勇者よ、人間性を獲得せよ   作:じーくじおん

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ブラボトロコンしてました。感想欄に狩人様(新大陸含む)が多数出現したのが悪い(責任転嫁)。


EP22 彼らの関係

「あらあら、まあまあ・・・!」

 

 エルハルトから盾の勇者を頼むと連絡があった為、開店してからすぐに店の外で彼らを待っていた時のこと。程なくしてから通行人が所々でざわつき始めた大通りを見やると、一行の姿は遠目からでもよく分かった。

 

 王都で知らぬ者は居ないハベルの重厚な岩鎧もそうだが、より一層目を引くのは赤茶色のマントをたなびかせながら楽しそうに馬車を引いている、一際大きなフィロリアルであった。

 

 ある程度の事情は彼から聞いていたものの、長い年月を生きてきた魔女でもあれほど大きなフィロリアルは見たことがなかった。まさにクイーンの名に相応しい、御伽噺の中でしか語られることのない希少な魔物を見た魔女は、年甲斐も無く胸を弾ませていた。盾の勇者一行が魔法屋の脇に馬車を停車させると、魔女は真っ直ぐにフィーロへと向かっていく。

 

「エルハルトからあらかたの事情は聞いていたけど、まさかこんなに立派だとはねぇ・・・」

 

「ふぃーろってりっぱなのー?」

 

「あらまあ!? 会話もできるのかい!? こりゃ長生きするもんだねえ」

 

 晴れやかに顔を綻ばせながら、魔女は愛おしげにフィーロの身体を撫でる。職業柄、魔物慣れしていた魔女の手つきに堪らず彼女も気持ち良さげにその身を任せていた。

 

 魔物の姿でも声は人間の時と変わらぬ為、始めはなんとも言いがたい違和感があった。だが、思い返してもみれば口達者な蛇や白猫、乳母を務めていた茸なんて奇々怪々な者達を見てきたハベルであった。なんだかんだ言っても、従者よりもその変化に早く適応していたりする。

 

 だが、こうして民衆の目を集めた状態で何時までも店の前で戯れているわけにもいかない。ハベルは軽く咳払いをすると「あらやだ、私ったら」と我に返った魔女はフィーロから離れ、『閉店』と札が下げられている店のドアを開けた。

 

 そして店の中へと足を運ぼうとした瞬間、フィーロはボフン! と不思議な音をたてて人間へと形態を変化させる。周囲の目など気にせずに行ったものだから、自然と注目が更に集まる最中、ハベルとラフタリアはあたふたとフィーロを連れて店へと入っていった。

 

「もう! フィーロ、今のあなたは裸なんだから、むやみに人前で変身したらダメでしょ」

 

「あー! そうだった! きのう、ままがねるまえにおしえてくれたよね?」

 

「そうそう。念のため、一緒に確認しましょうか」

 

「うん! せーの」

 

「「人前(ひとまえ)(はだか)()ずかしい」」

 

「ちゃんと覚えていて偉いわ、フィーロ。次からは気をつけてね?」

 

「うん! わかった!」

 

「あらあら、まあまあ、もうすっかりお母さんね」

 

 ドアのまえで繰り広げられたなんとも微笑ましいやりとりに、先程から笑みが絶えずにいた魔女は明るい声色でハベルに語りかける。

 

「・・・・・・うむ、そうだな」

 

「心配しなくても、あなたもきっと良いお父さんになれるわよ」

 

「・・・ぬぅ・・・そんな事よりも貴公、本題に入るとしようか・・・わざわざ店を閉めてまでの案があるのだろう?」

 

 その手の話題を得意とはしていないのか、ハベルは無理にでも話の方向を変えようとしていた。なんとも不器用な彼にクスッとしながらも、魔女は戸棚からある物を取り出した。カウンターに置かれたソレは、誰がどう見ても木製の古びた糸巻き機であった。

 

「もともと変身っていうのはね、私のような魔女や一部の亜人達・・・要は魔力の扱いに長けた者達が身につけた魔術なんだよ。だから服も普通の人達とは根本的に違ってね。変身後に元に戻る服は、本人の魔力を抽出して紡いだ糸でしか作れないんだよ」

 

「・・・その糸を精製する道具がこれか?」

 

「そうだよ。魔物の時は魔力になって身体の中を循環し、人間の時には服の形を成す。便利なもんだろう? ただねぇ・・・・・・」

 

 途端に都合の悪そうな声色へと変化し、魔女は伏し目がちに糸巻き機の方を見つめた。どうやらここからが問題のようだ。

 

「道具自体はまだ動くんだけど、魔力を抽出するために必要な濃い魔法石が無いんだよ。困ってるのはそれさ。ウチにある物じゃ、とても勇者様が満足できるようなのは作れないねえ・・・」

 

「普通の魔法石では何がダメなのですか?」

 

「普通だからダメなのよ。さっき撫でたときに感じたフィーロちゃん自身の魔力は、あなた達二人分の魔力を超えているわ。普通の魔法石を介して糸を抽出しても、どうやったって足りないの」

 

 そ、そんなに!? と驚きの余り大声を上げてしまうラフタリアだが、思い返してみればフィーロはフィロリアルの女王様なのだ。物語でしか語られることのない魔物が・・・何より人に化けられる彼女が普通であるはずはない。例え火継ぎの旅を終えた者だろうが、魔術師じゃないハベルの魔力を優に越していたとしても何ら不思議では無い。伝説とは、かくあるべきものである。

 

「・・・ふぃーろ、わるいこなの?」

 

 ・・・・・・例え本人にその自覚が無くとも。

 

「わっ!? だ、大丈夫よフィーロ」

 

「でも、ふぃーろのせいで、おようふくができないんでしょ・・・」

 

「フィーロが悪いわけじゃ無いのよ。ね、ハベル様?」

 

「・・・う、うむ・・・貴公、当てはあるのだろう?」

 

 話の内容を全て理解することができなかったフィーロは、何を思ったか自分が悪いという結論に至ったらしく、目に見えてしょぼくれてしまっていた。たまらず助け船を求める視線がハベルから向けられると、魔女はまたクスッと笑みを浮かべる。

 

「勿論、質の良い魔法石が手に入る場所なら見当が付いているわ。でもねぇ・・・最初の波の影響からか厄介な魔物が住み着いたって採掘場の管理者から聞いてねえ。何人か冒険者を雇ったらしいのだけれど、結果はあんまりだったみたい」

 

「・・・そこで、我々の出番というわけか」

 

「そういうこと。あの採掘場を取り戻すことができれば、私達の他に同業の人達も凄く助かるの。案内係として私も付いていくわ。頼りにしているわね、盾の勇者様」

 

 魔女から提示された依頼に、ハベル等は二つ返事で請け負った。だが、ここで気になる事が一つ。

 

「・・・貴公も来るのか?」

 

「あら、これでも一人前の魔女なんだから。それに勇者様は魔法石の目利きに自身がお有りかしら?」

 

 心配は無用と言わんばかりに彼女は杖を取り出す。伊達に魔術を習っているわけではない、という魔女の言葉と、彼女自身から感じる上質なソウルを信じ、ハベルはそれ以上何も言わなかった。

 

 魔女から目的地までの地図を受け取り、張り切る従者達を連れて店の外へと出ようとしたその時である。思い出したかのように、魔女は盾の勇者一行に待つよう呼び止め、カウンターの方へと慌てて駆け込んだ。共に首を傾げながら待っていると、魔女はゴトッとカウンターの上に魔法の水晶を三つ置いた。

 

「出発前の準備というわけではないのだけれど、約束していた魔法の水晶よ! ついでにフィーロちゃんの魔法適性も見ておこうかい。さあ、まずは誰から新しい魔法を覚えましょうか?」

 

 

 

 

 

 

「ふぃーろは~♪ かぜぞくせい~♪」

 

「あの、本当によろしかったのですか?」

 

 一気に二つの魔法を覚えられたことにより、上機嫌に鼻歌を歌いながら馬車を引くフィーロ。快適な馬車旅の中、彼女の手綱を握るハベルへと顔を近づけて、ラフタリアは問いかける。

 

「・・・良い、もともと私は魔術を多用する方ではない。ならば貴公等に覚えさせた方が道理であろう。特にフィーロの魔力量と質を考えれば、この分配が適当だ」

 

 それに、ハベルが普段扱っているのは『奇跡』と『呪術』であり、より正確に言うならば魔術ではない。目下勉強中ではあるが、理力が乏しいハベルがこちらの世界の魔術を使えるかどうかも分からぬ今、即戦力となる彼女たちに魔法を覚えさせた方が良いだろうというのが、彼の考えである。

 

 魔女にそう説明したときは納得して貰えたのだが、ラフタリアは未だ釈然としていない様子である。思えばメルロマルク二度目の波の時、ラフタリアの武器や防具を新調した際にも、彼女は同じような念をハベルに向けていた。

 

 あの時は随分と素っ気のない態度をとってしまったものだ。にも関わらず、彼女はまたこうして変わらず主人のことを気に掛けている。ハベルはその事実に、ついつい近くに寄った彼女の頭を不器用に撫でた。

 

 予想だにしていなかった彼の行動と、一緒に乗っていた魔女の温かい目を受け、恥ずかしさが込み上げてきたラフタリアは顔を瞬時に赤らめてしまう。しかし「・・・私なら、大丈夫だ」と重厚な岩兜の下から優しく声を掛けられると、彼女はハベルの手から逃れることはなく、そのまま甘んじて撫でられ続けた。

 

「ぱぱ~、なにかみえてきたよ~?」

 

 フィーロの言葉に反応して視線を戻すと、遠方からでも厳めしい雰囲気を放つ建築物が見えた。どうにも宗教臭い感じの装飾が鼻につく石造りの建物を目にした魔女は、此処が目的地である事を皆に告げた。気の進まぬ中、フィーロは馬車を近くに駐め、人目がないか辺りをキョロキョロと確認する。

 

「ああ、フィーロちゃん。言い忘れていたけど、坑道の最奥以外にも魔物は住み着いているって話だから、フィロリアルのままの方が良いと思うわ」

 

「えー! でもぉ・・・」

 

「魔法の服を着れば、人間の時でも変わらない防御力を得られるわ。それまで我慢してね?」

 

「・・・はーい」

 

 あまり納得のいかぬ様だが、フィーロは魔女のいう事を素直に聞くことにした。もっとも、建物の入り口から問題の鉱脈までフィーロの背丈でも充分に通れる広さであった為、一人寂しく留守番という羽目にならなかったのは良しとするところだろう。

 

「しかし、貴公・・・ここはなんだ?」

 

「不気味な雰囲気ですね・・・以前の所有者は何者だったのですか?」

 

「この神殿はね、かつて悪名高い錬金術師達が根城としていた所よ。でもいつ頃だったかしら・・・ある時を境に彼らは消えてしまったわ。でも変ね? 自己顕示欲の高い連中だったから、他の土地に渡ってもすぐ分かるはずなのに・・・」

 

 建物の入り口からすぐ近くにある横穴にも、同じような石造りの内装が施されているのを見る限り、魔女の語った自己顕示欲の強さが相当のモノであることが窺える。

 

 松明を片手にしたハベルを先頭に、一行はなるべく固まって進行していく。魔女の言う魔物がどのような奴か分からぬ以上、警戒するに越したことはない・・・・・・が、まだまだ警戒の雰囲気を掴めぬフィーロはその限りではないようで・・・。

 

「あっ! あそこ、なんかもやもやしてる~!」

 

「ちょ!? フィーロ!?」

 

 待ちなさい、という彼女の静止が間に合うはずもなく、フィーロはドタドタと前方に向かって一直線に駆けていく。魔女の手を引きながら追いかけると、彼女は嘴で気になるという壁を突いていた。

 

 すると如何だろうか。突いた壁は跡形もなく消え、奥に一部屋分の空間が出現した。そして、その中には木製の宝箱が台座の上に置かれていた。魔物故の感性がなせる業か・・・隠し部屋の発見に驚くハベル達を見て更に機嫌を良くしたフィーロは、そのまま翼を伸ばして宝箱を空けようとした。

 

「触るなッ!!」

 

「ふぇッ!?」

 

 突然洞穴内に響く、今まで聞いたこともないハベルの怒号に、フィーロはビクッと翼を引っ込めた。ラフタリアですら久しく感じることのなかった彼の触れがたいまでの気迫。今までだってフィーロの無邪気な行動をそこまで咎めることのなかったハベルが、一体何にそこまで激昂したのかは分からなかった。

 

 驚きのあまり固まったままのフィーロ。それ以上動く様子を見せない彼女に安心したのか、ハベルはフーッと息を吐いて落ち着き、彼女に宝箱から離れるように促した。

 

「・・・大きな声を出してすまなかった・・・・・・今後一切、宝箱を開けるのは私がやる。だが、見つけたのはお手柄だぞ、フィーロ。次は事前に教えるのだ、良いな?」

 

「・・・う、うん・・・わかった~」

 

 叱られはしたものの、罪悪感を感じる前に初めてハベルに叱られたことへの衝撃の方が強かったのか、フィーロは素直に同意してすごすごと宝箱から離れていく。彼女がラフタリアの背中にピトッと張り付くまでを見やると、ハベルは再度宝箱へと視線を戻して確認作業へとはいった。

 

―――鎖は付いていないのか・・・呼吸をしているわけでもない・・・いや、しかしこの世界の貪欲者(ヤツ)は全くの別物である可能性も・・・こんな時にロイドの護符が残っていれば・・・

 

 ハベルは悶々としながら宝箱を観察し、さらには真っ黒な大剣を取り出し、中身を台無しにしないよう箱の端部分を突き刺した。慎重と言う言葉を通り越し、神経質にしか感じぬ彼の行為だが、至って本人は真剣そのものであるため、仲間達は首を傾げるほかなかった。

 

 そして、一通り確認を終えたのか「・・・良し」と呟いたハベルは宝箱をゆっくりと空ける。しかし彼の警戒とは裏腹に、宝箱の中身は綺麗さっぱり何も無かった。

 

「・・・・・・ぬぅ」

 

「・・・ハベル様の世界では、宝箱関係で何かあったのですか?」

 

「『ミミック』っていう擬態魔物がこの世界には居るからねぇ。勇者様が警戒するのはわかるんだけど、やることといったら近付いた人を驚かせるだけよ? いたって可愛い魔物なんだけど・・・あら?」

 

 魔女の目についたのは、宝箱の横に置かれた石碑である。パッと見ても勉強中の文字とは形状がまるきし違ったため、ハベル自身は気にも留めなかったが・・・・・・魔女はササッとハベルの隣へ並び、食い入るように見つめていた。

 

「・・・これは古代語だね。それも随分と古い・・・・・・まったく、こんなものをわざわざ使うなんて、あいつらしかいないね・・・・・・『火を恐れぬ者よ・・・種子の封印を解こうとする者よ・・・即刻立ち去りたまえ・・・飢餓によって苦しむ人々の願いは呪詛へと変わり・・・やがて大樹の腹に溜まるだろう・・・嗚呼・・・我らヒトが火に触れることの・・・何と烏滸がましいことか』」

 

「まほうやのおばちゃん、よめるのすごーい!」

 

「・・・えっと、どういう意味なんでしょう?」

 

「さあね? 意味なんてあまり深く考えない方が良いよ。それよりも気になるのは、その種子が既に何者かによって持ち出されたってことさ。碌でもない物ってのは確かね・・・ささ、もう良いんじゃないかい? 早いところ目当ての物を手に入れて、こんな薄気味悪いところから出ましょう」

 

 一刻も早くこの場所から去りたい気持ちでいっぱいなのか、魔女はハベルの背を押して元の道へと戻ろうとする。ラフタリアもこれに同意し、フィーロの翼を握って後をついて行く。だが、歯切れの悪い返事をしたハベルだけは、何か気になるのか部屋を出る瞬間まで石碑から目を離せずにいた。

 

「・・・火を畏れよ・・・か」

 

「・・・ハベル様? 何か仰いましたか?」

 

「・・・・・・いいや、なんでもない」

 

 師であり、友である大沼とイザリスの呪術師の言葉が、あの石碑から似たようなモノを感じたハベルであったが、それが魔女の言う通り好ましいモノではないのは確かであった。

 

 

 

 魔女に急かされて元の薄暗い横穴へと戻り、道なりに進んでいくことしばらく・・・・・・内装が途切れ、完全に人の手つかぬ洞穴へと変化していく道中にて、そこいらの魔物とは比べものにならないほどの大きな足跡や所々に散乱している糞等、一行は次々と魔物の痕跡を見つけていく。

 

 更に決定的となったのが洞穴の最奥部に到達したときである。もはや松明など必要がないまでに光り輝く魔法石の結晶が広い空間にビッシリと点在する中で見つけてしまった、冒険者らしき者達の残骸である。

 

 バラバラに砕かれた防具に、食べかけなのか粉々に砕かれた骨片やら腐爛した肉片を目の当たりにしてしまう。悪名高き錬金術師に変わり、今この神殿を根城とする魔物の存在が間近になっていくのを感じ、嫌な緊張感が一行を包む。これには流石のフィーロも不安を覚えるのか、ラフタリアの後ろにぴったりと引っ付いて大人しくしていた。

 

「とりあえず魔物の姿は見えないわね・・・ねえ、今のうちに魔法石を回収して出て行くって選択はないかしら?」

 

「それも良いかも知れませんが、あの狭い中で鉢合わせになっても困ります。犠牲者が出ている以上は、此処で討伐してしまった方がよろしいかと」

 

「・・・そうだな・・・新しく覚えた魔法を試す良い機会にもなるやもしれん。私とラフタリアが前衛を務めるから、フィーロは後方で魔女と共に魔法の援護を頼む。いいな? ・・・・・・・・・フィーロ?」

 

 彼女からの返事がなく、怪訝に感じたハベルはすぐさま振り向いた。しかし、彼の目に映ったのは、一寸先も見えない闇ばかり。先程まで魔法石の光に照らされていた空間も今はなく、すぐそこにいるはずの仲間の姿は何所にもなかった。

 

「・・・なんだ?」

 

『嘘つき』

 

「・・・なに?」

 

 突然、ハベルの頭の中に直接響く従者の声。今まで聞いたこともないような冷たさを帯びたラフタリアの声が、ハベルの思考を一瞬にして支配した。

 

『うそつき』

 

「ッ!?」

 

 今度は娘の声。それも先程と負けず劣らずの、ハッキリとした嫌悪を纏った声色であった。

 

『ハベル様は何故化物であることを私に隠していたのですか? 何故、私に血を覚えさせたのですか? 何故、あの時私を捨てたのですか? 何故、オメオメと私の前に顔を出せたのですか? 何故、バケモノである貴方が勇者を名乗れるのですか??』

 

『なんでふぃーろのおとうさんなんてうそをつくの? ふぃーろがわからないとおもってるの? かえしてよ、ほんとうのぱぱとままをかえしてよ!』

 

『『(うそ)つき! バケモノ(ばけもの)!』』

 

「・・・ぬぅ・・・・・・!」

 

 これは偽物だ、酷く無様で醜い偽物・・・そう分かっているはずなのに・・・なのに・・・

 

 『亡者め』

 

「・・・ッ!? ソラー・・・ル・・・」

 

 遂には此処に居るはずのない友の声、酷く歪で不快な彼の声がたたみ掛けられ、ハベルの内に溜め込んだ心を・・・『人間性』を揺るがした。

 

『黙れ! 忌まわしき亡者が私の名を呼ぶな! 堕ちた不死人めが、汚れたソウルへと帰してやる!』

 

 そんな彼の声の後に繰り出される攻撃。ハベルの鎧に傷を付けるほどのものではなかったが、惑わされている彼にとっては攻撃されたという事実だけが存在する。

 

―――この調子でじわじわと追い詰めていけば・・・・・・。

 

「其処かぁっ!!」

 

「ギィァァァァァァッ!?!?」

 

 『黒騎士の大剣』による刺突が、この神殿のヌシである魔物の目にズブリと刺し込まれる。間髪入れず、カウンター気味で繰り出されたハベルの一撃は致命とはいかぬものの、苦痛にのたうち回ったヌシはそのまま壁へと激突し、うずくまってしまった。これにより、指揮を下す者がいなくなった魔物等の陣形を崩すには充分であった。

 

「ハベル様ッ!!」

 

 直後、聞き慣れた従者の声が響き・・・瞬間、二振りの剣戟がハベルのすぐ真横を掠めた。するとどうしたことか、ハベルの視界から闇が晴れ、彼の目の前には直剣を携える頼もしき従者の姿が見えた。

 

 先程振るわれたであろう彼女の直剣から血がしたたり落ちるのに気づき、目線を下へと向ける。すると、ハベルの足下に下半身が鈴のような形態をした蝙蝠が二匹ほど切り裂かれていた。こいつ等が幻惑を施していたのは明らかである。

 

 周りを見れば、尚も幻惑に苦しめられて苦痛な表情を浮かべる魔女と、大きな体を縮こませて涙を流し、悲痛な声で泣き喚くフィーロの周りにも、同個体が数匹飛び回っていた。

 

「貴公、助かった」

 

「ハベル様こそ、あの魔物によくぞ一撃を」

 

 言葉を交わしつつ、ハベルは連射式クロスボウ『アヴェリン』を、ラフタリアは先程と同じように剣を振るって、それぞれに纏わり付く蝙蝠型の魔物を捌いていく。

 

 ラフタリアが何故幻術に惑わされないか・・・それは彼女の種族に起因する。魔法屋で魔女が語ったように、ラクーン種には生まれ持って幻術に才を持つ者が多い。故に、幻惑を扱うことに長けていれば、自ずと耐性を身につけるのだという。

 

 勿論、耳を塞ぎたくなる程の酷く冷たいハベルの声が聞こえなかったわけではない。種族特有の耐性は勿論のこと、彼女には揺るぎない信念があった。従者としてハベルと共に世界を救う・・・戦士に成った彼女の根本はその一心である。今を精一杯生き、未来を見据える生者が故に。

 

 対してハベルが一撃を加えることが叶ったのは、ヌシが調子に乗って攻撃を仕掛けた事による。

 

 前の世界であるロードランにてハベルが最も親しみ慣れる感覚・・・それは痛みだ。斬撃、打撃、刺突・・・不死の限り存分に味わってきたこれらの痛覚は、亡者へと成り果てたハベルが唯一常人と変わらずに感じることのできる感覚であり、唯一自らが存在を自覚できる証である。

 

 あのまま配下の蝙蝠に任せて幻術で追い詰めておけば良いものを、魔物らしいヌシの粗暴な一撃は、ハベルを我に返させるには充分すぎた。その身に刻まれた防衛本能の赴くままに、ハベルは剣を振るうことが叶ったのである。

 

 そして何より、引き合いにソラールを出した事が致命的であった。彼を殺したハベルにとって、醜き太陽に堕落しようとも変わらなかった彼の一撃を、廃れたハベルの心に刻まれてしまった一撃を忘れるはずがない。戦いに身を投じ、全てを捨ててきた亡者が故に。

 

 幻術が解かれた二人はその場にへたり込み、ハベルとラフタリアはすぐさま傍へと駆け寄る。

 

「フィーロ! 無事か!」

 

「うわあぁぁぁんッ! ぱぱ! まま!」

 

「フィーロ! もう大丈夫よ、パパとママはちゃんとここに居るからね」

 

「貴公も、大事ないか?」

 

「ああ、何とかね。『ボイスゲンガー』、あの魔物の名前さ。対象の思考を読み取って、一番不快な声で相手を惑わす魔物だよ。まさか、そいつ等が連携して同時に術を掛けられるなんてね」

 

「奴らを上手く使う賢い主が居たということだ・・・皆気をつけろ! 来るぞ!」

 

 ハベルは魔女を起こすと、声を張り上げてパーティに戦闘態勢を促した。痛みでうずくまっていたヌシが意識を取り戻し、血走った目と牙をこちらに向けながら唸り声を上げていた為である。

 

 改めてその全貌を眺めると、どうにもリユート村にあった亡骸と姿が酷似していた。大型の肉食獣のような体つきの割にはあまりに人面に近い顔立ちをし、尾は蛇がまるまる一匹ついており、幾多の獣を合成したかのようなその容姿は『神獣』を思い出させる。

 

「あれは・・・『ヌエ』!? 最初の波で全て討伐されたと聞いていたのに」

 

「やはり波の魔物か・・・まずラフタリアと私で同時に突っ込む。魔女とフィーロは―――」

 

「あいつが・・・っ! ふぃーろおこった!! ぜったいゆるさない!!」

 

 ハベルが指示を飛ばす前に、怒りに駆られたフィーロが目をギラつかせながらヌエに突貫していく。勿論ハベルやラフタリアが静止の声を掛けるが、宝箱を見つけたときとは比べものにならないほどの勢いで突っ込む彼女に、二人の声が届くはずもなかった。

 

『ハベル様と二人っきりだったのに。お邪魔な魔物なんて早く捨てましょう』

 

『タダ飯喰らいで役にも立たず、主人の言うことすら聞かぬ魔物など必要ない。お前など、私の娘ではない』

 

「あいつが・・・あいつが・・・ぜったいやっつける!」

 

「ギュギィィィィッ!」

 

 耳を塞ぎたくなるような醜い鳴き声を上げ、ヌエは爪を突きたてて真正面からフィーロを迎え撃つ。鋭い爪が振り下ろされる瞬間、フィーロは地面を蹴り上げてコレを躱し、直後に蹴り上げた勢いを利用してヌエの顔面に自慢の脚力をお見舞いする。

 

 ただのフィロリアルであればいざ知らず、フィロリアルの女王が放つ蹴りは波のヌシと同等であろうヌエに無視できぬダメージを与えていた。

 

堪らずヌエはフィーロに狙いを集中させ、何とか組み付こうと前足を振るい続ける。だが、まん丸な体格に似合わぬ俊敏性を見せつけ、フィーロは掠りもせずにヌエの動きを見てから回避し、その度に蹴りを二、三発叩き込んでいく。

 

 イケる! と彼女が思ったその矢先、ヌエの体が周りの魔法石と同じく淡い光を放ち出した。まるで魔法石の魔力を自らに取り込むかのような現象に、フィーロは一瞬だけ気をとられる。

 

「ギュギュギィィィィィ!」

 

「ぅあッ!?」

 

 溜め込んだ魔力が最大になった瞬間、ヌエを中心に炎、風、水の魔力がデタラメに混合しながら放射された。辺り一面に放たれた魔力の渦、例え今フィーロが身につけているマントがあろうと、とても無効にできるほど弱くはない。迫り来るエネルギーの波にフィーロはどうする事もできず、ギュッと目を瞑り、訪れる痛みを待つほかなかった。

 

 刹那、後頭部の羽をグイッと掴まれ、フィーロはその場に尻餅をつく。咄嗟に開眼すると、目の前には大きな岩の盾を地面に突きたて、その身を挺して必死にフィーロを守ろうとする、頼もしき父の姿があった。

 

「ぱぱ! ありが――」

 

「退がっていろフィーロ! 早く!」

 

「でも、だってあいつが!」

 

「分からんのか! お前一人では力不足だ! 退がれと言ったら退がれっ!!!」

 

 神殿内部で叱られた時以上の怒気がハベルの全身から感じられ、当てられてしまったフィーロは無意識に人間の姿に戻ってしまい、その場にへたり込んでしまう。

 

「《ツヴァイト・ファイアブラスト》」

 

 魔法の熟練度が違うのか、魔女は長たらしい詠唱を省略して魔法を放った。そして放たれた呪文はハベルの後方から正確に飛び、炎弾がヌエの体を焼く。魔力の放射が収まり、ヤツの懐が手薄になったのを見かね、ハベルは『ハベルの盾』と『黒騎士の剣』を構え直し、正面から向かっていく。

 

 大盾で上手くガードしながら剣を突きたてるハベルにヌエの注意が向く最中、背後から《ファスト・ハインディング》を唱えて姿を消したラフタリアが奇襲を仕掛けた。だが、そうはさせじとヌエの尾である蛇がラフタリアにその毒牙を向ける。独立した器官なのだろうか、蛇は的確にラフタリアを捉え、本体への攻撃を妨げていた。

 

『役立たずめ』

 

『貴女なんて要らないわ』

 

「いやだ・・・ふぃーろ、すてられたくない・・・いやだよぉ・・・」

 

 自分とは違い、ヌエと互角の立ち回りをするハベルとラフタリアを見ていると、フィーロの頭の中でまたあの不快な声が木霊する。もう原因の魔物は倒したというのに、彼女は様々な恐怖に支配されていた。青い瞳から大粒の涙を流す彼女だったが、ソレはただのフィロリアルであった頃には感じ得なかったものである。

 

「さあ、立って! フィーロちゃん。泣いている場合じゃないわ!」

 

 そんな悲しみと恐怖に打ち拉がれる彼女に、魔女は手を差し伸べた。

 

「でも・・・ふぃーろがいけば、またぱぱのじゃまになっちゃう・・・」

 

「いい? フィーロちゃん、貴女は魔物だけど特別なの。だから、直接攻撃するよりも、もっといい手があるわ。思い出してみて、貴女が覚えることができて嬉しかったものは?」

 

「・・・! まほうだ!!」

 

「そう! 一緒にやっつけましょう! 合わせるから、フィーロちゃんから先に唱えて!」

 

 自分の魔力は父と母よりも強い・・・魔法屋の言葉を思い出し、フィーロは立ち上がって手元に魔力を込め始める。そして、ハベルに当てぬようヌエの顔に向けて狙いを定め、魔法屋から教わった通りに詠唱を開始した。

 

「『ちからのこんげんたるふぃーろがめいずる、ことわりをいまいちどよみとき、かのものをうちぬけ』」

 

「良いわよフィーロちゃん! そのまま打って!《ツヴァイト・ファイア》」

 

「《ファスト・エアーショット》!!!」

 

 フィーロが放つ瞬間を狙い、魔女が炎の塊を宙に留まらせる。それにより、フィーロが放った空気の圧縮弾は魔法の炎を纏ってヌエへと猛スピードで飛んでゆく。呪文の位が下位の「ファスト」であるとは思えぬほどの弾速。即席の合体魔法は、見事フィーロの狙い通りヌエの潰された目に直撃した。

 

「ギィゲェェェエェェェッ!?」

 

「ッ!」

 

 体勢を崩したヌエの隙を逃さず、ハベルは黒騎士の剣を筋力の限りに振るい上げ、首筋へ突き上げ貫いた。致命の一撃が入り、突き刺した隙間から息が漏れ始め、正に瀕死状態のヌエであった。

 

 だが、手負いの獣ほど怖いモノはない。ヌエは最後の力を振り絞り、またも全身を淡く輝かせ始めた。先程よりも強い光を見る限り、自分の身を厭わぬほどの魔力を放ち、盾の勇者等と心中を試みるつもりだろう。

 

 だが、それを許さぬのが、他ならぬ盾の従者である。彼女は本体の体勢が崩れた隙を見計らい、先に尾の蛇を突き刺して始末した。そして、そのままヌエの後ろ足を踏み台にして跳躍すると、その勢いのままハベルと対の位置にて剣を突き立て、ヌエの首元を貫いた

 

「ギ、ギギィ・・・」

 

「・・・・・・ぬんっ!」

 

「はあぁぁぁーーーーーっ!」

 

 魔力の渦が放たれる直前、ハベルとラフタリアは同時に力を込め、ヌエの首を斬り落とした。ヌエの体から魔力の発光が消え、おびただしい量の鮮血が吹き出る。哀れな波の残党は自らの血溜まりに倒れ伏し、完全に討伐されるのであった。

 

 

 

 戦いが終わり、全員の気が抜ける中、ハベルはフィーロの方を向く。結果的に戦力となったものの、今日の立ち回りは決して褒められたものではない。ここは一つ彼女のように、感情的にならずに諭してみるか・・・と。ある意味で魔物に単騎で立ち向かうよりも困難であることに、さてどうしたものかと考える。

 

 だが、思考の中にいるハベルへ先制するかのように、フィーロは人間の姿のまま、血塗れの岩鎧に突っ込むように抱きついた。

 

「・・・フィーロ?」

 

「ひっぐ・・・すてないでぱぱ・・・ふぃーろいいこにするから・・・やくにたってみせるから! だからすてないで! ふぃーろのぱぱでいて・・・おねがい・・・うわぁぁぁぁん!!」

 

 ハベルが何かを言う前に、フィーロはそのまましっかり組み付き、激しく泣いて離れようとしなかった。『役に立ってみせる・だから捨てないで』彼女の唐突な要望に、ハベルとラフタリアは原因が分からずオロオロするばかり。

 

 あの時叱りすぎたか? いきなり怒鳴ったのは不味かったか? 等々原因を探る中、分かっている魔女だけはフフッと何気なしに笑っていた。

 

「さて、フィーロちゃんをあまり怒らないでやっておくれ、盾の勇者様。ボイスゲンガーに碌でもないことを吹き込まれたんだろう。だから戦いの時も、勇者様達の役に立とうとしてあんな危ない事をしたんだね。役に立たないと捨てられるって、この子は怖くて仕方がなかっただろうさ」

 

 魔女に言われてようやく合点がいった二人は、尚もハベルにしがみつき泣きじゃくるフィーロに再度視線を戻した。彼女の想いを知ったラフタリアは、すぐさま泣きじゃくるフィーロに手を伸ばすが、誰より先に娘を抱き上げたのは、重厚な岩の手だった。

 

「ひっぐ・・・ぱぱ・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい」

 

「・・・私はもう怒っていないし、今後一切フィーロを捨てる気もない。大きな声を出してすまなかった。フィーロのことが心配だからこそ、私も必死になってしまってな・・・それに、ごめんなさいをきちんと言えるフィーロは、もう充分良い子だ。お前は・・・私達の自慢の娘だよ」

 

 ハベルは小さき時のラフタリアように、不器用で武骨な優しい手つきで、自分よりも人間性の溢れる彼女を撫でる。思えば、彼自身がこうして父親のような愛情をフィーロに示したことは、今までなかったかもしれない。それがフィーロの不安が大きくなってしまった理由の一つだろう。

 

 何より、肉親を失ってしまったラフタリアとはまた違い、肉親に捨てられる辛さを身をもって分かっているハベルは、他の誰よりも今だけは、彼女の気持ちに寄り添う事ができているのであった。

 

 

 

 

 

 フィーロが落ち着きを取り戻してから、ハベル等は魔物を解体して素材を剥ぎ取り、肉体をソウルに変換させる。そして魔法屋の目利きにより、魔力を吸われる前に残っていた魔法石をいくつか無事採掘し終え、一行は誰一人目立った怪我をすること無く外へと脱出することができた。

 

 不安を完全に拭い去る事ができたのか、帰りの道中でフィーロはまた上機嫌に馬車を引く事ができていた。心なしか手綱を握っていたハベルの目からは、彼女の背中が広く逞しくなったようにも見えていた。

 

 王都に戻って食事を済ませたときには既に日も落ちており、とりあえず今日は魔法の糸を抽出するだけに至った。糸を抽出する際、魔力を直接変換しているためか糸巻き気を回すフィーロは終始気怠げであった。

 

 休み休みゆっくりと、時間を掛けていけば大丈夫、と魔女は口にするが、一刻も早く服を手にしたいフィーロはその限りでは無いようで・・・結局、一着分を休むこと無く回し続けた彼女は、終わった途端に倒れるように寝てしまった。このまま床に寝せるわけにもいかぬ為、仕方がない・・・とハベルはフィーロの手が肩に掛かるようにおんぶする。

 

 

「・・・ふふっ」

 

「・・・貴公、何がおかしい?」

 

「随分と様になってきたじゃない? お父さん」

 

「・・・ぬぅ・・・」

 

「私もそう思いますよ、ハベル様・・・ふぁーぁっ」

 

 ラフタリアから大きな欠伸が出た。思い返せば娘の服を作るだけだというのに、今日は散々な目に遭ったものだ。皆に色々と疲れが溜まっていても何らおかしくは無い。

 

「奥に空き部屋があるから、今日は泊まっていきなさい」

 

「そんな、流石に悪いですよ」

 

「良いってことさ、あんた達のお陰でしばらくは良い魔法具が錬成できるし、他の商人仲間も無事に魔法石を仕入れられるからね。一泊ぐらい安いものさ」

 

 ゴロゴロと質の良い魔法石がたくさん入った袋を見せながら、魔女は朗らかに語る。本人がそう言うのであれば、是非ともお言葉に甘えようとハベルはラフタリアに頷いた。

 

 そうして奥の部屋を借りた盾の勇者一行。疲れが溜まっていたこともあり、ラフタリアはフィーロと一緒にベッドへ入り、そのまま寝てしまった。安らかな眠りにつく彼女たちを見届け、ハベルはそっと魔法書と薬学書を開いて勉学に励む。

 

 時折、「ぱぱ、まま」と寝言を零すフィーロを気に掛けていると、不意にハベルは明日向かうであろう洋裁屋の腕が急に気になり始めた。もし、彼女の納得がいかぬ服ができあがればどうなるか? もし、フィロリアル・クイーンの服は珍しすぎて作れない・・・等という事態になればどうなるか・・・。結局、目先の心配事ばかりが募り、肝心の勉学にあまり身が入らぬまま夜明けを迎えることになるハベルであった。

 




(原作と同じ)フィーロと言ったな·····あれは嘘だ·····
設定上、見た目だけ変えるわけにはいかんので·····

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