おじさん、今年で36歳になるんだけれども   作:ジャーマンポテトin納豆

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んもうまた投稿間隔開いちゃって!私ってばダメな子!









歌って踊って騒げ!学園祭! 前日ゥ!

 

 

 

 

 

 

はてさて、学園祭前日。

最終準備の仕上げとして、本来はクッソ忙しいはずの授業日程を無理矢理こじ開けて丸々一日の猶予を取っての準備日。

 

準備は着々と進んで、俺に任されたテーブルと椅子の制作も無事終わった。

あとはニスを何度か重ね塗りして乾燥させるだけで、最後の塗装も終わったからおじさん暇になっちゃった。

 

何か他にやることも特にないし何すっかな。

流石にこの炎天下で外でずーっと待ってんのもアレだしなぁ。かと言って一応今は学園祭準備と言う名の授業な訳でして、部屋に戻って寝ようものなら皆からぶーぶー言われ、千冬に怒られるのは明白。

と言うか良い歳した大人が頑張って準備してる高校生尻目に自分だけ部屋で寝るなんて出来やしない。

 

かと言って一夏達の方も準備は大詰めでさっき顔を出したら特に何もないからその辺で休憩してて良いよー、と言われたばかり。

どこもかしこも学園祭の準備ってんで居場所が無いから仕方無く外に戻ってきたわけだ。

 

1組の教室は更衣室なんでね、今も色々荷物があるし、中には着替えを持ってきてる子もいるだろう。

どう考えても入ったら変態さんになっちまう。

 

書類とかも粗方、優秀なお嬢さん達がぱぱっと済ませて学園祭準備の最初の方に提出しちまったし。

一応この学園って日本国の管轄だから保健所に衛生関連の書類とかを提出して安全かどうかとか色々検査を受ける必要があるんだわな。だから食い物関係の出し物をするクラスとか部活は大体同じように書類を出している。

 

因みにその書類を纏めて出しに行ったのはおじさんです。

だって車持ってんの俺だけだし。千冬含め先生方は皆さん運転免許は持ってるけど当然ながら学園内で生活している以上必要の無い車は持っていないし、それこそ酷い人だと免許取ってから一回も運転してない、とかそんなレベルなわけでして。

 

必然的に車を使うなら俺、って感じでお鉢が回ってくるんだ。

他のクラスの手伝いでも車を出して回ってたし。

 

今のご時世、殆どが電気自動車か水素車なんでね。

ウチの車は千冬と折半、と言うか千冬のゴリ押しに負けて9割千冬持ちのお高い水素車なのだ。

おじさんがまだ本当に若い昔は、ガソリン車ばっかが走ってたんだけど、世の中変わるもんだなぁ。

 

まぁ、今でも軍用とかだとガソリン車が主流なのよね。

なんせ舗装された道路を走るならまだしも、道無き道をそれこそ爆走しなきゃならん時もあるわけで、正直まだそれほどの耐久性っつーの?信頼性っつーの?が無いんだよな。

 

しかも軍用だから一般車よりも安全基準が高いんだよ。

一般車じゃ事故にでもならない限り燃料の水素に引火して爆発とかならないけど、軍用車なんて銃弾砲弾の中で活動しなきゃいけない訳だからそら当然っちゃ当然だわな。

 

それに単純な話、馬力不足ってのもある。

極端な話、数十トンにもなる戦車とか10トン単位で重くなる装甲車ぐらいにまでなると電気とかだとどーしても動かせない訳じゃ無いけどおっそい。

水素車だって特に被弾前提の戦車装甲車はぶっちゃけ向いてない。

それに民間車とは違って色んな機器を積んでるからそれを全部カバー出来るだけの発電量がなけりゃならない。

ただ動かすだけでも重量があるから苦労すんのに、そこから更に機器にまで電力供給するってのは現状は無理なわけだ。

 

軍艦ほどにまでなったらどうやったって発電量がカケラも足りないのは明らか。

だから民間だと電気自動車水素車が9割を占めるようになった今でも、軍隊ってのはガソリンを使っているわけだ。

 

 

まぁそれはさておき、我が家の水素車もお高くてかっちょいいやつなのだ。

束がもっと性能良くて環境に優しい車作るよ?とか言ってたけど、んなもんどんなの渡されるかおっそろしくて首を縦になんぞ振れんわ。

 

信用はしてるよ?危ねぇもん渡して来ないってのは。

だけど技術的にどれだけ世代ぶっ飛んだモン渡されるか分かったモンじゃねぇ。

それこそ空飛ぶ車とか、浮いて走る車とか渡されたら困る。

 

車検云々よりも、そもそも公道走れないだろ。

周りが地面にタイヤつけて回して走ってんのに、一台だけフヨフヨ浮いてるとかめっちゃ注目浴びそうでやだよ。

 

まぁ、もし宇宙探索で必要だから、適当にモニター役やってくれない?とか言われたら頷いちゃうかもだけど。

 

 

 

 

「あっちー……」

 

なんて考えながら、木陰の下に座ってぼーっとしていると。

 

「あっ!いたいた!洋介さん!」

 

「んぉ?」

 

何やら名前を呼ばれた。

顔を向けてみると何やら校舎の玄関からチャイナドレス姿のちっこい人影が駆け寄ってくる。

 

「おー、鈴じゃねーの、どったの?」

 

「ちょっと来てくれる?」

 

「おー、暇だから良いぜー」

 

鈴に手を引かれながらついて行くと、何やら2組の出し物をやる教室まで連れて行かれた。

1組の教室と2組の教室を使ってやるんだが、1組の教室を厨房として、2組の教室をホールとして使うんだとか。

2組くじ引きででかい教室を引けなかったからこうなったんだと。

 

引っ張られてホールに連れて行かれると、そこには2組の面々がチャイナドレス姿で待っていた。

 

「あ、佐々木さんだー。こんにちわー」

 

「あい、こんちわー」

 

なんだかんだと半年ほどの付き合いなもんだから顔見知り、すれ違えば挨拶をするぐらいの関係性は築いていた。

 

「んでもって、なんで俺を連れて来たんだ?言っちゃアレだが、一応商売敵だぞ」

 

「洋介さんがそれぐらいの事気にしないでしょ」

 

「まぁそうだけども」

 

「ちょっと外部の人間の目線で見て欲しかったのよ」

 

なるほど、要は客目線で最終確認と行きたかったわけだ。

他のクラスの皆はどう考えても準備が大詰めで忙しいだろうし、となると暇そうなの、ってことで鈴の頭ん中で真っ先に俺が上がったわけだ。

 

……実際暇してたけど、それはそれでなんか複雑だぞ。

 

「で、俺?」

 

「そ。それに男だから」

 

「おいちょっと待て。そりゃあれか?俺を変態だと言いたいんだな?」

 

「違うわよ。まぁ、変態っちゃ変態だけど」

 

「おっほ断言と来たか」

 

あっれぇー?おかしいぞー?

なんで俺の事変態だって断言すんだ?

 

おじさんは紳士なのだ。

決して変態紳士とかではない。れっきとしたちゃんとした紳士なのだ。

 

「だってシスコンだもん」

 

「そら否定しないな。だが変態じゃない」

 

「……普通そこはシスコンを否定するわよ」

 

「なんだ、鈴も大好きって言って欲しかったんか?ん?」

 

「……」

 

「……そこで黙られるとおじさん困っちゃうんだけど」

 

え?何で黙るの?

普段の鈴だったらそこはアレだろ、キレながらど突きに来るだろ。

 

それがなんで腕組みながら俯いてんの?

 

「何よ、恥ずかしいの?」

 

「いや、断じて恥ずかしくはない」

 

「ふーん?普段小娘とか言ってるくせに恥ずかしいんだ」

 

「……鈴さん鈴さん、お顔真っ赤ですよ」

 

「うっさい!」

 

あ、キレた。

 

「佐々木さんって罪作りな男だねー」

 

「ほんとほんと。私達はああ言う男に引っ掛からないようにしよーね」

 

「おいそこ、なんつー誤解を招くような事を言ってくれちゃってんの!」

 

きゃいきゃいと騒ぎながら、鈴達の中華喫茶を見物。

 

 

 

 

 

 

「ほー、メニューはお茶中心か。お、薬膳茶とかまである。凝ってんなぁ」

 

「軽食ぐらいなら食事も出来るようにしたわ。どう考えても1組に食事は流れそうだから、その腹ごなしって感じにしてみたの。客入りもあんまり無さそうだし席数も少なめ」

 

 

確かに席数が1組と比べると少ない。

 

んー、そんな事ねーと思うけどなぁ。

 

そういや鈴の親父さんが中国茶淹れんの滅茶苦茶上手かったんだよな。

中華料理ってんで油モンばっかだと胃もたれするからって薬膳茶とか色々やってたんだよ。

 

親父さんの作る中華を食った後に薬膳茶を飲むってのがまた最高だったんだなこれが。

しかも胃もたれしないってんで、ただお茶飲みに行くだけの時もあった。

 

おじさん、この歳になると油物食うとほら、胃がさ……。

 

 

客足もかなり入ってて繁盛してたんだ。

態々別の県から来たりする人も居るぐらいには。

 

だけどちょっとした夫婦のいざこざってのかな、それが原因で離婚しちまったんだ。

あんまり他人家にあーだこーだ言うのは間違いかもしれねぇけど、離婚して店畳むって言われた時は残念だったなぁ。

 

最後の日はいつも以上にお客さんが来たんだっけか。

 

鈴って顔とかはお袋さん似で、料理の腕とかそう言うのは親父さん似なんだ。

本人がいるとこで言うと怒られるんだけどお袋さん、料理の腕はあんまりだったからな。

割と二人ともサバサバした性格だったしそこも似てる。

 

「はー、考えてんなぁ。まぁウチはガッツリ飯食えるし、妥当なとこだな。軽食作るのは鈴か?」

 

「んーん、私はホール担当で、お茶淹れたりするだけ。本当は厨房立っても良かったんだけどホールやれって。それに皆に教えたけど中国茶の淹れ方知ってるの私だけだから対応しやすいし」

 

軽食つっても中国伝統のお菓子とかそう言う感じだから、ウチよりは随分と毛色の違った喫茶店だ。

1組のメニューはどっちかってーとレストランみたいになってっからな。

 

「まぁ、茶の入れ方はともかく鈴は美人だからなぁ」

 

「なっ……!?」

 

「客寄せパンダには丁度良いだろ」

 

「余計なこと言わない」

 

「サーセン」

 

実際のところ、鈴って美人さんだよ。

普通に目鼻立ちはスッキリしてるし、箒とかセシリアとはベクトルが違う美少女だな。

 

こう、箒とかセシリアみたいにザ美人、ってんじゃなくて可愛いって感じなんだよな。

愛嬌あるし、一年ちょっとで代表候補生になったぐらいの努力家。

 

普通に男共が振り向くぐらいの美人さんな訳だ。

この学園っておじさん抜きにしてマジ顔面偏差値クッソ高ぇからな。それでも鈴はそん中でも飛び抜けてるし。

 

まぁ、身長がちっこくて街中歩いてると9割方小学生に間違われるのと、大体の店とか映画館に行くとお子さん一名ですね、とか小学生割を薦められるんだけどその辺もご愛嬌ってやつだ。

それで小学生料金にしないのが偉いとこよ。

まぁ意地なんだろうけどさ。

 

そら懐かれてる身としちゃぁ、揶揄い甲斐があるとは言っても可愛いもんよ。

 

 

 

 

 

「鈴、良かったね」

 

「なにがよ」

 

「だって佐々木さんに美人だって言って貰えたじゃん」

 

「んなっ……!うっさいわよっ」

 

「またまたー、ほっぺが紅くなってますよ?」

 

「それ以上言ったら当日一切フォロー入らないから」

 

「ごめんってば」

 

 

 

 

 

何やらコソコソと喋ってるけど、まぁいいや。

 

「お茶飲む?」

 

「お、いいの?」

 

「まぁ実験台ってことで」

 

「えー」

 

「嬉しくないの?」

 

「いやいや、嬉しい嬉しい」

 

「そう、ならちょっと待ってて。今茶具取ってくるから」

 

ぶっちゃけ詳しく無いからよく知らんけど、日本茶と比べて中国茶って淹れ方違うんよな。

なんか玉露とか頭にハテナ浮かぶ入れ方した気がするし。

 

飲めりゃ何でも良い派閥の俺はゲテモノじゃなけりゃ大丈夫。

酒?あれは年に一、二回ぐらいのたまーに飲むのが良いんだよ。

 

鈴の背中を見送って、今更ながら外にいて汗掻いたままの俺をここに入れて良かったんかな、と思うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、どーぞ」

 

「んじゃま、頂きます」

 

実演指導も兼ねて俺にお茶を振舞ってくれたらしい。

周りの皆は何やらメモを書いたり動画を撮ったりして勉強中である。

 

俺、文化祭って裏方ばっかやってて当日は人が居ない場所とか探して寝てたタイプだからなぁ。

お化け屋敷やった時なんかバックヤードで一日中寝てたし。

 

まぁ自分とこの出し物に加えて前日に生徒会のダチに朝まで準備に駆り出されてたからって事で許してくれたけど。

 

そう考えると皆偉いねぇ。

 

「……これ、鈴が淹れたんだよな」

 

「目の前の私が偽物でもない限りはそうよ。なに?もしかして不味かった、とか……」

 

「いやいや、味に関しちゃ美味い。ただ、なんつーか、すげぇ懐かしい味と言うか……、あ!親父さんの味だ!そーだよこれ親父さんのだよ!」

 

そうだ、これ昔よく鈴の親父さんが俺に娘が世話になってるからって態々店に出してるのとは違う方法だかなんだかで淹れてくれたお茶と同じ味がするんだよ!

 

いやぁ、懐かしい。

しかしなんだって鈴が淹れられるようになったんだ?

 

離婚した時、親父さんから料理は習ってたけどお茶の淹れ方は習ってなかった筈なのに。

 

「良く分かったわね、逆に怖いわ……」

 

「引くな引くな。しっかしお前、これどこで教わった?まさか親父さんに教わったのか」

 

「その通りよ?」

 

「いやでも別々のとこに暮らしてんじゃねぇの?」

 

「あぁ、それね。あの二人、今同居中よ」

 

「ファッ!?」

 

余りにも驚き過ぎて変な声出ちゃったじゃねぇか。

いや、あの二人離婚したんだよな?

 

「あの二人、結局あの後冷静になって再婚ってわけじゃ無いけどお互いに謝ってまた一緒に暮らし始めたのよ。その時アタシにも迷惑かけたって」

 

「はー、あの頑固者夫婦が?」

 

言っちゃ悪いが、鈴の両親はそらもう頑固を絵に描いたような二人な訳だ。

互いが互いに譲らず、ギャンギャン言いながら喧嘩してたのを何度見たことか。

 

鈴は慣れた様子でケロっとした顔で、

 

「あそこにいるとお玉とか鍋とか飛んでくるから避難しに来た」

 

っつって俺ん家に転がり込んでたっけ。

 

「そーそー。アタシもびっくりしたわよ。娘だから良く知ってるけど二人とも馬鹿みたいに頑固で離婚するってなった時もお前が悪いだなんだで大喧嘩してたのに、いざ居なくなって清々したー、とか言ってたと思って暫くしたらどっちも寂しくなったらしくて」

 

「失ったら気が付く大切なもの、ってわけか」

 

「そう。もー、やってらんないわよ。家じゃ年がら年中あの喧嘩が幻だったのかって思うぐらいイチャ付きやがって」

 

「そりゃぁ、なんつーか、災難だったなぁ」

 

「ま、もう気にしてないんだけどね。で、一緒になって住み始めた父さんから教えて貰ったの」

 

これまたサバサバした性格故かケロっとして言った。

 

まぁ、何にせよあの二人が仲直りしたってんなら、良い事だな。

それに巻き込まれた鈴の心中は察するものがあるけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんじゃ、そろそろ帰るかな」

 

「ん、実験台ありがと」

 

「いやいや、俺こそ美味い茶タダで飲ませて貰ってありがとな」

 

「当日来たら、その時はちゃんとお客様としてもてなすから、来てよね」

 

「おう、絶対行くよ。鈴達も1組来いよー。一夏が美味いモン作ってくれっから」

 

そう言って、2組を後にする。

まだ一時かぁ、どーっすかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

適当に学園内をうろうろと歩き回り、あちこちの準備を適当に見て回って時折手伝ってとしていたらあっという間に五時。

多分そろそろ千冬が教室に行ってLHRやる頃だから戻った方がいい。

 

と言うことで教室に戻ると。

厨房組含めて全員がメイド服を着ていた。

 

「あ、お兄ちゃん帰ってきた!」

 

「どうしたどうした」

 

「皆で記念撮影しようって話になってさ。お兄ちゃんも着替えて一緒に撮ろうよ!」

 

「今から!?」

 

「そーだよ?」

 

「いやお前、晩飯どーすんの。これ絶対写真撮るの夢中になって食いそびれるヤツじゃん」

 

「大丈夫だよー、それぐらいちゃんと気を付けるって」

 

「まぁいいけど、千冬もそれで良いのか?」

 

「ん?まぁ、今日ぐらいは構わんだろう。他のクラスだって騒いでいてLHRどころじゃなさそうだからな」

 

何故学園祭が終わっても居ないのに写真撮影なのか、とは聞くまい。

高校生なんてそんなモンだろ。

 

まぁ、千冬までもがメイド服着て準備万端なのはアレだけど。

 

いやはや、実に五年だか六年だか七年だかぶりの千冬のメイド服ってのはなんだか懐かしくなる。

 

 

 

「ほらほら、お兄ちゃんこっち来て」

 

「えー、俺端っこで良いんだけど」

 

一夏に引っ張られ、全員のど真ん中で集合写真を撮ったり。

 

「お兄ちゃんぎゅー!」

 

いきなり抱き着いて来た一夏と撮ったり。

 

 

 

 

 

「あ、その、小父様、出来ればこう、抱き締めて貰えると嬉しいのですが……」

 

あの告白以降、最初は大人しかったのに段々と遠慮無しになって来たセシリア。

流石に抱き締めるのはナシで、横に並んで立って軽く抱き寄せる程度にしといた。

 

 

「佐々木さん、私お姫様抱っこが良いです」

 

「あのねぇ……」

 

シャルロット、お姫様抱っこを所望して来やがりました。

当然却下です。

 

 

「父よ、手を繋ごう」

 

「勿論よ、幾らでも繋いだる」

 

可愛い可愛い娘のメイド服姿、眼福です。

あー、心が洗われる……。

 

 

「洋介兄さん、私も手を繋ぎたいです」

 

「ええで」

 

ラウラと同じく手を繋いで写真を撮りたがった箒とも。

まぁ想定外だったのは何故か恋人繋ぎだったことだな。一夏達の目が凄かった。

 

 

「兄さん、どうだ?」

 

「似合ってる似合ってる」

 

久方ぶりのメイド服ってのもあって緊張気味、若干恥ずかしそうにしながらの千冬はうん、イイネ!

 

 

 

 

 

 

 

「なんか佐々木さんと織斑先生があの格好で並んで立つとさ」

 

「あー、なんとなく言いたい事分かった」

 

「「「クールでなんでも出来ちゃう系メイドと駄目人間っぽいけどいざってときは頼りになるオジサン系執事みたい」」」

 

「おー、随分と失礼な事言ってくれんじゃないの。俺ってばいっつも頼りになるべ」

 

「うーん、いつも頼りになるかな?いざって時は本当に頼りになるけど」

 

「なると言えばなる、のかな?」

 

「あっれおっかしいな俺いつも頼りになると思ってたんだけど」

 

嬢ちゃん達になんだかんだと言われて、それぞれと記念撮影して。

 

 

 

 

 

「そろそろ解散だ」

 

「えー、もうちょっとだけお願いします!」

 

「駄目だ。食堂が閉まるし明日は早い。さっさと寝ろ」

 

千冬の号令によって解散。

ちゃちゃっと着替えて整えて食堂に皆で言って飯食って。

 

食堂が閉まる三十分前だってのに、やっぱりみんなはしゃいで居たのか割りかし混雑していた。

 

それぞれの部屋に戻ったらさっさと風呂に入って寝る。

千冬は仕事があるからまだ職員室にいるが、明日のこともあるってんであと一時間ぐらいで帰ってくるそうな。

 

まぁ、それぐらいなら起きて待っててやるかな、とテレビを付けて待っていた。

 

千冬が帰って来たならば、さっさと風呂に入って出てきた千冬が髪を乾かすのを待ってベッドに潜り込んで寝た。

 

 

 

明日は校内公開とは言え本番も本番。

気合い入れなきゃぁな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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