我が社は、あなたを心よりお待ちしておりました
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世界の上に世界は存在する。
一つの世界を起点とするならば、世界とは上下左右に広がっており、その数はまさに無限といってもいいだろう。
多元宇宙、量子世界、次元世界、並行世界、などもそれに含まれる。
さて、この話が語る場所は、いわばその世界群のさらに上にある。
それ以上の上は存在しないし、右も左にも世界は存在しない、簡単に言ってしまえば天井世界と呼ばれる世界だ。
そこでは二足歩行をした生き物、人間が存在している。
その世界で、選ばれ単元たちは一つの大きな場所に集められ、ある役職を与えられ日々を過ごしている。
すなわちそこは会社である。
名前はない、だが、行っている業務で名前を決めるというのならばこうなるだろう。
――アースマネジメントコーポレーションと。
「おはようございます、管理人。 今回のタスクをご覧になられますか?」
朝起きれば、銀色の髪をした人型の女が自分を起こしにやってくる。
顔は無表情ではあるが美人ではあるし、毎朝起こしてくれることにも感謝はしてはいるが、この女は生き物ではない。
100を超える研究者が無数のアルゴリズム、金、人材を使い潰して生み出された高性能AI……がどこかの誰かの姿をモチーフにして作られた体を着て(着るという表現はおかしいかも知れないが)自分の仕事やそのほか日常に至るまでを手伝ってくれる……いやこの場合は管理されているといったほうがいいだろうか。
管理される。
それは生命活動を維持するという行いにとってはまさに的確だろう、だが生きるという行いについてはどうだろうか。
管理されて生きる、それは果たして生きているといっていいのだろうか、少なくとも自分はまだそこまでいきものであることを諦めているわけではない。
だが、この会社に入社してしまったこと、それがすべてを決めてしまった。
地球と呼ばれる星を管理し、そこからエネルギーを生み出し会社に大きくしていく。 なんて大それたことを行うこの会社に入社してしまったその瞬間から。
「どうかされましたか、管理人 お体の方は問題ないとだと思われますが」
「……いや、問題ない今すぐ向かう」
「かしこまりました。 では、管理室でお待ちしております」
そう言うとAIは部屋から出ていった。
ここで、何もしないという選択肢は選べない」、そんなことをしてしまえば”管理人”と呼ばれる役割を与えられた自分でもどうなってしまうかわからない、それこそ彼らのように処理されてしまうかもしれない。
「……早く向かおう」
身支度を済ませる。
あのAIが朝のすべてを用意しているおかげで、その工程はすぐに終わる。
何とも寂しい思う、全てAiがやってくれる。
だけどそれは、円滑に回るために黙々と油を差されているのと同じじゃないのかと思ってしまう、それが自分には寂しく思えた。
管制室に入れば、そこにはAIが立っている。
ほかには巨大なディスプレイがその部屋に置かれていて、画面にせわしなく動いている人の姿と世界が映っている。
自分がディスプレイの前に座ればAI今日のノルマを告げてくる。
「本日のノルマは■■です、さらに新たな星を管理していただきます」
「わかった」
今日のノルマの量は別に問題はない、だが、問題なのは新たな世界のことだ。
もうすでに様々な地球を管理している。
地球に住む人間をすべてを食い尽くし全てをリセットしようとしている地球。
地球外の星から外的存在が飛来する地球。
特殊な粒子を用いて闘争を繰り返す滅びかけの地球。
座と呼ばれる者が生まれ混沌としている地球
という危険な世界。
カエル型宇宙人がやってきている地球。
ネットワークナビゲーションプログラムと呼ばれる存在が全人類に広まっている地球。
召喚獣と呼ばれるものを使用する学校がある地球。
というまだ優しい世界もある。
自分の仕事はそんな世界に人を送り込み、その人を介してその世界からエネルギーを抽出するという作業だ。
もちろん送り込まれた人物たちは、戻っては来れないし悲惨な世界であれば悲惨な目に合う。
自分はただ訓練を施し、選別し、送り込むという作業を行っている。
死刑執行人をやっている気分だ……。
「本日追加される新たな地球は……」
そういって画面に映し出されるのは二つの会社だった。
名前は、LobotomyCorporationとSCP財団。
この二つが同時に存在する地球だった。
「ありえない」
それを見たとき、自分はそう呟いていた。
なぜそうつぶやいたのか、自分でもわからないし、条件反射的に発してしまったような気もする。
だが、それ以上にこれが混ざり合っていてはいけない物だと直感的に感じてしまう。
なぜだ、自分はこんなものは何も知らないはずだ。
LobotomyとSCP、この二つだけがヤメロと頭に警鐘を鳴らしてくる。
そうだ、一日目に戻ってこの地球を管理することになった事実を無かったことにしてしまえばいい!。
そうすれば自分がこの二つにかかわるということ自体がなくなるはずだ。
そうだ、時間よもどれ、絶対にあれを自分にかかわらせるな!
「本日、追加される新たな地球は」
「本日、追加される新たな地球は」
「本日、追加される新たな地球は」
「本日、追加される新たな地球は」
「本日、追加される新たな地球は」
「本日、追加される新たな地球は」
「本日、追加される新たな地球は」
なぜだ!? なぜ何度も繰り返してもこれが出てくる!?。
しまいには一番最初に管理することになる地球になる始末。
いったいどうしろというのだ!? 自分にこの世界を管理しろというのか!?。
無理だ、不可能だ、できっこない。
この二つは混ぜてはいけない物だ。
この二つは合わせてはいけない物だ。
この二つは同時に存在してはいけない物だ。
だから、こう叫んでしまってもしょうがないはずだ。
「こんな仕事自分にはできない!」
それを叫んだ瞬間、意識が消える。
それはなぜか、そばにいたAIが自分を気絶させたからだった。
手には何やらスタンガンのような物がある、それで私を襲ったのだろう。
意識が消える、自己が消える、ああ、俺はどうなってしまうんだ?。
ここはどこだったか、ああそうだ。
前を見れば何やら美人の女性が挨拶をしてくる。
「初めまして管理人。 私の名は■■■■■。 あなたをサポートするAIです」
この女性は自身をAIと呼んだ。
彼女の話によれば、自分のことを私生活までサポートしてくれるとのことだ。
AIととはいえ、こんな美人に普段の生活までサポートしてもらえるだなんてうれしく思う。
この会社に入社してよかったと心から思えそうだ。
――ああ、今日の仕事が楽しみだ!
■■■回目開始。