おじさん、今年で36歳になるんだけれども   作:ジャーマンポテトin納豆

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サブタイで胃薬と妹達に泣きついても良いって書いたけど、胃薬なら分かるけど妹はダメじゃね?そもそも泣きついたが最後、もう後戻りできなくなってましたー!とか有り得そうだし。

頼れるし頼もしい妹達だけど泣きついたが最後、一生離してくれなくてそのままずるずると行ってしまうんだ。

ははっ、結局おじさんには胃薬しか頼れる味方は居なかったんや……






おじさん、久々の平穏な日常。でも残念でした!面倒事は次から次へとやって来るヨ!胃薬と妹達に泣きついてもいいんだよ!

 

 

いやぁ……

なんかやっと暫くぶりの平穏が訪れた気がする。

ISを初めて動かしてから監禁生活に始まり唐突のIS学園への強制入学。

訳が分からず女子高生と同じ寮にぶち込まれてホワァァァ!?とか犯罪だけは勘弁して!なんて言ったり言わなかったり。何故かクラス代表になったり鈴が転校してきて騒がしさがマシマシになって、セシリアの人生相談モドキをしてクラス別トーナメントに出場して優勝しちゃって追いかけ回されて迷子になったり。勧誘やら解剖させてとか言われてファ〇クとか思ったり。

 

 

今更だけど濃すぎない?これ、よく胃袋に穴開かなかったな。普通だったら過労で倒れてても仕方ないぞ。

 

ここは一言、善良な一般市民として平凡な一般人として言わせてもらおう!

 

 

IS学園ブラックじゃねぇか!?待遇の改善を要求する!

 

今更蒸し返すとか情けねぇと思うけどまぁここは言わせてほしい。

そもそもの話!なんで俺はISを動かせるの?百歩譲ってこれはいいとしよう。だが、なんでIS学園に入れられたのさ!?しかも生徒としてとか馬鹿なんじゃないの!?アホなの死ぬの!?

 

いやまぁ実際死にかけていると言うか一歩間違えればあの世行きなのは間違いないし待った無し!なのはどう考えてもあるのだ。

 

 

 

俺は平穏な人生を送りたかっただけなのに……妹達に彼氏恋人紹介されてちゃぶ台返ししたりなんだかんだあって妹達のウエディングドレス姿とか見て泣いたりとかしたかっただけなのに……老後の人生のんびり送ろうとか考えてたのに……

 

 

 

ホントにマジでどうしてこうなった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんてネガティブな事を考えちゃったり。

しょうがないよね。だってこんなに短期間で人生変わるほどのイベントが盛り沢山だったら誰だってこうなっちゃう。特にクソ雑魚豆腐メンタルなおじさんにはきっつい冗談程度にしてほしいぐらいなのだ。そろそろ度重なる訳分かんない状況で怯えて死んじゃうかもしれない。

 

まぁそんなことは無いんだけども。

キレた千冬に追いかけられた時の方がよっぽど怖い。妹は怒らせると怖いんやでぇ……

 

 

それはそれとして、今日はまぁホントに平穏だよ。なんでだか知らないが今週は実技系の授業が何故か無いから毎日座って教科書開いてお勉強。個人的には身体動かしたいです。まぁでもこんなのもいいかもしんないね。

 

今日も今日とて椅子に座って教科書開いている。

そんでもって午前の授業が終わればやっとこさ昼飯の時間。何時も通り食堂に向かおうなんて考えていると一夏に呼び止められる。

 

「お兄ちゃん、ちょっと待って」

 

「ん?なんぞ?」

 

「今日はさ、天気も良いし屋上で皆でご飯食べない?」

 

「おー、いいぞ。そしたら購買で飯買ってくるからちょっと待ってろ」

 

「あ、それなら心配ご無用!なんと皆でお弁当作って来たからね!」

 

うせやろ俺に何の連絡も無しにお弁当とかサプライズ過ぎてびっくりやんけ。なにこれ俺の事を餌付けするつもりか?一夏に対しては俺も千冬も、もう手遅れな感じだけど。

 

「ほ?マジですか?」

 

「うん!私と箒と鈴とセシリア。皆でそれぞれ作って来ようって」

 

「それを俺は分けてもらうという事ですね分かります」

 

「そういう事だよ。それじゃ先に屋上に行っててくれる?ちょっとお弁当取りに行って来るから」

 

「りょーかい。んじゃ先に行って待ってから。ゆっくりでいいかんなー」

 

「はーい」

 

しっかし一夏だけじゃなくて箒も鈴もセシリアもか。

一夏はその腕を知っているからいいけど、箒と鈴、セシリアはどうなんだろう。

鈴に関しちゃ実家が中華料理屋だったしそれの手伝いしたりしてたから、まぁ心配無いだろうけど箒はそもそも料理が出来るのかって話だし、セシリアもこの前本を見れば簡単だとか言ってたけどちょっとばかり不安が残る。流石に人が食えないようなものは出してこないだろうし心配する必要も無いとは思うんだけど。

 

なんて考えて若干不安になりながらも屋上に向かう。幸いな事に今日は快晴で絶好と言ってもいいような空。そして気温もまだ心地良いと言えるようなものだから結構過ごしやすい。屋上には何故だか芝生が植えられているもんだから寝転がれば最高。

 

「あー……いい感じー……」

 

ごろんと横になれば抜けていくような青空が広がっている。青から段々と濃くなっていく色合いは、その向こうに宇宙が広がってる。

そう言えば束と会ったばかりの頃、こんな感じで空を一緒に見上げたっけなぁ。

あん時の束は自分の夢を話していて、その目はどんなものよりも輝いていた。

 

 

あの宇宙には何があるんだろう。

 

どんな存在が在るのだろう。

 

どんな生物が生きているのだろう。

 

 

あんなに目を輝かせて楽しそうに話していたのは印象に残っている。

なぜなら俺だって何度かあの宇宙に行ってみたいなぁ、とか思ったりしたものなのだから。

誰だって未知への恐怖はあるだろう。でもそれ以上に好奇心や探求心という物が上回るのだ。簡単な事を言えば無重力ってどんな感じなのかな、とか宇宙人は本当に居るのかな、とか。

こんな些細なものでも大人になってからも少しは気になるものなのだ。

 

個人的な意見を言えば人類ってのはその好奇心が無かったら此処まで発展することは無かっただろうと思う。

 

確かに最初は未知への恐怖だっただろう。例えば伝染病なんかがそうだ。

沢山の人々を救いたい、という思いも当然あるに決まっている。しかしその根底にはこれはどうなっているのか、という好奇心とそして理解したいと思う探求心があると思う。

 

そして束はそれが誰よりも圧倒的に強く、そしてそれを満たせるために必要以上の能力があった。束の事を常識が無いとかいう奴も居るがそれは大間違いだ。

 

そもそもの常識とは何なんだろう?

確かに社会常識なんてものもあるがそれもいい所と悪い所の両面を持っている。

科学なんかは最たるものだろう。幾らでも変わってくものなのだ。科学という物は。

 

老科学者が出来ない、不可能だと言った事は必ず出来る事なのだと俺は思う。

 

数年前に常識としてあったことが数年後の今じゃ非常識だなんて当たり前のこの世の中。そんな中で常識を叫ぶ奴はそれこそ非常識なのだろう。

まぁそんなことを考えている俺もそうなのだろう。

 

そんな俺ですら興味を持って、知りたいと思うような存在なのだ。宇宙という物は。束の気持ちもこれ以上、いや計り知れない物だったのだ。それを抑えろと言う方が酷だ。

それを考えれば今の世の中は束にとっては生きずらいのだろう。

 

 

まぁこんな事を考えていても仕方が無い。

今は一夏達が持って来てくれる飯の方が重要だ。

 

 

あー、空が青い。

するとフッと暗くなる。急な視界の変化に付いて行けないがよく見ると一夏だった。

笑いながら俺の事を見下ろしている。

周りには箒も居る。

 

「お兄ちゃん、何見てるの?」

 

「空。いや、宇宙かも」

 

「どっち?」

 

「分からねぇよそんなもん。どっちでもあるんだよ」

 

「そうなんだ」

 

そう言うと一夏は俺の横に座って言った。

 

「お兄ちゃん、お腹空いたでしょ?早く食べよ」

 

「そうだな……うん、腹減ってるしそうするか」

 

「うん!」

 

起き上がって一夏から渡されたお絞りで手を拭く。

そしてその後に渡された箸を受け取ると見覚えのある箸だった。

 

「これ、俺が家で使ってたやつか」

 

「うん。こんなこともあろうかと思って持って来ておいたんだ。二本あるから一本は家に置いてきてあるけどね」

 

「そっか。ありがとう一夏」

 

「うん、どういたしまして」

 

この一夏の事だ。そう簡単に家に帰れない俺に気を使っての事だろう。

少しでも家の事を感じられるようにって所だろうか。いっつも俺に飛びついてくる癖にこういう細かい気配りが出来るのだから立派なもんだ。

 

「セシリアと鈴には悪いが腹減ったんで先に食っちまおう」

 

「そうだね。あ、でもちゃんと二人のお弁当も食べてあげてね?」

 

「当ったり前よ。んじゃ、頂きます」

 

「はい、召し上がれ」

 

手渡された俺用の弁当箱。小さいのは他の三人の物も食べられるように、という配慮だろうか。

蓋を開けてみるとそこに入っていたのは生姜焼きとほうれん草とベーコンのバター炒め、それとベイクドポテト。

あぁ、これ俺の好きなものだ。一夏が家に居る時に作ってくれたものと同じだ。

 

「おぉ、久々の一夏の飯だ」

 

「でしょ?だからしっかりと味わって感謝して食べるんだぞー?」

 

「おうよ。むぐ……やっぱし一夏の飯はうめぇな」

 

「ふふん、そうでしょうとも!なんたって愛情たっぷりだからね!」

 

「そりゃ嬉しいね」

 

と話しながら、むぐむぐと食べ進めていく。

うーん、やっぱり一夏の作る飯は美味いな。俺も一夏が料理が出来るようになるまでは毎日千冬と一夏の飯を作っていたのだがこんなに美味くなかったぞ。やっぱし才能か。くそぅ。

 

隣で座ってる一夏はニコニコとしながら俺を見ているばかりで自分は食べようとしない。

 

「食わねぇの?」

 

「んー?自分の作った料理を美味しそうに食べてる顔を見れるのは作った人だけの特権だからね」

 

「そうなのか?」

 

「そうなの」

 

サッパリ意味分かんないね。まぁ嬉しそうだからいっか。

うん、うまいうまい。

するとそこに遅れて箒達がやって来る。

 

「お待たせしました。あ、やっぱり先に食べてましたね」

 

「おー、悪い悪い」

 

「いえ、気にしなくて大丈夫ですよ。それでは私達も」

 

「そうねー。お腹空いちゃったわよ」

 

「私もですわ。流石にこの時間になるとしょうがないですわね」

 

と口々に言いながら持って来た弁当を広げる。そして俺の分の弁当を渡してくる。ほー、これはこれは……

 

「私は酢豚とご飯よ。ほんとはもう一品作ろうかと思ったんだけどこれでも十分だと思ったから止めといたわ。脂っこいし」

 

「いや、これでも十分だ。いやしかしここまで上達しているとは思ってなかったわ。国に帰った時よりも明らかに上達したろ?」

 

「そりゃ勿論よ」

 

「頂きます……うん、うまいうまい」

 

口の中に入れれば酢豚特有のあの酸っぱさと甘さが。

うん、やっぱしうめぇな。

パクパクと食べ進めていく。気が付けば酢豚は無くなっていた。

 

「あー、こりゃ美味かった」

 

「そ。ならよかったわ。ほら弁当箱寄こしなさい」

 

「ん。あんがとさん。ふぃー」

 

手渡されたお茶を飲んで一息。うん、お茶が美味いね。相変わらずお茶を入れるのが上手いのな、箒は。そして箒も弁当箱を渡してくる。

 

「洋介兄さん、私のもどうぞ」

 

そして蓋を開けてみるとなんともまぁ考えられないぐらいの美味そうなおかずが詰められている。

 

「おー、これまた随分とすげぇな」

 

「でしょう?」

 

中に入っていたのは唐揚げに卵焼き、ほうれん草の胡麻和えと言った物だ。

なんじゃこりゃ、箒はこんなに料理が出来たのか。まぁ取り敢えず食おう。

 

「頂きます」

 

「召し上がれ」

 

「……唐揚げうめぇ!」

 

ふぅ……それは良かったです。他のも食べてみてください」

 

「うん……お、卵焼きも美味いね。しょっぱくて俺の好きな味だ。よく知ってたな?」

 

「それは勿論昔から見ていましたから。知らない訳が無いです(本当は一夏とかに聞いたりしたんだけど)」

 

自慢げに言う箒。嬉しそうに微笑みながらのその表情はやはり幼い頃とは随分と変わって天真爛漫元気一杯、なんて感じではなくなっていたがそれでも兄貴として贔屓目に見ても十分に魅力的だと言える。うーん、何が此処まで箒を成長させたんだろう?(←この変化が自分が原因だなんて思っていないおじさんの図)

 

はてさてそんな三人が作って来てくれた弁当を堪能した訳だが最後にセシリアも作ってきているのでそれもいただこう。どんなのを作って来たのかさっぱり想像がつかない。まさかとは思うがフォアグラとかキャビアなんてもんを持ち出してきたりしてないよな?

 

「それでは私の番ですわね。こちらをどうぞ小父様」

 

そう言って差し出して来たのは小さめのバスケット。

これは、多分サンドイッチか?

開けられた中身を見てみるとそこにはいくつかのサンドイッチが詰められていた。しかも想像していたよりも何十億倍も美味そうなものが。

 

「私はサンドイッチを作って参りましたわ」

 

「まじか。こんなに美味そうだとは思っても見なかったわ。なにこれ魔法でも使った?」

 

「むぅ!失礼ですわ!ちゃんと自分で作りましたの!」

 

「誰の手も借りずに?」

 

「勿論です!まぁ料理本を開いたりはしましたがそれぐらいですわ」

 

「そうなんか……そんじゃ頂きます」

 

「はい!」

 

そう言いながら一つ取って口に近づけていく。

うーん、セシリアってこんな完璧お嬢様だったのか。百パー料理なんてできないと思ってたからたまげたぞおい。でもなんでだろうな?どう見てもBLTサンドなのに滅茶苦茶辛そうな匂いがすんのは。うん、気のせいだな。そうだ気のせいなんだ。

 

一口、口に運ぶとBLTサンドの味が広がった……と思うだろ?

残念ながらそうはいかなかったんだな。

 

 

 

「うぎゃぁぁぁあ!?」

 

 

 

「え!?お兄ちゃん!?」

 

「洋介兄さん!?」

 

「え!?何!?」

 

「小父様!?」

 

 

 

「あ”あ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”!?!?!?なんだこれ滅茶苦茶辛い!?ゲホッガホッ!?へぁぁぁ!?」

 

 

 

 

「箒!お、お茶!」

 

「洋介兄さんお茶です!」

 

 

「ング……!?ブホァァ!?」

 

 

「ちょ!?噴き出さないでよ!」

 

「小父様ぁぁぁぁ!」

 

箒が渡してくれたお茶を飲もうとしてもそれを受け付けない。それどころか思いっきり噴き出してしまう。

皆して大慌てで大混乱。そりゃそうだろう。目の前の人間がいきなりこうなったら誰だってそうなる。

 

 

 

「ひぃー……ひぃー……な、なんらこえからすひらろ……」

 

「セシリア?一応聞くけどソースに何入れた?」

 

「え?赤みが足りないような気がしたのでデスソースやハバネロ等を入れましたが……」

 

「どう考えてもそれでしょ……いい?セシリア。BLTサンドにデスソースもハバネロも、取り敢えず辛い物は入れないの」

 

「その、申し訳ありませんでしたわ……」

 

ぐったりとしている俺の横で会話を繰り広げる四人。でも俺にそんな余裕は無く只々ぐったりとしているだけ。おじさん辛いもの得意じゃないんだよ。まぁ寿司にわさびつけるとかファミレスの担々麵ぐらいの辛さならいけるけども。

  

「小父様、本当に申し訳ありませんでした……」

 

「うん……気にしなくていいから……今度からは気を付けてな……」

 

そう言いながらセシリアのバスケットをこちらに引き寄せて中のサンドイッチを食べ始める。

 

「小父様!?」

 

「お兄ちゃん何やってんの!?」

 

「死ぬわよ!?」

 

「ゴフッ……作って来て貰ったんだから食うのが道理だろ……」

 

「小父様……」

 

「洋介兄さん、お茶はここに用意しておきますから」

 

なんて会話をしたところまでは覚えているんだがそっから記憶が無い。気が付いたら保健室で寝てたんだもん。

だって卵サンドが何故かとてつもなく苦かったり、マスタードを挟んでいるはずなのに何故か死ぬほど甘かったり訳が分からないよ。

 

 

 

敢えて言うなら俺は何故か宇宙を見た気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

はてさて気絶サンドイッチ事件(今命名)の数日後。相も変わらず平穏な日常を送っていたのだがそんなものは当たり前の様にぶち壊されていくのがこの学園での生活。

 

今日も今日とて朝起きて顔洗って着替えて飯を食って。毎日やっている事と変わらずに行ってから教室に向かう。そんでもって授業が始まるまで一夏達やクラスメイト達と話をしたりする。ここまでは良かった。ここまでは良かったんだ……

 

教室に入って来る千冬と山田先生を見ながら今日も一日が始まりましたなー、なんて考えていたのにそんな平穏を叩き壊して蹂躙して来たのは他でもない千冬だった。

 

「おい二人共。教室に入れ」

 

「「はい(はっ!)」」

 

うん、この時点では転校生なんだろうな、なんて感じで済ませられるんだけどそれが二人てなんじゃそりゃおいどういう事やねん。

 

しかも明らかに返答の仕方がおかしい子が一人いるよね?

はっ!って何?お主は何者?って思うじゃん。

 

入ってきて更に、驚き桃の木山椒の木。こりゃビックリたまげたなぁ。

金髪と銀髪なんだが、金髪の方は何故だか俺と同じような男子みたいな格好してるし銀髪の方は眼帯してるしもう何が何だかマジで分からん。

 

しかも銀髪っ子の方明らかに機嫌悪そうな顔してるんだよなぁ。ツンツントゲトゲ。ツン120%デレがマイナス120%とか頭悪そうなことを考えても仕方が無いよね。

 

 

だってさ、その銀髪っ子が俺を滅茶苦茶睨んでいるんだもの。そうだこれは夢なんだ。俺はまだ気絶して目が覚めていないんだ。うんそうだきっとそうなんだ。

 

そしてそれよりも遥かにヤバそうな匂いがプンプンしているんだ。何あれ男用の制服なんで着ているんですかねぇ?男装趣味でもあんのかい?

 

そんな事を考えて自分でも分かるぐらいの全力現実逃避をかましていても残念ながら変わる事のない現実ッ!

千冬の声によって進められる転校生紹介。つっても自己紹介しろってだけなんだけど。

 

「ボーデヴィッヒ、デュノア、自己紹介をしろ。名前だけで構わん。他は休み時間にでも各々聞きに行くといい」

 

さっすが千冬!こんな状況なのにあんなに冷静だなんて惚れちゃうわ!

いやでも教師だから二人の事は知ってて当然って事ですか。でも同じ部屋に住んでんだからちょっとぐらい教えてくれても良かったんじゃなくて?お陰でお兄ちゃんの胃はハリケーン並みに荒れ狂うこと間違い無しなんだからね!(情緒不安定)

 

そして始まる自己紹介。

まぁ希望はあるよね。俺はこのまま平穏無事に凪いだ海を手漕ぎボートで進むが如くの生活をおく……

 

「えっと、シャルル・デュノアです。一応言っておくと男です。よろしくお願いします」

 

はい詰んだ。

なんでやねん!?おかしいやろおい!どう見たって女じゃねぇかちくしょー!?

もうどう考えても事故案件でしかないじゃんか!?

骨格とか身体つきとかどう考えても男じゃねぇし、よくよく考えてみたら俺がIS動かした時に出て来るはずだろぉ!?それが今になって出て来るなんて訳アリもいい所なレベル!!

 

 

そして急に冷静になって考えてみる。

 

ううん?これはどう考えても地雷ですね分かります。そして俺はそれを踏み抜いて全力で死にに行くしかないのか。

 

 

 

もうおじさんつかれたよ……

 

 

 

 

 

 

人知れず死にかけていく俺なんて知らんと言わんばかりに進んでいく。

 

 

 

「ど、どういう事!?」

 

「知らないわよ!でも……」

 

「「「「「金髪美少年キターァァァ!!」」」」」

 

フフフフ……お主らそれでええんか……

もうダメだぁ……

おじさんの事など知ったこっちゃないと言わんばかりに大騒ぎになる教室。そして頭を抱える千冬。何だこれもう分かんねぇな。

 

「やっぱりこうなったか……えぇい!お前達少し静かにしろ!」

 

頭を抱えながらも事態の鎮静化を行う千冬は大きな溜息を吐きながら言った。

 

「ボーデヴィッヒ……自己紹介をしてくれ。手短にな……」

 

「はっ!」

 

「返事ははい、だと言っているだろう……」

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

千冬の言ったことをしっかり守ってるね。うんいい子いい子。でもさぁ、その滅茶苦茶不機嫌そうな顔が無ければ百満点だったのにもったいねー。

 

 

それで終わると思ってたんだ俺は……なんでこんな簡単に気を抜いてしまったんだちくしょう……これが無ければ俺は死ぬことも無かったのに。

 

 

あー、自己紹介終わりましたねはい授業しますよー、的な感じだったのにどうしてだかボーデヴィッヒはツカツカと俺の元へ歩いてくる。

 

「およ?どうかしたかねお嬢さん」

 

「この……」

 

「ん?」

 

 

 

「この……シスコンがッ!!!」

 

 

 

でっかい声でそう言い放ったのだ。

うん、おじさん分からないよ……どうして俺は初対面の銀髪美少女にシスコン認定されてるのか分からないよ。

 

 

 

 




作者は寝っ転がって空を見るのが好きなんです。なんだか空に手が届きそうな感じがするのがとても好きです。



それと皆ラウラの所でビンタかまされると思ったでしょ!?残念でしたー!プークスクス!ねぇ予想を裏切られて今どんな気持ち!?ねぇどんな気持ち!?


すんません。調子に乗りました。

いやでもね?ぶっちゃけ千冬は二連覇してるしどうやってもビンタ案件にはならないねん。だから滅茶苦茶でもおふざけに走ったというわけさ!
そして安定の中途半端感半端ないよね。気にすんな、何時もの事だからさ!

あ?シリアス?多分あるんじゃねぇの?(適当)


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