とあるスレに投下したネタ投稿を一部修正
本格的に小説を書くきっかけになった作品です。
森。
ただただ深く、そしてただただ暗い夜の森。
どんな詩人であろうと「木漏れ日」だなんて言葉は使えないようなそんな荒れ果てた森の奥地。
そこに、1人の青年がいた。
彼の名はラグネット。
どこの地方の名前にも当てはまらない様な名を名乗る青年は焚き火にあたっていた。
.......もうそろそろ寝るか
そう一言だけ呟くと彼は体を起こし、火を消そうとするが
そこで"ある事"に気が付いた。
静かだ。
そう静かすぎる。
幾ら夜とはいえ、不自然なほどに静かなのだ。
そして、その奇妙な静けさの中にある気配が混ざっているのを彼は感じていた。
「殺気」
彼はこれまでに似たような経験を幾つか体験していた。
狼...か
気付けば既に囲まれている様だった。
流石にこの状態になるまで気付かなかったのは迂闊だったと彼は悔やんだ。
左目の傷、この忌まわしき「呪い」のせいでつくづく自分は狼とは嫌な縁がある。
あの日、我が身へ宿った狼は今も尚着々と体を蝕んでいるようにも感じる。
......そんな事考えている暇はないな
ラグネットは立て掛けてある槍へと手を伸ばす。
相棒、未だに名前すらないこの槍には呪文と思しき紋様が掘られている。
思えばこいつが事の発端だった。
こいつが無ければこれまでの事も...
ふと頭によぎる過去の情景を振り払い彼は火の中へと槍を入れる。
するとその槍は赤い光を発し、そして槍の穂先の形状が変化した。
燃え盛る炎の様に波打つその穂先は一見使いづらそうにも見えるが、しかし確かな力を感じ静かにだが確実に闘志を宿している。
不意に、背後から狼が飛びかかって来る。
ラグネットはそれを躱す。
しかし、また別の狼が今度は正面から飛びかかる。
ラグネットは冷静に体を捻ってまたもそれを躱し、
すれ違いざまに狼の腹に槍を深々と突き刺した。
確かな感触。
しかしラグネットは焦った。
深く刺しすぎたのだ。
狼は槍が突き刺さったまま倒れ、抜く暇もなかったラグネットはそのまま倒れた。
不味い..!
狼をその隙を見逃さまいと無防備な彼に飛びかかる。
目の前に牙が迫ってくる。
不意に景色が変わった。
机。
肩には毛布がかけられ、腕の下には書類がある。
「目は覚めたかしら?マスター。」
後ろから声が聞こえる。
どうやら徹夜の作業中に寝てしまったらしい。
「朝食できてるわよ!早く食べて気力つけなさい。」
そう言って味噌汁をよそっているのはアルフレード。15センチ程度のロボットだ。
その横で配膳をこなしてるのがハルトマン。こっちも同じく15cmのロボット。
そうか、、、そうだった。研究員の私はこいつらのデータ収集を任されているんだった。
さて、課題は山積みだ。
アルフレードの言う通り気力をつけて作業に取り掛かろう。
見慣れた天井。いつも通りの古い電灯。
「.......夢か」
そう呟いて私は時計に目をやる。
ヒトヒトサンマル。遅刻だな。
騙された?()