け根はない。右前腕部を象った触手の集合体が、空中に開いた穴から突き出ている。アナザーアマゾンネオの覚醒に伴う時空の歪みを、攻撃に転用された形となった。

押さえつけられた右腕は全く動かない。超高密度構造体である巨大な触手の腕は、タイムマジーンの右腕をそのまま握り潰さんばかりの膂力を発揮しようとしている。

ウォズの判断は早かった。左腕に搭載した砲台を右肘に向けて撃ち、タイムマジーンの右前腕部を無理矢理切り離す。右肩の砲塔から爆裂する弾丸を撃って牽制しつつ、後方に跳躍して距離を取った。

タイムマジーンの右腕を修復しながら、ウォズは次の一手を練る。

「私一人で引き受けようと思ってはいたが……どうやら救援が要るらしい」

凍りついた大樹の内側から、無数の腕が出現し、一瞬にして氷が割り砕かれる。状況は完全に振り出しに戻った……否、むしろ悪化している。本体であるフューチャーリングシノビの力を利用し、この怪物の弱体化を図ってなお、届かなかったのである。

 

事ここに至って、ウォズは非常に落ち着いていた。

策略の一切を、単純な暴力で踏み躙る強敵を前に、彼は自身の出せる『最大の火力』を投入することを決意した。

戦術・戦略で届かぬというならば、残るは力比べのみである。

 

その思念が届いたか、はたまた同じことを考えていたのか、獣の大樹の真下を駆け回っていたもう一人のウォズが、新たな分身を作り上げた。

 

◆◆◆◆◆◆

 

ゲイツリバイブ剛烈の鉄拳が、ヒヒアマゾンに突き刺さる。殴り倒されたヒヒアマゾンの屍が、干からびて固まった。

溶原性細胞アマゾンの特徴だ。彼らの死体は他のアマゾンとは異なり、溶解することなく固まる。さながらミイラの如く、である。ゲイツは事前に悠から聞かされていた。

……よもやそれを、実際に見ることになるとは、ゲイツはおろか悠自身も思ってはいなかったのだが。

 

ゲイツの背後に迫る影を、ウォズ・フューチャーリングクイズが打ち据える。ジカンデスピア・ツエモードから小さな爆弾を生成して、アマゾンの群れに投げつけると、5体のアマゾンに向けて出題した。

「問題。現実に存在する鳥類のうち、猛禽類であるものを、5つ答えよ!」

理性を喪失したアマゾンが、聞く耳を持つハズはない。しかしウォズが投擲した爆弾は時間経過で徐々に肥大化していく。クイズが成立しているのだ。なぜならば……このクイズは『無回答を不正解として扱う』からである。

時間切れにより、爆弾が稲妻を撒き散らす。雷撃を受けたアマゾン達が爆散した。無回答ゆえの不正解である。

「ふぅ……キリがないな」

「ジリ貧だな。ウォズ、何か手立ては無いのか?」

「一つだけある。少々賭けになるが、向こうで戦っている我が魔王と合流し、アマゾンの大群を一箇所に集めて一網打尽にするという方法だ。アマゾンを引きつける役と、追い立てる役がそれぞれ一人ずつ必要だ」

アマゾンの集団は、アナザーアマゾンネオが座する『獣の大樹』付近のアマゾンと、そこから分断された集団の二種に分かれている。ゲイツ達が戦っているのは後者だ。この二つの集団を、一つの巨大な群れに変えて、何らかの方法で一気に撃破する手段があるという。

「何を企んでいるかは知らんが……まあいい。俺がアマゾンを引きつけよう。ウォズ、言ったからには全力でアマゾンを俺の方に向かわせろ」

「元よりそのつもりで言ったからね。ゲイツ君もしっかりとアマゾンを引きつけてくれたまえ」

ウォズがアマゾン達の間を縫って駆け抜ける。ゲイツがジカンジャックロー・のこモードを構えると同時に、アマゾンオメガが目の前に現れた。

「話は聞いたよ。一人でやろうなんて無茶だ、僕も一緒に——」

「いや、お前は先に行け」

「どうして……」

アマゾンオメガの肩が僅かに震えた。目の前の男がやろうとしていることは、恐るべき蛮勇である。しかしゲイツは一切退かない。

「お前の知識は恐らくジオウにとっても役立つだろう。共に戦えば心強かろうさ」

「……何か別の理由がある、のかな?」

「さてな。……早く行くんだ、手遅れになる前に」

ゲイツの言葉を受けて、アマゾンオメガが走り出す。

見送ったゲイツが、胸部装甲を開いてゲイツリバイブ疾風へと変じた。ウォズの作戦に備えるためだ。何が起こってもいいように、回避性能の高い疾風を選んだ。

『フィニッシュタイム! 不可思議(ふかしぎ)マジック!』

『ビヨンドザタイム! クイズショックブレーク!』

遥か彼方から声が響いた。ウォズの必殺戦術が炸裂する、とゲイツは確信したのだが。

 

アマゾン達が一斉にゲイツの方を向いた。

何やら視界が明るくなった、と感じた時にはもう遅い。

「皆様、ボーナスタイムのお時間にございます。スポットライトに照らされた()にご注目下さい」

何やら勿体つけたナレーションが響いた。ウォズの声だ。

「これより、この付近にいる皆様には彼を追いかけていただきます。制限時間は1分。一度でも触れたならば特別な報酬が、時間内に誰も彼に触れなかった場合は……罰ゲームが待っております。果たして制限時間内に、触れる者は現れるのでしょうか? 早速ですが……スタートです!」

最悪のパターンであった。ウォズの戦術とは単純、アマゾン達に異様なゲームを仕掛けて()()()()()()()()()()()()というものだったのだ。ゲイツの頭上に光球が浮かび、青い装甲を煌々と照らしていた。

「ウォズ、貴様ーーーッ!」

「安心したまえ、私も君を援護するとも! もしも逃げ切ったならば、スペシャルな報酬を約束しよう」

「そういう問題ではない!」

言い終えるより早く、獣達が大挙して襲い来る。ゲイツは後方にジオウの姿を捉え、一直線に進み始めた。

 

◆◆◆◆◆◆

 

ジオウⅡの二刀が、最後に残った一体のアマゾンに突き刺さる。サイキョーギレードが備える仮面型パーツをジカンギレード側に装填し、サイキョーギレードと合体させて巨大な剣を完成させた。

『サイキョーフィニッシュタイム!』

時冠王剣最終形態・サイキョージカンギレードから烈しい光が放たれ、ヘビアマゾンを両断した。

「これで全部……かな?」

ジオウⅡの周囲は完全な凍土と化した。夏に見る光景とは思えぬほどに、空気に至るまで冷え切っている。

ソウゴがウォズに貸し出したタイムマジーンにより、冷気が周囲に振り撒かれた結果、この一帯のアマゾン達は殆どが凍結した。別の時空から召喚されたアマゾンも、アナザーアマゾンネオが作るアマゾンも、一切の区別なく氷の棺に閉じ込められている……二つの例外を除いては。

アナザーアマゾンネオと、彼が形成した『獣の大樹』だった。

 

ジオウⅡは凍土を歩いていく。獣の大樹はタイムマジーンが相手でも苦戦する巨大なる敵、ならばこそ彼のすべきことは、タイムマジーンを操縦するウォズを助けることだ。

ジオウが大樹の根元に辿り着くと、ウォズ・フューチャーリングシノビが音も無く傍らに出現する。

「このウォズは本体?」

「元々は私が本体だよ、我が魔王」

「だよね。……で、アレはどうする?」

アレ、とは眼前の大樹である。大部分が凍結しながらも、血管めいて蠢く様は不気味極まる。

「いよいよ本格的に、かの冒涜的な巨樹を切り崩すための場が整った。そこで、一つ協力願いたい」

「いいよ、何をすればいい?」

ウォズが新たなミライドウォッチを起動させた。他のウォッチに比べると大きく、何やらダイヤル機構のようなものを仕込んでいる。

『タイヨウ!』

『アクション! 投影! ファイナリータイム!』

ウォズがミライドウォッチを装填し、新たな姿へと変じた。ウォズを中心に膨大な熱波が広がり、凍結した地面が一瞬でアスファルトの肌を晒す。

 

灼熱(しゃくねつ)バーニング! 激熱(げきあつ)ファイティング! ヘイヨー! タイヨウ! ギンガタイヨウ!』

 

ウォズの胸部に赤く輝く恒星が取り込まれる。高熱を放ちながら、上半身に宇宙的意匠を持つ大型の鎧が被さった。胸部から両肩、そして下半身にかけて十字型に覆うソレは、胸の()()を中心に様々な惑星を象る太陽系めいた追加装甲である。

頭部には燃える炎のように赤く揺らめいた『タイヨウ』の四文字と、燃え盛る太陽の紋章が刻まれた。

 

かつて、仮面ライダーギンガというライダーがいた。宇宙の法の執行者、全てのものを破滅させる純粋な力の化身。時空の彼方から飛来した恐るべき異物の力は、ウォズが手にすることとなった。

この姿こそは仮面ライダーウォズ・ギンガタイヨウフォーム。

ギンガが残した力の一つ。大いなる炎熱にて威容を示す、太陽の力を操る形態である。

 

「宇宙最強・ギンガタイヨウ、そして強化したタイムマジーン……私達の力で一気にケリをつけよう。トドメは任せるよ、我が魔王」

「オッケー! なんかいける気がする!」

ジオウⅡが再びサイキョージカンギレードを構える。瞬く間に巨大な光刃を形成すると共に、威圧的な『ジオウサイキョウ』の八文字が刃の側面に煌く。

ジオウⅡの背後で大きな駆動音が響いた。ソウゴが貸し出したタイムマジーンが、全ての武装を修復して最後の攻撃準備に入ったのだ。

ウォズが大樹の背後に回り込み、タイムマジーンと直線上に並ぶと、もう一人のウォズ……フューチャーリングシノビが高速で印を組みながら跳び回り、『獣の大樹』に赤い札を貼り付けていく。

『ビヨンドザタイム!』

『ファイナリービヨンドザタイム!』

怒涛の勢いで押し寄せるは、全力の波状攻撃に他ならない。

タイムマジーン・フューチャーリングキカイが全身の砲塔をアナザーアマゾンネオに向け、一斉に内部の兵装を撃ち放つ。同時にウォズ・ギンガタイヨウフォームが巨大な魔法陣型の円を展開し、全てを焼き尽くすが如き熱線を照射する。

『フルメタルブレーク!』

『バーニングサンエクスプロージョン!』

絶対凍結の冷気と、絶対焼却の熱線。極限冷熱の衝突が、10メートルを超える大樹を徐々に崩壊させていく。

「今だ! 忍法・火遁の術!」

『ビヨンドザタイム! 忍法・時間(じかん)(しば)りの術!』

『フィニッシュタイム! 一撃(いちげき)カマーン!』

ウォズ・フューチャーリングシノビが、ジカンデスピア・カマモードに炎を纏わせ、貼り付けた札に刃を突き刺した。貼り付けられた無数の札が反応し、連鎖的に爆発を起こした。

触腕を無数に束ねた冒涜的大樹が、黒ずんだ塵となって崩れていく。

「今だ!」

『キング! ギリギリスラッシュ!』

最後の一撃は、ジオウⅡが手にした光の剣によって行われる。大上段に構え、真っ直ぐ縦に振り下ろす。『ジオウサイキョウ』の文字が横倒しになると同時に、大いなる王の一閃は過たず『獣の大樹』を切り裂いた。

 

◆◆◆◆◆◆

 

午前1時。静寂が訪れる。

氷の蒸発が起こした煙が、一帯に立ち込めていた。役目を終えたタイムマジーンは、元の姿に戻り時空の彼方へと去っていく。ウォズが生み出した分身は光の粒子となって消滅した。

「やった……かな?」

「さて」

ジオウⅡとウォズ・ギンガタイヨウフォーム、二騎が周囲を見回している。蒸気の中に影を見出し、二人が身構えた。

煙が晴れ、中天の太陽が青黒い全身を照らす。アナザーアマゾンネオが、十字路の中心に立っていた。

「まだか……でも」

「我が魔王、どうやら我々の作戦も無駄ではなかったらしい」

ウォズが自らの背後を指差す。ゲイツが無数のアマゾンを引き連れてこちらに向かってくるが、何体かのアマゾンは輪郭が朧げになり、世界から消え去ろうとしていた。

「時空の歪みが、別の世界から本来のアマゾン達を呼び寄せていたらしい。それが、アナザーアマゾンネオが弱体化したことで元いた世界に戻っていく。後に残ったのは……」

「アナザーアマゾンネオが生み出したアマゾンだけだ!」

跳躍する影が風を切る。アマゾンオメガがジオウⅡの隣に着地した。

「ソウゴ君、アイツは!」

「まだ健在って感じかな。でもだいぶ力は削れた気がする」

遅れて到着したのは、ゲイツリバイブ疾風。1分間の逃避行を終えて、かなり疲弊しているようだ。

「ゲイツ! ……何してたの?」

「ウォズが仕掛けたボーナスタイムとやらに巻き込まれた。お陰で俺は1分間、あのアマゾン達から逃げ回る羽目に……なんだコレは、力が満ちていくぞ」

ゲイツの全身が黄金に点滅する。ウォズがゲイツに約束した『スペシャルな報酬』が発動したのだ。

「削られた体力が回復していくのか……これなら、まだいけるぞ」

「そっか。じゃあ……行くよ、皆!」

『ジオウ!』

ジオウⅡが両側のライドウォッチを取り外し、代わりに本来のジオウライドウォッチとカラフルな別のライドウォッチを起動する。三つの色で『ライダー』の文字が記された仮面は、それまでの3人のどれにも当てはまらない形をしていた。

 

『ジオウトリニティ!』

 

「えっ」

「何!?」

『ジオウ! ゲイツ! ウォズ!』

ジクウドライバーに装填されたライドウォッチ……ジオウトリニティライドウォッチ側面部のダイヤルを回すと、空から二つの光が降り注ぐ。しし座で最も明るい恒星・レグルスが二人を照らしている。

「やめ、待てジオウ、なぁぜぇぇ……」

「わ、我が魔王、これはッ!?」

電気に打たれたように全身を震わせながら、ゲイツとウォズがジオウの背後に回った。ジオウがジクウドライバーを回転させると、背後の二人が飛び上がった。

 

『ライダータイム! 仮面ライダー! ジオウ!』

三人がそれぞれの基本形態に戻ると同時に、全身が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。仮面から上下に帯状のパーツが伸び、ジオウの右肩にゲイツ、左肩にウォズの仮面が装甲となって接続される。更にジオウの顔面までもが()()()()()()()()()()()()()()

 

『トリニティタイム! 三つの力! 仮面ライダージオウ! ゲイツ! ウォズ! トーリーニーティー! トリニティ!!!』

 

ジオウの頭部に新たに浮かび上がったのは、ジオウトリニティライドウォッチと同じく黄色・マゼンタ・水色の三色で彩られた『ライダー』の文字。『イ』の文字が時計の長針を形作り、並ぶように黄色の短針が光る。

両肩の腕時計型装甲は、時計のベルト部分を新たな仮面の両側に一体化させた。全身各部は黒と黄金に塗り替えられ、荘厳さと威風を漂わせる。

 

この姿は、本来の歴史に存在しない『新たな未来』を拓く力。

魔王も知らぬ可能性、それこそは未だ記録されざる新たな王の誕生に他ならない。

この時代に存在しない三つの力が一つとなり、新時代の幕を開ける。

三位一体(トリニティ)ここにあり。祝福せよ、新たなる王の誕生を。

 

「ひれ伏せ! 我こそは仮面ライダージオウトリニティ! 大魔王たるジオウと、その家臣ゲイツ、ウォズ。三位一体となって未来を創出する、時の王者である!」

 

仮面ライダージオウトリニティが、ウォズの声で大仰な口上を述べた。

凱旋するは時の王者、祝福するはその家臣。

時代を画する審判の日を超えて、まだ見ぬ未来を作り上げるのは、王者が結んだ絆だった。

 

ジオウトリニティとアマゾンオメガが、背中合わせに敵を見据える。

一方には大量のアマゾン。もう一方にはアナザーアマゾンネオ。

悠が微かに笑みをこぼす。その笑みは誰に知られることもなく、一瞬の後には全身を引き締めて相手に向かい合った。

「終わりにしよう。憎しみも、歪んだ力も……ここで断つ!」

「ここで決着をつける……行くぞ、皆!」

 

獣達が吠える。飢える苦しみか、あるいは獲物を見つけた喜びか。

どちらにせよ、これで終わらせなければならない。憎悪によって生み出され、在り方を歪められた人間達、憎悪の根源たる獣の王。その全てを救うために。

 

最後の審判を下すべく、全ての戦士が駆け出した。

 

C Part-4へつづく。


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