おじさん、今年で36歳になるんだけれども   作:ジャーマンポテトin納豆

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時間が掛かった癖にクオリティは察して欲しいレベルの出来栄え。
今回思いっ切りシリアス回です。おふざけはありません。
そこんとこヨロシク。


それと内容ですが好き嫌いが分かれると思われます。
御了承ください。


おじさん、人生相談の巻(果たしてこれを人生相談と言っていいのだろうか)

さて、どうやって接触していくかなんだがなぁ……

あの嬢ちゃん、完全に塞ぎ込んじまってるし。

 

あぁ、因みに俺が接触を図ろうとしてんのはセシリア・オルコット。

あの時、クラスメイト全員が居る前で盛大にやらかしてしまった為に、思いっきりハブられている。しかもその噂が学年全体に広まっちまってるもんだから地獄だろう。

 

まぁ、飯を食ってるときのあの背中を見ちまったら放ってはおけねぇなぁ。

千冬も態々俺に相談に来るぐらいには酷いし、そも、教師になって日が浅いこの学園の教師陣じゃ荷が重いと言うか……

 

別に先生方が使えないとかではない。こういった場合の対処法を知らない事、そしてそれを教えられる存在となるベテラン教師が居ない事を考えれば荷が重いと言っても仕方が無い。

 

学園自体が開校してから日が浅い事と、それに加えてISという専門分野そのものを学ぶ上で未だに発展途上であることも大きく関係しているだろう。その発展途上過ぎる故に教える側のマニュアルすら満足に完成しているわけでは無い。

ISそのものが未知と言っても良いことばかりで教えるための教科書なんて殆どあってないような物だ。

俺達に配られている教科書ももしかしたら普通に変わるかもだし。

 

しかも教師陣にも問題がある。いや、別に先生方の性格とかの事では無い。今のところ知っているのは千冬と山田先生しかいないが。

教師陣に問題がある、というのはその構成に問題があるという事だ。

元々この学園の教師は目指して教師になった訳では無く、千冬なんかがいい例だろう。元国家代表で現役引退後此処に来た。しかもその殆どが新任と言われてもいいような人達ばかりでベテランと言われる人間が一人も居ない事がデカすぎる。

 

俺自身も教師って訳じゃねぇからあんま言えないけど、それでも千冬と一夏をここまで何とか育ててきたのだから少なくとも経験はある。

 

……子育てだけど、無いよりはいいだろ。

 

それに千冬関係でまぁこう言った事の経験はある。

身内だったが今回もそれが通じるかどうかが心配だ。殆ど別物と考えても良いだろうなぁ……

 

 

 

 

 

それからどうしようか迷っていたが上手い手が見つからずしょうがないので行動に移すことにした。一応作戦もあるぞ。名付けて

 

「諦めて今は取り敢えずコンタクトを取るよ作戦(~その後はその時の自分に任せます)」

 

というもう如何にもオジサンらしさ溢れる思い切った作戦。天才軍師と褒めてくれてもいいぞ。おじさんが喜ぶだけだけど。

 

さてさて?今日の昼飯の時にでも会いに行くとしよう。確か食堂の方には来ていたはずだ。何度か見た事がある。

 

 

 

 

 

昼飯は一夏達に断りを入れてオルコットの所に向かう事にした。三人には、

 

「また女の子の事を落しに行くんだ」

 

なーんて揶揄われたが断じてそうではない。そもそも生まれてこの方ナンパとかの経験は無いんだぞ?一番近くにいたお前達がよく分かっているだろうに。

その後、三人は何故か少し笑って、

 

「人助けはお兄ちゃんの専売特許みたいなものだもん。納得だよ。ほら、早く行ってあげて」

 

なんて言ったが、理由を説明してないのに何故分かったし。

というか人助けとは限らないし。

妹達は何故か俺の考えとか思っている事が分かるらしい。

……本気でエスパーを疑っちまうぞ。

 

 

 

 

 

食堂でオルコットを探していると、結構端の奥の方で一人でモソモソ飯を食っているのを見つけた。

その背中は15、16歳の少女とは思えない物だった。

 

「お隣宜しいかな?お嬢さん」

 

「……!貴方は……」

 

「あれ、駄目だった?」

 

「……既にお座りになっているでしょう?……お好きになさって下さいな」

 

「そりゃ失礼。んじゃ頂きます」

 

そこからは互いに無言で飯を食っていた。

別に俺なんかは気にしないんだが、お隣さんはそりゃもう俺の事をチラチラ気にしているようで。

 

「……何故態々私の隣に来たのですか……?自分でも、あまり言いたくは無いのですが……その……」

 

「周りから避けられてるってか?」

 

「っ!!…………そうですわ……」

 

綺麗な顔してんのに今日までで随分と酷い顔になっちまったなぁ……

今も会話している間、暗い顔と小さい声で喋っている。

 

「……それに、私はあの時貴方に……」

 

「あぁ、あの時の事ね。それ、別に気にしちゃいねぇよ?」

 

「……え?」

 

「あのなぁ、別に俺が嬢ちゃんとどう関わろうと俺の自由だろうが。一々周りに流されたり指図されるほど馬鹿じゃねぇよ。それに暴言云々は自分よりも年下にあーだこーだ言われて気にしてたら生きていけねぇよ。……千冬とか一夏に臭いとか言われたらめっちゃ凹むけど」

 

「そうですか……それでは私はこれで……」

 

「あぁ、ちょい待ち。少し話あっから隣に座って待ってろって」

 

「え?ですが私と一緒に居たら……」

 

この嬢ちゃん、この前はあんなんだったが根っこはめっちゃいい子なんじゃね?

態々俺の心配をしてどっかに行こうとする当たりそうなんだろう。

 

「だから、そんなこと気にしねぇって。いいから待ってろ」

 

「…………分かりましたわ」

 

あ、因みにこの食堂、今日は午後貸し切りとなっております。

千冬に聞いたらOKだって言って借りてくれた。

食堂のおばちゃん達、ご迷惑をお掛けします。

午後は丸々オルコットの事で時間を使うと決めている。

 

 

名付けて、「チキチキ!おじさんの人生相談!」

 

うん、何がチキチキなのか全く分からんけど細けぇこたぁいいんだよ。

さてさて、ゆっくりと時間稼ぎをするように飯を食う。

うん、今日も美味いね。

 

ちょっと横を見てみれば俺が気になるのか、それとも別に理由があるのか、こっちを小さくなりながらチラチラ見ながら大人しく座っている。

その顔は不安で仕方が無いって顔だなこりゃ。だから別に俺は気にしちゃいねぇって言ってるんだがなぁ……

 

そして食ってる時に聞こえてくる小さな声。

 

「ねぇ、あれ」

 

「なんで一緒に居るんだろ?」

 

「知らない」

 

あぁ、どうせ自分達が嫌っている奴が何で俺と一緒に居るのか不思議でしょうがねぇんだろう。……下らねぇな。

隣を見てみればやはりと言うか、肩を震わせて俯いている。

 

「やはり、私と一緒に居たら……」

 

そう言いながら立ち去ろうとする。

 

「だから、俺は気にしねぇから、そのまま座って待ってろ」

 

「ですが……これから貴方にも色々と迷惑が掛かって……」

 

「あのねぇ……迷惑云々ならこの学園にぶち込まれた時点で既に、って感じなの。女子高生から文句言われるぐらいどうって事ねぇよ。それに千冬に一夏、箒に鈴も居るし、あと名前を出せんけど頼りになる奴も居るし、意外と俺には頼れる人間が多いからな。だからとは言わんけど俺がどうこう、ってのは気にすんな。って事で座ってなさいよ」

 

取り敢えず説得して椅子に座らせる。殆ど無理矢理な感じがしなくもないけど座ってくれたから良しとしよう。

 

 

 

 

 

それからのんびりと飯を食う俺に、時計を見てソワソワし始めるオルコット。

俺が態々呑気に飯を食ってる理由?そりゃオルコットも周りに出来るだけ人間が居ない方が話しやすいだろうしな。

 

「あの、早くしないと授業に遅れて……」

 

「大丈夫だよ。その辺は問題無いから安心してコーヒーなりお茶なり飲んで待ってなさいって」

 

そう言うと言いたいことはあるのだろうが大人しくなった。

うん、今ので確信したわ。この子根子はホントに良い子なんだよ。

授業にもちゃんと参加しようとするし。今までも授業を欠席した所なんて見た事も無い。

あ、でも今回欠席させちまったのか。これは申し訳ないことをしたな。後でしっかりと謝っておかねば。

でも何があったのか知らんが女尊男卑思考になってたわけだ。

だけどあの件があってから改心したのかそうではなくなっている。

 

「さて、食器返してくるから逃げちゃだめだぜ?」

 

「此処まで来たのですから逃げも隠れもしません」

 

「そうかい。それじゃちょっとばかし待っててくれ」

 

食器を返して、オルコットの所へ戻る。

ついでに自分の分のお茶とオルコットの分の紅茶を持っていく。

イギリスがどうこう言ってたから多分紅茶で大丈夫なはず。パックだけど。

 

「ほい。お待たせしちゃって申し訳ないね。お詫びと言っちゃあれだけどこれどうぞ」

 

「あ……その、大丈夫ですわ。ありがとうございます」

 

「そんじゃ早速お話ししようか」

 

周りには誰も居らず、おばちゃん達が食器を洗ったり晩飯の分の仕込みをしている音ぐらいしかしない。そのおばちゃん達からは柱が丁度いい位置に立っている為双方共に見えない。この状況ならばある程度の声で話しても問題無かろう。

 

「その、お話すると言っても何を……?」

 

「ん?今までの会話で大体想像はついてるんじゃない?」

 

「……私の現状について、ですか」

 

「大当たり。おじさんはそれを改善する為にこうしてお話してるって訳だ」

 

「それは……何故、ですか?やはり私一人を助ける為にしては余りにもデメリットが大きすぎるのでは……?」

 

「ま、さっきから言ってるけど気にしてない。っつっても納得できてないんだろ?」

 

多分これだけじゃ納得してくれないし、これ以上理由を説明しても本当に納得してくれるかどうかは分からない。だが実際気にしていないってのは本当だ。

あんまり言いたくないが、世の中に出ればこれよりも遥かに酷い奴らばかり。正直な所俺が務めていた所にも女尊男卑思考の奴は少なからず居たがそう言うのは確実に会社を辞めていくか問題を起こしてクビになる。

というのもマジで女権団のコネだか何だか知らんがそう言うので入ってきたりするのだ。しかし大抵は使い物にならない。

 

だから俺はセシリア・オルコットと言う少女にそうなってほしくない。そうなれば一時は良いだろう。だがやって来るのは確実に破滅だ。

 

でもこの少女はそうではなかった。しっかりと自らの行いを反省し、こうして今の現状に至るという訳だ。だからこそ相談されたときも、人生経験はこの学園に居る人間の中では多い方という事で引き受けた。

 

 

そして納得できない、していないであろうオルコットは俺の問いに頷く。

 

「……えぇ」

 

「そうだな、理由を説明しろって言われてもな。ただ単に見ていられなかったから」

 

「何故ですか?」

 

「そうだなぁ……お前さん、普段自分がどんな目をして、どんな雰囲気出してるか知ってるか?」

 

「いえ」

 

「死んでた」

 

「え……」

 

「死んでるんだよ。目も、顔も、雰囲気も、何もかもが」

 

この一か月、ちょくちょく見ていたがその度にどんどん死んでいくのが分かった。

それでも俺が手を出さなかったのは教師達にもメンツがあり俺が下手に介入してしまうとそれを潰してしまう恐れがあるから。流石に何もしないんだったら自分から行く事を考えたが千冬と、山田先生が居る時点で何もしない、という事は有り得ない。だからこそ今の今まで何もしてこなかった。

 

つっても、聞く人間によっちゃ文句の一つを言いたくなるようなもんだとは俺も思っている。

 

「びっくりしたよ。オルコットの背中は、15、6の子供がしていいような背中じゃなかった」

 

「そうですか……そんなに……私もまだまだですわ。自分のせいで自分をこのような状況にしたのですから耐えようと決めていたのに……」

 

「そんだけ辛かったって事だろ。別によ、辛かったら辛いって言っていい。苦しかったら苦しいって言っていい。悲しかったら悲しいって言っていい。一人で抱え込むようなもんじゃねぇのよ?そう言うのは」

 

「ですが……私は……」

 

「そうだな。オルコットは日本人が居る場所で日本人を馬鹿にした。国を馬鹿にした。熱心な、とまではいかないにしろ少なからず自分の生まれ育った国をな。それにオルコットの立場は?代表候補生だろう?その言葉には責任がある。下手をすればイギリスそのものの意見として取られかねない」

 

確かにオルコットの言い放った言葉は本当に行くとこにまで連絡や報告が行ってしまえば国際問題になってしまう訳だ。

 

「……はい」

 

それを指摘されたオルコットは小さく頷いて返事をした。

 

「まぁこれに関しちゃしっかりと反省してるようだし俺から言う事は一つだけ。何時でもいいからしっかりと皆に謝っておくこと。いいかい?」

 

「はい」

 

「よし、それさえ分かってくれりゃ俺はオルコットの味方だ。色々とあったんだろうからそれを聞かせて欲しい。まぁ話したくないとか言われたらどうしようも無いんだけどさ」

 

「…………いえ、ここまで来たのですから全てお話させていただきます」

 

「あいよ。それならこっちもしっかりと聞かにゃならんな」

 

しっかり聞く姿勢を取る。

わざわざ時間を取らせて話してもらうんだ。

 

 

 

 

 

「まず私の家の事から説明致します。大元を辿ればそこに要因があるわけですから。私の家は所謂貴族と言う物です。そして母方の家系は代々王家にも仕えたりしているような名門貴族。対して父方はそうでもない辺境貴族のようなものでしたわ。母方は後継ぎとなる男児が居なかったことから母が家を継ぎました。その時既に御爺様が始めた各種事業も引き継いでオルコット家当主となりました。その後、跡取りが居ない事もあって父はオルコット家に婿入りという形で母と結婚しました」

 

「父は元々大貴族に婿入りしたと言う負い目もあったのか、ある時から卑屈になり始めました。それまでは母との関係も良好で、仲が良かった。でも卑屈になって行った……それからは母の顔色ばかり伺っておりました。私はそんな父が、嫌いだった。いえ、この時点ではまだ好きだった。そんな父でも、私に対しては優しかったですし周りから見ればいい父親だったのでしょう。事実、手を出される事も、八つ当たりなどされたことはありませんから」

 

「だからこそ私は疑問に思った。何故そこまで卑屈になって、母に媚びるのか。不思議で不思議でしょうがなかった。そして歳を重ねるごとにそれは疑問から嫌悪になって行った。そして世界中にISが発表されてからはより一層父は母に媚びるようになって行きました。周りの男達もそう。母に媚び諂って、街中ですらそうやって簡単に頭を下げてばかりいる男達ばかり。暫く前は随分と威張り散らしていたのにISが登場してから掌を簡単に返しているようなあの態度」

 

「私は……情けないと思った……誇りも無く、自信も無く、只管に母の顔色を窺っているばかりで、周りに馬鹿にされてもその態度を変えることが無い。ただ笑っているだけ。言い返すことも無く只々力なく、ヘラヘラと笑うだけだった。それなのに父は母と常に一緒に居た。母もそんな父を邪険にするでもなく、でも時折鬱陶しそうにしているだけだった。でも私はそんな事はどうでもよくなっていた。そう思うよりも少し前に父に言ったことがあるんです」

 

「どうして何時もそうなのですか?昔のお父様に戻って欲しい、って。でも父は何も言わずにただ力無く笑って私の頭を撫でて「ごめんね」と言うだけだった。それからは失望して、絶望しました。何故?何故?何故?ひたすらに疑問と共にこんな男なんて嫌いだと言う思いしか湧かなかった」

 

「それから暫くして、二人は亡くなりました。理由は欧州横断鉄道での脱線事故。二人共、即死だったそうです……原因は不明。一部ではテロの可能性もあるそうですが……それからは私の周りの環境が大きく変わり始めた。二人の残した遺産を狙って多くの人間が寄って来たのです。貴族、企業問わずに」

 

「そんなとき私は思ったのです。母の残した物を守らなければならないと。それからは只管に努力をしてきました。経営から始まってありとあらゆる事を学びましたわ。辛かったけれどこれで守ることが出来ると信じていたから。それからです。私にIS適性があると分かったのは。我武者羅に何でもやった。誰の手も借りずに。周りに味方なんて居るはずも無かった。居たのかもしれませんが少なくともその時の私は、そんな周りに味方を探す余裕なんて欠片も無かった」

 

「周りを見てみれば今まで私に子供だからと大きな態度を取っていた大人の貴族、人間ですら私に媚び諂う始末。そして何の力も持っていない、ただ女性と言うだけで大きな態度を取る人間。それを見て、心の底から情けないと思いました。だから私は誓った。私はその様な人間にはならない。そして少なくともそんな男性を伴侶としたくない」

 

「だからあの時、ヘラヘラしている貴方に苛立ちと、怒りを覚えて暴言を吐きました……そのまま勢いが止まらずに……この国と、人と、文化を馬鹿にして、差別発言までして……」

 

オルコットは話し続けた。

聞いているに中々にハードモードな人生を送って来ているらしい。

 

「それからあの時は織斑先生が納めてくれましたが……その後からは……」

 

「今みたいな状況って事か」

 

「……はい。最初の内は私も、謝罪をしよう、と思っていました。でも、拒絶されたら?罵倒されたら?そう考えると怖くて、何も出来なかった……その内に無視されるようになって、それからはずっと……」

 

そう言って下を向く。

やはり拳は握られていて目尻には涙が溜まっている。

大元の原因はオルコットとは言え、今の状況は幾ら何でもあんまりすぎる。だからこそこうして俺が話を聞いているんだけど。

 

「そっかぁ……辛かったか?」

 

「ッ……はい……」

 

「そっか。それなら別に我慢しなくてもいいんだぜ?」

 

「え……?」

 

「素直になった方がいいって。貴族として色々あるのは分かるけどさ、少なくとも今ここに居るのは俺だけだから。別に泣いてもおじさん、誰にも言ったりはしないから」

 

肩張って意地張ったりするのもいいけどおじさん、時には泣いたりするのも必要だと思うんだよね。だけどその点、オルコットは親を亡くしてからずっと張り詰めて生きてきたようなもんだろうし、この学園に入学してからは周りに味方が誰も居ないのだから尚更。そこに今回の件が入って来ていると来た。弱いところを見せられる人間が居なかったのだ。さっき色々と聞かせてくれたけどそんな感じだったし。

 

 

「はい……はい……!」

 

そんな事を思って口に出したら俺の顔を見て段々と泣き出し始めてしまった。

泣いていいよと言った張本人である俺もびっくりの泣きっぷり。色々溜め込んでたんだろう。昔、泣いている千冬や一夏にしていたように頭を撫でてやると余計に勢いが増して来た。

 

「ごめんなさい……!ごめんなさい……!」

 

「おう。謝んなくていいから好きなだけ泣け」

 

それ以上何も言わずに、ただ待っていた。

 

 

 

 

 

 

「グス……その、お見苦しい所を……」

 

「だから気にすんなって。さっきも言ったけど泣きたい時は素直に泣くのが一番」

 

「はい。その、ありがとうございます。とても軽くなりましたわ」

 

「おう。それと、大元の用件なんだけどそっちに関してはさっきも言った通りにクラスの面々にしっかりと謝っておくこと。そうすれば今よりは遥かに態度は柔らかくなるだろうし。もしそれでもなんかあるようだったら言ってくれ。またこんな感じで話聞くから。まぁでも心配しなくても大丈夫だと思うけどな。一夏と箒は間違いなく気にしてないだろうし鈴は「別に私日本人じゃないし」とか言いそうだしな」

 

「はい。分かりましたわ。それでは今日中にでも謝罪しますわ」

 

「そんじゃおじさんは見守り役に徹するとしますか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういえば、疑問に思ってた事聞いてみるか。

 

「そういえばなんでご両親は一緒に居たの?あ、答えたくないんなら別にいいけど」

 

「いえ、別に構いませんわ。そうですわね……正直、全く分からないのです。本当に不思議なのですが、今思えば何故母は父と常に一緒に居たのか今でも分かりません……」

 

「そっか。まぁもし機会があったら遺品とか色々見てみるといいよ。新しい発見があるかもしんないし」

 

まぁ俺が言う事じゃないだろうけど多分スッゴイご両親に愛されていたんだと思う。

探せば手紙とか見つかりそうだし、聞いた感じ嫌いだったらお互いに近づいたりしなかっただろう。にも拘らず揃って傍に居続けた。なんか色々理由はあったんだろうけどそれを話す訳にはいかなかった。って感じがする。

 

「そう、ですわね……実家に帰ったらそうしてみますわ」

 

「ん」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「オルコット、今日は時間を取らせちまって申し訳ない」

 

「いいえ、お気になさらず。こうして私の悩みも何もかも打ち明ける事が出来てとても心が軽くなっていますもの。そうなれたのは小父様のお陰ですわ。それにとても有意義でしたもの。それとセシリアとお呼びくださいな」

 

「そうかい?なら良かったんだが、その小父様って呼び方止めてくんねぇかな?なんかむず痒いし、犯罪臭半端ねぇ。呼び方については分かった」

 

「そうですか?それならそうですわね……お兄様、とか?」

 

「お前は千冬達に喧嘩を売る気か?それとも俺を殺す気か?」

 

「ふふっ。こんな言葉を知っていまして?【Aⅼⅼ iS fair in love and war】、ですわ」

 

「……何?ごめん日本語でお願いしても?」

 

「駄目です。ご自分でお調べになってくださいな」

 

そうして俺と会話するセシリアの顔は少し恥ずかしそうに頬を赤らめていたが、とても生き生きと笑っていた。

うん、この方がいい。元が美人だから笑ってる方がやっぱりいいや。

 

でもよぅ……調べるにしても発音がネイティブ過ぎて全く聞き取れなかったからどうしようもねぇんだけど。英語話せる人、誰か助けて。

 

まぁでも、やっぱり美人は笑ってるのが一番だね。さっきまでとは大違いの顔付きだ。うんうん。めでたしめでたし。

 

 

その後、セシリアはしっかりと謝罪してクラスの面々もあっさりそれを受け入れた。元々謝ってくれれば別に気にしないと言う感じだったらしい。

こうして騒動は収まった。

 

 

 

かに思われたがその後、セシリアの俺に対する小父様呼びとかで一悶着あったのだが。

思い出したくないのでこれで終わりにすることにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いやぁ、清々しいまでのシリアスでしたね(意味不明)

それはそうと、感想でもセシリア出ないのとか言われたりしてたんですけど、ちゃんとしっかり絡ませていく予定でした。ただ、どうやって絡ませていくのか、という問題が出てきまして……
初登場の時に試合参加って形にしとけば此処まで苦労することは無かったんですが……
しかも初登場から此処まで一切の絡み無しという、一番苦労する展開で来てしまったものだから余計に……

それからどうやって登場、接触と行くか思いっきり悩んでいました。
結果、今話のような形に落ち着いたわけです。
ただ、文章、内容共に滅茶苦茶になってしまった……
挙句の果てに内容が好き嫌いが分かれるかもしれないって言う……

本当に手に負えねぇな……


それでも読んでくださるのであれば幸いです。




あ、それと全く関係の無い話なんですがパソコンのネット回線が切れると言う謎現象が発生しました。下手すると今後しばらくもそのような状態が続くと思われます。

やったね!更新が遅くなるよ!

いや、別にふざけてる訳じゃないんです。ふざけてますけど。
取り敢えず一応ここに書いておきます。



それとセシリアの紹介は後日別で書きます。




書いてて思ったんですけどやっぱりセシリア、チョロイン過ぎない?
可愛いから許すけど。
これでなんで料理が出来ないんや……!





追記
アンケート取ります。多かった順に書いて行こうかなと思ってます。
あ、他にも書いて欲しいとかあったらどうぞ。



追記の追記
アンケートですが一週間目安にして行こうと思います。
投票数によっては早めに切り上げたり延長したりするかも。
誰だってロリな千冬達を見たいはず。
……見たいよね?

注※ロリとは限りません。(ロリコンホイホイ作りてぇなぁ)


追記の追記の追記
お主ら束さんの事好きすぎじゃない?
まだ3時間ぐらいしか経ってないのにこれって……
ま、まぁしょうがないよね!




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