魔法科高校の妖精遣いだよ……え?そんなにチートかな? 作:風早 海月
一高には三巨頭と呼ばれる3人の実力者がいる。
遠隔精密魔法に秀でた七草真由美、干渉力と障壁魔法に秀でた十文字克人、そして魔法剣術を含めた技と器用さに秀でた渡辺摩利。
前者2人は十師族として有名な家系の子息であるが、摩利は百家傍流もいいところだ。だが、その力は先祖の渡辺綱のような先祖返りでもあったのかとても高い実力を持っている。
ただし、それは逆に大きな後ろ盾がいないことも確かである。せいぜいが千葉家と近接戦闘で世界で五指に入ると言われる千葉の麒麟児千葉修次くらいだ。
だからこそ、妨害では真っ先に狙われてしまったのだった。
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「命に別状はありません。しかし…1週間は絶対安静です。ミラージに出ることは聞いてますが、ゆめゆめ出させないように。」
医師はそれだけ言うと帰ってよろしいといい、診察室から追い出した。
付き添いで行っていた真由美と克人は頭を抱える。
「他の競技の現状を見る限り、ミラージは外せないわ。」
「だがどうする?」
「すまん、2人とも。不甲斐ない限りだ。」
「気にするな。お前が魔法技能を失っていないことに安堵しているくらいだ。」
「そうね…事故にしても妨害にしても結局手が混みすぎよね。」
「まあその分析は後でにしよう。」
三巨頭はそのまま一高テントに戻る。
「……しかすれば、代役を立てるほかないだろう。」
「だがミラージの補欠はいないぞ?」
「…いえ、いるわ。新人戦出場者で、摩利に圧勝した子が…!」
「御巫か!」
「なるほど、確かに彼女なら…ルール的にも、新人戦枠でエントリーしてても1種目を新人戦で出場する場合は本戦枠にエントリーする必要は無い…か。」
「ただ、その代わりに新人戦ミラージは1人減るぞ?」
「その分はサポートメンバーからエントリーすればいいわ。鈴ちゃん、サポートメンバーでミラージの練習に参加してた人は?」
「いません。」
「「え?」」「………」
「ミラージは花形競技ではありますが、跳躍を15分ピリオドで3回休憩5分で実践レベルにある生徒は…残念ながら。」
「そう…とりあえずデータにない子探してみるわ。やけくそだけど。」
真由美はとある3人を呼んでくるようにテントに詰めていた作戦スタッフに頼んだ。
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「―という訳で、栞さん。本戦ミラージ・バットに摩利の代わりに出場してもらえるかしら?」
「それは大丈夫です。」
「じゃあこの件はとりあえず終わりね。」
そこで話しかけたのは、栞と共に呼ばれた1人である深雪だ。
「あの…私たちはなぜ呼ばれたのでしょうか?」
「むしろこっちが本題よ。栞さん、深雪さん、達也くん、3人に新人戦ミラージ・バットの空席を埋められるメンバーは知らないかしら?」
「…すみません、私は会長以上のことは分からないかと。」
同じ生徒会役員である深雪はそうそうに白旗を揚げる。
「…男子もありなら古式魔法使いの吉田幹比古を推薦したところですが、自分の知り合いなら千葉エリカくらいですね。しかし、彼女を使うくらいなら跳躍が実践レベル出なくとも一科生を使う方が高順位は狙えるかと。」
「…………っ…ふふふっ。」
栞は達也の言葉に幹比古がぴっちりとしたミラージ・バットの一般的な衣装を着て飛んでいる姿を想像してプルプル震えていた。
特に栞が直接会ったのは神童と言われていた頃の天狗の鼻だった幹比古であるので、さらに滑稽だった。
「…ふ…はぁ、治まった。なら私は
「「「な!?」」」「…」「ほう。」
「彼女は私と同じ妖精を使役している可能性が高い。彼女の妖精が空間系能力なら私と同じように飛びっぱなしということも不可能ではないです。」
「……美月はこのホテルに宿泊しています。直ぐに呼んできましょう。」
「最悪に備えて私も妖精を招集しておきます。」
栞は裏ポケットから取り出した1枚の笹をCADの補助なしに精霊を喚起して燃やした。
「精霊魔法まで使えるのか。」
「もちろん。精霊と妖精の違いは現実に実体を持つか持たないかの差以外は大きくないんだよ。」
「ほぅ…」
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一高テントに集合した妖精たちで美月を取り囲む。
〔ハル、攻撃があった時は威力を調節して反射して。〕
[了解よ。]
「美月、あなたが妖精を使役していることは知っている。妖精魔法の主家の当主としてあなたがこの国に不利益を与える妖精遣いだとするならば、私があなたを消すわ。」
「え!?ちょ、何の話ですか!?」
「しらばっくれても無駄よ。高位の妖精遣いは他者の妖精との契約の繋がりが見えるの。」
「…紗奈、もういいですよ。」
[いいの?]
「出てきて。」
美月の胸の谷間に姿を隠して(妖精ってほのかの時もそうだけど、きっと巨乳好きが多いんじゃないかな?)いたのをやめて1人の妖精が出てきた。
「ブランシュ襲撃の時にたまたま私を守ってくれた時に契約した子なんです。別にこの子を使ってどうこうしたいっていうのはないです。」
「…もしかしてその子、強化系?」
「え?まあ本人の戦闘力も無いわけじゃないですけど…」
ニヤリと笑った栞は合図を出す。
「会長、イケます。」
その言葉に物陰に潜んでいた一高幹部人員と司波兄妹が姿を現した。
「本当?」
「強化系妖精がバックアップについてれば長時間の反復魔法使用にも耐えるでしょう。」
「え?え?…え?」
「じゃあ…生徒会長、七草真由美として、我が校の生徒である柴田美月さんを新人戦ミラージ・バットの補欠として新人戦枠エントリー及びミラージ出場を打診します。」
「え?え?」
美月はその意味を、そしてこの栞による尋問の意味を理解するに従って困惑から驚愕に表情を変化させていった。
「えええぇぇぇぇえええーーーーー!?」
昨日は更新できなくてすみません。
今後の更新もリアルの事情と他作品へのリソース分配の影響もございますので、毎週月曜日の17:00に変更させていただきます。
また、ストックが2つ以上出来たらその前に不定期で更新するつもりでいます。その場合も17:00に更新いたします。
また、イメージ図を服装とポーズを変えて追加しましたので、ご覧になりたい方はhttps://syosetu.org/?mode=img_user_gallery&uid=216376よりご覧下さい。