ネロ帝が女のわけないだろ!いい加減にしてくださいお願いしますから!!   作:オールドファッション

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やだ、あれだけシリアス展開していて実は死人は0人なんてアラヤに言えるわけないじゃない!やめて!この前の話だけアラヤの体はボロボロ!今回のネタの嵐に耐えられない!だれか!読者の中にアラヤと同じ血液型の方はおられますか!?


魔術師を許すはずないだろ!大晦日に秋田県の一部地域で行われている民俗行事は?

 つまり、私が拷問された後ワープしてルシウスニウム欠乏症者続出。ネッサンのお腹ペロペロした偽ローマ兵にガチギレママが狂戦士と化し、血まみれママにショックを受けたネロ。互いに疑心暗鬼となって世界大戦勃発したと。なるほどわからんと匙を投擲するルシウス。

 

 周囲はルシウスにナイスな推理を期待して待っている。体は大人、頭は子供以下の彼に何を求めようというのか。いつかの『若女将は雀の旅館!湯けむり盗難事件!犯人は黒い全身タイツの男です!!』の二の舞になるぞ。

 

 そこへこういう事に関しては一流のプロが現れた。

 

「――謀反じゃな」

 

「知っているのか信長?」

 

「謀反ならわし自信あるぞ。カッツじゃろ、シバター、バヤシ、アサイちゃん、アッシー、平蜘蛛糞爺……」

 

「うわぁ…片手で収まらないのか」

 

「ルシウス殿ぉ……」

 

「あ、誰か寺生まれいます?頭文字がTならもっといいんですが」

 

 いつの間にか現れた信長と景虎。そして二人に率いられたおよそ20万の軍勢が黒い甲冑を纏い馬に騎乗している。関ヶ原の戦いでもするんですか?

 

「もうやだぁ。お家帰って鯛の天ぷら食べたい」

 

「秘湯争ってたらいつの間にか異国にいた件について」

 

「レッツパーリィ!」

 

「「誰だこいつ」」

 

 半ば強引に連れてこられた家康と信玄はお互い大変ですなぁと同盟軍と涙した。日本忍者連合は風魔から配給されたおにぎりを死んだ顔で咀嚼している。てか一人一人その格好で風呂に入って来たのかとルシウスは少し引いた。

 

「おお、戦士たちが戻ってきた。黄泉の国から戦士たちが帰ってきたぁ!」

 

 レジェンド語り婆はそろそろお口チャックしてください。

 

「まあ、詳しい事情は知らんが、どうせお前さんが誰かの恨みを買ったせいじゃろ。頭の悪い連中を裏から操っているやつがおるんじゃろうな」

 

 頭の悪い連中という言葉でローブの連中を思い出すルシウス。お前の方が断然頭悪いからな?

 拷問の談になるとみんな殺気立った。さっき怒りを鎮めたばっかりだったよね?

 

「あ、ところでネロよ。休暇の件なんだが、取り直しても良いか?」

 

「え……あ、うむ…」

 

 え、何その間は?

 

「建築、発明、医学はおまえの弟子がいるからなんとかなっている。マネージャーの仕事はこんな時だから心配はない。だが、ほら……劇の脚本がな。かなり溜まっている」

 

「じゃあ、休暇はなし?」

 

「なし」

 

 へー、なるほどなるほど。考えてみれば書き物は今まで自分でやってたし、こればかりは代役は立てられないよな。ルシウスが書かなきゃもはや自伝ですらない。まあ、二作目からは二次創作みたいなもんだけど。

 

 じゃあ、今日からまた仕事の日々か。はははは!

 

 

 

 屋上へ行こうぜ…久しぶりに…キレちまったよ…。近場に屋上がないなら今から建てるからな。

 

 

 

 ルシウスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐のローブの集団を除かなければならぬと決意した。ルシウスには政治がわからぬ。ルシウスは浴場技師である。建設、発明、料理、作家、プロヂューサー、バスケ、薬学、毒学、医学、消防、色々な仕事して暮して来た。けれども吐き気を催す邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。

 

 吐き気を催す邪悪とはッ!なにも知らぬ無知なる者を利用する事だ……!!自分の利益だけのために利用する事だ…。他人がなにも知らぬ『私』を!!てめーらだけの都合でッ!ゆるさねえッ!昔ギリシャで宗教勧誘してきた魚面の集団と同じだ!どうせ今回もまたギリシャだ!あんたらギリシャは今再び私の心を『裏切った』ッ!

 

 初めてルシウスは怒りという感情を吐露した。圧倒的威圧感がその場を支配する。彼の怒りでまるで大地が揺れ動いているようだ。ぶっちゃけ無理に地下の湯源を操作したせいで地殻変動が起きているだけである。

 

 HUROHAIRITE部隊の面々が彼の前へ集い叫ぶ。執事と少佐は今回欠席中。

 

「主よ!! 我が主よ!! 我が主人ルシウスよ!!命令(オーダー)を!!命令(オーダー)をよこせ!!我が主!!ローマ帝国HUROHAIRITE部隊局長!!ルシウス・クイントゥス・モデストゥス!!」

 

 ルシウスは彼らを睥睨して答えた。

 

見敵必殺(サーチアンドデストロイ)!!見敵必殺(サーチアンドデストロイ)だ!!弟子たちよ!!私は命令を下したぞ!!何も変わらない!!我々を邪魔するあらゆる勢力は叩いて潰せ!!逃げも隠れもせず正面玄関から打って出ろ!!全ての障害はただ進み押し潰し粉砕しろ!!」

 

『うおおおおお!!!』

 

 先ほどまで涙を流す隣人の背を摩っていた手のひらを握り込み、その握り拳を高く上げて群衆たちは咆哮し始めた。日本勢も戦国大和魂に火がつき刀を掲げている。地味にペトロとヨハネも参加していた。これにはイエスもドン引き。周囲の熱狂ぶりにルシウスの中の熱も冷め、この状況に危機感を覚えた。このままだとローブの集団どころかギリシャ滅ぼされちゃうんじゃない?

 

「まあ、待ちなさい。暴力は憎しみしか生みません。世の中『地には平和をそして慈しみを(ラブアンドピース )』です」

 

 一斉に拳が下される。さすが不殺の夢見る聖者の格言である。ヨハネもメモした。

 

「では、一体どうするのだ?まさか、まだ不殺の策略がまだ残っているのか!」

 

 と、期待の眼差しに囲まれ、また初めに逆戻りしたルシウス。しばらく考え込んだ末、彼はポンと掌を叩いた。

 

「なまはげって知ってる?」

 

 何気ない前世の出身地カミングアウトだった。

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、ローマの和食レストランで舌鼓を打っていた褐色の男アーチャー。食材の鮮度、出汁の取り方、料理の熱加減のどれもが高いレベルにある。あとでシェフからレシピを聞こうと思った。

 

 褐色の女オルタは異世界居酒屋でおでんを頬張り、白軍服のライダーとお付きの女お竜はローマシーランドででかいネズミと握手。ポップコーンにはカエル味はないよとイチャイチャしていた。ボッチのアサシンとは連絡は取れないが多分生きてるだろう。部下のほとんどが趣味に走ってて血の涙を流すアラヤだった。

 

「ふむ、この筑前煮もなかなか……む?」

 

 電気信号が脳内へ送られてくる。仲間からの念話だった。応答すると相手はライダーだった。

 

『非常事態だ!今すぐ霊体化した方がいい』

 

「何があった?」

 

『すまない、僕もいまランドの灯台から見てるんだが……これは、その、言語化が難しい…』

 

「どういうことだ?」

 

 念話越しからでもわかるほどライダーは取り乱していた。緊急事態であることには違いない。アーチャーは急いで残りの料理をタッパーに詰め込んだ。

 

『お、これ知っているぞ。百鬼夜行だ』

 

『あ、ああー!うん、たしかにそうかもしれない!』

 

 そう言いだしたお竜の言葉は、まさしくその光景を如実に表した一言である。数分後にアーチャーもその光景を知ることになり『なんでさ!』と叫ぶだろう。

 

 場所は変わりローマの酒場で4人組ローブの男が黄金色に輝くエールを湛えて乾杯していた。仮に彼らの名をリョナラーのペイジ、貧乳大好きジョーンズ、ロリ巨乳マニアのプラント、盗撮趣味のボーンナムと呼称しよう。彼らはギリシャの魔術結社によって派遣されてきた魔術師であり、皮膚を使った変身魔術と肉人形を遠隔操作魔術で今まで悪逆非道の限りを尽くしてきた悪党ども……というわけではなく、やったとしても盗みなどのせこい悪さしかしてこなかった小心者たちである。女性経験もなく他人の行為を水晶越し覗き見て思春期の憂鬱とした感情を発散するタイプの男子だった。

 

 現に、彼らの頭は乾杯したはずの盃よりも低く、テーブルに顔を伏している。ブルーすぎてとてもお祝いムードではなかった。

 

「今回はさあ、イケニ族の王女たちを痛めつけてローマと戦争させる依頼だったけどさあ。あれ、心にくるよなぁ」

 

「初めはなんか俺たち興奮してたけど後から罪悪感が募ってきて……死にたくなってきたわ」

 

「そもそも肉人形に性器ついてないんだよなぁ。お楽しみもくそもねえよ、調子乗って何言ってんだ俺は馬鹿、お馬鹿!……まあ、ネッサンちゃんのお腹ぺろぺろできたのは良かったけどさ」

 

「「「それな」」」

 

 急に元気になり始めた四人組。

 

「その点ペイジはいいよなぁ、ブーディカ様の腹蹴りとか役得だったもんな」

 

「んなことねえよ!俺はリョナは好きだけど自分でリョナるのは別なの!まだ体が震えてるわ!」

 

「ヘタレかよ。まあ、俺たちもヘタレだけどさ」

 

 やはり落ち込み始める四人組。どっちかはっきりしろよと給仕は思った。給仕は先ほどの会話をメモしてマスターへ手渡す。このマスターも実はルシウスのお弟子さんだった。というか、市内は全員ローマ市民なんだから迂闊なこと喋ったらいかんよ。

 

 伝書鳩が飛んでいく中、彼らはお酒もそこそこに店を出た。手には市内の観光スポット記事が記載されたパピルスを持っている。

 

「次どこいくよ?」

 

「あ、ここ口コミいいな。星5だぜ」

 

「おー、ここが例のWASYOKUレストランか」

 

 見た感じ、いかにも一見さんお断りな料亭へと四人は暖簾をくぐっていった。これには近くを通り歩いていた顔が平たく丸い民族の男も『へたっぴさ』と笑っている。彼らも入って見てすぐに店内の銀座高級店並みの老舗の雰囲気にたじろぐ。カウンターの向こうで刃物を研いでいる店主にペイジが声を掛けた。

 

「あー、すいません。予約ないんですけど大丈夫ですか?」

 

「……ええ、どうぞ。中にお入りください」

 

 店主は生気のない声でそう返答する。店内の薄暗さのせいで俯いた店主の顔はよく分からなかった。おそるおそるカウンターに座り始める四人は何か頼もうとしたが、品書きがどこにもないことに気づく。

 

「あの、おすすめは何ですか?」

 

「うちは生魚を扱う寿司屋って店なんですがね。生憎今は魚がないんですよ」

 

「え、じゃあWASYOKUは食べられないんですか?」

 

「いえ、ご心配なく……ちょうど”新鮮な肉”が届いたところですから」

 

「え?」

 

 店主がそう言って顔を上げた瞬間、四人は悲鳴を上げた。店主の顔はまるで血のような朱色の厳しく顔を顰めた鬼であったからだ。気づけば店内中に同じ鬼が潜んでいる。

 

「悪い魔術師はいねえがぁ」

 

「いたら食っちまうぞぉ」

 

『ぎゃあああああああ!!!』

 

 奇声を上げながら包丁を振り回す鬼たちに腰を抜かしながら四人は転がるように店を抜け出した。外は先ほどまでの快晴とは程遠く、暗雲立ち込める無人のゴーストタウンに変貌している。さっきの酒場なら人がいるかもしれないと思い彼らは戻った。酒場には給仕と無愛想なマスターがまだ残っている。彼らは安堵した。

 

「す、すいません!さっきそこに化け物がいたんです!」

 

「信じてもらえないかもしれないが、助けてくれ!」

 

 俯いた給仕とマスターは特に驚いた様子もなく呟く。

 

「ええ、信じますよ」

 

「もしかして、その化け物は――こんな顔じゃありませんか?」

 

 面を上げた二人の表情はあの鬼と同じであった。

 

『ぎゃあああああああ!!!』

 

 四人は石のように転がりながら恐怖の声を奏でる。そのうちバンドを結成して『転がる石たち』と名付けられそう。

 

「くそっ!一体どうなってやがるんだ!ローマの土着神たちの襲撃か!?」

 

「とにかく今は司令部との連絡が最優先だ!」

 

 盗撮趣味のボーンナムが懐から水晶を取り出し、司令部へ通信を飛ばす。ノイズの混じった音と映像にはまるで地獄のような光景が広がっている。黒い鎧を纏った人間が剣や槍を振り回し、長細い杖のようなもので爆音を奏でた。人が木の葉のように舞う戦場を彼らは心底楽しそうに笑っている。反対に軽装備な者たちは機械的に短刀を振るい相手を気絶させていった。

 

『メーデー!メーデー!こちら司令部はまるで地獄の釜だちくしょうめ!誰かたすけ、うわあああああ!!!』

 

『はははは!逃げる奴は魔術師じゃ! 逃げない奴はよく訓練された魔術師じゃ!!敵はローマにあり!!』

 

『ひゃっはー!おまえら首よこせ!なあ、首よこせえ!!』

 

『あはははは!森くん殺すのはダメです。せめて半殺し程度にしなさい!』

 

『このクソ野郎どもがあああ!!よくもワシらの女神とルシウスを傷つけおったなああああ!!!』

 

『誰ですかこのおじいちゃん達』

 

 司令部の地獄絵図に彼らは声を失った。縛って放置してた元老議員のじじい達もなぜか木刀を振り回して参戦している。お前らこっち側の人間だろ。

 

「みーつけた」

 

 映像に夢中になっている彼らは上から迫り来る物体に気づかなかった。黄金の巨大な髑髏が貧乳大好きジョーンズの体にのし掛かり、彼はカエルが押し潰されるような悲鳴をあげる。見上げると宙に浮いた美しい女が無数の髑髏と鬼火を引き連れてそこにいた。

 

「プロデューサーさんの言ってた人捕まえたわぁ!褒めてヨカナーン!あははははははははは!!!」

 

「や、やめろー!俺は貧乳が好きなんだぁ!そんな醜い肉の塊を見せるなぁ!!」

 

「ジョーンズ!」

 

「やめろ!もうあいつは助からない!」

 

 バンドから一人脱退しメンバーは三人と化した転がる石達。ドラムとギターを兼業してどうぞ。

 

 通りに出ると街は鬼火が舞い、包丁を持った魑魅魍魎どもが跋扈するあの世と化していた。これにはサイレントヒルも苦笑い。彼らは対抗して魔力弾を放つが、鬼達は建物を壁にしてそれを避ける。恐るべきことに建物は魔力弾を受けてもびくともしない。大理石ではありません。我が国のオリジナル素材です。

 

 建物の堅牢な守りに呆然としていると、リョナラーのペイジの肩を掴む者がいた。ペイジが振り返るとそこにはミイラ男たちが血走った眼でペイジを睨んでいる。

 

「俺たちの皮を返せえええ!!!」

 

「うわあああああああ!」

 

 ぶっちゃけると皮膚を剥ぎ取られたローマ兵達である。彼らは転んだペイジにのし掛かり彼が泣くまで殴るのをやめないだろうね。まあ、たとえ号泣してもやめないがな。

 

「このやろう!よくも俺の顔でブーディカ様蹴りやがったな!ファンクラブ会員2番なんだぞ!!ちくしょおおお!!!」

 

「ぎゃああああああ!!!」

 

「ペイジ!正直おまえのは自業自得だから頑張れ!!」

 

 バンドからさらに一人脱退しメンバーは二人と化した転がる石達。ドラムとギター二つを兼業してどうぞ。阿修羅像かな?

 

 二人は数ヶ月前にルシウスを追い詰めた隣の民家に逃げ込み、部屋の隅でガタガタ震える準備オッケーだった。盗撮趣味のボーンナムは再び水晶を懐から取り出し、ロリ巨乳マニアのプラントがそれを戒める。

 

「おい、まさか本部に連絡するつもりか!?ローマとギリシャの全面戦争になるぞ!!」

 

「構わねえよ!どうせ遅かれ早かれの話なんだ!俺はこんな場所で死にたくねえぞ!」

 

 水晶に映像が映り始め、円卓を囲む厳しい顔つきの老人達が二人を睨んでいた。人類補完するつもりだろこいつら。

 

 初めは興味なさそうに聞いていた老人達も、話が進むごとに焦り始め、終盤には老衰し始める者まで現れる。老人達は激怒した。

 

『ばっかもーん!そいつはルシウスだ!厄介な奴に手を出しおって!』

 

「だから助けてください!もうこっちは壊滅状態です!!」

 

『知るか!ワシらはダゴン秘密教団と同じ結末は迎えたくないんじゃ!』

 

「あ、おい!」

 

「ボーンナム!うしろうしろー!」

 

 振り返ると筋骨隆々の老人がボーンナムを睥睨している。彼はこの家の持ち主であったペトロ。数ヶ月前、引っ越して早々ルシウスが来ないかとそわそわしていたら、家の中にイエス様の幻影が現れペトロは『主よ、どこへ行かれるのですか?』とたずねた。イエスは『お前が家にいないから中を覗いたら大変なことになってたよ』と元家の方角を指差し、ペトロが慌てて向かうとそこには半壊した家と壊された隠し風呂の浴槽が散乱していた。

 

 ペトロは理不尽な人生に悩み己の中の信仰心が揺らぎかけた。己を戒めたペトロは磔にされる度に脳内で主への信仰を込めた一万回の正拳突きをイメトレ。地味に憂さ晴らししてるじゃねえかとイエスは思った。ふと、気がつくと一万回を突き終えたのに日が暮れていないことを自覚した。ペトロ、齢67を超えて羽化したか、痴呆になっただけである。

 

「わしの家を壊したのはおまえらかー!!!」

 

 膨大なオーラの余波がプラントを吹き飛ばし、ボーンナムはペトロの背後に見えたジョニデ似のイエスのビジョンを幻視し立ちすくむ。イエスはボーンナムに微笑みかけると、右手を掲げるとこう仰った。

 

『誰かが右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい』

 

 イエスの無慈悲な往復ビンタが炸裂した。ついに転がる石が一つとなり、メンバーはプラントー人になる。もう一人でギター二つとドラムとボーカルするしかないね。

 

 気がつけば彼はルシウスの自宅で立ちすくんでいた。始まりの場所におとずれ、こうして終わろうとしている。あまりの皮肉にプラントは笑った。ひたひたと足音が聞こえる。これが死の足音のように聞こえ始めた。

 

「休みが1日、休みが2日ぁ……」

 

 まるでバンシーの鳴き声のように悲しげな声が響く。温泉でびっしょりと濡れた手が玄関の入り口を掴んだ。異国の白いを纏った男が、恨めしそうな顔でこちらを覗いている。日数を数え終わると男はくわっと目を見開き大声でアイ・スクリーム。

 

「あれ?私の休みが1日もなああああいいいいい!!!!」

 

「うわあああああああああ!!!」

 

 番町皿屋敷と化したリビングデッドルシウスがプラントの前に立つ。今更、目の前の相手をどうこうしても無くなった休暇は返らないだろう。だが、示しは必要だ。このルシウス、もはやローブ集団には容赦せん。

 

 腰を抜かし床を這いずるプラントは慌てて理性を取り戻す。

 

「お、落ち着け!俺の話を聞け!俺たち魔術師とあんたらローマが手を組めばこわいもんなしだ!金や女も好きなだけ選べるぞ。そうだ、きっと天下だって夢じゃない!あんた!天下が欲しくはないか!?」

 

 腰を低く構え、息を深く吐いたルシウスの返答は殺意のない純粋なパンクラチオンだった。

 

 

 

『いるかそんなもん!! ちぇぇぇぇりおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』

 

 

 

 放たれた拳はプラントの顔面を捉え、彼の体を市内中心部まで突き飛ばす。アーチ状に吹き飛んだ彼は、広場中央の噴水の上に建てられた女神ローマ像の持つ風呂桶と衝突し、スコーンっと気持ちのいい音を立てて泉の中へ沈んで行った。これには女神もにっこり。

 

 沈みながらプラントは思った。今度から依頼はちゃんと選ぼうと。

 

 こうしてルシウスの奇策により奇跡的に一人の死者も出さずに戦争終結。魔術師達はローマでの恐怖体験を伝えるために全員返され、元老院議員たちは今回の件で元老院から追放。さらにアグリッピナの提案で今まで貴族から選出していた元老院制度を撤廃し、出自や性別関係なく議員が選ばれるようになった。まあ、元元老院議員たちは蓄えもあるし老後はアイドルの追っかけに精を出すことだろう。

 

 現代においても魔術師たちの人道に反した無分別な行為が問題視されるが、『悪い魔術師の前にはルシウスが来るぞ』と一喝されるとどんな魔術師でも震える恐怖の代名詞として語り継がれることになる。また、ヨハネの自費出版した黙示録には彼らの戦いはこう記されている。

 

『紅蓮の七つ首の龍を操るバビロンの情婦とケルトの赤き戦闘民族が滅びの光を放ち世界は終末を迎える』

 

『しかし白き正義の衣を纏った湯の化身が降り立ったならば、黒き冥府の軍勢を引き連れて争いを終結させる』

 

『なれど化身の怒りに触れたものは死よりも恐ろしい制裁を受け、心に溜まる悪の黒ずみを残らず消し去るであろう』

 

地には平和をそして慈しみを(ラブアンドピース )

 

 最後だけまんまパクリじゃねえか。




アラヤとアサシンは次回予定。

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