おじさん、今年で36歳になるんだけれども   作:ジャーマンポテトin納豆

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トーナメント その後

 

 

 

試合終了後、それはもう大騒ぎになった。そりゃそうだ。ISに初めて乗ってから一か月そこらのおっさんが代表候補生に勝ったんだから。

初戦とは比べ物にならないレベルで追いかけ回され、再び盛大に迷子になったのは言うまでもない。

結果としては俺が優勝。鈴が準優勝でそれに続いて四組、三組と言った形だ。

 

 

 

ただね、おじさんも予想外過ぎる結果に大混乱しているんですけど。

 

 

 

 

だってまさか自分自身が優勝するなんて誰が考えるよ?俺自身もクラスメイトも優勝どころか一回も勝てずに終わるなんて考えても仕方ないぐらいだったんだぞ?

いやまぁ若干3名ほど何故か俺が優勝すると信じて疑わなかったのが居るんだけど気にしないったら気にしない。

 

結局優勝した俺には表彰状とクラスの皆に食堂のスイーツ食べ放題券数か月分が渡された。

 

ついでに俺に対する各国各企業、各研究所からの勧誘とかその他諸々の接触なんかが莫大に増えた事もここに書いておこう。

だから俺は何処にも属さないって言ってんだろ。特に研究機関、おめーらはダメだ。何処の組織もダメだ。

 

 

 

 

 

質問の嵐と勧誘(脅迫込み)を振り切って今は放課後。

因みに勧誘して来た奴らは軒並み学園から叩き出されていた。

 

結局その日はそれで終わり。解散して俺自身も疲れていた事もあってか部屋でゴロゴロしていたら寝落ちして起きたら朝でしたと言うオチ。

 

 

今日、トーナメントの次の日は運良く休みだった為にやることやってのんびりするか。

俺はISを格納庫に返納した時のその為の諸々の書類を記入したりして千冬の所に持って行って、あー疲れた二度寝してやろうそうしよう。

 

 

なんて思っていたら一夏と箒、セシリアが部屋に来て何事かと思ったら拉致られて食堂に連れていかれてオイオイ何だこれどういう事だ何故に食堂?

 

 

しかもクラスの面々全員に加えて普通に他クラスのメンバーも居る。鈴も居るしどうしてだかこの前家に帰った時に護衛をしてくれた生徒会長さんも居るじゃないですかやだー

なんでやろな?

 

「せーの!」

 

「「「「「「「「佐々木さん、優勝おめでとう!!」」」」」」」」

 

突然の事過ぎておじさん大混乱。

なにこれ何がどうしてこうなった。詳細な説明を求めます!

 

「お、おぅ。ありがとさん。で、これは何事?」

 

「えー?見て分からないの?優勝したお兄ちゃんをお祝いして讃えてあげようって事でパーティーを開きました!」

 

「あ、うんそうなのありがとう」

 

「なんか反応薄いよお兄ちゃんもっといい反応してよ」

 

「あのねぇ、いきなりこんな事されたら驚くに決まってるでしょうが。それとも俺にアメリカ人並のリアクションをしろと?」

 

「出来ないの?」

 

「出来る訳ねぇだろ。お前は本当に俺を何だと思ってるの?」

 

「お兄ちゃん」

 

うん、一夏は何時も通りだったわ。

 

 

その後、優勝記念パーティーがどうこうで大騒ぎがしたかっただけなんじゃないかってぐらいの置いてきぼりを食らった俺はのんびりと端っこで皆を見ながらお茶を啜ってましたとさ。

 

お茶美味しいなぁ……女子高生パワフル過ぎて付いて行けなかったよ。元気良すぎじゃない?こんなもんなの?

 

そしてしこたま大騒ぎして解散となった訳だ。

その後は特に何も無い。強いて言うならいつも通り一夏達の来訪で若干騒がしかったぐらいか。

 

 

 

 

 

またまた次の日。

おじさんはのんびりと部屋でごろ寝中。だって昨日あれだけ動いたんだから今日ぐらいはいいよね。と言いつつも家にいる時も休日は運動したり一夏や千冬に付き合って買い物行く以外こんなもんだけど。

 

 

 

「くぁ……あぁ寝みぃな……」

 

寝たいが今寝てしまえば一夏に見つかった時面倒だしなぁ。

欠伸を噛み殺しながらベットから起き上がり頭をボリボリと掻きながら冷蔵庫の中に何かないか探してみるも何もない。それもそうか。

一夏が料理をするようになってからは滅多に料理をしなくなった俺と料理の才能、センスがマイナスに振り切っている千冬の二人の部屋だ。あるわけがない。あったら怖い。怪奇現象を疑っちゃうぐらい。

 

どうすっかなぁ……十時か。この時間じゃ食堂は締まってるし、開くにしてもまだ二時間はあるから……あれ?俺って飢えるしかないのでは?

 

終わった……俺はこのまま死ぬのか……

 

 

 

なんて訳分からない絶望をしながら冷蔵庫を漁るが入っているのは麦茶ぐらい。

やべぇな、腹減ったぞおい。どうすんだ。

 

 

麦茶飲んで誤魔化すか。

 

 

 

もういいや。取り敢えず水分だろうが何だろうが口に出来ればいっか。

その考えの元、麦茶をがぶ飲みするべく手を伸ばそうとしたところで部屋のドアが叩かれる。

休日に態々やってくる人間なんざ一夏とか箒辺りぐらいだろ。

 

なんて思いつつも返事をしながらドアを開ける。

するとそこに居たのは予想外にもセシリアと箒と言う組み合わせだった。

驚きつつも部屋に招き入れる。飲もうとしていた麦茶を二人に出しながら話す。

麦茶美味しいぃ……

 

「珍しい組み合わせだな。どうしたのさ?」

 

「小父様のお顔を見たくて、と言ったらどういたしますか?」

 

嬉しいこと言ってくれるねぇ。最近の子はお世辞もおべっかも上手だこと。

ま、そんなこと言われて喜んじゃう俺はちょろいって事だぁね。

 

「素直に喜ぶことにしとくよ。二人の美人さんが俺に会いに来てくれたんならな」

 

「ふふ、お上手ですこと」

 

「洋介兄さん、それはいいのですが取り敢えず着替えたらどうです?」

 

「んぉ?あぁこりゃ失礼。今さっき起きたばっかでね。許して頂戴」

 

俺の格好を見て箒も思う所があったのか注意してくる。

いや、誰も来ないかななんて思ってたから短パンにタンクトップって言う格好なのだ。

ここ最近段々と温かくなって来ているのに千冬ったらそれでも俺のベッドに潜り込んでくるもんだから暑いのだ。千冬を押しのけることも出来るけど俺関係で結構面倒掛けてるし本来の仕事も忙しそうにしているからまぁこんぐらいはいっかと受け入れているのだ。

今の時期、暑いんなら俺が薄着になればいいしこれからもっと暑くなっていくだろうがそうなったら冷房ガンガンにすりゃいいだけの話だ。

 

まぁ一夏には内緒なんだけど。だって知られたら絶対に面倒な事になる。下手すりゃ千冬の反対を押し切ってでも一緒に寝ようとするだろう。

妹達に好かれるのは一向にかまわないし嬉しいが暑くて寝るときに全裸にならなきゃいけないのは流石に勘弁してほしい。

 

 

 

 

「それ一夏が見たら絶対に怒りますよ?」

 

「知ってる。だから二度寝は諦めたんだけど一夏が居ないって知ってたら二度寝してた」

 

「という事は朝食も食べていないと?」

 

何故この妹達はこうも俺の行動や考えを読めるんだろうか。束辺りならそんな装置やらを開発していてもおかしくはなさそうだが。

 

え?おじさんが単純なだけ?そんなことは無いと思うけどなぁ。

 

「大当たり。良く分かったね」

 

「なら何か作りましょうか?昼食もあるので軽めの物ですが」

 

「マジで?いいの?というか飯作れるの?」

 

「勿論です。これでも一夏程とはいきませんがそれなりに作れますから」

 

「箒お前……本当に変わったなぁ……お兄ちゃんは嬉しいぜ」

 

「ありがとうございます。それで、どうしますか?」

 

「頼む。腹が減って死にそうだった。麦茶で凌ごうなんて考えてたし」

 

「洋介兄さんはしょっちゅう訳の分からない考えに至りますね……少し待っていてください。今部屋に材料を取りに行ってくるので」

 

俺がそう言うと箒は呆れた顔をしながらもやはり嬉しそうに部屋に一度戻って食材を持って来てキッチンに向かう。

 

「それなら私は後日にしましょう。今日は箒さんに出番をお譲りしますわ」

 

「お?料理できる系女子?」

 

「いえ、でもマニュアル通りにやればなんてことはありませんわ」

 

「ほー」

 

この英国淑女のいう事を真に受けたが、料理の腕が壊滅的で作ってくれた料理を食べた俺がぶっ倒れることになるのをまだ知らない。

 

箒が料理を作っている間、セシリアとのんびり会話しながら待っていた。

といってもここ最近の学園生活はどうだとかそんなもんだ。

クラスの皆とも打ち解けているようで何より。

 

「そりゃ良かったじゃないの。学生生活ってのは楽しんで盛大にふざけたりするもんなんだからな。少なくとも15、6の時は訳分からん理由で怒られたりもしてたし。部活も最高に楽しかったしな」

 

「それなら小父様も二度目の学生生活を楽しむおつもりですか?」

 

「そりゃ勿論。最初は嫌だったが過ごしてみればどうして中々悪くない。寧ろ良いね。こんな機会二度と無いだろうからこの年で学生ってのも変だが精々楽しむことにするさ。まぁ部活に関しちゃ色々と理由があって所属できないけど」

 

部活、やりたいのだがこの学園は女所帯という事もあってか男の俺が所属出来る様な部活は残念ながら存在しない。いや、剣道部とかなら個人でいけるんだろうが残念ながら女性に囲まれてまで部活をしたいとは思わない。この学園に居る時点で今更なんだけど。

 

「そうですか。なら私はそんな小父様についていくとしますわ」

 

「自分の好きな事やって楽しんだ方がいいぜ?」

 

「私にとって楽しいというのは小父様と一緒に居ることですわ。小父様の近くに居るだけで自然と私は笑いが溢れて来ますもの」

 

「やめろよ照れるだろ……」

 

何故か俺に対して惚気て来る。うーむ、本当に変わりすぎじゃないですか?というか俺にそういう事を言うぐらいならもっと良い相手が居るだろうに、なんて思ってしまうが口には出さない。出したが最後、今日一日セシリアのご機嫌を取らなければいけ無くなってしまう。そんなヘマはしないのだ。

 

 

 

そうこうしているうちに箒お手製のサンドイッチが出来た。

何だこれ、めっちゃ美味そうやんけ。

 

「どうぞ」

 

そう言って差し出してくるサンドイッチからは食欲をそそる良い匂いが。

 

「おぉ……!」

 

「これは、とても美味しそうですわ」

 

「ベーコンとほうれん草を炒めて挟んでマスタードを塗ってみた。食べてみてくれ」

 

「イタダキマァス!」

 

「頂きます」

 

「どうぞ、召し上がれ」

 

セシリアと2人でサンドイッチを食べる。

おぉ!こりゃ美味い!

 

「うん!美味い美味い!こりゃ美味い!」

 

「とても美味しいですわ」

 

腹が減っていて美味い物を食った影響で語彙力皆無になった俺と、上品に、しかしとても美味しそうに食べるセシリア。

そしてそれを見ながら嬉しそうにする箒。

 

これってなんの図?

 

いや、幸せなんだけど。

なんとも奇妙な組み合わせの3人だなぁ。

 

 

 

 

 

それからサンドイッチを食べ終わった俺達3人は昼飯までのんびりと部屋で過ごしていた。

なんかこうやってまったり過ごすの随分と久々な気がするのはなんでだ。

 

 

……一夏が毎日騒がしいからか?あれはあれで無いと寂しいもんだが、そう考えてる辺り手遅れなのかもしれんな。

 

 

 

 

 




次回は何書こうか。
次のイベントとかに進んでもいいような気もするけど、なんか挟みたい。

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