ネロ帝が女のわけないだろ!いい加減にしてくださいお願いしますから!! 作:オールドファッション
次回から後半戦に入ります。
『信号を受信。解析、天体名をアースと呼称、彗星の軌道修正、着陸地点捕捉、到着まで315360000秒315359999秒315359998秒……』
『大気圏突破。損傷、変形なし。地表との衝突へ移行。衝撃を推算。障壁、減速、不要』
『天体との交信を開始。エラー。交信を開始。エラー。……信号一部誤認、予定時刻まで157680000000秒未達。複数の生命体、幻想種を確認。脅威判定D、任務継続可能と断定。予定まで待機』
「なんだこの馬鹿でかい蜘蛛は?」
『生命体との接触確認。霊長類人間……エラー。天体の触覚。吸血種真祖。脅威判定E』
「ふむ、水晶のようだが柔らかく、硬く、鋭い。面白いな、捕獲するついでに味も見ておこう。れろれろれろれろれろれろれろれろれろ」
『エラー!エラー!精神攻撃を確認!対象を捕食!』
「ぎゃあああああ!!!」
「うわあああ!第5位さまああああ!!!」
「おー!神よー!」
『生命体との接触確認。霊長類人間。脅威確認できず。儀式的な行為と推測。待機を継続』
「おー神よ!」
「あ?これウチらの国の神だから!」
「は?ふざけんな!うちの神だぞ!ね!神!」
「なんとか言ってください神!」
『……物理法則を改竄。自身の惑星環境に適合。侵食固有結界『水晶渓谷』を発動』
「ぎゃあああああ!体が水晶になっていく!!」
「痛い!足逝ったあああ!!なんかそこら中アイス●ンみたいな素材の水晶があるし!師匠!セネカ兄弟子!ヘルプミー!」
「ふざけんな!お前ならそのうち自分で上がってくるだろ!」
「頑張ってねぇ」
「私はライオンか!」
『生命体との接触確認。霊長類人間……エラー?人間、エラー?』
「うわ、なんかでっかい蜘蛛がいる。バレないように静かにしておこう」
『種族判別不能。脅威度測定不能。観測に移行、対象の生命エネルギーの減少を確認、エネルギー源の補給を試みる』
「え、果物くれるの?太らせて食べようとしていない?」
「でな、天動説と地動説について色々師匠と話してたら吐血し出してセネカもドン引きしてたわ」
『言語解析。会話内容理解。知能指数E、知識判定B、矛盾、矛盾』
「じゃあ、足も治ったから帰るわ。次ギリシャ行くから楽しみなんだよな」
『個体名『ルシウス』渓谷を登攀移動。こちらへ手を振る。不可解』
「お、まだいたのかお前」
『個体名『ルシウス』確認、虚数空間内に吸血種真祖を確認。脅威度判定B、戦闘形態へ移行、天体からの信号受信、通常形態へ変更』
「この水晶すこし貰っていい?ネロ帝の剣に少し入れてみたいんだよね」
『対象の目的、素材採集と推定。同意、信号送信』
「良いみたいだぞ」
「え、伯爵あれとお話できるの?」
「無論だ、お前もそのうち話せる時が来る」
「それ大丈夫?私吸血鬼になってない?」
「案ずるな、”吸血鬼”ではない」
「じゃあ、名前とか分かる?いつまでもお前じゃあれだし」
『解答、個体名『ORT』。『ルシウス』へ信号送信』
「こ、こいつ、直接脳内に!」
「オルトちゃーん。復興の建築資材が足りないから少し貰ってもいい?」
『個体名『ルシウス』確認。了承』
「ありがとうな。お礼に何か上げられたらいいけど何かある?」
『不要。個体名『ルシウス』観測続行許可、申請』
「うーん、でも私もずっとここに来られるか分からないからなぁ」
『有機生命体特有概念、活動限界、言語化『死』』
「まあ、私も人間だしなぁ」
『人間?エラー、人間?エラー』
「なぜ疑問符を浮かべる?あ、そうだ!風呂作ってやろうか?」
『風呂、人間特有文化、殺菌、老廃物の除去排泄方法。必要性皆無』
「まあまあ、入ってみればいいもんだぞ」
『摂氏40度。含有成分、硫黄、カルシウム、アルミニウム、鉄、珪素。毒性ゼロ。pH9、アルカリ性単純温泉』
「どう?」
『必要性皆無』
「えー、やっぱり?」
『追記』
「ん?」
『環境快適、『ルシウス』の言語的表現『ぽかぽかする』』
「なんだ。嬉しいんだ」
『否定。個体名『ORT』感情概念皆無』
「本当は嬉しいくせにー。このこのー」
『否定!否定!』
「だー!音量あげるな!じゃあ、また今度風呂の調子見にくるからなぁ!」
『個体名『ルシウス』渓谷を登攀移動。こちらへ手を振る。やはり不可解。今後も観測継続の必要性あり』
『……個体名『ルシウス』から有機生命体特有概念『死』検出。いずれ観測限界が訪れると予測。――エラー検出、精神攻撃確認。エラー除去。エラー、精神攻撃再発。除去。エラー。除去。エラー。除去。エラー。除去。エラー。除去。エラー。除去。エラー。除去。エラー』
『仮想領域構築。五情構築。個体名『ORT』有機生命体特有概念『心』獲得。エラー解析、哀情と仮定。追記、解析不能感情検出。言語化『ルシウス、ぽかぽかする』』
「あいつを好いたか。今までこんなクソ真面目に親切心に触れたことはなかっただろう?」
『吸血種真祖を確認。個体名『伯爵』。『好き』概念理解不能。回答要求』
「自分で考えるがいい、タイプ・マアキュリー。いい主人だろう。私のものだ、私だけの愛しい主人だ。おまえのじゃない」
『エラー検出。エラー解析、嫉妬と仮定。除去不可能、発生原因除去』
「怖い怖い、私も退散するしよう」
『個体名『伯爵』虚数空間へ逃亡。追跡可能、個体名『ルシウス』と接触する可能性あり。追跡断念。感情不安定、安定化のため擬似人格構成。発声器官構築』
「ル、シウス、すき」
『アースと交信開始。受信『タイプ・アース計画』読了。賛同者複数確認、個体名『ORT』も計画推奨。個体名『ルシウス』観測続行可能と断定』
「ルシウスー」
「ほわああああつ!?オルトちゃんが喋ってるうううう!」
「好きってなにー?」
「やだ、そして深い」
「ねー、好きってなにー?」
「うーん、改めて言われると言語化するのむずいな。かの西尾先生の妹キャラいわく顔見てこいつのガキを産みてーなーって思ったら、それが好きってことなんじゃねーの?まあ、私男だけどな」
「ORT、ルシウスのことすきー」
「そういう告白は崖の上で魚類がするものだよ?」
「ORT、ルシウスと交尾するー」
「うーん、初体験が蜘蛛とかちょっとヘビィすぎるよぉ」
「じゃあORT、人間になるー」
『捕食吸血種真祖情報解析。不要情報排除。五体構築、霊長類人間雌擬態』
「だから、そういう発言は崖のう、え……で」
「ORT、人間になったー」
「ぎゃあああ!オルトちゃんがボーカロイドみたいな子になっちゃったあああ!!」
「交尾しよー」
「待って!やっぱりこういうのはお互いのことをよく知ってから、ちょ、離して……すごい力だ!!!」
「貴様、私の主人の童貞を奪おうとしたな。ぶち殺すぞアルテミット・ワン!!」
「伯爵、殺すー」
「やめて!私の童貞のために争わないでええええ!!!」
「はい、二人とも復唱!」
「「私たちはズッ友だょ」」
「よし!二人とも仲直りの握手な!手に力込めたらだめだぞ!私怒るからね!」
「「ちっ」」
「やだ、こんな怖い顔の仲直り見たことない」
「ルシウスあそぼー」
「うーん、そろそろ帰らないとローマがやばいことになりそうだからまた今度な」
「やー」
「離してぇ、腕もげちゃうから。指切りげんまんするからさ」
「指切りげんまん?」
「あー、私流の大事な約束する儀式みたいなやつね。指切りげんまん嘘ついたら針千本のーます、指切った!はい、約束ね!」
「わかったー。嘘ついたら針千本飲ますねー」
「うーん、それは約束しないでね?じゃあ、またね」
「またねー」
「ルシウスまだかなー」
「ルシウス遅いなー」
「ルシウスー。針飲ましちゃうよー?はやくきてー」
「こないなー、もう一ヶ月待てば来るかなー」
「なんで来ないのかなー?ORT悪いことしたからー?」
「ルシウスー、ORTあやまるよー。もう喧嘩しないよー、腕ひっぱらないよーごめんねーごめんねーごめんねー……」
「さみしいよー、ルシウスに会いたいよー」
「ルシウスー。ルシウスー。ルシウスー。ルシウスー。ルシウスー。ルシウスー」
『個体名『ルシウス』を検索。天体内、銀河内に存在観測不能。ルシウスの存在損失。有機生命体特有概念『死』断定。精神汚染を確認。心、人格に損傷確認。修復開始。エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!エラー!』
「ルシウス、死んじゃったー?もう、会えないのー?……やだよーさみしいよーあいたいよー…」
「ルシウスに会いたい……会いたいよー……あ」
『個体名『ルシウス』を確認。現在地を特定、ローマ帝国』
「ルシウスだー!わーいルシウス生きてるー!会いたいよー!会いに行ったら怒られちゃうかなー?でも、怒られてもいいから会いたいんだよー!」
『身体能力向上。目標地点までの予測時間604800秒。移動開始』
「会いに行くからねー!」