おじさん、今年で36歳になるんだけれども   作:ジャーマンポテトin納豆

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ほぼほぼおふざけですけど、文字数は余裕の2万字越えです。
たっぷりお楽しみください。シリアス?知らない子ですね(すっとぼけ)


この話を書いたのってガチの徹夜明けなんですよ。一切睡眠を取らずに書いたんでぶっちゃけあちこち変な所とかあるかもしれませんがあんまり気にしないで下さい。
この作者はそういうもんなんだって思ってくれて結構です。




水着の辺りに関するおじさんの感想は作者が暴走した結果です。











臨海学校だ!水着を着ろ!おじさんを悩殺しろ! 襲い来る女子高生達!逃げろおじさん!(逃げ切れる保証はありません

 

 

 

 

「さんはい」

 

「「「「「「うーみーはーひろいーなーおーきいーなー!」」」」」」

 

うむ、皆声が揃っていてよろしい!グッジョブ!

で、なんでクラスメイトの少女諸君が歌っているのかと言うと、勿論俺の差し金!ではあるんだけれども。

 

今日は臨海学校当日なんだな!

いやー、本格的に夏になり始めてあちーのなんの。

 

そんな中に臨海学校とか言う海に入れちゃうイベントがあったら女子高生達はテンション上がるぜそりゃ。

だからてんテンション上がった皆と大合唱してるって訳だ。

 

出発時刻は朝7時。

全寮制だから集合が楽で出発時刻は早い。

まぁ、別に問題は無いよね。ぶっちゃけここに入学してから早寝早起きが基本生活な訳だ。日を跨ぐ事も稀。

 

ま、少女諸君はそんなこと無い様だったけどな。

大方、夜中まで起きてたんだろうさ。

 

それなのにこんだけテンション高められるんだから、やっぱり若さって良いもんだね。

 

 

 

右側の列に座っている千冬と山田先生は涎垂らしてくーすか寝ている。

 

目の下に隈があるのを見ると昨日も遅かったんだろうなぁ……

 

これだけ大騒ぎしている中であれだけ爆睡出来るんだからその疲れは余程のものだろう。まぁ、寝かせといてあげましょうか。俺達の為に必死に仕事してくれてる訳だしな。

 

万が一の事があったとしても千冬なら即座に対応出来るだろうし自信過剰って訳じゃないが俺も居るしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の席に大人しく座ってボケーっとしてると、隣の席に座っていたラウラが袖を引っ張って俺に何か聞きたい事がある様で。

 

「どうした?」

 

「父よ、海とはどんなものなのだ?」

 

「お、ラウラってば海見た事無いんか?」

 

「いや、あるにはあるのだが写真か映像越しでしか見たことが無かったのだ。それにあの時は別にISに乗って訓練をしていられるだけで十分だったからな」

 

「ほうほう。という事はラウラは海を直接見たり触れたりしたことが無いと言う事だな?」

 

「うむ。だから父に教えて欲しいのだ」

 

さて、どう説明してやるか。

馬鹿正直に答えるのもなんかあれだしな。

少しからかってやろう。

 

「んー……タコとかイカが一面に泳いでて、海に入ろうものなら吸盤びっしりの腕に掴まって海中に引き摺り込まれて千切られて食われる。「ヒェッ!?」で、それを狙ったサメとかが更に俺達を食ったイカとかタコを食っちまう弱肉強食の地獄絵図が海だな」

 

途中、変な声が聞こえたけど気のせいか。

うん?ラウラの反応が無ぇな?やっぱしあんま効果無かった?

 

「………………」

 

「あれ、ラウラ?おーい、ラウラちゃんやーい、どうかしたんですかー?……気絶してやがる」

 

違った、気絶してた。

しかも見事なまでに白目をむいてちっちゃなお口から魂が抜け出しちゃってる。

 

ちょっと冗談を言っただけのつもりだったのに。

と言うかこの話のどこが怖かったんだろうね?ぶっちゃけ作り話にしても速攻でバレるレベルの雑な作りだと思うんだけどな。

 

まったくもー、こんなしょーも無い話を信じちゃうだなんて……

 

ラウラちゃんてばッ!本当にッ!純ッ!粋ッ!なんだからッ!

 

一人でそんなことを考えているとさっきまで楽しみでぴょこぴょこ落ち着きなく動いていたラウラが急に動かなくなったことを心配して、一夏がラウラの顔を覗き込む。

 

「ねぇお兄ちゃん、なんでラウラ気絶してるの?」

 

「おー、それがよ?ちょーっと本物の海を見た事無いっていうから冗談のつもりで適当言ったら怖がってひっくり返っちまった」

 

「……お兄ちゃん、後でちゃんと謝ってね」

 

「ウィッス!」

 

一夏に説明したらまーたやってると呆れた表情で怒られました。

 

 

 

 

 

 

 

さて、今の今まで山間を走っていたバスはそろそろ旅館のある海岸が見えるであろうか、という辺りまでやってきた。

 

「ほら、ラウラ起きろって。もうそろそろ海が見えてくる頃だぞ」

 

「……ハッ!?私は一体何を……む、父よ、私は怒っているぞ」

 

「ありゃ、忘れてくれてたと思ったんだがな」

 

思い出した!って顔をしてから腕を組み窓の方へそっぽを向く。

なんか、初めて会った時よりも幼くなっているような気がするのは気のせい?

まぁいいや。

 

「忘れる訳無いぞ!あんな怖い話は初めてだ!」

 

「そりゃすまんすまん。俺が悪かった。この通りだ。どうか許してくれ」

 

「むー……」

 

何故そこで悩むのラウラちゃん。

スパッと許してくれって。

 

「ラウラー、悪かったってば。許してくれ」

 

「お願いを一つ聞いてくれたら許す」

 

「お願い?まぁ、良いけど」

 

俺が頷くと、ラウラは嬉しそうに笑う。

お願いを1つ聞いて貰えるだけでこんだけ嬉しそうに笑えるなんて、本当に家の娘は良い子なんだぞ……!

 

「ほんとか!?ほんとだな!?」

 

「お、おう、本当だって。嘘付いたってしょうがねぇだろ」

 

「ふふふ、やった」

 

「あ、だけど俺が出来る範囲でのお願いだからな。無茶苦茶なのは駄目だぞ?」

 

「そんなこと勿論分かっているとも。私は父を困らせたりしない良い娘だからな!」

 

そう言ってフンス!と胸を張る。

その姿はそれこそ小学生ぐらいの時の千冬や一夏の様な無邪気さがあった。

 

何となく、ラウラの頭に手を伸ばしてワシャワシャっと撫でてた。

 

「わっ……どうしたのだ父よ、急に私の頭を撫でて」

 

「いーや、なんでもねぇよ」

 

「?」

 

ラウラはそう聞いてくるが、嫌では無いらしく嬉しそうに目を細めてニヘっと笑った。

 

 

 

 

「おっと、このトンネルを抜けたら海が見えてくるはずだ。ラウラ、窓の方よーく見とけ」

 

今通過しているトンネルを出れば、すぐに海が見えるはずだ。

それをラウラに教えてやると、苦虫を嚙み潰したような顔で窓の方から顔を逸らす。

 

「う……タコとかイカがうじゃうじゃ居るのだろう……?見たくない……」

 

「ダッハッハッハ!まだ信じてたのか!お前は素直過ぎるぜ!」

 

「んなっ!?」

 

「ありゃ嘘だ嘘!ただラウラをからかっただけだって。だから安心して見て大丈夫だ。多分、驚く光景が広がってるぜー?」

 

思わず笑っちゃったじゃん。

ラウラは抗議を行っているつもりなのか服を掴んで揺さ振ってくる。

 

いや、でもまさかまだ信じてたとは。

 

「考えてみ?そんなのがいるような所に態々泊りで俺らが来るわけないだろ?」

 

「……それもそうだ」

 

「だからビビんなくて大丈夫だ。よーく見とけよ、世界ってのは思っている以上に広いんだ。特にラウラにとってはな」

 

「本当に、うじゃうじゃうねうねしていないんだな?」

 

「本当だってば。これ以上嘘付かないって」

 

「ほ、本当の本当だな?」

 

「本当の本当」

 

「ほ……」

 

「はいあっち見ましょうねー」

 

何度も聞いてくるので頭を掴んで窓の方を向かせた。

で、丁度タイミング良くトンネルを抜けた。

 

「「「「「「海だぁーーーー!!!!」」」」」」

 

ラウラの驚きの声よりも先にクラスメイト諸君が騒ぎ始める。

ワイワイキャイキャイと大騒ぎ。

一夏は勿論、箒もセシリアもシャルロットもテンション高めだ。

 

で、ラウラはと言うと。

 

「おぉ……!」

 

驚嘆の声を上げて窓に張り付いている。

 

「父よ!父よ!凄いぞ!キラキラ光っててずーっと向こうまで続いているぞ!」

 

「喜んでくれたようで何より」

 

俺の方を向いて皆以上にはしゃいでいるラウラは、キラッキラした目で見上げてくる。

再び海の方を見ると、早く入りたいとか砂浜で遊びたいとかって言う気持ちが抑えられていないぐらいにソワソワソワソワソワソワ……

 

なーんか久々だな、この感覚。

 

 

おじさんも、思わず嬉しくなっちゃって笑っちゃうのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「千冬、山田先生、そろそろ起きてくれ」

 

「んぁ……?……兄さん……」

 

「しゃしゃきしゃん……?どうしてわたしのへやに……?」

 

肩を揺すって起こすと二人は寝ぼけている。

千冬は何時も通りだとしても山田先生のお部屋ですか?見てみたい。

 

「もうそろそろ着くんで二人とも起きてくれると嬉しいんですけどー」

 

「……ん”ん”-……!」

 

「ふぁ……」

 

二人はそれぞれ伸びをしたり、欠伸をしながらペットボトルの中身を飲んだりとそれぞれ眠気を覚まそうとする。

 

 

 

 

ちょっとすると完全に目を覚ましたのか肩の凝りをグリグリやっている。

 

「兄さん、起こしてくれてありがとう。まさか寝てしまうとは思っても居なかった」

 

「私もです。でもバスの中だったのにすっごく気持ちよく寝れました」

 

「そりゃ良かった。そんじゃ二人は軽く服装を整えたらいかが?」

 

「そうだな……山田先生、背中側頼めるか?」

 

「はい、勿論です!」

 

そう言って服装を整え始める二人。

まぁ、眠いのも仕方ないよな。そりゃここ最近は各国の朝昼問わずの傍迷惑な俺と面会させろという電話の対応に加えて臨海学校の各種調整やら準備やらに追われつつ千冬は一年生寮の寮長で、山田先生も副寮長でもあるから見回りとかもやらなきゃならない。

 

そんで諸々の仕事が終わるのが二時か三時ぐらい。下手すると四時になる事もある。

毎晩毎晩、三時四時まで仕事をしてそこから風呂に入って飯を食わないとしてもベッドに入って寝られるのは五時ぐらい。もうお空が明るくなっている時間です。

で、先生だからお仕事とかもある訳で、起床するのは千冬なら六時だから精々一時間くらいしか寝れていない事になる。

 

うわぁ……めっちゃブラック……

でも大半以上の理由が各国からの迷惑なお電話だったりするのが更に可哀想なんだよな。

教員職がブラックだって聞いた事はあるけど多分IS学園の教師はずば抜けてブラックだ。普通の教師ならば、自身が受け持つ担当科目とクラスの授業をして、担任であればその仕事、部活の顧問をやっていればその仕事で済むが、IS学園の教師はそんなもんじゃない。

 

まず初めに通常科目から始まり、更にIS専門の授業に加えてそれの実習も加わってくるし、各種イベントに、生徒の殆どが日本人とはいえ人種が入り混じっているIS学園は国際的だからその辺も気を使わないといけないし、しかも各国が横槍を入れようとしてくるからそれの対応もしなければならないし、ある種の外交的な仕事もする。

 

そりゃもう仕事量が倍なんて話じゃない。

それが全員で分担して行っても終わらない。一人でも辞めたら間違い無く回らなくなる。

 

俺はまぁ、手伝えないんですよね。

見せちゃ駄目な書類とか沢山あるだろうし、そこまで俺が出しゃばるのは違うからな。

 

出来る事と言えば、感謝をする事と、千冬に部屋で甘えられたら大人しく好き放題させておくことぐらいだ。

毎晩毎晩、俺のベッドに潜り込んで来て抱き枕にされても何も言わない。今に始まったことじゃないけど。なんならサービスで俺も抱き締めてやるとか。

 

 

山田先生に関しては、まぁありがとうございますと言う事しかできない。

いやだってさ、千冬みたいには出来ないし贈り物って言っても何贈りゃ良いんだ?って話だ。

それなら一々考えるよりも素直に口で感謝を伝えた方が良い。

それに山田先生、ただいつもありがとうございます、って言うだけですっごい嬉しそうにするからね。それで十分なんだろうよ。

 

 

 

 

 

「諸君、今回宿泊させて頂く旅館は毎年お世話になっている。貸し切りとは言えくれぐれも粗相の無い様にな」

 

「「「「「「「「はい」」」」」」」」

 

千冬がバスの中で諸々の注意事項を説明していると、バスは旅館の前に到着した。

 

「それでは、全員順番に降りろ。降りたら女将さんに挨拶をするから玄関前で整列して待機しておくように」

 

その指示に従って次々と降りていく。

俺はラウラを連れて一番最初にバスを降りたから取り敢えず並ぶ準備はしておく。

俺って一番後ろなのよね。

 

しっかしまぁ、随分と立派な旅館だな。

見た目高級と言っても差し支えないぞ?

 

 

 

それから、全員が降りてきてニ組三組四組と並んで行く。

各クラス40名、計160名がキッチリ列を揃えて並んでいる。

 

それから女将さんに挨拶をしてなんやかんややって、解散。

と言っても部屋に荷物を置きに行くぐらいで、まだ10時半だからすぐにでも水着に着替えて海に向かうんだろうさ。

 

「兄さん、こっちに来てくれ」

 

「ん?どうした」

 

千冬に呼ばれて行ってみれば、そこにいたのはさっき俺達の前で挨拶をしていた女将さん。うーん、美人だね。

 

おっと、千冬に睨まれちった。

余計な事は考えない考えない。

 

「今回は、彼が居るので色々と面倒をお掛けします」

 

「いえいえ。初めまして、当旅館の女将篠崎常盤と申します。4日間どうぞお寛ぎください」

 

「初めまして、佐々木洋介と申します。今回は色々とお手数をお掛けしてしまったようで申し訳ありません」

 

「いえ、あの織斑先生のお兄様という事で楽しみにしておりましたよ。幾つか説明させて頂きたい事があるので宜しいですか?」

 

「はい」

 

それから女将さんに幾つかの説明を受けた。

まぁ、俺にも関係ある事だったから聞いておかないといけなかった。

 

 

 

まず、学園側から提示されている様に完全貸し切り。

凄いよね。まぁ、保安関係を考えると当然か。実際にISと言う下手に扱えば事故、最悪死人が出る可能性すらあるのだ、一般人を近づけさせることは好ましくない。

 

しかも各国の最先端技術の集まりである第三世代機が数か国分揃っているのだ、情報収集するにはこれ以上の好機は無い。

 

それにまぁ、IS学園ってのは一切の取材をお断りしている。

この機会に遠目からの写真を一枚でも二枚でも出版社に持ち込めば言い値で買ってくれるはずだ。

それにここは俺を除けば女しかいない。まぁ、ぶっちゃけて言えばIS学園の生徒、教師全員の容姿は世間一般で言うとかなり整っている部類に入る。

男共からしたらお近づきになりたい訳だが、そいつがスパイだという可能性もある。

しかも俺を除いて生徒諸君どころか教師も皆が30歳以下と言う。

 

自分で言ってて悲しくなってきた……

 

ま、まぁ取り敢えず恋愛には目が無い。

IS学園はその特性上、男と触れ合う機会が精々休みの日に外出するぐらいだ。しかも安全面の関係で外泊は夏休みか冬休みのどちらかのみしか許されていない。

 

夏休みも他の一般的な学校は一カ月半はあるのに三週間しかない。半分程度の日数だ。

まぁそれも仕方が無いといえば仕方が無い。

というのも授業の関係上そうならざるを得ない。ISと言う物を扱う以上、必要な知識は一般教養科目と比べると圧倒的だ。そこに一般教養科目が入って来るのだからその授業日数が通常の学校と同じではどうやっても追いつけない。

 

だからこそ夏休み冬休み以外に長期休暇は存在しない。

世間一般がゴールデンウイーク中だったとしても普段通り教室やアリーナで勉学に励むのだ。

 

この臨海学校も、四泊五日となっているが、実際は初日と二日目は土日であり、実質的な休みでそこで遊びなさいという事だ。

で、三日目、四日目はガッツリ実習。

 

 

学園が所有するISの殆どを持ち込んで普段触れる機会の少ない一年生にも今回ばかりは多く触れさせる。

というのも操縦者としての適性を見る為だ。

IS適正と言う物は高ければ高いほどに操縦しやすい。このIS学園に集う生徒達は、技術職を目指している者を除いて適正は最低でもC+かB-。

 

高い人間だとAは当たり前、代表候補生ではあるが専用機が存在しないなんて奴もいる。一夏の様に適正がSというやつは流石にいないが、確か千冬もSだった筈。

 

この適正と言うのは早々上がるもんじゃない。

だが稀にその適正が上がる人間がいる。そんなことがあるから確認の意味を込めて今回ばかりは全員が乗るのだ。

 

俺?知らん。だって教えてくれないんだもん。

 

と言っても専用機持ちは別行動、そうでないメンバーも三日目に全員が適性検査を午前中までに行ってそれ以降は全員が一度ISに乗る。

 

四日目、五日目は操縦者課程希望者と整備士課程希望者で別れて実習を行う。

 

先ず操縦者課程希望者は、そのままISに交代で登場し模擬戦。

 

で、整備士課程希望者は整備の授業を実施するんだが、その実施する機体は操縦者課程希望者が使用した機体を使う。

 

まぁ、普通はそんなこと有り得ないよな。

事故とか安全上のその辺を考えれば普通絶対にやらない。

 

だけど何故やるのか。

まぁ、幾ら絶対防御と言う物がISに搭載しているとは言え整備士ってのは搭乗者の命を預かっていると言っても過言では無い。と言うか実際にそうだ。

 

そこで自身が何を目指しているのかをしっかりと自覚させる為に行うのだ。

と言っても実際には教えて貰いながらだから効率は死ぬほど悪いので誰かが乗ったISを整備するのは最初の一回だけで、それも隣に整備科からお手伝いとして呼ばれた三年生と二年生、そこに整備課の先生達が付く。

それ以降は先輩や先生達の助手みたいな感じになるが。傍で見ているだけでも十分に糧になるからな。

 

まぁ、正直に言えば心構えをしっかり持たせるために行うというのが実際の所だ。

流石に授業で教えられているとはいえ実際に整備をやったことの無い人間に全て丸投げ出来るわけがない。

 

 

操縦者課程希望者に関して言えば、そこまで人数は多くない。

というのも操縦者になるには最低でもIS適正がBないしはB+以上が必要になる。

実際、専用機を持っている一夏はS、鈴とセシリアにシャルロットとラウラはA。

 

まぁ、ぶっちゃけ代表候補生になる人間の殆どがA。

それですら専用機を与えられるのは極々少数。国家代表になれば確実に専用機、それもその人間専用に調整された機体を与えられる。

それを考えると一夏達はその中でもズバ抜けているという事だ。まぁ、第三世代機と言う実験目的の様な意味合いもある第三世代機だがそれを差し引いても専用機を与えられるという事は相当だ。

 

 

まぁ、本当に一握り、それも両手、下手をすると片手で事足りる人数ではあるがIS適正がBやそれよりも低い人間も代表候補生や国家代表になっている者も居るには居る。

ただ、そう言った人間はIS適正こそ通常の国家代表より劣っているとは言えその戦闘におけるセンスが明らかに普通ではない連中だ。

まぁ、例えるなら千冬のIS適正がBになるようなものだ。

千冬は生身に関してもぶっちゃけ人類最強クラスだからあれだけど。

 

軍人になれば特殊部隊に混じっていてもトップクラスを取れるくらいにはピカイチ。

 

だからこそ与えられているのであって、IS適正がAもしくは千冬と同じSの人間が居たのならば千冬ではない誰かがブリュンヒルデになっていた可能性すらある。

まぁそれらだけでは無く普通なら逃げ出すレベルの特訓を積み重ねてきた上で国家代表や代表候補生に選ばれる。

 

才能だけで選ばれたのなら精々代表候補生止まりだろうよ。

言っとくが、努力に関しちゃ俺は全員に負けるからな。千冬とは生身の殴り合いこそ勝率は五分五分だが努力という事に関してだけは確実に負けていると言える。

 

一夏にも鈴にもセシリアにもシャルロットにもラウラにも負けている。

 

努力に関しては負けているがそれ以外で負けてやる理由は無ぇな。

おじさんに勝とうなんざ百万年早い!

 

 

ま、こんなもんか。

 

 

 

 

他にあった説明と言えば温泉に関する事だな。

 

この旅館には露天風呂を合わせて風呂が三つもある。

で、貸し切りで宿泊しているIS学園関係者は清掃を行う朝九時から昼十二時までを除いて好きな風呂を何時でも使い放題と言う訳だ。勿論生徒用と教員用で分けられているけど。

 

 

好きな時間帯に好きなだけ入れる。

ただ、その3つある温泉全てが俺以外の女性の方々だけなんだなこれが。

俺一人の為に時間を調整して貰うのもあれだからシャワー室が付いていれば文句はねぇよ、という事で

露天風呂に入りたいっちゃ入りたいけど態々そこまでしてもらってまで入りたいとは思わない。

 

で、今回俺が泊まる部屋なんだけど。

 

露天温泉付きのお部屋ですってよ。

 

これはまた随分と高待遇で……

しかも部屋に行ってみたらもうめっちゃ広くて豪華なのな!

あれよ、普通に宿泊しようとしたら絶対に10万円以上取られるぐらいの豪華な部屋。

 

 

なんでここまでしてくれるのかと言うとだ。

女将さん曰く、

 

「本来ならば使用時刻の調整を行えばそれで済むのですが、そうなると皆様に気持ち良くお過ごし頂けないという事になってしまいますからこの際、先程の説明の様にしてしまおう、という事です」

 

だそうで何というサービス精神なんだ、と心底感服した。

もうその場でありがとうございますと頭を深々下げちゃったぐらい。

 

で、俺は一人部屋で他には誰も居ない。

右隣に千冬と左隣に山田先生が泊まるけど、先生方は一人一部屋となっている。

なんでなのか、という理由は日頃頑張ってくれているからとの事で学園長が毎年用意してくれているらしい。

 

めっちゃ太っ腹やんけ!

で、俺が一人部屋なのは女子高生諸君の中に放り込めるわけないよねって言う最もな理由でした。

 

何時も通り千冬と同部屋だと思ってたからこれには驚いた。

 

 

 

 

で、お部屋に向かうザマス!

 

「うぉ!広ぇ!ここを一人で使うとかなんか罪悪感あるぅ!」

 

ホントにマジで広いのなんの。

全体的に和式なんだけどそれがもう何と言うか一人でここを使うのには本当に罪悪感あるぐらい広くて豪華。

なんなの?ルームサービス頼んだら高級食材のオンパレードとか展開されそうなぐらいだよ?

 

一人テンション上がって騒いでいると、千冬が思い出したように言った。

 

「あ、兄さんは一人部屋じゃないぞ」

 

「ゑ?」

 

ぼくひとりべやじゃないの?どういうことなの?だれといっしょなの?

 

はっ!?思わず頭の回転速度が低下してしまったぜ。

いやだけどまじで誰と一緒の部屋なの?千冬は俺の部屋の隣でしょ?山田先生もそうだし、まさか一夏!?

 

あ、それは無いわ。箒とセシリアとラウラと同じ部屋だもんな。

ここに訪ねてくることはありそうだけど

 

「おい、居るんだろう?出てこい」

 

千冬がキョロキョロと周りを見ながらそう言うと、何処か聞いたことのある声が俺の頭上から聞こえてくる。

 

「はいはーい!呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!」

 

「グオォッ!?」

 

で、何となく覚えのある体重が頭から圧し掛かってくる。

そこからほっぺすりすりをする奴なんて一人しかいない。

 

「おーはよう!おじさん!」

 

我らが束でした。

 

「え、なんで束居るの?」

 

「あぁ、元々束には今回限りで参加して貰う予定だったんだ。警備面で色々と手を貸して欲しくてな。それに整備科希望の生徒達の前で少しばかり実演をしてもらおうとも思っている」

 

「え、それ大丈夫?束が暴走したりして皆が分からない事やったりしない?」

 

本気で心配なんだけど。

小学生の頃の人見知り(家族と俺、千冬、一夏を除く)具合とはずっと改善されているけどそれでも人間付き合いに一定以上の不安が残る束に臨時講師役をやらせるのは本気で心配なんだけど。

 

「周りを置いてきぼりにしてずんずん進んで行っちゃったりしない?暴走して学園のISを魔改造したりして第三世代機すっ飛ばして訳分からないIS作っちゃったりしない?」

 

「ちょ、おじさん酷い!」

 

「理解は出来なくともいい刺激にはなるだろうさ」

 

「ちーちゃんまで!?一応言っておくけど流石にそんなことはしないからね!?…………多分」

 

「おい、最後の方なんつった?」

 

必死に否定しているのに何故か最後に不安になる様に小さな声で多分とか言いやがったぞ!これは信用するなら五十%ぐらいに留めて置かないと駄目なやつだ!

 

「だってしょうがないじゃん!おじさんにカッコイイ所を見せたいなー、とか可愛い可愛い娘達にお母さんの凄い所を見せたりしたいじゃん!?おじさんだって私達が小さい時はそうだったでしょ!?」

 

「……分かる。俺も千冬達に良い所めっちゃ見せたかった」

 

「でしょ!?」

 

束にそう同意を求められておじさん、手のひらクルックルワイパー。

 

だって実際にそうだったんだって!あれよ!?事あるごとにカッコイイ所を見せると四人がカッコイイカッコイイって言って喜んでくれるもんだからさ、張り切っちゃうわけですよ!しょうがないじゃん!

 

「兄さん……」

 

千冬はそんな俺を見て、呆れたようにしながらも嬉しそうにしている。

 

「と言う訳で兄さんは束とクロエと同じ部屋だ。本当はラウラも入れてやりたかったんだが学校の授業の一環という事でな。見送らせてもらった」

 

「あれ、俺は良いの?」

 

「束が報酬として兄さんとの同部屋を指定して来たんだ!最初は断ってやろうとしたさ……あぁ勿論断ってやろうかと思っていた!だが兄さんの安全を考えれば……!クッ!今ほど教師と言う立場を憎んだことは無い!」

 

俺はどうやら地雷を踏み抜いたらしい。

千冬は頭を抱えながらうんうん唸っている。いや、でも寮じゃ同じ部屋で毎日毎日寝食を共にしてる訳じゃん?

 

って思ってもおじさんは何も言わない。

だって多分それって藪蛇になると思うんだ。態々自分から危険地帯に突っ込んで行かないぜ。俺は学習したんだぜ!

 

 

 

 

「はぁ、まぁ取り敢えずそう言う事だからくれぐれも問題を起こさない様にな。特に!束!」

 

「分かってるってば!ちょっとは信用してよ!」

 

ブーブー文句を言う束を無視して千冬は言った。

 

「それでは一旦解散だ。この後私は軽い職員会議があるからな。二人とも海にでも行ってると良い」

 

「おう、頑張れよ」

 

千冬はそういうと部屋に荷物を放り込んで行ってしまった。

ったく、学校の先生ってば本当に大変だねー。IS学園は生徒関連の面倒事が無いのがせめてもの救いか。

ここの生徒、皆良い子ちゃん達だからな。

 

 

俺は中学高校とあんまりどころかめっちゃ問題児って言われてたからね……

 

いや、別に悪さをしてた訳じゃないぞ?

ちょっと数学の中間期末テストの点数で赤点を取りまくったり、自転車置き場まで行ってたら遅刻になるから生垣に自転車放り込んで窓から教室に入ったり、先生が理不尽言い始めるからキレちゃったりしてただけだって。

 

高校の卒業式当日に寝坊して慌てて自転車かっ飛ばしてたら車道側から歩道側に入ろうとして縁石に乗り上げて思いっ切り前に吹き飛んだ挙句、自転車がチェーン外れたりタイヤが歪んだりで扱げないから担いで学校に走ってって、結局遅刻したり。

 

いやー、あの時は頭こそ守ったから何ともなかったけど車道側にあと五十cmズレてたら車に轢かれてたね。

しかも腕とか手をけっこう深めに擦り剝いちゃって、血がドバドバ出てくんのよ。

慌てててそれどころじゃないから顔とか適当に触って、異常無いな!良し行くぞ!とか自転車担いで行って、自転車置いて教室に走って行ったら皆大騒ぎよ。

 

後々聞いた話だけど、何となく遅刻するんじゃないかとは思ってたって一番仲良い奴に言われたっけな。

そんで顔中血だらけだから何事か!?ってなったらしくて。

 

いや、顔から流血はしてないのよ?手とかの血が付いちゃったってだけで。

危うく救急車呼ぶなんて事態になりかけた。

 

まぁもう全部が全部笑い話のネタだけどな。

 

他にも色々あるけど……

あれ、俺って普通に問題児じゃん。

 

中高の先生方、今更ですが本当にご迷惑をお掛けしました。

 

 

 

 

 

 

そんなわけでお部屋に荷物を置いて少し休憩しようかな、と考えていたら。

 

「おーにーいーちゃーん!海に行こーよ!」

 

やって来たな一夏め。

予想はしていたけど早すぎませんかね?だって解散してまだ15分しか経ってないんだぞ?

大方、箒達も一緒の筈だし、そう考えると君ら元気良すぎ。

 

「あー?ちょっと待ってくれー。まだなーんも準備してねーから」

 

「えー、それじゃぁ部屋に入って良いー?」

 

「束、入って良いか、だってさ」

 

「どーぞー!」

 

「だってさー!」

 

俺が束に聞いてみるとそう答えた。

その瞬間、俺の声を聞く前にドアを開けて一夏達が入ってくる。

あ、いないと思ってたクロエもラウラと手を繋いで入って来た。

 

うーん、すっごく打ち解けてますね。良きかな良きかな。

 

「おじゃましまーす!……あれ、なんで束さんがいるの?と言うか束さん、なんでここで荷物広げてるの?」

 

で、元気良く、勢い良く入って来た一夏は束が居る事を確認すると真顔になってそう聞いて来た。おっと、こりゃやばそうな雰囲気だ。退散退散……

 

「お兄ちゃん、なんで逃げようとするの?」

 

「いや、気のせい気のせい」

 

「まぁ、いいけど。で理由説明してくれる?」

 

「一夏様、それは私が説明しましょう」

 

「クロエ?」

 

そう言って前に出たのはクロエだった。

お、今日はあのメイド服じゃないのな。白のリボンが付いたワンピースに麦わら帽子を被ってる。

 

「おー、クロエ久しぶり。ワンピース似合ってるぜ。可愛い可愛い」

 

「ありがとうございます、お父様」

 

クロエにそう言って褒めてやると嬉しそうに笑ってそう答えた。

うーん、しかしこうして立っていると良いとこのご令嬢って言われても疑問はなんら持たないぐらいだ。

 

まぁ、束の娘だから御令嬢ってのはあながち間違いでも無いんだけどさ。

知ってる?束の総資産額ってとんでもねぇんだぞ?詳しい事は知らんけど色んな特許やらなんやらで何十兆億円らしいし。

 

国家予算と言われても不思議には思わないぐらいだ。

億万長者番付の二番手からぶっちぎってトップらしいから驚きだ。まぁそれも全部束がそれこそ死に物狂いで得たんだから文句を言われる筋合いはない。

 

それにその資金は束がもうとっくの昔から夢の為に使うって決めてんだ。

文句がある奴は俺がぶん殴ってやる。

 

貧富の差?そんなもん金持ちに言うんじゃなくて政治家に言いやがれ。貧しい人間を救うための策を用意するのは政治家連中であって金持ちがどうこう出来るもんじゃない。

お門違いって話だ。

 

まぁ、そういう話は放っておこう。

暗い話をする時じゃない。

 

 

 

 

「理由と言うのは、お母様が一緒に居られない私の為に、とお父様と同じ部屋を取って下さったのです。もしお気に障るというのならばお母様と私は別の部屋を取りますが……」

 

「アッレ!?クーちゃん私の意見は!?」

 

「お母様、ここでこれ以上敵を増やすのは宜しくないかと思いますが?」

 

「にゅっ……!?うぅ、その通りだね……その時は大人しく従うよ……」

 

「むっ!ズルいぞ!私も父と一緒の部屋が良い!」

 

ラウラちゃんや、今は違う話をしてるんやで……

全く、そんなラウラはとっても可愛い!

 

「まぁ、それなら別に良いよ。と言うか別に理由を説明してくれれば別に良かったんだよね」

 

嘘付け!お前あの顔はガチだったぞ!?

それでよくそんなこと言えるな一夏!お兄ちゃんはびっくりだよ!

周りもうんうん頷いているけどさっきまでの顔は何だったんですか!?

完全に俺の心の臓を抉り取りに来てたじゃねぇか!?

 

君達は役者か何かを目指しているんですか?

 

 

 

 

「むー、私も父と一緒の部屋がいい!」

 

「ラウラ、我儘を言っては駄目ですよ」

 

「ズルいではないか!母様と姉様だけ父と一緒は不公平だぞ!」

 

ちょとばかしラウラが駄々を捏ねたけど、結局その後は皆が納得したので束とクロエは正式に俺と同じ部屋になりました。

 

 

 

 

 

 

 

それから俺は荷物の中から海パンとアロハシャツ、麦わら帽子とサングラスを引っ張り出して更衣室に向かった。

俺の荷物、殆ど無いんだよなぁ……

 

四日分の着替えと運動用の服、シューズ、携帯、充電器と財布に洗面用具一式。あと愛用の身体洗うためのタワシ。とげとげじゃないぞ?ちゃんとそれ用だ。

あとは海パンとかぐらいだ。正直いってリュック一つで事足りた。実際、俺は今回リュック一つしか持って来ていない。トランプとかはどうせ一夏達が持って来ているだろうし態々俺が持ってくる必要は無いし。

 

 

 

 

で、着替えて砂浜に。

 

「ひゃっはー!おじさん水着ver登場だぜ!少女諸君!俺のセクシーショットを存分に拝めとくんだなぁ!」

 

「「「「「「「「おぉーー!!」」」」」」」」

 

ババーン!と勢い良く登場してやると千冬を除いた面々が待ち構えていた。

で、パチパチパチと拍手が起こる。これで誰も居なかったらマジ悲しくて速攻で部屋に戻って膝抱えて泣いてた。

 

それ以外のクラスメイト達はとっくに着替えるかなんかして遊ぶ準備を整え始めている。

あっちこっちで日焼け止め塗ってー、だとか色々聞こえる。

 

 

 

「お兄ちゃんお兄ちゃん!見て見て!私達の水着どうどう!?」

 

「あーはいはい可愛い可愛い」

 

「あー、対応が雑だよお兄ちゃん!」

 

「あー?ったくしょうがねぇな。それじゃじっくり見てジャッジしてやんよ!」

 

「そうだそうだ!」

 

 

 

ってなわけで皆の水着姿の感想を述べてやりましょう!

 

「まず一夏。なんちゅーか色気とかよりも元気だなこいつ、って感想が先に来る」

 

「えー!?なんで!?」

 

「だってお前、両手にイカゲソとか焼きそばとか色々抱えてる自分の姿を鏡で見てこい」

 

「そんなことないよ!あ、お兄ちゃんもなんか食べる?」

 

「焼きそばがいい」

 

一夏から焼きそばを貰いながらそれぞれの感想を述べてやった。

 

 

 

 

一夏。

まぁ、こいつに関しては先程も言った通り。

いやぁ、口の周りに青のりとかソースをくっ付けてもっしゃもっしゃと頬張っている。

これでどうやって魅力を感じろというのか。

 

 

 

箒。

白色の水着で黒のラインが淵に沿って入っている。で、真ん中にリボンが付いていてと来た。本当に小さい頃の箒とは考えられないぐらいだ。

ちょっと恥ずかしそうに顔を背けて腕を組んでいる所がまたポイントが高い。

お陰で篠ノ之姉妹特有の爆弾が押し潰されてなんとも眼福な光景が広がっているであります!

 

 

 

鈴。

オレンジじゃなくて、何色だ?

……あれだ、グレープフルーツにこんな感じの色の果肉のやつがあったな。それみたいな色の水着で、色気云々よりもスポーツでもしたいんですか?と言うような感じだ。

で、鈴も鈴でちびっ子だけどまぁ美少女に分類されるだろう。ちびっ子だけど。

 

まぁ似合っている、可愛いと言えば可愛いのだろう。

だけどこれに欲情出来るか、と聞かれるとちょっとおじさんは首を傾げちゃう。

 

 

 

セシリア。

うん、めっちゃ似合ってる。

青の水着が多分似合うんじゃないかとアドバイスをしたあの時の俺、マジグッジョブ!

腰に、なんて言ったっけな……アレだアレ、腰蓑!じゃなくてえーと、パレオだっけか?を巻いていてなんかその辺も魅力的だ。

こう、髪をかき上げる仕草をしてもらったら多分大抵の男は落ちる。

 

 

 

 

 

シャルロット。

オレンジ色で、下は黒との縞模様。

似合っていると言えばとても似合っていると言えるだろう。

その発育もそこらの女子高生と比べると良好なんてレベルじゃないし。

何と言うかまぁ、ここ最近のシャルロットのキャラにがっちり嵌っているような気がする。

最近、俺ってシャルロット相手に手玉に取られてる様な気がするんだよなぁ……抱き付いてくるのなんて当たり前、からかって顔を近づけてくる時もあるし。

お陰でズルいと一夏達が突っ込んでくるのだ。お陰でこのバイオボーグボディを以てしても腰に対する負担が大きいからやめて欲しい。

 

 

 

ラウラ。

ウチの娘マジ天使。超可愛い。

水着もだけど、普段はストレートそのままに流している綺麗な銀髪を三つ編みにしていてこれまた、自信満々かと思いきや恥ずかしいのかクロエの後ろに少し隠れているのも良い!転校当初付けていた眼帯も外して金色の瞳と赤色の瞳のオッドアイっていうのも中々に高ポイント。

 

 

 

クロエ。

もうマジでウチの娘達は天使なのでは?いや、天使だったわ。

水着はラウラとお揃い。

で、髪の毛は後ろで纏めてて、箒のポニーテイルは後頭部よりも上で纏めているけどクロエは肩甲骨らへんで纏めている。

こっちもこっちでそれが似合う事に合う事。

 

 

 

束。

うーん、ピンクの水着に白のパーカーを着込んでいる。

束の水着って割と久々と言うか、珍しいよな。

それを考えても考えてなくても十分以上に似合っていると言える。

個人的にはもう何時もの恰好でここに殴りこんでくるんじゃないかとすら思っていたからちょっと安心したぜ。

……お尻と太もも、お腹辺りの肉付きが少しばかり良くなったような気もするけど俺としてはこれぐらいなら寧ろドストライク。

 

 

 

 

 

 

で、俺がそれぞれ感想を言ってやると一部恥ずかしそうにしながら嬉しそうにする。

 

「「「「「「「えへへへへ……」」」」」」」

 

「ちょっと!なんで私だけ馬鹿にされてるのよ!?おかしくない!?」

 

「あー?あのなぁ鈴」

 

「なによ」

 

「まぁ、確かに鈴は可愛いぜ?だけどよ、俺がお前に欲情したら警察のお世話になっちゃうだろーが」

 

俺がそう言って鈴の頭をワシワシ撫でると、そのご自慢のツインテールを逆立たせて目を赤く光らせていった。

 

「おい、誰が誰に欲情したら警察のお世話になるって?詳しく話を聞かせて貰えないかしら?」

 

「だってお前、見た目だけなら小学生じゃん。どうやったって高校生どころか中学生にすら見えねぇ」

 

「貴様ァァァ!!言ってはならない事を言ったなァァ!?」

 

「お?なんだなんだ?俺と追い駆けっこでもする気かー?やめとけやめとけ!どーせ勝てやしないんだからよ!」

 

「ぶっ殺してやる!」

 

「ダハハハ!!」

 

「絶対とっ捕まえて吠え面かかせてやるわ!」

 

そして始まる捕まったら最後の追い駆けっこ!

いやまぁでもおじさんが鈴に捕まるなんてありえないんですけどねー?

 

「ほらほらどうしたー!?さっきの威勢はどこに行っちゃったのかなー?」

 

「無駄に足が速い!チッ!ギリギリ追いつけない距離を保ってるのがまた腹立つ!」

 

「ヘイヘイヘイヘイ!!どうしたヘイヘイ!追いつけてないぞヘイヘイ!足が俺と比べて短いですもんねー!しょうがないかー!」

 

「クソがァァァ!」

 

全力で煽り倒しながら逃げ回るハワイアンなおじさんと、それを鬼の形相で追い掛け回す水着の見た目小学生。

 

何と言うシュールな光景。

周りの皆もなんだなんだと集まってくる。そらそうだ。学園一有名な男とこれまた代表候補生として有名な娘が大騒ぎしながら走り回って何かを言い合っているのだから注目を集めるのは当然。

 

「ゼー……ゼー……ゼー……」

 

「おやおやぁ?どうしたんですか鈴ちゃん?もうお疲れですか?まだ十分くらいしか走ってませんよ?」

 

「クッ……!無駄に足が速い……なんでこんな炎天下の中であれだけ走り回って息一つ乱してないのよ……おかしいでしょ……理不尽よ……」

 

で、十分ぐらい走ってたら鈴がダウンした。

ま、この暑さの中を俺に追いつこうと全力疾走してたらそうなるわな。

 

「どうしてアンタはそんな平気そうな顔してんのよ……」

 

「あー?鍛え方が違うんだよ。鍛え方が」

 

そうやって言ってやると悔しそうにする。

 

 

 

「あ”-”つ”-”い”-”……」

 

「しょうがねぇなぁ……日陰に運んで飲み物持って来てやるから休憩してな」

 

そう言って俺は鈴を抱き上げてパラソルの下の日陰に寝かせてスポーツドリンクを取りに行く。

 

「ったく、しょうがねぇ奴だなー」

 

独り言を言いながら自販機からスポーツドリンクを購入する。

……二、三本ぐらい買っとくか。あいつ勢いよく飲みそうだしな。

 

 

 

鈴の所に戻ってみると、日陰であーうー言いながらひっくり返っていた。

 

「ほら」

 

「ありがとー……」

 

蓋を開けて渡してやるとゴクゴクと飲み始めた。

おぉ、そんなに一気飲みして大丈夫か?一応三本買っといて正解だったな。

 

「本当に大丈夫か?」

 

「今の所は問題無いわ……ただちょっと無理したかもしれないからここで休んでるわ……」

 

「おう、そうしとけ。ぶっ倒れたら大事だ」

 

「んー……これ、ありがと……」

 

「気にすんな」

 

心配だから少し見とくか。

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃーん!こっち来て遊ぼーよー!」

 

暫く鈴の隣で椅子に座ってのんびりしてたら我が妹様からお呼びが掛かった。

あいつもあいつで恐ろしく元気だよな。偶に海に入りながら、休憩しながらとは言ってもあれだけ元気にしていられるってのは、やっぱし若さだね。

 

若いってのは良いねぇ……

 

俺は肉体はバイオボーグになっちゃって疲れを感じ無い。だが精神的なものはそうじゃない。

 

こうして彼女達を見ていると何と言うか、眩しくてしょうがない。

まぁ、目の保養って意味も含めてだけどね。いや、手を出すのはアレだが見るだけなら良いだろうよ。

そうじゃなきゃやってられんよ。どうせ、今回も何かしらの問題が起きるだろうよ。全く、IS学園ってのは何時も面倒事ばっかりだ。

 

ま、そん時は出張ってやる。

妹達だけじゃない、クラスメイトのお嬢さん方の楽しい楽しい臨海学校を潰させて溜るかって。嫌な思いをするのは大人だけで十分。子供にそれを一緒に味合わせる必要は無いだろうよ。

 

「鈴、一人で大丈夫か?」

 

「まぁ、結構落ち着いて来たしあと十分ぐらい休んだら海に入って涼もうかなって考えてたから。行ってきていいわよ」

 

「そんじゃお言葉に甘えて行ってくるとすっかなぁ!遊び盛りの妹達の相手をしてやろうじゃねぇか」

 

鈴をパラソルの下に置いて一夏の所に行く。

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん、鈴の事ばっかでズルいよ!」

 

「そう言ってくれるな。鈴が体調崩したから面倒見てたんだぞ」

 

「でも原因はお兄ちゃんでしょ」

 

「まぁ、その通りだけど」

 

そう言われちゃうと頭をぼりぼり掻くしか出来ないんだよなぁ。

煽り倒してダウンさせたのは俺だから何も言い返せねぇのよ。

 

「それじゃぁ早速遊ぼう!まずはこれ!」

 

「なんでバレーボールなんか出して……あぁ、そう言う事ね」

 

「そう言う事!それじゃ早速やろう!」

 

で、ビーチバレーをする事になった。

俺は上に来ているアロハシャツを脱いで麦わら帽子、サングラスをその上に置いておく。

 

「おぉー」

 

「ISの実習の時から思ってたけどすっごい筋肉だよね……」

 

「あれ、どうやったらあれだけバキバキになるのかな?佐々木さんって結構ご飯とか凄い食べてる印象なんだけど」

 

なにやらコソコソ聞こえるが放って置こう。

あ、日焼け止め塗るの忘れた。

 

 

 

 

俺とセシリアペアVS一夏&箒ペア

 

 

「よっしゃやってやんぞセシリア!」

 

「勿論ですわ!私と小父様のコンビネーションを見せつけて差し上げますわ!」

 

「くそー!セシリアにお兄ちゃんを取られた!箒、お兄ちゃんを取り返すよ!」

 

「勿論だとも!洋介兄さん、私達を捨てた事を必ず後悔させてやる!」

 

「君達ちょっと言い方酷くない!?俺はセシリアにホイホイ付いて行った訳でもお前達を捨てた訳でも無いからな!」

 

全く、誤解を生むような発言は止してくれたまえよ。

でないと……

 

「おぉー、浮気をした旦那さん&浮気相手VS奥さんとその娘って所かな?」

 

「修羅場だ修羅場だー!」

 

とか言い出し始めちゃう子がいるんだよ!

 

「おいこらそこぉ!変な事言うな!のほほんさんもそんな事言うんじゃありません!」

 

「と言う事は、父は母を捨てたのか?」

 

「ほら見ろ!ラウラが変な勘違いしちゃったじゃん!」

 

「父よ、どうなのだ?浮気したのか?」

 

「そんなことする訳無いじゃん!お母さん一筋だって!」

 

「えー?おじさんこんな大勢の前で愛の告白だなんて……恥ずかしいけどオッケーしちゃう!さぁ今すぐ結婚だね!」

 

束は身体をクネクネさせながら頬を抑えている。

その姿はエロいけど今はそんな事を気にしている場合じゃない。

多分、こんな事を言ってくれちゃった束の言葉に反応した皆が……

 

「……お兄ちゃん、どういう事?」

 

「オジサマ?」

 

ほら見ろ俺の言った通りだ!

こうなるんだよ!結局板挟みになった俺が一番被害を食うんだよ!

 

 

 

 

「お兄ちゃんを何が何でも取り返すッ!」

 

「姉さん、後で話があります」

 

「小父様、後ろから刺されたり撃たれたりしないよう、ご注意なさって下さい?」

 

「ねぇ、なんで俺は味方からも脅されなきゃならないの!?おかしくない?おかしいよね?おかしいでしょ!?」

 

そんな俺の絶叫を軽く受け流した一夏と箒は早速仕掛けてくる。

 

「行くよッ!」

 

「一夏、叩き込め!」

 

「フン!!」

 

箒がボールを上げて一夏が容赦無い威力のを叩き込んでくる。

 

 

 

 

 

ギャーギャー大騒ぎをしながら始まったビーチバレー大会。

と言うかコートに撃ち込まれるボールの一発一発にとんでもない殺意が込められている。

 

「あ”ぁ”-ーー!?あ”ぁ”---!?ボールに殺意が込められてるぅ!?だけどそんなボールも拾っちゃう俺って人間辞めてる気がするゥ!」

 

「小父様、上げてください!」

 

「ほい来た!」

 

「ハァッ!!」

 

砂浜なのに、着弾したときズパン!とか破裂音が聞こえるのは気のせいじゃない。

と言うか砂浜抉れてるんですけど!?

 

あんなの普通受けられんでしょ!それを受け止められちゃう俺って人間辞めちゃってる?

 

 

 

それから二十分に渡ってビーチバレーで殴り合いを続けた一夏達は疲れ果ててぐったりする事になった。そりゃそうなるって。

 

俺は別に何ともねぇけど。

 

 

 

 

 

 

スポーツドリンクを一夏と箒、セシリアの分を買ってパラソルに戻る。

あ、俺の分買うの忘れた。

 

「いやー、割と本気で死ぬかと思った」

 

「全くもう、佐々木さんはどんな体力してるんですか?」

 

そう言って一夏達を日陰に運び一息付いて独り言をぼやいている俺にスポーツドリンクを差し出して来たのはシャルロット。

 

「あんがとさん。で、遊ばなくていいのか?」

 

「さっきまでラウラとクロエさんと遊んでたんですよ?」

 

「ならそのまま遊んでりゃいいのに。……なんだ、あれ。何作ってんだ」

 

「なんか、ラウラがドラゴンを作って欲しいって言って篠ノ之博士が本気を出したらしくて」

 

「ありゃ、確かにドラゴンっちゃドラゴンだけどよ、なんでシェ〇ロン?」

 

「さぁ……」

 

シェン〇ンの隣にあるのは、どこかのモンス〇ーハンターに出て来る赤い火竜だったりが砂で作られたとは到底思えないぐらいの雄大な姿で作られている。

今にもブレスを叩き込んできそうだ。

 

なんちゃらボールを集めに行きたくなってくるような、一狩り行きたくなるようなリアルさがある。

 

 

え、あんなの砂でどうやって作ったの?無理じゃない?足とかなんで二本だけで胴体部分支えられてんのか全く分かんないんですけど。

シ〇ンロンに至っては浮いてるんだけど。

 

「どーだ娘達よ!お母さんの技術は!」

 

「おぉぉぉ!!凄い!凄いぞ母様!」

 

「そうでしょうそうでしょう!」

 

ラウラは砂で作られた様々な竜の周りをぴょんぴょん跳ねまわりながら凄い凄いと褒め称える。

で、束は得意気にふふんと胸を張って自慢している。

 

いや、確かに凄いけども。どうやって作ったのか本気で気になるんですけど。

 

何となくだけどIS技術かそれ以外の技術を無駄遣いしてんだな。

じゃなけりゃ出来る訳無い。

 

 

 

 

「あはは、すごいなぁ」

 

シャルロットも楽しそうにそれを見て笑っている。

少し前までは追い詰められて死にそうな顔してたのに。良い事じゃねぇか。

 

「……まさかこんな、学校行事とは言え海でこんなに楽しく過ごせるなんて思ってもみなかったです」

 

「だろうな。ま、思いっ切り楽しんどけ。三日目から地獄の特訓メニューだぜ」

 

「え?それってどう言う……」

 

おっと、言い過ぎた。

 

「そんじゃ、俺もひと泳ぎしてくっかな!ちょっとばかし一夏達を見といてくれるか?」

 

誤魔化すために、一夏達を押し付ける事になっちまった。

 

「え、あ、分かりました。行ってらっしゃい……」

 

シャルロットはそう言って小さく手を振ってくれる。

お詫びに後でなんか飲み物でも奢ってやろう。

 

「あ、佐々木さんだ」

 

「一夏達はもういいんですか?」

 

「おう、シャルロットに任せてきたからな、ちょっとばかし泳ごうかなって思ってよ」

 

「兄さん、それなら私と久々に競争でもしないか?」

 

そうやって皆と話していると後ろから声を掛けられた。

この声は千冬だな、と思いながら振り向くと大当たり。でも何時もの部屋着だったりレディーススーツでは無く、まぁ当たり前と言えば当たり前だが水着だった。

 

それも黒の結構面積少なめのやつ。

これは、そこらの海水浴場に行ったら絶対ナンパされるやつじゃん。

めっちゃ似合ってるじゃん。腰に手を当ててポーズなんかしちゃってもう駄目じゃない!

 

 

千冬よ、いつの間にそんな大人になっちゃったのだ?

 

「織斑先生の水着だ……」

 

「キレー……」

 

「雑誌とかでも絶対に許可しないって話だよ。超レアじゃん!」

 

「服の上からでも分かってたけどやっぱりスタイル良いよね」

 

「クッ……!何を食べてどんな生活をしたらあんなに大きくなるんだ……!」

 

「何故胸だけ大きくなってそれ以外は反比例するのか……!私達に救いは無いのか!」

 

賛美の声と同時にお嬢様方の怨嗟の声も聞こえてくる。

その中にいた鈴も自分の胸に手を当てて、見て、死にそうな顔をしている。と言うかその手が虚空を揉んでいる。

 

くッ……諸行無常……!

 

何と言う悲しい光景だ……あんな顔の鈴は見たことが無い。

あ、砂浜を殴り始めた。

 

「クソッ!遺伝なのか?遺伝なのか!?私にはもう可能性は無いってか!?ちくしょう!」

 

あぁ、キャラが壊れていますよ鈴さん。

 

「縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め…………………………」

延々と呪いの言葉を吐くかのようにブツブツと言いながら手のひらから念じるように歯をギリギリギリギリさせながらずっと言っている。

 

そんな鈴を見て涙を流した俺に、千冬は挑発をする。

 

「どうする?兄さん。勝負しないのか?」

 

「よっしゃ、やってやる。負けた方が今日の晩飯のおかず一品譲る事な」

 

「ほう、良いんだな?今日の夕飯は豪華刺身盛り合わせだそうだが」

 

「すいません前言撤回します。無理の無い範囲で何か言う事を一つ聞くって事にしてください」

 

「ま、それで良いか。それじゃ準備運動をするから終わったら早速始めよう」

 

「そう言えば山田先生はどこ行った?」

 

「山田先生なら疲れたから寝ると言って部屋に戻った。ここ最近山田先生も仕事詰めだったからな」

 

「ほーん」

 

そう言って千冬は準備運動を始める。

で、何となく千冬を見た俺は盛大に後悔する事になった。

 

屈んだり腕を組んで裏側を伸ばしたりした時に胸がぎゅむぎゅむしたりプルンプルン揺れ動いたり、お尻がむっちりムニムニしたり。開脚をした時の太ももの付け根の辺りとかもうヤバイ。

 

ハッ!?駄目だ駄目だ、千冬をそんな目で見たらそれこそ終わりだ……

 

 

「よし、終わった……どうした兄さん、顔を覆って」

 

「いや、何でも無い」

 

「?まぁ、それじゃ始めよう。誰か、スターターを頼めるか?」

 

千冬がそう言って誰かに頼むと、手を挙げた子にスターターを任せる。

 

「それじゃぁ、あの浮きの所まで行ったら折り返して来てください。早かった方の勝ちです」

 

「おう」

 

「よし」

 

「よーい……」

 

二人揃ってクラウチングスタートの体勢を取ってその時を待ち構える。

 

「スタートッ!!」

 

その声と同時に二人揃って走り出す。

海までは凡そ十メートル。だがその程度の距離なら俺と千冬からすれば一瞬。

 

勢いそのままに海に駆け込んで泳ぎ始める。

折り返し地点の浮きまでは大体300mくらいだ。

 

余り泳ぐ事は少ない俺達だが、腕力と体力に物を言わせて前に進んで行く。

 

 

 

そして、折り返してそろそろ砂浜に近づいてきたことを示す、段々と海の底が近くなってきている。

 

で、指先が砂に触れた瞬間に立ち上がって全力で走る。

 

「「うおぉぉぉぉぉ!!!!」」

 

海の中、それも膝まで海水に浸かっているとは思えない速さでスタートした場所を目指す。

 

バシャバシャバシャバシャッ!!!!!

 

あれ、俺と千冬って本当に人間なのかな?

 

 

 

「ゴール!」

 

そしてスターターをしてくれた子が声を上げた。

 

「「どっちが勝った!?」」

 

揃って聞くと困ったような顔でどっちだったかなー……と首を傾げる。

 

「うーん……引き分け!」

 

「チクショウ!勝てんかった!」

 

「クソ、引き分けか」

 

悔しがる俺達を尻目に周りの皆はざわざわしている。

どったの?

 

 

 

「あれじゃぁ、人間じゃなくて魚人だっていわれても全然信じられるよ……」

 

「モーターボート……?」

 

「この兄妹殺伐し過ぎじゃない?」

 

 

 

……なんも言い返せねぇ。まぁ確かに負けたくないから全力出したけども。

そこまで言わなくてもよくない?

 

 

まぁ、結果として引き分けに終わったこの勝負は今度互いに一つ言う事を聞くという事で纏まった。

 

 

結局そのあとは千冬は椅子に腰掛けのんびりと、俺は皆の相手とそれぞれ思い思いに過ごした。

 

そして俺は日焼け止めを最後の最後まで塗り忘れて全身真っ赤っかになりましたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてさて、晩御飯も済ませて日課のトレーニングも済ませてあとは風呂に入るだけ。

 

「束、先に入るか?」

 

「んー、おじさん先に入っちゃっていいよー。私はもう少しだけお腹を休めてから入るから」

 

「お、そんじゃ一番風呂頂くぜー」

 

「いってらっしゃーい」

 

そう言う訳で下着と浴衣を持って備え付けの露天風呂に向かう。

 

お、脱衣所結構広い。

我が家の倍ぐらいありそうだ。さっさと服を脱いで入る。

おっと、何となくラウラとかクロエ辺りが入ってきそうだから一応念のために鍵掛けるか?

いやでもそうするとなんか可哀想だしな……うんまぁ、ラウラとクロエならいっか。

今までの生活が生活だったから少しぐらいは我儘聞いてやっても文句は言われんだろうよ。

それに、断っても朝のお願いを一つ聞くってのを持ち出してきそうだし。

 

 

 

 

浴室に入るとこれまた驚いた。

 

「うぉ、めっちゃ広いじゃんか!」

 

これを三人だけで使い放題とかなんかバチ当たりそう……

浴槽だけでも六人は入れそうなぐらい広い。それも足を伸ばして入れるだろう広さ。

 

しかもシャワーも四つ備え付けられている辺り、この部屋の風呂はとんでもなく豪華だろうと分かってくれる筈だ。

 

「そんじゃ早速、頭と身体を洗って浸かるとするか!こんなの堪能しなきゃ損だってもんよ」

 

頭を石鹸でゴッシャゴッシャと洗い、ついでに髭も剃る。

いやはや、髭を剃るってのは割と面倒なんだよ。顎と鼻の下だけじゃなくて顎関節の方まで剃らないといけない。それに揉み上げ辺りも剃らんといけないし結構面倒なのだ。電動じゃないから尚更。ここ最近は三日に一回ぐらいになって来ている。

 

それが終わったら一気に洗い流す。

そしたらタワシに石鹸付けて身体をゴッシャゴッシャと洗おう。

 

 

としたんだがな?ここでとんでもねぇ乱入者が殴り込んで来た訳よ。

 

ガラガラガラガラッと扉を開けて入って来たのはまさかまさかの束。

 

いや、何となくラウラ辺りは一緒に入るとか言って殴り込んでくるだろうなー、とか予想してた。してたよ?だから鍵掛けといたら可哀想かなって鍵も掛けてない。だけどそれが完全に裏目に出た。

 

「おい束!お前何入って来てんだ!?阿呆か!?」

 

そりゃもう、速攻で顔を逸らしましたとも。

だってこいつタオルの一枚も持たずに入って来てやがるんだから当然だ。タオル巻いてても駄目だけど。

 

「おじさん、しーっ。ちーちゃん達は今職員会議とかお風呂に行っちゃってるから居ないけど、そんな大声出したら気付かれちゃうよ?いいのかなー?こんなところ誰かに見られたら……」

 

何で俺が怒られて脅されてんの?えぇ、どういうこっちゃ……

しかも的確に弱い所を突いてくるんだから質が悪い。

 

「俺の立場の弱さを盾にしやがって……ったくしょうがねぇなぁ……ほら、今なら見逃してやるから出てけ出てけ」

 

「えー!?そこは一緒に入ろうー、とか言う所じゃないの!?」

 

「あ?なーに馬鹿言ってんだ。お前、今年で二五になるんだろ?そんな良い年した女が兄貴と風呂に入ろうだとか考えるんじゃねぇ。相手が幾ら本当の兄貴じゃねぇからって、いやそうじゃないからこそ自分を安売りすんな。安く見せようとするんじゃねぇ」

 

後半、ちょっとばかり説教臭くなっちまったけど、本気で妹達には気を付けて欲しい。

俺だから妹として手を出したりはしないが他の男だったら今頃とっくに食われてるよ。それで酷い目に遭うのは大抵が女だと決まってんだ。

 

そうなってほしくないからこそ、少し厳しめに言ってやる必要がある。

まぁ、千冬と束なら寧ろ男の方を叩き潰しそうな気がするのは気のせいだ、という事にしておこう。

 

「と言うか、お前タオルも持たずに何してんだ。入ってくるにしても前ぐらいは隠せよな。ほら、これ使え」

 

そう言って俺は自分で持ち込んでいた小さいタオルを束に渡す。

すると、思いの外素直にタオルを受け取ると浴室から出て行った。

 

はぁ、兄貴としちゃこれで正解なんだろうが男としちゃ駄目なんだろうよ。

ま、これで良い薬にはなっただろ。

まぁ、少し言い過ぎたかもしれんから落ち込んでたら謝るかね。

 

 

 

そんじゃ、さっさと身体を洗って温まりますか。全裸のこのままじゃ幾ら夏とはいえ風邪引きかねない。

 

そういや一夏が赤ん坊の頃とか小さい頃は洗ってやってたっけなぁ……

これがまた手加減が大変だった。

何せ小さいし肌も弱いから下手に強く洗うと大変なことになる。だからどれぐらいの力加減で洗えばいいのか本当に困ったもんだ。

まぁ、タワシを使わずに手で洗えば速攻で解決する問題だったんだけどそれに気付くのにちょっとばかり時間が掛かった。千冬は千冬で背中に手が届かないとか言ってたから洗ってやらにゃならんし。

 

いやー、懐かしい……

 

思えば千冬と一夏と生活し始めてから十六年。

本当に色々あった……良くもまぁ、俺みたいなのが育ててあんな良い子に育ってくれたよ……

最近は割とその二人と何人かで命の危機を感じたり、ちょっとお兄ちゃんを見る目がおかしかったりするけど良い子に育って良かったマジで……

 

なんて考えながら体が洗い終わった。

 

 

 

 

 

「ふぃー……」

 

浴槽に浸かると、全身から力が抜けていくのがはっきり分かる。

いや、海に入ってからそのままだったから身体が冷えていたのかもしれんな。

 

温度は大体四十度ぐらいで良い感じだ。

 

のんびりと足を伸ばせるのは嬉しいね。

 

 

 

 

 

それから、機嫌良く風呂から上がって出る。

すると、束は布団を敷いてその中でいじけていた。

 

あちゃー、こりゃ相当ダメージデカそうだな……どうすっかな……

 

「束」

 

「……なに?」

 

お、返事はしてくれた。

とすると完全にご立腹とかそういう訳でも無いらしい。

 

「さっきはすまんかった。束の事が大切だからきつい言い方をしちまった。もう少し考えりゃ良かった。本当にすまん」

 

まぁ、どちらにせよ謝る必要はあるだろう。

盛り上がっている布団の前に座って頭を下げる。

 

すると、束は何も答えずに布団から出ると

 

「おじさん、私お風呂入ってくる」

 

「お、おう。行って来い」

 

そう言うと脱衣所の方に行ってしまった。

……なんだったんだ?一体。

 

まぁ、いいや。

俺も布団敷いとこ。もう九時だから結構いい時間だ。

 

と言うかクロエは何をやっているんだ?一夏達の部屋に行ったっきり戻って来ねぇけど。

まぁ、一夏達の所だから大丈夫だとは思うが……最悪、そのまま寝落ちしているって事も有り得るな。

 

一夏達が居るから大丈夫だとは思うけどな。

 

 

 

と言うかもう眠い。

束には悪いが先に布団に入るか。

 

そう思って布団に入ってから十分後。俺は寝てしまった。

 

 

 

 

 







はい残念でした!束さんとムフフな展開あると思った?ねぇ思ったでしょ!?

でも残念、この小説はR‐15な上にそんな展開になったらおじさんは本当に妹達に命を狙われちゃうからね。


おぉっと、でもまだ諦めるのは早いぜ?
まだおじさんが寝たところで終わってんだろ?次の話であるかもしれないじゃん?(あるとは言っていない)


まぁ、取り敢えず期待しないで待っててや。












因みに作中でおじさんが言っていた卒業式の当日云々の話は作者に起きた実話です。どうぞ笑ってください。





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