の後のお話。
学校に来なくなった暁美ほむらを見かねた美樹さやかはほむらの居場所を突き止める。という所から始まります。
「世界をねじ曲げた悪魔様がこんなところでなーにしてんのさ」
ひどく軋む扉に寄りかかり、軽口を発する美樹さやか。
それを、当の悪魔、暁美ほむらは無機質な目で睨む。
ただ、その悪魔は気だるげに椅子に座り、万全ではない様子。
「なんのよう?」
「そんな冷たい目でみないでよ」
そういうと、隙間から入り込む夕焼けに照らされた椅子に座る。
悪魔は自らに対面するように座った敵、円環の理の鞄持ちをじっと見つめる。
「・・・」
所々隙間があいた木造の壁から風が吹き抜ける。
「まぁ、ドリンクくらい出して上げるわ」
悪魔が手を叩こうとするが、手のひらを合わせる前に缶コーヒーが投げ込まれる。
「・・・どういうつもり?」
「それはあんたが一番分かってんでしょ?」
ね?とさやかは肩をすくめる。
「で、何しにきたのよ?、その様子じゃ、記憶も
戻ってるわね」
アメジスト色の瞳に生気が戻る。
「殺しあいをしに来たのかしら?」
ビリビリと大気が揺れる。
しかし、そんな中を美樹さやかは余裕綽々とした様子でコーヒーをすする。
「それは、あんたも望んでないことでしょ?」
にがっとさやかは顔をしかめる。
「私はいつでもいいのよ?」
はぁとさやかがため息を漏らした刹那、
輝かしい青色の閃光が部屋を包み込み、ほむらの首にはサーベルがあてられていた
「あたしの力を押さえ込めもしないくらい弱ってる癖に」
魔法少女の姿をした美樹さやかはまったく…と言った様子。
「貴女…その姿……」
「さすがのあんたも予想外だったか」
暁美ほむらは美樹さやかが記憶を取り戻すことまでは予測していた。だが、今の魔法少女姿の美樹さやかの頭には、人魚の魔女の顔を模した兜、いつもの露出が多い服ではなく甲冑を所々に纏っていた。
纏う魔力の質も美樹さやかのモノではなく。いつか感じた、そう、恋慕の魔女にそっくりだった。
「オクタヴィアは召還できないけど、漏れだした魔女の力があたしに干渉してるんだろーね」
暁美ほむらは美樹さやかを睨む。
「そこまで弱ってるなんて、自分でも予想外だった?」
再び青の閃光が部屋を満たし、椅子には制服姿の美樹さやかが座っていた。
「あら、チャンスじゃない。いまなら、私を殺せるかもよ?」
と暁美ほむらは挑発的な笑みを浮かべる。
「・・・そうしたいけど、できないんだよね」
?と悪魔は首をかしげる
「まどかに怒られちゃうからさ、まぁつまり円環の理にね」
悪魔は怪訝に睨む
「それに、まどかは魔法少女にならなければ今のような人生を送ってたんだし、全てを背負う女神様には少しでも楽しんでもらってもいいかなってね」
椅子から立ち上がり部屋を歩き回る。
「あんたがここまで弱ったのは、度々起きるまどかの覚醒を押さえてるからでしょ?」
「そうね」
と悪魔は同意する。
「しかもそれは、あんたがまどかの近くにいればいるほど頻度が増す。だから学校に来れないくらいに弱って、あんたはこんな山小屋に籠ったわけだ」
割れた窓から見滝原の町を眺める
「あんたの自宅じゃあ、まどかが必ずお見舞いに来るからね」
さやかはこの幸せ者めとほむらのおでこをつつこうとするもかなりの握力で手首を握られる。
痛い痛いとさやかはほむらの手首を叩く。
「で、結局なにをしにきたの?」
ほむらはパッと手首を話した。
「交渉だよ」
「交渉?私の知っている美樹さやかにはそんな芸当出来ないわよ」
むっとさやかは眉間をひくつかせる。
「…はいはい」
「で、どういう交渉なのかしら」
美樹さやかは椅子に再び座る。
「まどかが人間としての生を全うするまで、それまではあんたが円環の理の力を押さえ込むのに協力してあげる」
はぁ?と悪魔
「なぜ? 円環の鞄持ち様がそんなことを…」
「さっき言ったよね。女神様には幸せな時間も必要でしょ」
「で、私は何をすればいいのかしら」
「まどかの側にいること」
「…え?」
どういうこと?とほむらは動揺する。
だーかーらーとさやかは続ける。
「ま・ど・かの側にいること、わかった?」
「‥でもそれじゃあ、覚醒が‥」
「そのためにあたしが協力するんでしょーが。頭も弱ってるな、あんた。」
さやかはポリポリと頭を搔く。
「うちの女神様…。いや、あんたが守り抜いた『鹿目まどか』の幸福はあんた抜きでは成り立たないのさ。」
はぁ…。と 息を吐き続ける。
「そして、それは…。あんたが悪魔になろうが、女神を引き裂こうが変わらないんだよ…。」
さやかは見逃さなかった悪魔の瞳に雫が溜まるのを。
枯れきったもんじゃないね。と心で呟きながら続ける。
「続きを見なよ。あの『夢』のさ」
悪魔は顔を伏せる
「美樹さやか…貴女は…それでいいの?」
先程よりも弱った声を背にさやかは椅子から立ち上がり、小屋のドアを開ける。
「まーねーじゃあ、明日学校で」
小屋から出る直後、「愚かだわ」とほむらが溢す。
「まったく」
と呟き美樹さやかは山から見下ろしていてた見滝原の町に向かって山を下り始めた。
最後の愚かは誰に向けられたものかを哀れみながら。
マギアレコード2周年来るので、Pixivの過去投稿を持ってきました。