おじさん、今年で36歳になるんだけれども   作:ジャーマンポテトin納豆

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おじさん、早く目を覚まさないと大変な事になるぞ……




ドイツ許すまじ!厳罰に処してやるわ!……束と千冬がなぁ!あぁっ!?千冬のハイライト様が何処かに行ってしまわれた!?

 

 

 

 

ーーーー side 束 ----

 

 

 

おじさんの治療を始めてからもう三日目。

これでも治療を開始してから直ぐの時よりはずっと容体が安定している。

死なない限りは何が何でも生き永らえさせるって約束した手前、そんな事にはさせないけどそれでもおじさんの身体はおじさんの物であって私がコントロール出来る訳じゃない。

問題が起きたらその都度私が対処する。

 

実際にこの三日間、四回ぐらい問題が起きては私がそれを何とかする事があった。

でも命に関わるような問題は一回だけ。残りの三回はその場で直ぐに対処して解決しちゃえば問題は無いもの。だから直ぐに解決して、それからおじさんの治療に移る。

 

と言っても身体の器官や組織を殆ど総取り換えする。

言ってしまえば故障したロボットの部品を全部取り換えてオーバーホールするような物。

機械なら何てことは無いし、ちゃんとやっておけばそれ以降問題が起きることも無い。だけどそれはあくまで機械の話。

おじさんの身体は機械じゃない、生身の生きた人間だ。それも私にとってこの世界で最も大切な人。だからもし何かあったら大変だ。

慎重に、慎重に治療を進めていく。

 

その時、私はとっても良い事を思い付いちゃった。

おじさんは普通の、生身の人間だ。幾ら私やちーちゃんと同じくらい、もしかしたらそれ以上強いかもしれないとは言っても普通の人間なのだ。

おじさんが死に掛けたのは、あくまで『生身の人間』だったから。

ISに殴られてしまえば骨は砕けてしまうし、蹴られれば内臓はやられてしまう。

 

 

それならもし、おじさんがそうならないような身体を持って居たら今回の様な事が起きたか?

答えは簡単。起きなかったに決まってる。だっておじさんだから。

本人はもう年が云々言ってるけど肉体年齢はまだニ十歳ぐらいだし内臓年齢もお酒を殆ど飲まないしいっちゃんの健康を意識した三食のご飯のお陰でニ十歳半ば。

筋トレとかの運動のお陰で身体機能も十代。心肺機能も十代だし本人が言うほど衰えていない。寧ろ歳を取るごとに何故か若返って行くのだからある意味でおかしい。

 

だけどそんなおじさんでも今回VTシステムに殴られて、蹴られてこうなってしまった。だから私は考えた。

ならおじさんの身体をそんな事が無い様にすればいいんじゃないかって。

まぁター〇ネーターみたいにするわけじゃないし核融合炉なんて使う訳も無い。

ロボットにするんじゃない。

 

普通の人間とは段違いの強度を持たせれば良いだけの話。

例えばISの特殊装甲以上の強度があれば内臓が破裂したり、骨が折れたり筋肉が断裂したりする事なんて無い。

ついでに強度が上げるのならパワーも持久力も何もかも上げてしまおう。

そうすればおじさんは無敵。

 

そう言う訳で培養した内臓や筋肉、骨、血管その他諸々はISに私が使用してる特殊装甲以上の強度を持って居る。

私が開発した装甲だからそりゃ他なんかと比べるまでも無い強度。

多分爆弾だろうがミサイルだろうが何だろうが余裕で耐えられる。熱や寒さに対してもちゃんと対応しているし。

 

ただちょっと心配なのが内臓とかは何とかなったんだけど、無事だった脳や目と言った頭部は全く今回そう言う事を施せなかった。

まぁでも頭蓋骨の強度を一番に高めておいたし、強い衝撃があっても大丈夫なようにしてあるから滅多な事は無いと思うんだけど……

 

強度が上がったことで必然的に物を支える力、耐久力なんかの数値が軒並み吹っ飛ぶぐらい上がった。

ついでにナノマシンの投与の副作用で視力が滅茶苦茶良くなったりとかするけど問題は無い。

 

うん、まぁ、その、ちょーっと、やり過ぎちゃったかなぁ……

 

これは流石に怒られるかも……

でも元に戻すには手遅れなんだよね……だってもう五十七%は移植が完了しちゃってるし、しかも血管に関してはもう血が通い始めちゃてるからこれを治そうとするとこれまた時間が掛かるしおじさんへの負担も大きい。

 

だからもうこのまま進めちゃうしかない。

それに強くなる分には問題無いと思うんだよね。結果的に自分の身を守れることに繋がって来る訳だし。私達の事も守れる。おじさんが、私達が怪我をしたりして悲しまなくても済むからこれは必要な事なんだと思う。

 

おじさんは私達に傷付いて欲しく無いって言って、何かあれば最前線に立って戦い続ける。でも私達は、同じ様におじさんに傷付いて欲しく無い。

 

私が、私達がそれを言ってもおじさんは多分困ったように笑って頭を撫でて来るか、冗談を言って流されちゃう。だからこの力は必要なんだ。

 

 

今も滅茶苦茶に私の所に掛かって来るちーちゃんといっちゃんと箒ちゃんの電話が怖いからなんて理由じゃないよ?三人だけじゃなくて金髪の子も電話越しになんか病みそうな声で話し掛けて来るのが怖いからなんて理由じゃないよ?

 

 

……あの四人、ものすっごく怖い。

 

 

 

 

 

 

 

それとおじさんと一緒に連れ帰って治療をしている銀髪の子、ラウラちゃんだけど思ったよりも回復が早くてもう怪我に関しては回復してる。

軍人だったからなのか、それとも出生に由来するものなのかどちらなのか分からないけど。

でもやっぱり体力や気力を消耗し尽くしたのか未だに目が覚めない。

それ以外は全部正常だし、何の問題も無い。

 

私はおじさんの治療に専念しちゃって、基本的に何かあったら直ぐに対応できるように二十四時間張り付いている。だからお世話はくーちゃんに任せていている。

 

という訳で今の所は安定してるし、特に問題は無いかな。

という訳でおじさんのモニターをしっかりと見ながら、時間を無駄にしない様にクソドイツにやらかした事の責任を取らせるために色々と証拠集めをしなくちゃね。

 

ニュースを見ればチラホラと今回の件はドイツがやらかした、って言う事が流れている。多分他国も勢力争いでドイツの件の証拠を集めているけど多分得られない。

 

って言う事で私がやる。

まぁ何処かの国に渡すなんてことはしない。私が直接引導を渡してやるんだ。

これは、おじさんの敵討ちだよ。

 

 

さーてと、どれから探ろうかな?

一応学園側から依頼されていたからそれなりに情報は集まっているけどこれじゃ完膚なきまでに、二度と立ち上がれなくなるぐらいに叩きのめすにはまだまだ全然足りない。

 

というかこれ、酷いねぇ……

ドイツとフランスの上層部が癒着でもうベッタリだし、そこに女権団まで加わってもう滅茶苦茶だね。

 

一応今回のVTシステムの件を主導したのはドイツ軍の上層部と科学者の独断っぽいね。開発にはフランスのデュノア社まで関与、ついでにフランス軍も裏から資金援助、技術提供等を行っていると。

 

完成して実戦投入可能段階になったらドイツからフランスへ技術の供与、ね。

これは随分とまぁ手が込んだ計画だよ、本当に。

 

ただ君たちの失敗はその情報を紙媒体では無くて電子媒体に残していた事だ。

電子機器なんて私に掛かればチョロいもんさ。

 

IS学園の設備は基本的に私が設計、開発、建設をしたから結構時間が掛かるけどそれでも、もう何年も前の話。流石に時間が掛かるけど普通にハッキング可能だし、多分私以外じゃ侵入不可能なんじゃないかな?

 

 

それじゃ証拠として研究データを全部コピーして……と。

それが終わったら全研究データを消去してやろう。ついでに二度と修復、サルベージ出来ない様に細工をしてやる。こうすれば研究データをサルベージして修復なんかも二度と出来なくなる。

 

ついでにくーちゃんやラウラちゃんの出生関連の事やドイツフランスの後ろ暗い、少なくとも日の目を浴びる事が無いであろうデータも全部コピー。

 

最初は物理的にドイツをこの世界から消してやろうって考えてたけど、それじゃぁ罰にならない。

長く苦しみを味わて貰わないとね。

 

そうして作業を進めていると不可思議なデータを発見した。

 

「……およ?これは、何だろう……?見た事が無いなぁ……」

 

見た事が無いデータが一つだけあるな。

……うん?これはVTシステム関連だね……でも詳細が分からないな。

それ以外のデータも幾つかあるけど全部同じような感じ。

題名はあるけど中身が無い小説みたいな感じで全く分からない。

 

一応データの復元を試みてはみるけど私がやったようにデータのサルベージや復元が出来ないような処置が施されていて難しいかも。

 

難しいと言うだけで出来ない訳じゃないから何とかなる。

ただ時間が掛かるってだけの話。少なくともドイツとフランスの事を世界中に大暴露する時には間に合わない。

 

 

 

コピー状況を見てみると、殆ど終わっていた。

よし、これを後はちーちゃんに渡す用をコピーすればいいだけ。

これは十秒もあれば終わる。

 

このデータは早めにちーちゃんに渡しておいた方が良いかな。

流石に郵便で送る訳にも行かないから直接手渡しにしよう。

 

こっそり誰にも気が付かれない様に私を透明化して、ちーちゃんのスーツのポケットに入れて置こう。

 

 

 

「束の奴、何故電話に出ない……?兄さんはどうなった……?まさか死んだ?死んじゃった?いやいやそんな事はある筈が無い。あって堪るか……あってはならないんだ……でももし兄さんが死んでたら?どうしよう……あぁそうだ同じ場所に行けばいいんだ……そうすればずっと一緒……」

 

「束さん、電話に出てくれないかなぁ……お兄ちゃんとお話ししたいのになんで出てくれないの?もしかして独り占め?独り占めなの?束さん、それは駄目だよぉ……?お兄ちゃんは私のなんだから……」

 

「私は何も出来なかった……洋介兄さんがボロボロになっているのに助けてあげられなかった……何時も助けて貰ってばかりで私は洋介兄さんを助けてあげられない……?いやそんなことは無いはずだ……洋介兄さんを守るのは私なんだ……洋介兄さん、兄さん兄さん兄さん兄さんニイサンニイサンニイサン……」

 

「小父様、あぁ小父様早くお元気になってお会いしたいですわぁ……あぁ、その腕で抱き締めて、頭を撫でて欲しい……命がけで戦って私達の事を守ってくれた小父様を抱き締めて、キスをして褒めて差し上げないと。あぁでもあんなに無茶をされたのですから少しぐらいのお小言は許されますよね……?」

 

 

 

……私は何も見ていない。

ハイライト大先輩が何処かに行ってずっとブツブツ言っている親友やその妹、自分の妹や、おじさんの事を呼びながら恍惚とした表情の子なんて見てない。

 

 

ひぇぇぇ……触らぬ神に祟り無しだよぉぉぉ……

 

 

ちーちゃんだった何かのポケットにデータのコピーを入れてさっさと退散する。

あんなの関わったらその場で殺されちゃうやつじゃん……

 

おじさん早く目を覚まして何とかしてください本当にマジで。

とばっちりは御免だよ。

 

というかもう胃痛が凄いんだけど……!

キリキリキリキリずっとしてるしぃ……!そんな事ある筈ないのに……

 

 

見つからない様に自分の持てる能力の全てをスニーキングに振ってラボに帰る。

するとくーちゃんが出迎えてくれた。

 

「お帰りなさい、お母様。様子がおかしいですが何かありましたか?」

 

「……皆がハイライト消えててスッゴイ怖かった」

 

「お父様は愛されているからですね。当たり前です」

 

「くーちゃんが中々にズレた子に育っちゃったよ……」

 

おじさんはくーちゃんに会った事があるんだけど、色々と事情があってその時の記憶を消しちゃったんだよね。

確かくーちゃんが私の娘になった時は(公的な書類とかは無いんだけど)今よりもずっと小さくて、でもおじさんに優しくされて完璧に懐いちゃったんだよね。

おじさんの記憶を消してラボに戻ってきた時に、キラキラした目で、

 

「あの人は誰ですか!?お母様!」

 

なんて言われちゃってこれ下手なこと言うとライバル増えそうだしな……しかも義理とは言え自分の娘とか嫌すぎる。なんて考えて、

 

「あの人はくーちゃんのお父さんなんだよ」

 

「お父様……!お母様と夫婦という事ですね!」

 

美味い返しが思い付かず慌てて返しちゃったから

 

「えっ!?あ、あぁ、うん、そうだよ」

 

なんて訳の分からない事を答えちゃってそれはもう更にきらきら輝いた目をしちゃって……

今考えればこれは一番の地雷を踏み抜いていたのかもしれない。

 

 

ちーちゃん達とくーちゃんがエンカウントした時の地獄絵図を想像したら胃痛が酷くなった……

 

絶対バチバチやって私に飛び火するよぅ……

でも元凶を作った張本人が自分だから逃げようにも追いかけられて結局捕まるまでがワンセット……

いざとなったらおじさんに助けて貰おう。

 

「そう言えばお母様、ラウラが先程目を覚ましましたよ」

 

「そっちを先に報告しようよくーちゃん……様子はどんな感じ?」

 

「身体機能に関して言えば可も無く不可も無く、至って普通といった感じでしょうか?ですが」

 

「やっぱり精神面でダメージが大きい、か」

 

身体機能に異常は無し。各臓器、器官もちゃんと正常に機能しているしこの分ならこれから先、何かしらの異常が起きることは無い。

 

でも、やっぱり予想していた事とは言え、精神面のダメージがあるか

ダメージの大きさにもよるけれど精神の治療は限りなく難しい。

腕を失ったら唯取り換えればいい、義手を付ければいいって言う簡単な話じゃない。

心は入れ替える事が出来ない、その人しか持って居ない世界に唯一のものだから。

 

一説によれば、戦争に行った部隊の半分が戦死して、残りの半分の内の半分が心的外傷後ストレス障害に悩まされると言う。

単純に考えれば一万人の内の二千五百人はPTSDに罹るという事。

 

症状の差はあれど常に日常生活に支障をきたすレベルから、日常生活を送る分には問題無いが何かしらの要因でパニックを起こすと言ったレベルまで様々。

 

何が言いたいかと言うと、それほどの訓練された人間がこういう事になるという事だ。

ましてやラウラちゃんは軍人とは言っても十五歳の女の子。

それが周りの人の命を脅かした原因が自分ともなれば、そのストレスは計り知れない。

 

「その様です。起きてから暫く経ちますが何というか、上の空の様で、話し掛けても反応がありません。一応聞こえてはいるようなので聴覚に異常はありませんが……しかも最中の記憶があるらしく、聞こうとした瞬間に取り乱しました。今は眠っていますが」

 

「そっかー……」

 

「どうされますか?」

 

「うん、取り敢えずお父さんの治療が終わったら会おっか。話はそれからそれから。じゃないとメンタルケアも出来ないしね」

 

「分かりました。その時はお父様をどうされますか?」

 

「くーちゃん見ててくれる?」

 

「勿論です。それでは私はラウラに付いていますね」

 

そう言ってくーちゃんはラウラちゃんの所に戻って行った。

それじゃぁ私はおじさんの治療が終わるまではくーちゃんに任せておいて、私はそっちに専念しなきゃ。

 

 

 

 

 

 

 

三日後、おじさんの治療が完了した。

ちゃんと調整もしたから起きた時に身体を動かしたりしたときに違和感とかを感じることは無いはず。

もし感じたとしてもそれはあくまで一度無くしたものが自分の所に戻って来たって感じの違和感だからそれ程問題は無い。

 

今はまだ眠っているけどそれはあくまで体力を回復しているって事だからあと二日もあれば目を覚ますと思う。

ポッドから出て、ベットに移って貰った。

その時くーちゃんがおじさんの手をニギニギしてたけどまぁ、うん、お父さんと久しぶりの触れ合いだから仕方が無いよね。

決して変な意味は無い。と思う……

 

それじゃぁ次はラウラちゃんのメンタルケアに移ろう。

早い方が良いんだけど如何せんおじさんの方が緊急性が高かったからそっちを優先せざるを得なかった。

 

「初めましてラウラちゃん。私の名前は篠ノ之束って言うんだ」

 

「…………」

 

挨拶をしても反応は無く、ボーっと何も無い空間を見つめている。

その目に生気は感じられず、ただそこに居て呼吸をしているだけの様な感じだ。

 

うーん、これじゃ会話が出来ないんだから話を聞いて治療する事も出来ない。

今日は取り敢えず引くかなぁ……

 

こういうのは長い時間と根気が必要なんだから。

 

 

 

 

 

次の日、昨日と同じ様に私はまたラウラちゃんの所に来ていた。

挨拶をしてもやはり返事は返って来ない。ただボーっとして一点を見つめているだけ。

幾らか私が一方的に話して終わった。

 

 

ーーーーーーー

 

 

今日もラウラちゃんからの反応は無かった。

相変わらずボーっとしていて動くことも無くただそこにいるだけの存在になっている。

 

 

ーーーーーーー

 

 

今日もラウラちゃんの所に行った。

やっぱり生気の無い目でボーっと何も無い空間を見つめていて、そこに私が一方的に話しただけだった。

 

 

-------

 

 

 

 

 

 

 

 

うーん、今日ぐらいにおじさんの目が覚めてもおかしくは無いんだけど。

そう思って今日はおじさんの事を見ていた。

 

あ、ちゃんとラウラちゃんの所に行ったよ?

まぁ相変わらず私が一方的に話し掛けただけだったけど。

 

それが終わってからおじさんが寝ているベットの横に椅子を置いて寝顔を見ている。

なんか、おじさんの寝顔って久々に見た気がするなぁ。

 

くーちゃんはラウラちゃんの事を任せているからそっちに付きっ切り。

でも私がラウラちゃんの所に行く時はおじさんの事を任せているからその時はとっても嬉しそうな顔で傍に居る。

 

でも私が戻るのが早いとかブーブー文句言ってたけど。

そんなこと言われてもラウラちゃんに一方的に話し掛けるだけなんだからすぐに終わっちゃうのも仕方ないってば。

 

そうやって見つめながら、何時も撫でられてばかりだった私は、なんとなーくおじさんの頭に手を伸ばしてちょっと堅めの髪の毛を撫でる。

 

「んふふふ……」

 

今じゃ容体も安定していて、ただ寝ているだけ。

 

「本当に、早く起きてくれないかなぁ……みんな心配してるよー?」

 

一人でそんな事を言いながらおじさんの頭を右手で撫で続ける。

左手はおじさんの手を握っておく。

 

すると、今まで動かなかった手がピクリ、と動いた。

気のせい?私が早く目を覚ましてほしくて感じた気のせい?

 

「おじさん?」

 

声を掛けるとまたピクリと動いた。

気のせいなんかじゃない。

 

「おじさん」

 

もう一度声を掛けると今度はピクピク、っと連続して動いた。

でもどうする事も出来ない。目を覚ますのはおじさんの力だからだ。

 

「おじさん、頑張って……頑張って……早く目を覚まして……!」

 

必死に語り掛ける。

早く目を覚ましてほしくて。

 

その願いが通じたのか、それとも違うのか。

ゆっくり、ゆっくりと目が開き始めた。

 

完全に目を開くと、少しだけキョロキョロと目だけを動かして周りの様子を確認した。

 

「おじさん!」

 

「おぶふぅ!?」

 

「わぁぁぁぁ!?おじさんごめーん!」

 

「いったぁ……くない?あれ?え?なんで?これだけの質量を受け止めて?」

 

痛みを感じない事になんだか不思議そうにしている。

うんまぁそりゃそうだよね。だってもうおじさんは普通だけど普通じゃないから……

 

「今どういう状況?何がどうなってるの?」

 

「うわーん!おじさんがやっと目を覚ましたよー!」

 

「なにこの状況!?」

 

泣き出しちゃった私を呆然と見ながらも何だかんだで慰めてくれるおじさん。

そのあと、私が落ち着いてからおじさんの身体や意識に異常が無いか確認をする。

 

結果、記憶の混濁も無く、しっかりとした受け答えが出来ていて異常無しという事になった。そりゃ私が治療したんだもん一寸の狂いも無いよね!

 

という事でおじさんが目を覚ました。

 

 

 

 

本当に良かった。

 

 

って事で早くちーちゃん達に知らせないと。

じゃないと本気で私とおじさんの命が危ない。

 

 

 

 

 

 

ーーーー side out ----

 

 

 

 







目を覚ますのが遅れれば遅れる程身内からの危険でおじさんがピンチになるって言う……
具体亭に言うと物理的な繋がりを欲した妹達から連日貞操を狙われる様になる。

本人達曰く、

「こうすれば兄さんは私を置いて何処かに行ってしまう事なんて無くなる」

とかなんとか。

一応予め言っておきます。こんな文章書いておいてあれですが、言っておきます。
(ヤンデレは)絶対にないです

何度でも言いましょう。
(ヤンデレは)絶対にないです。






正直、くーちゃんの設定を弄りすぎたとは思っている。
だけどこれで満足しているから作者は反省も後悔も謝罪もしないッ!
だって娘なくーちゃんとか最高じゃん!?



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