事件を解決する探偵の世界には、事件を引き起こす死神が必要なのだ。

少年はその死神に選ばれた。



※これは事件を引き起こすのが死神(主人公)ではなく、本当に故意に引き起こしている死神(オリ主)がいたら、というお話です。

1 / 1
パッと思いついて書きたくなった。


名探偵コナン 〜死神少年キネマ〜

名探偵は持ち前の推理力を活かして難事件を解く存在だ。

警察にも解けない謎を解き明かし、世の中に貢献する正義の存在。

 

しかし悲しいかな。

犯罪が無ければ名探偵は生まれない。

 

善であるはずの探偵は悪である犯人がいなければ成立しない。

犯罪を否定する探偵が犯罪によって肯定されているこの矛盾。

 

事件を解決する名探偵の世界には事件を起こす死神が必要なのだ。

 

それがここ、名探偵コナンの世界での俺の役割。

 

 

俺はその死神に選ばれた。

 

 

 

 

気がつけば俺は死んでいた。

 

いつ、どうして、どうやって死んだのかは何も覚えていない。

それどころか生前の事など殆ど覚えていない。

 

名前も、家族も、人生全て。

 

ただ覚えているのは自分が死んだ事。

そしてどういう訳か名探偵コナンという創作物の事だけだった。

 

そんな死したはずの俺の前に現れたのは神だった。

 

神は俺にこう告げた。

 

 ――――お前には死神になってもらう。

 

 ――――死神として、名探偵コナンの世界に悪を起こせ。

 

その言葉を最後に視界が暗転していき……

 

目が覚めたら……、

 

 

 

体が縮んでしまっていた。

 

 

 

____________________

 

 

 

 

「キネマ君、もう朝のホームルームです。読んでる新聞をしまいなさい」

「さーせん」

 

キネマ。それが俺の名前。

現在、二度目の小学一年生を過ごしている。

 

まぁ、いくら見た目が子供の成りをしていても精神は見た目以上に育っている。

まさに見た目は子供、中身は大人なのだ。

 

そんな自分を隠しもぜず、あるがままで過ごす俺を周りの人間はとても変わった子供だと認知している。

 

それ故にクラスでは俺が少し変わった行動をしても、今更何を言われる事は無くなった。

小学生一年が朝のホームルーム前に新聞を読んでいても、キネマだからと済まされる。

 

例えば算数や国語の時間。

皆が教科書を開いている中、俺だけが学術論文を読んでいても……。

 

 

――――キネマだから。

 

 

 

例えば図工の時間。

皆が粘土で動物を作っている中、俺だけが大理石で彫刻を掘っていても……。

 

 

――――キネマだから。

 

 

 

例えば音楽の時間。

皆がリコーダを吹いている中、俺だけがヴィオラを奏でていても……。

 

 

――――キネマだから。

 

 

この様に俺がちょっと子供らしからぬ行動を取っても、周りは大して気にしない。

今更小学校の授業なんて退屈なだけの俺にとって、こうして伸び伸びと好きな事を出来る環境は有難い。

 

 

ちなみに俺が先程読んでいたのは今日の新聞の一面記事。

先日、俺が引き起こした殺人事件についての記事だ。

 

引き起こしたと言うと少し語弊があるが。

 

 

 

この世界に来て俺はいくつか"超能力"を神から与えられていた。

 

一つは人の"悪意を増幅させる能力"。

 

この能力を使って、今ひとつ犯罪に踏み切れない人間の背中を押してやるのが俺の役目だ。

正直、何故俺がそんな事をしなければならないのか甚だ疑問だったが、神からは一生かけても使い切れないほどの金を貰っているし、暇つぶしとしてこれくらいの事はしてやろうと考えた。

 

それに他人が苦しむ姿を見るのは、そこそこ愉快でもある。

 

 

そしてもう一つの能力は"瞬間移動"だ。

 

といっても、いつでも何処へでも移動できるという便利なものじゃない。

移動できるのは特定の人物がいる場所限定。

 

そう、この能力は悪意を募らせている人物のもとへ移動するのだ。

 

これを使って犯罪を犯しそうな人間の下まで移動し、相手の悪意を増幅させる。

役目を終えれば自動的に元いた場所に瞬間移動し、数日後には一つの事件が新聞に取り上げられる事になる。

 

それを確認するのが俺の日課だった。

 

しかし、そんな同じ事を繰り返すだけの毎日に少し飽きを感じていると、そんな退屈を吹き飛ばす一陣の風がドアの向こうから舞い込んだ。

 

 

「今日は転校生を紹介します。江戸川コナン君です。皆さん仲良くするように」

 

先生に紹介される眼鏡と蝶ネクタイを身につけた子供。

 

――――とうとう来たか主人公。

 

名前も作品のタイトルなっているこの少年が、江戸川コナンこと工藤新一。

この世界の主人公だ。

 

俺は、言ってみればコイツの為に働いている様なものだ。

俺が犯罪を起こす度に、コイツが探偵として名を馳せていく。

 

そう思うと他人とは思えないな。

妙な絆を感じる。

 

そうして俺が主人公との初対面に感慨深っていると、クラスが騒ぎ始める。

どうやら俺と江戸川君を交互に見て驚いている様だ。

 

まあ、クラスの連中が驚くのも無理はない。

他ならぬ江戸川君まで驚愕でその目を丸くしているのだから。

 

 

理由は俺の容姿にある。

 

 

 

そう……。

 

何の悪ふざけか、俺の容姿はこの世界の主人公である江戸川コナンと瓜二つなのだ。

 

 

 

さすがに黒縁眼鏡や蝶ネクタイみたいなダサい物俺は身につけていないが、目元に物凄いクマがある事を除けば、ほぼドッペルゲンガーと言って良い。

 

しかし、正義の主人公にそっくりな悪の主人公とは。

神様も良い趣味をしている。

 

「江戸川君はあの子、キネマ君の前の席が空いてるからそこに座りなさい」

 

先生に言われ、戸惑いながらも目の前の席へと移動してくる江戸川君。

 

初のご対面だ。

挨拶ぐらいしといてやるか。

 

 

 

「どーも江戸川君。これからシクヨロ」

 

「え? あ、うん」

 

 

 

君とは長い付き合いになりそうだからね。

 

 

 

 

 

 

 




この先何も考えてない。

因みに主人公の名前のキネマは、魔人探偵脳噛ネウロのOPから取りました。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。