「理恵せんぱい!目が覚めたんですね!良かったです!」
「そりゃ~病室の入り口であんなに騒いでいたら誰でも目が覚めちゃうでしょ~。いろはちゃん、体調は大丈夫?」
理恵せんぱいはまるで事故など無かったかのように、私の心配をしてきた。理恵せんぱいもせんぱいみたいにやっぱり優しい。
「うっ、お騒がせしてすみません、、体調は理恵せんぱいに貰った風邪薬のおかげでもうすっかり良くなりました!私一色いろは、完全復活です!!」
「あはっ、それなら私もお見舞いに行った甲斐があったてものだよ!良かった良かった!」
「はい!本当にありがとうございました!」
「ところで、さっき会話聞こえたけど、小町ちゃんから連絡来たんでしょ?いろはちゃんにも心配かけちゃったね、、ごめんね?」
「そんな!謝らないでくださいよ!理恵せんぱいには普段からたくさんお世話になっていますし、心配するのは当たり前の事ですよ!」
私がそう伝えると理恵せんぱいは「いろはちゃんは優しいな~」っとニコニコしながら本当に嬉しそうに呟いていた。
「それにしても、、私もタイミング悪かったな~、、八幡君にあの事伝えようとしたらこれだもん、流石の私も、私の運の悪さにびっくりだよ~。」
「でも目立ったケガとかはしていないから不幸中の幸いってやつですよね!本当に体は大丈夫なんですか?」
「うんっ!この通りピンピンしてるよ!」
そう言いながら、理恵せんぱいは両腕を力こぶを出す感じに動かしていた。
「それなら良かったです!、、この流れで聞くのはおかしいですけど、せんぱいには結局あの事伝えるんですか?」
まるで病気のことも問題無い様な言い方をする理恵せんぱいに、私はつい訪ねてしまった。
理恵せんぱいは一瞬考えるように目を伏せ、すぐに顔を上げた。
「うん、ちゃんと伝えるよ。」
さっきまでニコニコしていた理恵せんぱいはまるでスイッチが切り替わった様な真剣な顔でそう言う。
「って言っても今はまだ伝えられないかな~、八幡君には今だけでもかなり心配掛けちゃったし、、せめて退院してから伝えようって思ってるんだ。」
すぐにいつもの感じに戻る理恵せんぱい、こういう所はなんだか陽乃さんに似ている気がする。
「まぁ、、そうですよね、今理恵せんぱいの寿命の話をしたら、流石のせんぱいもキャパオーバーっていうか耐えられないですよね、、」
ドサッ
「えっ?」
何かが落ちる音が私の後ろから聞こえた。
なにかすごく嫌な予感がする。。そんな感覚と同時に、自分の声が頭の中に響いてくる。
『ダメ』
まさか。そんなタイミング、現実にあるわけが無いじゃん。
『振り向いちゃダメ。』
そう、、多分、棚かどこからか何かが落ちたんだ。
『今振り向いたら私は、』
だから、落ち着いて。
『私は、絶対に後悔する。』
きっとそうだ、確認してみよう。
『だから』
私は、気のせいでありますようにと、とても淡い、まるで一本の蜘蛛の糸のようにか細い希望を頭で願いながら後ろを振り向くことを決めた。
『振り向いちゃダメ!!』
「どうゆう事だよ。。今の話。。」
「せ、せんぱい。。」
私が振り向いた先には、恐らく小町ちゃんが持ってきたであろう荷物を下に落とした、初めて見る表情をしている、せんぱいと小町ちゃんが立っていた。
ーーーーーーー
「理恵、一色、今の話、、どうゆう事だ?余命って、なんの話なんだ?」
せんぱいは怒っているのか、、はたまた悲しんでいるのか、いや、多分両方だ、両方の感情が入り混じっているのだろう。とにかくこんなに焦っているせんぱいを、こんな表情のせんぱいを、私は初めて見た。
「せんぱいっ!いやっ!あのっ、、今のはですね!」
早く何か言わなきゃ!何かっ
「まって!いろはちゃんっ!」
自分でも何を言いかけたかわからない私を、理恵せんぱいは止めた。
「自分で言うから、ね?」
「理恵、せんぱい、、」
私は、もうどうしたらいいかわからなくなっている。にも関わらず、理恵せんぱいはいつものように、いや、いつもよりも落ち着いて、せんぱいの目を真っ直ぐに見据えていた。
「八幡君、私ね、重い病気なんだ。それで余命宣告されているの。あと、、1年の命だって。」
理恵せんぱいは言った、言ってしまった。もう戻れない。私のせいで、それも最悪のタイミングで。。私は、せんぱいの顔を怖くて見れなかった。
「そんな、余命1年だなんて、、理恵さん!嘘ですよね!?嘘だと言ってくださいっ!!」
長い沈黙を最初に破ったのは、せんぱいの隣にいる小町ちゃんだった。
「嘘じゃないよ。ちゃんと診断書もあるし。私は。。死んじゃうんだよ。」
「ツっ!」
「せんぱいっ!」「お兄ちゃんっ!」
せんぱいは病室から走って出て行ってしまった。小町ちゃんはすぐに追いかけに行った。私もすぐに追いかけようとしたが足が動かない。
まるで足が地面から縫い付けられたように、一歩もその場から動けなかった。
私は、、取り返しのつかないことを、、してしまった。
「ごめん、、なさい、、ごめんなさい、、理恵せんぱいっ、、せんぱいっ、、私の、、せいでっ、、」
私はその場に座り込んで、大粒の涙を流しながら泣いてしまった。
「いろはちゃん、、泣かないで。ねっ?」
いつのまにベットから立ち上がったのか、理恵せんぱいはそう言いながら私のもとに来て、後ろから優しく抱きしめてくれた。
理恵せんぱいはこんな時でも私を慰めくれる。
理恵せんぱいは強い。そんな理恵せんぱいに、私は武運不相応にも憧れてしまう。本当に辛いのは理恵せんぱいとせんぱいなのに、、私には泣く資格もないのに、、私はとても愚かで、とても弱い。
私はこんな愚かで弱い私が。。嫌いだ。。
今回は早かったですが、ストックがないので更新スピードは約1週間~2週間ほどになると思います。