魔法科高校の第三魔法使い   作:揖蒜 亜衣

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第10話:しかして彼は裏切らない

「それでは、公開討論会は明後日開催するということでいいかしら?」

「私は構いません。幾年君はどう思う?」

「俺も賛成です。今日のインパクトが風化しないうちにロビー活動を打っておきたいですから。」

 会議室にて、俺は真由美ねえたちと意見のすり合わせをしていた。しかしその席は机を挟んで向かい合うような配置。すなわち真由美ねえに対立する側として出席している。

 壬生先輩は俺のことを信用に足ると判断したのか、それとも人が足りないのか俺をあっさりと同志として扱った。そのほうが都合がいいので俺は特に波風を立てず会議に参加していた。

「では、今日はこれで解散とする。各自、明後日と公開討論まで準備をするように。」

 十文字先輩の一言で会議は終了となり壬生先輩の後に続いて席を立つと、真由美ねえが俺を呼び止めた。

「何時日くん!...本当に、同盟に参加するの?」

「ああ。だからしばらくはそっちにもいかないようにするからそのつもりで頼む。」

「.........。」

「じゃあ、俺はこれから用事があるから。」

 俺に手を伸ばした真由美ねえに背を向け、俺は会議室を退出した。

 

「...よかったの?会長とは知り合いだったみたいだけれど。」

「構いませんよ。心配してくれてありがとうございます。」

 壬生先輩が気づかわし気にこちらを見やった。その目はやはりどこか虚ろだった。

(精神干渉系、かな。USNA(あっち)でみたことあるのと雰囲気がおなじだ。)

「そうだ、幾年君に紹介したい人がいるんだけど...。放課後空いてるかな?」

「大丈夫ですよ。ちなみに、どういう人なのか教えてもらえますか?」

「ええ。司主将のお兄さんよ。大きなグループのリーダーで今回もいろいろと助言してくれたりしてるわ。」

「すごい人なんですね。ぜひお会いさせてください。」

 あきれるほど単純な洗脳に嗤いをこらえるのが大変だった。こんな簡単に騙されても気づかないものなのか。気づかないんだろうなあ...

 

 

「何時日。同盟に参加したって聞いたけど、本当?」

 放課後。校門前で壬生先輩を待っていると後ろから雫に声をかけられた。

「ああ。なかなか面白そうだろ?差罰撤廃を目指す、有志同盟だぜ?しかも裏に組織が後援で付いてるときた。こんな愉快なイベントが入学そうそうあるなんてラッキーだよ。」

 雫は少し眉を顰めた。

「何時日はどうしたいの?」

「うーん。とりあえず雫たちには被害が出ないようにするよ。俺はあくまでスパイを兼ねた立ち回りの予定だから。十中八九テロリスト集団が出てくるだろうからあとで伝える情報を真由美ねえと司波に流してくれ。あとは討論会当日に図書館に近づかないようにそれとなく噂を流してもらえるか。企業連合の情報網も使えると助かる。今回はあくまでとっかかりにすぎないから。」

 雫はため息を一つ吐くとやれやれと言わんばかりに首を振った。

「うん。わかった。できるだけやってみる。」

「頼んだ。終わったら前言った店でなんか御馳走する。」

「...うん。楽しみにしてる。」

 

 ちょうどその時、遠くから壬生先輩が走ってくるのが見えた。俺は雫に目配せをすると、雫はうなずいて部活をしに走り去った。

「ごめんなさい。少し打ち合わせが長引いちゃって...」

「構いませんよ。むしろ壬生先輩が出てきてよかったんですか?リーダーなのでは?」

「討論はほかの人たちが出る予定。私は裏方ね。」

「そうなんですか。もっと前面に出て動く人だと思ってました。」

「私はそこまで弁の立つ方じゃないから。適材適所ね。」

「では、ご期待に沿えるよう頑張ります。」

「そうね。私たちも全力で手伝うから。それじゃあ、行きましょう。」

 

 

 全廃に案内されたビルに入りしばらく待たされると、話をつけてきた壬生先輩が戻ってきた。どうやら直接面会できるとのことだった。

「それじゃあ、私は外で待ってるから。」

「先輩は一緒に来ないんですか?」

「私はほかにやることがあるから...。終わったら声をかけてくれたら家の近くまで送っていくわ。」

「そこまでしてもらうわけには...。正直雫が怖いです」

「もしかして北山さんと、その、同棲しているって噂本当だったの...?」

「同棲というか自宅でボヤ騒ぎがあったので頼れる親戚はUSNAにしかいないので雫のお父さんのご厚意に甘えているだけです。復旧したら出ていきますよ。」

「そ、そうなの。私は特に気にしていないわよ?同学年に婚約してるカップルもいるわけだし...。けど、さすがに正式なお付き合いもなしにそういった関係って珍しかったから。」

 どうやらなかなかにうぶな性格らしい。これは少しからかってみようか。

「そうなんですか...。中学生のころ七草会長の家に何度も泊まりに行ったことがあるので普通だと思っていました。これからは気を付けます。」

「え?え!?さ、七草会長の家に、泊まり?それも何度も!?」

目に見えて慌てふためく先輩を見て少し満足した俺は案内された部屋の扉に手をかけた。

「それではまた後で。壬生先輩。」

「う、うん。あとでね。」

 

 

「ようこそ。幾年何時日君。私は君を歓迎するよ。」

「それはどうも。」

 室内にいたのは眼鏡をかけた20代の男だった。これがブランシェ日本支部のリーダー、か。

「私は司一。君たちの協力者だ。そして...君たちを有効利用する選ばれた存在だ!」

 

 かれが眼鏡をはずすと、その両目が怪しく光った。

 そして俺の意識は薄れていって________

 

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